中途採用者への実践的育成

          

中途採用者への実践的育成


  ■中途採用者の教育・研修・フォロー

   中途採用の場合、どうしても即戦力としての能力が求められているというプレッシャー
   が採用者にかかってしまいがちです。

   また受け入れる側の職場でも、どんな人が入ってきたのかと、採用者の一挙一動を
   注目するものです。

   なかには「自分より実力がある人が来ては困る」とばかりに、仕事をすぐに回さずに、
   「しばらくは様子をみてやろう」とまでする人もいるようです。

   こうしたケースは、中途採用の受け入れに慣れていない会社に多く起こるものです。

   上司としても、中途採用者の受け入れに慣れていない場合は、どのよう教育や研修・
   フォローしたらよいのかわからず、ともすればほったらかしにしてしまい、採用者の
   仕事がうまくまわらないまま時間だけ過ぎてしまうということにもなりかねません。

   そうした場合、採用者にとっても採用した会社にとっても、お互いに不幸な結果になって
   しまいます。

   そこで、中途採用者の入社から1〜3ヶ月後くらいに上司は積極的に中途採用者に
   注意を向け、コミュニケーションをはかるによるフォローアップを行うことをおすすめ
   します。

   中途採用者が、早く環境になじむためにも、仕事のうえで実績を出すためにも、上司
   とのコミュニケーションをしっかり取ることは重要な意味をもつのです。

   また、中途採用者の適性や能力を把握することで、今後どういう職務を担当してほしい
   かというキャリアプランを決めることも必要です。

   そうしたフォローアップを行うためにも、中途採用者の入社から、だいたい1ヶ月をめど
   に、遅くとも3ケ月までにはフォローアップシートなどををもとに上司によるフォローア
   ップ面談を行ってください。   

  □採用のタイミング

   営業計画の展開に従っての採用が基本となりますが、それ以外にも以下の様な状況
   も採用の重要なタイミングとなってきます。

    ・年初の営業計画にない新たな企画を展開する

    ・事務量が見込み以上に多くなりつつある

    ・上記の結果として顧客サービスのための時間が十分に取れなくなってきた

   また、営業計画にリンクさせ採用に計画性を持たせても、営業はお客様あっての生き
   物であり、必ずしも自社の計画通りに物事が推移するものでもありません。

   以下の様な事態への対応も考えておく事も必要です。

    ・営業展開が予想以上に早く、人材が不足してきた

    ・一年のある時期にのみ営業、事務が集中するビジネスが発生した

    ・採用を公募しているが良い人材がなかなか見つからない

   このような場合には、正規従業員の採用が出来る迄の間、臨時のパートタイマーを
   雇ったり派遣会社と交渉をして一時期をしのぐことも必要です。


  □中途採用フォローアップテンプレート

   1.勤務態度

     遅刻や欠勤などはもちろん、仕事中の様子にも気を配るようにします。

     意欲的に業務に取り組んでいるかどうか、もし、とまどっているようなことがあれ
     ば、積極的に上司のほうから声をかけるようにします。

   2.職場環境への適応

     職場になじんでいるかどうかを確認します。

     本人の性格にもよりますが、前述したように職場が採用者の「様子見」をする場合
     もありますので、なかなか環境に適応できないようなときには、上司のフォローが
     必要です。

   3.受けた質問と指示内容

     採用者本人が、仕事の進め方、内容などについてどんな質問をしてきたのか、
     またそれに対してどう答え、指示を与えたのかを書き込みます。

     質問の内容によって、本人がどういったことを理解できていないのか、どういう部
     分に興味を示しているのかが把握できます。

     また、同じ質問を何度もするような場合は、本人に問題があるのか、また上司の指
     示や教えかたに問題があるのかも考えなければなりません。

     逆に質問を何もしてこないような場合、「自分の能力を示してやろう」、「自分ひと
     りでできることを見せてやろう」と、気負ってしまっていることも考えられます。

     そうした場合は、会社の望んでいるのとは違う方向に独走してしまうことが多いの
     で、上司が積極的に声をかけるなどしてフォローすることが必要です。

     入社1カ月後にフォローアップシートを使った面談をすることで、そうした独走を方
     向修正することができます。

   4.実務面での実績

     仕事で具体的にどのような成果をあげたかを記入します。

     面談の際に、仕事の結果について、具体的に上司が評価し、褒めることで本人の
     自信とやる気につながります。

   5.長所・短所

     本人の適性を見て、将来どのようにキャリアアップさせていくかを考えるうえで、
     長所短所を把握することが大切です。

   6.今後、担当させたい職務

     中途採用者に今後担当してほしい職務内容を、半年後、1年後、3年後などに区
     切って書きます。

     もちろん、5年後、10年後といった長期で考えてもいいのですが、1〜3カ月後と
     いうフォローアップの時期を考えると、まずは半年後、1年後といった近い将来の
     ことを考えることをおすすめします。

