男性社員と女性社員の違い


  これまで、社員に対するモチベーション・マネジメントを、「若手(新入社員)・中堅・
  ベテラン」といった年代や「部下・上司」といった役職によって区分し、説明してきま
  したが、実はこれら以外にもう一つ重要な視点があります。

  それは性別、つまり男性社員と女性社員という二つの区分によるアプローチです。

  その昔、「会社、あるいは社会というものは男性によって作られ、男性によって維持
  ・発展をし続けるものだ」などという考えが、半ば社会常識ととらえられている時代が
  ありました。

  花形の営業職や高い専門性を誇るエンジニア職は男性社員が占め、事務職やその他
  のバックオフィス的な業務は女性に任せるという体制が社内で常態化し、待遇・昇進
  ・給与・福利厚生など多くの面で男女差を設けているという会社が、十数年前には
  当たり前のように存在していたのです。

  しかし、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法などといった女性の労働環境を支援
  する法整備が進むに従い社会や企業の意識も変わり、女性が働きやすい環境が
  徐々に整備されつつあります。

  これまでのような男女差別をなくし、女性を会社に貢献する一人の社会人として見る
  という動きは、個人の意識変革の枠を超え社会全体として大きな高まりを見せてい
  ます。

  ■「男女平等」から「女性力の活用」へ

   現在では、「男尊女卑」から「男女平等」「男女同権」という意識の変化は、着実に
   大きな実を結びつつあります。

   この変化を第一次変革とするならば、今後はさらにそれを発展させ、「女性の力を
   最大限に活かせるような環境整備を定着させる」という第二次変革が、企業や社
   会に求められてくると考えられます。

   特に、女性ならではの視点や考え方を取り入れた事業や、男女差のない労働環境
   作りに積極的に取り組んできた企業が大きな成長を遂げているという実態を考え
   れば、企業の成長にとって、第二次変革こそが必要最低限の要素だと言えるかも
   しれません。

   とはいえ、このように女性の社会進出が著しく、業務遂行力や柔軟性などに富んだ
   女性社員が、男性社員を凌駕する活躍を見せている現代社会にあってさえ、今なお
   旧態依然の体制を維持している企業が実は少なくないのです。

   しかし、世界的な不景気を見せる現代を乗り越えていくためには、男女の区別なく、
   社員が一丸となって努力していくことが必要不可欠。

   今や、「社会は男性のもの」「女性は結婚までの腰かけに就職する」「お茶くみ、コピー
   は女性の仕事」などという意識を持った企業は、女性社員はもちろん、男性社員
   からも見放される時代であるということを経営者はよく理解する必要があります。

  □仕事に対する意識の違い

   では、具体的に男性社員と女性社員では、仕事に対するモチベーションはどのように
   違っているのでしょうか?

   性差を問わず、仕事に対する取り組み方や考え方は人それぞれであるため、一概に
   断言することはできませんが、一般的に男性社員の場合は、仕事は生活を豊かに
   する、あるいは生きていくために必要な手段であり、金銭的な報酬の対価として労働
   を提供するものとしてとらえる傾向にあります。

   一方女性社員はというと、仕事が生活を維持するために必要な手段という認識を
   持ったうえで、仕事を「自己実現の場」「なりたい自分になるためのプロセス」「社会に
   貢献するための手段」ととらえる傾向にあります。

   そのため、男性社員に比べ、仕事に「やりがい」「生きがい」「楽しさ」などを求める
   人が多く、仕事を金銭・待遇・昇進という目で見ている男性社員とは異なる見方をして
   いると言えます。

   当然、働く原動力や転退職を決意するきっかけなども大きく異なるため、モチベー
     ション・マネジメントを行う際には、男性とは違ったアプローチ、すなわち、金銭や待遇
   だけではなく、心や感情に訴えかけるようなアプローチをする必要があるでしょう。

   また、男性社員はキャリアパスを夢や願望を加味したうえで、長期的な視野で考える
   のに対し、女性社員は仕事やキャリアを身近なものとして、より現実的な視点で見て
   います。

