女性社員のモチベーションを高める

  □女性社員のやる気を高めるコミュニケーション

   1.女性社員を戦力として活用するメリット

     現在、業種を問わず多くの企業が積極的に女性社員の活用に取り組んでお
     り、ビジネスシーンにおいて女性社員が活躍する機会は年々広がっています。

     その背景には、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などの法令によって
     女性社員の働きやすい環境が整備されてきたことに加え、将来的な労働力不
     足に備えて企業が女性社員を積極的に活用していることが挙げられます。

     2016年2月10日に公表された日本生産性本部第7回『コア人材としての女
     社員育成に関する調査』」 によると、女性社員の活躍推進の取り組みが企
     業に与える効果は資料の通りです。

     この調査結果を見ても、女性社員の活用は会社経営に良い結果をもたらすこ
     とがうかがえます。

     女性社員が十分に能力を発揮して活躍するためには、会社としての支援制度
     の充実もさることながら、まずは日常業務の中で女性社員のやる気を高める
     ことが求められます。

     ここでは、女性社員のやる気を引き出すためのコミュニケーションのポイントを
     紹介します。

   2.女性社員のやる気を奪うコミュニケーション

     「女性社員のやる気を高めるコミュニケーション」といっても、具体的にどのよう
     にすればよいのか、特に男性社員は頭を悩ますことが多いでしょう。

     ここではまず逆説的な捉え方として「男性社員の上司が女性社員の部下から
     やる気を奪うコミュニケーション」の例を紹介します。

     それを反面教師として、少なくとも、女性社員からやる気を奪うような行動を慎
     むところから始めてみるとよいでしょう。

     (1)ケース1「取引先で」

       担当者変更のあいさつのため、男性社員の上司が女性社員の部下を連
       れ、取引先を訪問した。

       先方の担当者にあいさつしたところ、「次回からは女性の方が担当なので
       すか」と言われた。

       それを聞いた男性社員の上司は思わず、次のように発言し、それを聞いた
       女性社員の部下は、自分に非があるように感じ、傷付いた。

         「担当者が女性に代わりましたが、大丈夫です」

     (2)ケース2「企画会議の場で」

       男性社員の上司から、次のような言葉を掛けられて、女性社員の部下は女
       性であることを特別視されていることを強く意識してしまった。

         「女性なんだから女性顧客の気持ちは分かるよね。女性向けの新製品
         開発の良い企画を考えてよ」

     (3)ケース3「育児休暇を取ろうとしたら」

       同僚の女性社員が育児休業を取得しようとしたところ、次のようにぼやく上
       司を見て、女性社員の部下は「育児休業を取得してはいけないのではない
       か」と感じた。

         「この忙しい時期に育児休業を取るなんて」

       上記のケースは、いずれも男性社員の上司に特に悪気があったわけでは
       なく、「ちょっとしたはずみ」や「思わず口をついて出た」言動です。

       最近では、女性に対して「差別的な言動を取らないように」と、意識的に心
       がける男性社員が増えています。

       しかし、そうした男性社員であっても、ふとした瞬間に上記のような言動を
       取ってしまうことがあります。

       女性社員の中にはこうした言動に傷付き、やる気を失ってしまう人もいるの
       です。

   3.女性社員とコミュニケーションを取る際の注意点

     ここでは、日ごろのコミュニケーションで女性社員のやる気を奪うことがないよ
     うに、女性社員と接する際に男性社員の上司が押さえておきたい3つのポイン
     トを紹介します。

     (1)「女性であること」をマイナスに捉えない

       「女性であること」はマイナスではないというのは当然のことですが、この点
       は強く再認識しておく必要があります。

       取引先で「担当者が女性に代わりましたが、大丈夫です」と言えば、女性社
       員は自分の存在を否定されたように感じるでしょう。

       実際には、女性であることによって仕事に支障を来すとは考えられません。

       女性社員の部下を持つ上司は「女性であること」を理由にして、女性社員
       の存在を否定するような言動は避けます。

     (2)「女性だから」といって特別扱いしない

       女性の社会進出に伴って、結婚や出産を機に退職するのではなく、「定年
       まで仕事を続けたい」「責任ある仕事を担当したい」と考える女性社員が増
       えてる。

       こうした考えを持つ女性社員に対して男性社員の上司が、「女性だからあ
       まり残業させるのはよくない」などと考えて特別扱いすれば、女性社員は
       「一人前として扱われていない」と感じ、やる気を失ってしまうでしょう。

       この他にも「君は女性なのだから女性顧客の気持ちがよく分かるだろう」な
       どの言い方も決して好ましいとは言えない。

       女性社員は「自分は女性であることにしか価値がないのか」と考えてしまう
       かもしれません。

       確かに女性社員のほうが男性社員に比べて、女性顧客の心理を理解しや
       すいかもしれません。

       しかし、男性が男性の気持ちを必ずしも理解できるとは限らないのと同様、
       女性同士でも分からないことが多いのも事実です。

       「君は女性なのだから」という言い方をされれば、女性社員はプレッシャー
       を感じる可能性があります。

     (3)「性別」ではなく「個人」の能力やキャラクターを重視する

       前述した「女性であること」を否定しない、「女性だから」といって特別扱いし
       ないという2つのポイントからも分かるように、「女性」という「性別」に固執し
       ないことが重要です。

