あなたの会社には人事考課制度(規程)がありますか

その規程は機能していますか?


  考課とは、業務の指示命令を出したときに的確に果たせなかった場合、その部下に不足
  する経験と知識を発見することです。

  企業にとって人事制度を導入する目的は何でしょうか? 

  言うまでもなく、最終的には、より高い業績を上げるためにあります。

  そのためには、会社は人事制度を導入することにより、継続的に社員のモチベーション
  を上げ続けなければなりません。
  
 ■成果主義制度

  成果主義制度は目標管理をベースに運用されます。

  成果主義の場合、社員の意識が「競争的」「守備的」「短期的」になりやすく、大企業にお
  いては競争意識、期間目標の必達意識が高い傾向にあり、効果的です。

  しかし、中小企業においては経営資源も少なく、成果達成度で評価を決める成果主義の
  場面では高い評価ができない、ということが起こり得ます。

  従って、現在主流となっている成果主義の評価は中小企業にとって最適な人事評価制度
  ではない、という見方もあります。
 
  ■マニュアルと人事評価

   人事評価 : いかに社員が働きやすい環境をつくるか

   業務成績が芳しくない場合では賞与の額が平均より下がる場合でも、

    ・なぜ賞与額が下がるのか

    ・平均とのギャップがどのくらいあるのか

   多くの会社では、   

    ・「○○を使用できる」という項目に対し、○×で評価する

    ・「行動が取れるか取れないか」を評価の判断基準としている

   評価システムの項目は、会社が望むことを「行動基準」で伝えることにもなります。

  □評価と連動した教育システム

   ・評価者と教育担当者が同一であること

   マニュアル活用の流れ 

     (1)業務の説明 → 目的の理解:重要性の説明

     (2)やってみせる → 模範を示す:手順、ポイントを説明しながら

     (3)やらせてみせる → 実践させる:できるまで反復練習

     (4)評価する → できばえを褒める:できない点を指摘する

   ●業務シート(稟議書)の工夫

    ・稟議書に稟議内容を審議するための材料を記載する欄を設ける


   ●就業規則(会社のルールブック)とマニュアル
    ・就業規則は業務マニュアルを作成する上での基準となる


  コミュニケーション 

   ●組織

    ・共通の目的に向かう社員が、機能別に目的達成のために動く

   ●コミュニケーション

    ・組織を混乱させず、意思の統一を図るために必要なコミュニケーション

   ○コミュニケーションの仕組みを設定

    ・命令系統を一元化

    ・専門的業務を集中

    ・業務ごとに分権化

    ・権限の行使を行うものに責任が課せられる

    ・組織は階層によって機能が異なる

         
   報連相 

    報告 → 任務を与えられたものが、その経過や結果などを述べること

    連絡 → 気持ちや考えなどを知らせること

    相談 → 問題解決の他に話し合ったり、他人の意見を聞いたりすること


   ●見えない組織から目に見える組織に(経営・業務の見える化)

    ・業績をグラフ化する

    ・社是・社訓を文面化し、見えるところに掲げる

    ・組織図がある

    ・就業規則がいつでもどこでも見れるところにある

    ・マニュアル(チェックシート・業務の手順書)の充実


   ●仕事の意味づけ

    日常業務をこなすことばかり集中しすぎると、業務本来の意味がわからなくなって
    しまいます。

    すると、「完成図」がわからなくなり、「自分は何のために働いているのだろう?」と考
    えるようになり、モチベーションの低下につながる。

   ●社員自身が自分のやっている仕事に意味を見出す

    ・自身の仕事の価値に気づきを与えられる環境づくり

    「ただこなしているだけ」「上からの指示だからこなす」 → やらされ感

                環境づくり

            自ら考える組織(チーム)


