リースの基礎
 

  ■リースの仕組み

   1.リースとは

    法律で「リース」を定義しているものはありませんが、

    一般にリースとは、

     企業が機械設備を導入しようとする際に、
     リース会社が代わって機械設備を購入し、その企業に対して比較的
     長期間、賃貸すること

    とされています。

    具体的には、リース会社が金融機関からの借入をはじめとする長期資金の調
    達を行い、その資金を基に必要とする企業に代わって機械・設備(リース物件)
    を購入し、一定のリース料によりその企業に長期間賃貸することです。

    たとえば、パソコンや冷蔵庫といった物件を導入する場合、直接お金の融資を
    受けるのではなく、リース会社にユーザーが指定した物件を購入してもらい、そ
    れを賃貸する形になります。

    したがって、その物件の所有権はリース会社にあり、リースを受けた企業の
    「物」ではありません。

    こうしたことから、リースは別名「物融」とも呼ばれ、「物」を介さない場合はリース
    の対象とはなりません。

    リースと混同しやすいものに、レンタルや割賦販売がありますが、その違いは以
    下のようになります。

    【レンタルとの違い】

     レンタルは、レンタカーやベビー用品、観葉植物など、不特定多数の人が使え
     る物件が対象となります。
     ユーザーはレンタル会社の在庫のなかから物件を選択します。
     短期間の賃貸借で、物件の保守・修繕義務はレンタル会社が負います。

    【割賦販売との違い】

     割賦販売とはいわゆる分割払い(クレジット)での販売のことで、代金を一定期
     間に分割して支払う販売形態です。
     割賦販売は支払い形態が違うだけで通常の売買契約と同じです。
     物件はユーザーの資産となり減価償却しますが、割賦料金を完済するまで所
     有権は留保されます。

   2.リース契約の手順

    一般にリース契約は次の手順で行われます。

     ①ユーザーはメーカーやディーラーと、導入する物件の機種・価格・仕入れ
       条件・仕様・納期などについて打ち合わせをします。

     ②ユーザーはリース会社とリース期間やリース料などのリース条件を話し
       合います。
       条件が決定した後、ユーザーはリース会社に正式にリースを申し込み
       ます。

     ③リース会社はユーザーから提出された事業報告書(決算書)を基に信用
       調査を行った後、リース契約を締結します。

     ④リース会社はメーカー・ディーラーと売買契約を締結し、物件を発注します。

     ⑤ユーザーにメーカー・ディーラーから物件が納入されます。

     ⑥ユーザーは納入物件の検品後、リース会社に物件受領書を渡します。
       この日がリース開始日(検収日)となり、その後毎月のリース料の支払い
       が発生します。

     ⑦リース会社はメーカー・ディーラーに物件代金を支払います。

     ⑧リース会社は検収日から物件を資産として計上します。
       保険料、税金なども毎年リース会社が支払います。

                             基本的なリース契約スキーム

     <リースに適した物件>

      ・技術革新や陳腐化のスピードが速い物件…コンピューター、OA機器など

      ・購入価格が高い物件…航空機や船舶など

      ・管理事務に手間がかかる物件…自動車など

     <リースに適さない物件>

      ・売買扱いになる物件…建築物など

      ・陳腐化しない物件…工具・備品など

      ・短期間しか使用しない物件…土木建築機械など

     リース期間の満了後は、ユーザーの希望により、

      ・リース会社が物件を引き取る

      ・再リースする

     のいずれかの方法をとります。

   3.リースの種類

    また、リースの種類には、大別して次の3つがあります。

    (1)ファイナンスリース

      リース料総額がリース物件の取得価額および諸費用のおおむね全額を回収
      するようになっており、中途解約が禁止されている契約です。

      現在、リースの9割以上がファイナンスリースといわれています。

      あらゆる機械設備がその対象物件となりますが、税務上、リースの対象とは
      ならない場合もあります。

    (2)オペレーティングリース(オペリース)

      リース期間がユーザーの使用期間に応じて設定されるため、同物件対象の
      ファイナンスリース契約よりリース期間が短くなります。

      リース料も物件の残価が見込まれるため低廉化が図れます。

      また、契約によっては中途解約が可能です。

      対象物件は、中途解約やリース期間終了時でも一定の価値があり、リース
      会社が容易に別のユーザーに再リースすることが可能か、または中古市場
      が整っている比較的汎用性の高い物件となります。