   そのため、男性社員が黙って耐えている理不尽な仕事や上司の要求に対しても、女性
   社員は大きな不満を感じ、モチベーションを大きく下げる傾向にあるのです。

   それは決して女性がわがままであるとか、辛抱強くないといったことを表している
   のではなく、目の前にある事象を、あるがままに受け取った結果なのです。

   そして彼女たちは、仕事や上司、会社への不満や文句を他者と共有することで、
   下がったモチベーションを向上させたり、モチベーションを維持したりしています。

   漫画などでよく見られる「(女性社員の)給湯室での噂話」は、一種のストレス・マ
   ネジメントと言えます。

   それを見た上司が、「女性はすぐに文句を言うから困る」などとひとくくりにして、問
   題の本質に真面目に向き合わないと、問題が大きくなるまで気づかないのです。

   一人の女性社員のストレスによって、社内全体のモチベーションが著しく下がったり、
   チームワークが大きく乱されるということも珍しくありません。

   そして、いったんそうなってしまった場合、リカバリーは困難を極めます。

   それを防ぐためにも、女性社員のモチベーションが下がっていると感じた時は、上 司は
   「なぜ、その女性がストレスを感じてしまったのか?」を真剣に考えるように心がけ
   ましょう。

   同時に、「これまでの仕事や指導のやり方に対して、同じく不満やストレスを感じて
   いた男性社員もいたのではないか?」と多面的に考えることで、全社的なモチ
   ベーションアップにもつながっていきます。

   女性社員のケアと同時に、男性社員への対応も再確認することも、モチベーション・
   マネジメントには欠かせない要素と言えるでしょう。

  □働く女性のためのダイバーシティという取り組み

   グローバルな事業を展開する大手企業や金融機関が注目している「ダイバーシティ
   ・マネジメント(Diversity Management)」という言葉(以下、ダイバーシティ)
   は、英語の「Diversity &Inclusion」を省略したものであり、日本語では主に
   「多様性」と訳されます(厳密には「多様性の受容」)。

   これは、組織内に存在するさまざまな個の違い、すなわち国籍・人種・文化・思考・
   制度・年齢・意識・常識・価値観といったあらゆる違い(=多様性)を受け入れ、組織が
   内包する「個」を企業の競争優位性の源泉として最大限に活用することで、組織の
   体制や意識を大きく変革するという経営戦略のことです。

   身近なところで言うと、1986年に施行された雇用機会均等法などが挙げられます。

   このダイバーシティという考え方は、広義的には「女性・外国人・マイノリティ(少数
   民族など)・高齢者・障害者などを広く受け入れ、それらの人材をあるがままに活用
   すること」を意味していますが、現代の日本企業の多くは、その中でも特に「女性力
   の活用」に着目した取り組みを進めています。

   日産自動車は2004年10月、女性社員の活用を目的とした「ダイバーシティデベ
   ロップメントオフィス」を設置しました。

   また資生堂は、「ジェンダー・フリー委員会」を設置し、男女を問わず社員が個性を
   発揮できるような企業作りに取り組んでいます。

   その他、女性社員の登用を推進するため、人事部門において「ジェンダー・ダイバー
   シティ・プロジェクト」を発足したソニーや、ダイバーシティへの貢献度を評価項目に
   盛り込み、その結果を毎年社員の評価に反映させているP&Gなど、女性のための
   商品を提供している企業やグローバルに事業を展開している企業などを中心に、その
   動きは大きな広がりを見せています。

   トップのイニシアチブの下、これらの取り組みを積極的に導入し、上手に活用でき
   れば、女性社員はもちろん、男性社員のモチベーションアップにつながる可能性が
   あります。

   いきなり外国人採用をすることは難しいかもしれないので、まずは「女性が自身の能力
   を活かせる環境を作る」といった身近なところから始めてはどうでしょうか。

    ◎ダイバーシティにおける主な経営的リターンと課題

  □女性の力を活かせる企業が生き残る

   近年、労働力として女性を活用するにあたり、出産・育児などにおける各種支援制度
   やスムーズな休職・復職ができるような制度の確立および導入に各企業が力を
   入れています。

   求人時に、女性のための制度の拡充や福利厚生の充実などを前面に押し出している
   企業も多く見られ、企業や社会の意識に大きな変化が目に見えて表れるようになり
   ました。

   しかし現実問題として、制度は用意されているものの、その運用に問題があり、いざ
   制度を活用しようとしても、周りの社員や上司にイヤミや愚痴を言われて思うように
   活用できなかったという事例も多数見られます。

   出産や育児のタイミングによっては、やむを得ず異動や配置替えなどをせざるを
   得ないという企業の苦心もわかりますが、それらの多くは、男女雇用機会均等法違反
   になる他、女性社員の大幅なモチベーションダウンにつながる可能性もあります。

   今後経営者が、自社の事業を維持・発展させ、成熟した企業として成長したいと願う
   ならば、女性力は必要不可欠。女性の視点を上手に活かした企業が、これからの時代
   を生き残っていくことは想像に難くありません。

   その点を十分考慮に入れ、女性のためのモチベーション・マネジメントに取り組んで
   みてください。

   近い将来、その取り組みが大きく実を結ぶ可能性は大です。

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