   ●会社の進むべき方向

    ・「利益追求が手段ではなく、目的となる」から方向感を失う

    ・企業はゴーイングコンサーン


   ●自分の仕事をマニュアル化

    ・仕事が多く、優先順位がわからない

    ・予定を立てて仕事をしているが、割り込み仕事が多い

    ・書類の紛失

    ・PC内の整理ができていない

    ・仕事を整理し、ルーティンワーク(毎日行う業務)とそれ以外の業務とに区分けを行う

    ・毎日行う業務:自動的に、決めた時間でこなすことを体感させる


   ルーティンワークの自動化

    ルーティンワークの洗い出し → 行動する時間の設定 → 同じ時間に行動する →
    意識しなくなるまで行動を継続する → 習慣化し、自動化する


   ●期限の管理

    ・To Do リストの活用:実行したか、していないかを管理


   業務の改革・改善は自社(店)のノウハウとなり、商品となることを理解して
   ください。  
    
 ■中小企業にとって最適な人事評価制度(人事評価シート

  最近の主流となっている人事評価制度は、「仕事のでき」「業務遂行能力」を評価しよ
  うとする傾向にありますが、中小企業に必要な評価対象項目は、「仕事の仕方」「仕事に
  向かう姿勢・意識」
であるほうが適切なのです。

  経営課題を達成するために必要な社員のモチベーションを高める評価制度でなくてはな
  りません。

  企業が存続するためには良いときだけではなく、今のような厳しい時代でも、モチベーシ
  ョンを維持し、活気をなくさない職場風土を作らなければならないのです。

  社員のモチベーションを高めるための人事制度のあり方は、当然、時代の変化に合わせ
  て考え方や手法を変えていかなければなりません。

  時代や世の中が変われば働く人のモチベーションの源も変わってくるからです。

  今、多くの企業では賃金制度の見直し迫られています。

  これまでの年功型の賃金制度のもとでは、業績回復のために不可欠となっている従業員
  の活性化が望めないばかりか、従業員の高齢化による人件費コストの増大が重くのしか
  かっているからです。

  高い料金を払って複雑な人事評価制度を導入しても、その制度が企業規模や企業風土に
  合ったものでなければお金をドブに捨てるだけです。

  大事な利益から捻出してつくる人事評価制度導入に「数百万円かかったけど結局続かな
  かった」・・・ では済まされないのです。

  中小規模企業の人事評価制度は、「社長の思いを形
  にする」ことから始まります。

  経営者、管理職、社員が具体的に、人事評価制度の内容を理解でき、納得して、実行できる
  「わかりやすい人事制度」でなくてはなりません。 

  例えば、従業員20〜70名以下の中小企業の賃金評価制度は、その社員の現在の評価
  今まで蓄積された評価を抑えておけばよいのです。

  そして、その評価制度について誰に聞かれても、説得できる理由を持っていればよいのです。

  中小零細企業が大企業の型をそのまま取り入れれば失敗するか、
  あるいはその場凌ぎに決定されてしまい、結果的に機能しない評価制度になってしまっている
  状況はなかなか改善されません。

  人事考課制度の成否は「成果と目標」を正しく設定、プロセスを
  検証、的確に修正プロセスを検証・修正
することです。

  人事考課は個々の従業員の勤務態度・職務能力・勤務実績を
  直接に経営者が査定する制度です。

  考課を行う際は、合理的に制定された一定の考課項目・スキームを予め定めておく必要
  があります。

  従業員は誰でも、自身の働き・成果・能力に対し公正に評価されたいと思っている訳です
  が、そうではなく経営者の好き嫌いや、性格の一致・不一致などで 評価されたのでは、
  従業員の能力開発はおろか、定着率は低迷し、専門性のある優秀なスタッフをかかえた
  プロフェショナルな体制を築くのは困難となります。

  そのような人事考課における経営者の主観をなくすために、公平かつ客観的で、従業員
  にオープンにできるような人事考課制度を持つことは、経営を安定化していく上で必要
  です。 
   