     これは具体的なキャリアアップの方向性を考える作業になりますので、上司の独断
     だけでなく、本人の希望も聞きながら決定していくことが必要になります。

     ですから、面談の前におおまかな内容を上司が決めておいて、本人と話し合いな
     がら決定していくというやり方が望ましいでしょう。

   7.今後の指導目標

     Eで考えた、今後担当してほしい職務内容を実現させるために、具体的な指導目
     標を決めます。

     本人が現在、できていること、できていないことを把握し、将来の目標に向けて何
     が足りないかを洗い出す作業でもあります。

     これがこのフォローアップ作業のなかで、一番の肝になる作業ですので、じっくり
     時間をかけて作業することをおすすめします。
   
  ■中途採用面接評定

   中小企業の場合、定期的に新卒者を採用している、というところは少ないでしょう。

   多くの会社では、事業の新規展開を行うときや、欠員が出た場合の補充として、即
   戦力として期待できる中途採用者を求めることになります。

   また、新聞の募集広告欄や転職情報誌をみると、中途採用のマーケットは確実に拡大
   しており、人事戦略の一環として積極的に中途採用を行う会社も多くなっています。

   それと同時に、転職に対するイメージも大きく変わってきていて、特に若い世代にとって
   は定年までひとつの会社に勤めるということが、あまり価値をもたなくなってきている
   のも事実です。

   新卒者であれば、実務経験がゼロの状態から自社で教育していくことになりますが、
   中途採用者の場合、面接の際に、前職でのキャリアをすばやく見抜き、自社が求めて
   いる人材かどうかを判定しなければなりません。

   たとえば、どんな業種のどんな職種で何年働いていて、どのような専門能力をもって
   いるのか、また前職場ではどの程度貢献していたのか、といったことをできるだけ具体
   的に把握しなければなりません。

   もちろん、応募者のほうも前職での経験から、自分にどんな専門能力があって、どんな
   仕事ができるのか、といったことは、ある程度わかっているはずです。

   しかし、短い面接時間のなかで、応募者のキャリアをうまく引き出すためには、そのた
   めのツールが必要です。

  □中途採用面接評定シートの作成と使い方

   1.氏名、生年月日など

     テンプレートの上の部分にある、氏名、年齢、前職といった情報は、応募書類や
     事前の簡単な面談などから、あらかじめ記入しておきます。

   2.退職の理由

     すでに前職を退職して、就職活動をしている人の場合、退職の理由は選考を進め
     るうえで意外と大きなポイントになります。

     退職の理由は、だいたい健康上の理由、会社理由、個人理由のいずれかという
     ことになるでしょう。

     個人的理由の場合で、「前の職場が自分に合わなかった」とか「自分の能力を正
     当に評価してもらえなかった」といったようなネガティブな理由をあげる人もいるか
     と思いますが、その場合は注意が必要です。

     自分の能力が客観的に評価できていて、強い上昇志向をもっていることが、応
     募者の話を聞いて納得できればいいのですが、そうでなければ、単に甘えた考え
     の持ち主なのかもしれません。

     また会社都合の退職の場合、リストラにあったということも考えられますが、たとえ
     そうであっても、個人の能力や性格に問題がなければマイナスに考える必要はな
     いでしょう。

     健康上の理由の場合は、応募者の現在の健康状態を十分に確認する必要があ
     ることはいうまでもありません。

   3.志望動機

     志望動機はもっとも重要な評価項目のうちのひとつです。

     これといって問題のない人なのに、なぜか魅力を感じない、相手の熱意も伝わっ
     てこない、といった人がいますが、その場合、志望動機があいまいな人であること
     が多いようです。

     「この分野が好き」「この業務がやりたい」という強い志望動機は、入社後に仕事を
     していくうえでのよりどころになるものです。

     面接では、応募者のしゃべる言葉だけではなく、姿勢や態度などからも意識の高
     さ、意欲の度合いを確認するようにしましょう。

   4.前職での職務内容

     応募の際、応募者は履歴書とともに職務経歴書を出していることと思います。

     面接では職務経歴書にはあらわれていない、より具体的な仕事内容を聞き出しま
     しょう。

     また、たとえば「あなたが関わった仕事で、もっとも評価されたものを教えてくださ
     い」などと質問することで、前職場での貢献度も知ることができます。

   5.即戦力となる実務能力

     4.で聞いた職務内容、仕事内容から、採用した場合、即戦力としてどんな実務能
     力を発揮できるかを判断します。

     何度か転職を重ねてきている人の場合、たとえば一貫して営業畑を歩んできてい
     るなど、経験してきた仕事をつなぐキーワードのようなものが見つかれば、当然高
     い専門能力をもっている可能性が高いといえます。