      日本ではオペリースの残高が大きい業種の中で目立つのは不動産業だ。

      中でもサブリース(大家さんが管理会社に部屋を賃貸し、管理会社が賃借し
      た部屋を第三者にあたる入居者に貸す事)を手掛ける企業の残高が大きい。

      日本会計基準で簿外になっている設備や不動産などのオペレーティングリー
      ス(オペリース)は資産計上されずに会計処理が簡単だった。

      会計基準の変更により貸借対照表に計上される見通しになった。

      「オフバランスのメリットが薄まり、企業の設備投資意欲が弱まるのでは」と
      の声もある。

      またリース料は税務上、損金算入できるメリットもあった。

      すべてのリースが企業の資産とみなされる。

      オペリースも例外ではなくなる。

      資産であれば減価償却が必要で、元本と利息は分けて計算する。

      経費処理に比べると煩雑だ。

      日本でもルールの国際化を進めなければ、投資家から日本の財務諸表の信
      頼性を疑う声が出かねないとの懸念が出ていた。

                         出典:日本経済新聞(2019/3/7)

    (3)サービスリース

      上記リースにサービス機能を付加したものです。

      このなかでもリース物件の修繕・保守管理のメンテナンスサービスをリース
      会社が提供するものをメンテナンスリースといい、自動車リースが典型的です。

  □リース料について

   1.リース料の算定

    リース料は、一般に

     ・物件取得価格

     ・残存価格(残価)

     ・金利コスト

     ・租税公課を含む各種経費

     ・リース会社の利益

    の5要素から構成されます。

    リース料の算出は一般に次のように計算されます。

    なお、契約されたリース料はリース期間中は変更されません。

     

    金利は各社の経営方針に沿って設定されています。

    また、通常は、戦略上の理由や取引先の信用度によって1件ごとに金利を調整
    しています。

    たとえば、財務内容の良好な上場企業で今後も継続して引き合いが見込める
    先の場合は、金利を低くしてリース料を下げることが多くなっています。

    反対にリース期間中の収益が安定して見込めないベンチャー企業などは、貸し
    倒れリスクを考慮して金利を高く設定します。

    このように同じ物件であっても契約先の財務内容や、リース会社の与信の考え
    方によってリース料が変わるため、リースに定価はないといわれています。

   2.リース料率

    月リース料はリース料率で表示することがあります。

    リース料率とは、物件総額に対しユーザーが1カ月に支払うリース料の割合です。

    たとえば、物件価格100万円につき月リース料が1万9000円の場合、月リース
    料率は1.9%となります。

  □リースのメリット

   ここでは、ユーザーにとっての一般的なリース導入のメリットをまとめています。

   (1)借入金であれば、ユーザーは借入枠や担保の設定状況により100%の融資
     は得られないことが多いのですが、リースを利用することによって、100%の
     借り入れをした場合と同じ効果が得られます。

   (2)借入金や自己資金で機械設備を購入すれば、投下した資金の回収は法定耐
     用年数が終了するまでは不可能であり、その間、資金を固定しなければなりま
     せん。

     しかし、リースを利用すれば、月々わずかなリース料を負担するだけで、残っ
     た資金をより有利な投資や研究開発費などに回すことができます。

     ユーザーは資金の固定化を防ぐことができると同時に、資金運用を図ることが
     可能となります。

   (3)リースした機械設備はリース会社の資産であるため、ユーザーはそれらを固
     定資産として計上する必要がありません。

     そのため、たとえ高額な設備を導入しても流動比率、固定比率などの財務比
     率が悪化することはありません(ただし、平成20年4月1日以降開始する事業
     年度からは、リース物件とこれに係る債務をリース資産およびリース債務とし
     て計上することが義務づけられたことから、このメリットはなくなりました)。

   (4)技術革新の目ざましい今日、機械設備のサイクルは短くなる一方ですが、
     リースなら将来の陳腐化を十分考慮して、経済的・物理的耐用年数に見合っ
     たリース期間を選ぶことができます。

     ユーザーはつねに業界をリードする新鋭機械設備を利用できます。

   (5)リースを利用すれば、機械設備導入にともなう資金調達、固定資産税や保険
     料の支払い、資産処分など、わずらわしい事務負担を大幅に削減できます。

   (6)税法上、毎月のリース料は全額会社の経費として処理できます。

   (7)契約期間中のリース料は物価の上昇などに関係なく一定であるため、ユー
     ザーはインフレや月々の支払い増加に対する不安から解放されます。

     なお、リース料は個々のケースで異なるため、リースと購入のどちらで導入し
     たほうが得かは一概にいえません。

     リース会社に経済比較表を提示してもらって、比較検討します。

     経済比較表とは、物件のリースと購入の純資金流出や節税効果を検証したも
     のです。

     導入する機械、設備の見積書をメーカーやディーラーから入手した後、リース
     会社にリース料金の見積もりと経済比較表を出してもらうよう依頼するとよい
     でしょう。

     リースより購入するほうがよいのは、数量がそれほど多くなく、低価格の機器
     などを現金で購入できる場合やその設備を長期間使用する場合です。

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