  ■人事考課の目的

   (1)従業員の指導・育成の指針とする。

     従業員に必要としている職務や課題と本人の能力や実績を比較・分析し、指導・
     教育、または自己啓発のための指針とする。

   (2)公正・公平な昇給・昇格の査定を行う。

     従業員の能力や実績を一貫した方法で評価し、公正で公平な昇給・昇格に結びつ
         け、処遇に対する納得感を持たせる。

   (3)安心して働けるルール作り

     就業規則もそうですが、給与体系や人事考課制度作成し、従業員にオープンにす
     ることにより安心感や公平感、納得感が得られ、従業員の定着化が図れます。

   人事考課の目的は単に昇給・昇格を決めるだけでなく、従業員の能力開発と育成を
   基本として、処遇に納得感がありやる気のある生き生きとした組織作りと、安心して
   働ける、即ち従業員の定着化を目指す制度であり、その観点に立った運用が求め
   られます。


  □人事考課を行う際のポイント

   (1)考課の評定基準や評価方法を客観的・明確に定めておく。

   (2)経営者以外に管理職がいる場合、第一次考課者をその管理職とし、経営者自身
     は第二次考課者になるなど、 複数名で考課する体制にする。

   (3)考課に当たり、生じやすい心理的偏向をできるだけ是正するよう努める。
     公正にしようとしても考課者が自然におかしてしまう心理的偏向には、

     主に次のようなものがあります。

      ①中央化傾向

       評価が平均並みになり、優劣の差が生じない傾向(考課結果が中央に集中)。
       考課者に自信がない場合、考課基準が不明確な場合などに生じます。

      ②寛大化傾向

       特定の特性について、評価が実際以上に甘くなってしまう傾向。(考課結果が
       上位に集中)

       考課者の観察不足、部下に対し必要以上に人情が働いている場合に発生し
       ます。

      ③ハロー考課

       部下の評価要素の中に、一部特に優れたものや劣悪なものがあると、他の要
       素も良く思えたり、悪く思えたりするという傾向。

       部下についての印象ができあがってしまっている場合に生じます。
   
  □人事考課の進め方

   1.人事考課のステップ

    人事考課には次の2つの要素があります。

    (1)単年度評価

      考課対象期間である1年間の、能力の発揮度及び成果について評価しますので、
      毎年必ず行われることになります。

    (2)等級評定

      上記の単年度評価の結果など、一定条件を満たした者に対し、職務遂行能力に
      基づき等級評定を行います。

    単年度評価が1年間の能力の発揮度の評価であるのに対し、等級評定は入社以来蓄積
    された能力の保有度を評価するものです。

    等級が上がれば昇格、下がれば降格であり、それに連動して給与の職能給が上下する
    ことになります。

   2.単年度評価の仕方(評価給対応部分)

    (1)評価の大項目

      営業職・事務職どちらも基本的には職務能力と取組姿勢と成果の3つの大項目
      を評価項目としていますが、それぞれの求められる役割から、ウェイト配分し
      ます。

      3つの大項目の合計を100として各自でウェイト配分します。

       営業職、事務職の3つの大項目:職務能力、取組姿勢、成果


    (2)評価の小項目

      上記3つの大項目について正しく評価できるように、以下のように小項目を設け
      ます。

       <職務能力>

        営業職:職務知識、判断力、業務遂行力、指導力

        事務職:職務知識、判断力、対人対応力、指導力


       <取組姿勢>

        営業職:計画性、責任感、チャレンシ゛意欲、協調性

        事務職:マナー、責任感、チャレンシ゛意欲、協調性


       <成果>

        営業職:短期的成果、長期的成果

        事務職:正確性、効率性


    (3)評価の仕方

      職能等級表に基づき、小項目評価→大項目評価→評価ランク決定の手順とな
      ります。

     ☆小項目評価

       a〜eまでの5段階評価をします。

        a:特に優れている

        b:優れている

        c:普通

        d:努力を要する

        e:特に努力を要する

     ☆大項目評価

      小項目の評価を勘案して、大項目の評価を決めますが、小項目の評価結果と
      大項目評価の間には、点数化するなどのルールは特に設けず、経営者の考え
      で柔軟に対応します。

