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価格設定の考え方 |
■「価格」を設定できる範囲 商品の価格設定と販売量は、基本的には「価格を下げると販売量が上がり、逆に 価格設定においては顧客を同一の集団として扱うのではなく、顧客をセグメントし 価格は一般には、その商品・サービスの価値を表わすもので、消費者にとっては すなわち、消費者は価格が妥当かどうかを、商品の必要度や値頃感によってそ したがって、消費者がその商品に感じる価値が価格より低い場合は、その商品は しかしながら、売るために、商品にかかるコストや自社の利益を無視した価格設 これらを考慮すると、価格設定の基本は実務的には、総原価から判断して、販売 また、自社が設定する価格は競合企業の価格政策に影響を与えることも忘れて 低価格化競争は、しばしば無用な乱売競争を招き、結局は競合企業とお互いの これらのことを考えると、価格政策が企業にとっていかに重要な経営課題である そのため価格設定は、商品の特性や営業・販売構造などを総合的に判断して、 現在、自社がどのような価格設定の方法をとっているのか、それが適切かどうか 価格は、前述の設定可能範囲のなかで景気に伴う需給動向、蒙合状況などさま 通常は原価・需要・競合状況の3つの要素を踏まえたうえで価格が決められてい 企業サイドに立った考え方で、価格がいくらであれば原価を回収して適切な利 このような視点から価格を設定する場合には、次の方法が考えられます。 (1)コストプラス価格設定方式 製造原価(または仕入原価)に利益を加えて価格を決定する方法です。 この方法では、売り手となる企業側にコストダウンが意識されにくいという したがって、この方法は需要に対して供給が不足する「売り手市場」の場合 マークアップ価格設定方式は、理論的にはコストプラス価格設定方式と同 投入した原価に一定の利益(値入れ額)を加えて販売価格を決める方法 販売価格=仕入れ原価十底入れ額 この利益は「値入れ(マークアップ)額」とよばれ、一般には次の要素をカ ・店舗もしくは部門経費(商品の管理費用や直接販売費など) ・商品の販売に先立って予想される破損・盗難・値下げなどの損失 ・営業利益 たとえば、ある小売店が仕入れ原価60万円(総額)の商品を販売するとき コストプラス価格設定方式やマークアップ価格設定方式のような価格設定 しかし、需要サイドを考慮していないため、設定した価格では市場に受け入 消費者サイドに立った考え方で、「いくらなら商品を購入してもらえるか」という このような視点から価格を設定する場合には、次の方法が考えられます。 (1)知覚価値価格設定方式 商品の価値をユーザーがいくらでとらえるか、という知覚価値をなんらかの つまり、最初に「売れる価格」を認識し、それに原価を合わせていく方法です。 たとえば、新製品として有機栽培野菜ジュースを開発し、消費者アンケート 需要に差がある市場セグメント(区分)ごとに価格を設定する方法です。 時間帯(早朝・深夜など)、顧客(女性)、期間(盆・正月などの繁忙期)など 商品が差別化されておらず、市場内にある程度の競争相手が存在する場合 つまり、競合商品の市場価格を考慮して価格を決定する方法です。 したがって、決定した価格に適合するように原価を調整する必要があります。 低価格により薄利多売を行い需要の拡大を図るか、あるいは競合企業の しかし、こうした戦略はしばしば価格競争を招き、売り手同士がダメージを 一般に、中小企業は仕入れチャネルや販売力にも限界があるため、こうし 販売価格を市場価格と同一または高く設定する戦略は、自社の商品が品 商品には、一般的に導入期・成長期・成熟期・衰退期という4つのライフサイクル なぜならば、各段階によって競争形態が異なり、また消費者の購入態度も変化し 商品のライフサイクルにおいて、とくに問題となるのが導入期における赤字と、成 導入期の価格政策は、商品のイメージを確立し、その後の普及を左右する意 導入期の価格設定の方法として代表的なものは、次の2つです。 これらの設定方法の効果やリスクを十分検討したうえで、適切な価格設定を 導入時から低価格を訴求し、販売数量と市場占有率を短期間で上昇させ この手法は、販売数量が増加するにつれて商品1単位当たりのコストが下 そのため量産しやすい日用品や食品業界に多くみられる手法です。 