       女性社員は特に「女性だから」と、自身の行動が制限された経験を持つ人
       が少なくありません。

       そのため、「女性だから」というニュアンスの言動に敏感に反応する場合も
       あります。

       女性社員の部下を持つ男性社員の上司は「性別」にこだわらない言動を心
       がけましょう。

   4.女性社員のやる気を高めるコミュニケーション

     先に好ましくない事例として、「女性社員のやる気を奪うコミュニケーション」を
     紹介しました。

     以降では、「女性社員のやる気を高めるコミュニケーション」を図るためにはど
     のような言い方が効果的なのかを紹介します。

     (1)ケース1の場合の言い直し方

       取引先の担当者に「次回からは女性の方が担当なのですか」と言われた
       場合、男性社員の上司は、次のように言ってみてはどうでしょうか。 

         「彼女はわが社でも期待きれている人材なのでご安心ください」

       取引先の担当者に対して「女性かどうかは仕事に関係ないでしょう。
       御社との取引には一切支障はありません」と強い調子で反論するのは問
       題があります。

       そこで、「性別」については触れずにやり過ごし、取引先の担当者に対して
       は「女性社員の資質に問題がないことを自分が保証する」ことを伝えるとよ
       いでしょう。

       また、こうした言葉によって、女性社員に対しては「期待をしている」「信頼を
       寄せている」ということが伝わるはずです。

       しかし、こうした言葉をかけたとしても、女性社員は取引先から言われた言
       葉で傷付き、やる気を失っている恐れがあります。

       そのため、女性社員に対して、取引先との信頼関係を構築するように指導
       するとよいでしょう。

       最初のうちは、取引先の担当者は女性社員が自社の窓口担当者になった
       ことに不安を感じているかもしれません。

       しかし、女性社員が誠実な対応を続けることができれば、やがて取引先の
       担当者と女性社員との間に信頼関係が構築されることでしょう。

       上司は、このことを女性社員に伝えるとともに、女性社員が取引先に対して
       迅速かつ誠実に対応するように指導します。

       その際、取引先の担当者の特徴や効果的と考えられる交渉の方法、何か
       問題があればすぐにサポートすることを伝えるなどして、「上司がバックアッ
       プしてくれている」と女性社員が感じるように指導の方法を工夫するとよい
       でしょう。

     (2)ケース2の場合の言い直し方

       女性社員に対して、「女性なんだから女性顧客の気持ちは分かるよね。女
       性向けの新製品開発の良い企画を考えてよ」と伝えても、女性社員は戸惑
       います。
       こうした場合、次のように伝えましょう。

         「学生時代に化粧品店でアルバイトをしていたんだよね? 
         その経験を生かして、今度の新製品に関して意見してもらえ
         ないかな?」

       女性社員のこれまでの経験や経歴から意見を求めているということを伝え
       れば、女性社員は「自分のことを分かってくれている」「自分を必要としてく
       れている」と実感することができるため、意欲的に仕事に取り組むでしょう。

       また、女性社員の経験や経歴を知っているということは、上司が日ごろから
       関心を持って女性社員に接しているという証しであり、それが女性社員に
       伝わることが重要なポイントです。

       さらに、女性社員に意見を求め、仕事を任せる場合、過去の事例やデータ
       などを目に見える形で提示しながら指導することを心がけましょう。

       これは女性社員に限ったことではありませんが、売り上げや市場の分析結
       果、顧客の声など仕事を理解するための具体的なデータを提示しながら指
       導することで仕事をスムーズに進められるようになります。

       女性社員はこうした指導を受けると、「自分をしっかり育成してくれようとし
       ているのだな」と感じ、意欲的に仕事に取り組むでしょう。

     (3)ケース3の場合の言い直し方

       育児休業の取得を願い出た同僚の女性社員に対し、上司は、次のように
       声をかけるとよいでしょう。

         「君が安心して育児休業を取得できるよう、皆で協力しよう」

       それを横で見ている女性社員は、自分が将来、育児休業や長期の休暇を
       取得しなければならない状況を想定していれば、この上司の答えを聞いて
       安心し、希望を持って会社での長期的なキャリアの形成を検討するかもし
       れません。

       また、こうした言葉とともに、誰もが安心して休暇を取得することができるサ
       ポート体制を構築することが大切です。

       日ごろから社員同士の意思疎通が図れており、欠員をサポートする体制が
       整っている職場であれば、育児休業に限らず病気や急用などの理由で休
       む社員がいる場合も、いつもと同じように仕事を進めることができます。

     (4)社員一人ひとりを尊重したコミュニケーションがやる気を高める

       ちょっとした言葉の使い方で、女性社員のやる気を高めることはできます。

       そして、意欲的に能力を発揮する女性社員を戦力として活用することで、企
       業はさまざまなメリットを享受することができるはずです。

       紹介してきた女性社員のやる気を高めるコミュニケーションの根本にある
       考え方は、女性社員に対してだけに限ったものではありません。

       職場においては「男性」「女性」という性別を問わず、一人ひとりの能力や性
       格などを尊重したコミュニケーションを図ることが最も重要です。

       社員一人ひとりを尊重したコミュニケーションは、女性社員のみならず、す
       べての社員にとって働きやすく、やる気の高まる職場環境の実現に結びつ
       くことになります。

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