     ☆評価ランク決定

      「評価」欄を用い、大項目の評点を加算して合計点を出し、評価ランクを決定し
      ます。

      これは大項目の合計点により、次のように区分しています。

       A:91〜100 特に優れている

       B:81〜90 優れている

       C:71〜80 普通

       D:61〜70 努力を要する

       E:50〜60 特に努力を要する

      この評価ランクにより、給与テーブルの評価給が決まります。

  □等級評定の仕方(職能給対応部分)

     (1)実施条件

     等級評定は毎年行うものではなく、次の条件を満たす場合に実施します。

     (a)上位等級への等級評定(昇格)の場合

       ・等級評定実施時の単年度評価における評価ランクがAである。

       ・等級別の最短在留年数*を満たしている。

        ※「最短在留年数」とは、ある程度の期間一定の等級に在留させ、教育訓練、
         自己啓発により、各人の職務能力をじっくり養ってもらう事が望ましいこと
         から、一定期間は上位等級に昇格できないルールです。

          最短在留年数    等級

             2年       1等級

             3年       2等級

             4年       3等級

             4年       4等級
        
             4年       5等級

             4年       6等級


     (b)下位等級への等級評定(降格)の場合

       ・等級評定実施時の単年度評価における評価ランクがEである。


   (2)評価の仕方

     職能等級表および下記の職能等級概要記述に基づき、どの等級に格付けするの
     が適当かを判断します。

      1等級:自らの業務について、上司の指示を仰ぎながらも、ほぼ自立して行うこ
           とができる。

      2等級:自らの業務について、ほぼ自立して行うことができる。

      3等級:自らの業務は自立して対応し、下位者の指導も行うことができる。

      4等級:自らの業務は申し分なく対応し、下位者の指導・管理も行える。

      5等級:組織全体に目が行き届き、下位者に対し適切な指導・管理ができる。

      6等級:経営者的な視点から、問題点の把握・分析、対応策を立案し、実行する
           ことができる。


    等級評定における評価区分は次の通りです。

     優:上位等級の業務に十分対応できる (上位等級へ昇格)

     良:上位等級の業務に対応できる ( 〃 )

     可:現等級維持が相応しい (現等級のまま)

    不可:現等級の業務に対応できていない (下位等級へ降格)

   従って、上位等級へ昇格する場合の評価は、優・良のいずれかに、下位等級へ降格の場
   合には、不可が評価結果となります。


   (3)単年度評価ランクの調整

      等級変更があった場合には、単年度評価のランクについて、次の通り調整します。

     これは、給与の大幅な上下を防ぐために評価給で調整をするのと、同じ昇格でも
     優と良の評価で差を設ける意味があります。

      等級評定    単年度評価ランク

       優       上位等級のC

       良       上位等級のD

      不可       下位等級のA

  
  □職能等級と自己申告

   職能等級は職務遂行能力の程度によっていくつかの等級を設け、従業員を該当等級に格
   付けするものです。

   この等級は、職務能力の困難度や責任度などをベースに職能等級を設定し、各等級区分
   に該当する職務遂行能力の種類や程度を明確にした基準を設け、この基準にもとづいて
   人事考課を行う制度です。

   等級のアップが「昇格」ということになります。

   人事考課の限界として一般に言われているのは、あくまでも他人評価であるということ
   です。

   誰しも主観的な傾向から完全には脱し切れるものではなく、勤務成績や業績のような顕
   在的なものでしか見ることができません。

   そこで人事考課に加えて、従業員自身による自己申告制度などの自己評価の要素も入れ
   て調整を図るのが一般的です。

   その際、本人の潜在的能力および顕在的能力の把握を多角的に行い、総合的に勘案し
   て決めるのが望ましいと言えます。

   自己申告の具体的な内容としては、担当職務(職務の遂行状況、目標及び達成状況、
   新たな職務希望等)、自己の能力開発(能力の活用状況、今後伸ばしたい能力等)、
   その他(職場に対する要望、健康状態・家族の状況等)などです。
       

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