成功すれば早い時期に市場でのシェアを獲得でき、また、利幅が低いため しかし、販売数量が増加しても期待どおりに原価が下がらず、なかなか利 いわゆる高級品志向を狙う価格設定方法です。 (1)とは逆に、導入期に高価格を設定し、収益性を重視し早期の資金回収 巨額の投資が必要な産業(半導体製造など)に多くみられます。 高級自動車などのように、量産せず、低価格にせず、高級イメージを維持 また、高価格により投下資本を早期に回収し販売数量が増加すれば、競 ただし、ターゲットとなる顧客層が限られるため市場への浸透力が弱く、資 商品が成長期に入ると、通常、価格は横ばいか低下の傾向をたどります。 それは、市場の成長により競合が激化してくるとともに、生産・販売数量の増 したがって、企業として成長を維持していくためには、原価プラス利益方式を また、成長期の後半には拡販による利益の追求よりも、製造・販売原価の低 商品が成熟期を迎えると、コストの低減が限界に達して企業間のコスト差は小 また、市場成長率が鈍化し企業間で少ないパイを奪い合うこととなるため、脱 商品の差別化も困難となってくるため、どうしても価格中心の競争が激化して その際の価格設定の考え方は需要を考慮した設定方法となります。 しかし、この時期の競争は生き残った優良企業同士の競争となるため、単純 安易な安売り政策では、すぐに限界に達してしまいます。 そのため、流通合理化やほかの製品との組み合わせ販売など、非価格政策 商品が衰退期に入ると、販売数量は著しく減少します。 さらに新製品の出現、消費者の噂好の変化によって市場シェアは急激に低下 ただし、この傾向が自社だけの傾向なのか、それとも市場全体の傾向なのか すなわち、もし市場全体が衰退期にあるのであれば原則として市場から撤退 また、市場全体が衰退期にあったとしても、多くの企業が撤退した場合、自社 したがって、この時期は新商品開発を本格化すると同時に、原価を考慮した価 また、採算割れしない程度の価格を維持して在庫を処分し、近い将来の撤退 これまで、価格設定方法の基本的な考え方についてみてきました。 ここでは、さまざまな業界で実践されている主要な価格設定方法をいくつか紹介 企業経営においては、ある部門が赤字でもほかの部門がその赤字をカバーし したがって、ある商品に割り当てられる固定費を小さくしたり大きくしたりして、 たとえば、製造業の場合、戦略商品には材料費・仕入原価などの直接費に労 また、同一製品で販売地域ごとに固定費負担に差をつける、という方法もあり たとえば、東京や大阪など一般に競合が厳しい地域での販売価格は直接費 このような方法を、段階的固定費回収法による攻撃価格政策といい、必要に 前節の考え方を流通業界に取り入れた価格政策です。 特定の商品を目玉商品として極端に価格を安く設定し、それを広告宣伝して 目玉商品は仕入原価で販売し、ほかの商品には仕入原価に必要費用や利益 この政策を成功させるためには、目玉商品が次のようなものであることが求め ・一般消費者に広く普及している有名ブランド商品 ・所得層に関係なく誰でも購入できる商品 ・メーカー間の競争が激しい商品 心理的価格政策とは、消費者がある商品に対してもつ独特な購買心理に適し 具体的には次のようなものがあります。 たとえば、2000円の代わりに1980円としたり、5万円の代わりに4万 端数価格を付けることによって、「価格は最低水準にまで下げられている」 消費者が慣習的に認める価格があります。 たとえば缶ジュースなどはどこの小売店でもほとんど変わらない価格で売 このような慣習価格が存在する場合には、これより安くしても売り上げはそ 消費者が価格によって品質を評価する傾向が強く、しかも、比較的高級な たとえば、女性用の化粧品などがこれに該当します。 ここでは価格を設定する際の基本的な視点と手順をまとめています。 まず、その価格を設定することで自社をどのようにしたいのか「目的」を明らかに これによってとるべき設定方法が区分されます。 たとえば、商品を製造・販売するのにかかったコストを確実に回収することを目的 最終的には、原価・需要・競合状況という3つの要因だけでなく、販売方法などさ
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