交通事故による損害賠償のリスク
 

  ■損害賠償金はどのように計算されるものか

   交通事故などで被害者が損害を被ったときは、加害者はその損害を賠償しなくては
   なりません。

   その損害賠償金は、どのように計算されるのでしょうか?

   訴訟となった場合の基本的な計算は次の通りです。
   ①直接的な損害(治療費・葬儀費など)+②間接的な損失(休業損害・逸失利益など)
    +③慰謝料+④その他

   中でも、特に金額が大きくなる②の逸失利益の計算は、被害者の死亡の場合、
   次の通りです。

   基礎収入×(1−本人生活費控除率)×稼働可能年数(67歳まで)における中間
   利息控除(ライプニッツ係数)

   つまり、67歳まで仕事をしていた場合に得たであろう累積した収入をベースに、そこ
   から生きていた場合の「本人の生活費分(一家の支柱で30%〜40%)」と(将来に
   わたって累積する金額を一時金で得るので)「逆の利息分」を差し引いた金額が、遺族
   が失った利益ということになります。

   退職金制度がある会社に勤めていたならば、これに定年まで勤めた場合に得たで
   あろう退職金の額に中間利息控除を掛け、そこから死亡退職金を差し引いた金額が
   加わります。

   ③の慰謝料は、本人の年齢・家族内での立場によって決定されます。

   一家の支柱で2400〜3000万円です。

   <計算例>
    40歳、子供2人、直前の年収750万円、死亡退職金320万円(定年時退職金
    1500万円)
    稼働可能年数67歳までの27年間(年齢別ライプニッツ係数14.643)
    定年まで20年間(年別ライプニッツ係数0.377)

    ①葬儀費150万円
    ②逸失利益750万円×(100%−35%)×14.643=7138万4625円
     (退職金)1500万円×0.377−320万円=245万5000円
    ③慰謝料3000万円計 1億533万9625円
      *賃金表による定期昇給制度がある会社に勤めていた場合で、死亡時よりも
        年収が上昇していたであろうことが認められると、逸失利益の金額も上昇します。


  □労災保険だけでは済まなくなる傾向
   死亡ではなく、後遺障害の場合の逸失利益の計算では、(生きているので)「本人の
   生活費分」を控除せず、「労働能力喪失率」を掛けます。

   ただし、障害等級1級〜3級の喪失率は「×100%」で、もう働けないものとして計算
   されます。

   最近の裁判例では、そのような逸失利益の積算に加え、被害者に重い障害が残っ
   た場合に、直接的な損害として「将来の介護費用(職業介護人費用等)」、「住宅改築
   費用」や本人を介護するために「充分に働けなくなった家族の逸失利益」も認められる
   ようになりました。

   そのため、損害賠償金が2億円を超す判例は、もう、めずらしいものではありません。

   社内においても、過労死・過労自殺・過労後遺障害や仕事・セクハラ・パワハラなどに
   よるメンタルヘルス不調を含め、発生した業務上災害の原因に、安全配慮義務違反や
   使用者責任などがあったとされると、会社(使用者)に損害賠償義務が生じます。

   その場合の考え方や高額化傾向は、これまで述べた損害賠償のリスクと全く同じです。

   業務上災害は、通常労災保険で補償されています。

   労働者保護を目的とし、原則として過失相殺が適用されないなど、本人には有利な
   補償となることが多いものです。

   しかし、その補償内容に「慰謝料」や「見舞金」は入っていません。

   労災保険から「既に得た」療養補償給付(直接的な損害に相当)と休業補償給付(間接
   的な損失の一部に相当)については、「損害賠償金に充当すべき」との判例はあり
   ます。

   しかし、そのような調整は、「将来に向けた」金額の大きな(逸失利益に相当するよう
   な)障害補償年金や遺族補償年金の全部には、認められていません。

   自動車に乗るときに自賠責保険だけでは安心できないように、「人を雇う」ことについ
   ても、労災保険だけでは充分なリスクヘッジができなくなっていく傾向にあり、民間の
   上乗せ労災保険や使用者賠償責任保険の必要性が高まっていると言えます。

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