     そのポイントに絞って、経験してきた仕事について、具体的な話を聞き出すように
     してください。

     逆に、ただ何となく職を転々としてきた人の場合、採用はちょっと考えた方がいい
     かもしれません。

   6.第一印象(その他)

     第一印象については、自由に感じたままを書き込んでください。

     また、意欲・積極性、対話能力、人間的魅力などの各項目については、5段階で評
     価する以外に、気づいたことや印象に残ったことを書き残しておくとよいでしょう。
    
  ■中途採用者のキャリアプランニング

   「キャリアプランニング(シート)」は、中途入社した社員が将来、どのようなキャリア
   をつんでいくべきかを判断するためのツールです。

   入社した際に、前職までに積み重ねてきたキャリア、つまりどんな仕事ができて、どんな
   専門能力をもっているのかを振り返り、そのキャリアをどうやって生かし、伸ばしていき
   たいかを考えること、そして会社も本人の希望を聞き入れながら、どのように本人の
   能力を生かし、能力開発を進めていくかを決定する材料をつくることが目的です。

   このシートは主に中途採用者が入社した時に作成することを想定していますが、入社
   時だけでなく部署が異動になった場合、また入社後何年かたった時点でそれまでの
   反省点と将来の目標を再確認したい場合などにも活用できるでしょう。

   入社時点で作成することの意味は、会社と本人の間での考え方のズレをできるだけ
   早い時点でなくすためです。

   早い時点でキャリアプランを作成することで、会社は長期的な視点で能力開発や人事
   ローテーションといった人事政策を考えることができますし、本人も長期にわたる目標
   をもつことで、モチベーションも高まります。

   将来のキャリアプランを考えるうえで役立つちます。

   ただ、考え方のズレをなくすといっても、会社の考えを一方的に押しつけるようでは、
   このシートを作成する意味がなくなってしまいます。

   せっかく立てた目標も実現の可能性がなければ、本人のやる気は高まるどころか、
   かえって失われてしまうでしょう。

   ですから、会社側はあくまでも本人の自主性を重視し、本人のため、という意識を持つ
   ようにしてください。

   そういう意味では、直接の上司がシートの管理、運用をするよりも、会社全体の人事や
   教育をみている部署、もしくは担当者が管理、運用するのが望ましいでしょう。そうした
   部署や担当者がない場合は、経営トップ自らが管理するくらいの意識でいてください。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、教育制度の内製化は不可能です。

   
  □中途採用者キャリアプランニングの作成法

   1.前職での経験

     ここでは、前職までに積み重ねてきたキャリアの総決算を行います。まず、どんな
     業務を担当してきたのか、そこでどんな能力を身につけたのかを、できるだけ思い
     出して具体的に書き込んでいきます。

     ただ「営業をやってきた」と書くのではなく、「ルートセールスで約10社の顧客を
     担当して、○○に力をいれてきた」などと、できるだけ具体的に書くことです。

     また、成功体験、失敗体験も書き込みます。特に失敗体験となると、なかなか書き
     にくいものですが、あくまでも「自分のためである」ということを社員に理解して
     もらい、事実を書き込むようにしむけてください。

     これは、自分と向き合う作業ですので、「こんなことを書いては・・」などと気後れ
     せずに、本人が正直に書くことが重要です。

     「会社から書かされる」となると、どうしても「評価につながるのでは・・・」、と
     いう不安から社員は「模範解答」を書こうとしてしまうものですが、それでは
     意味がありません。

     「これは目先の評価に関わるものではない」ということを十分に社員に理解させる
     ことが必要です。

   2.将来像・目標

     ここでは将来どのような能力を身につけたいか、どのようなポジションにつきたい
     か、といった自分の将来像・目標を書くところです。

     できれば、5年後、10年後といったように、具体的な期間を決めて考えたほうが、
     より明確なキャリアプランを練ることができます。

     現実とかけ離れた途方もない夢を書くのは困りものですが、逆に、下手に謙遜し
     て書くのもいけません。

     今の自分の能力や抱えている問題にあまりこだわらず、ありのままに自分の希望
     を書き込ませるようにします。

     将来担当したい業務、磨いていきたい能力、そして、仕事に生かすために取りた
     い資格、といった項目が考えられますが、その他、必要と思われる項目を設定し
     てもいいですし、社員の思うままに書き込ませてもいいでしょう。

   3.目標を実現するために具体的に何をするべきか

     これは、1の将来像・目標を実現するために、何をしたらいいのか、その具体策を
     社員自身に考えさせ、書き込ませることです。

     例えば、英会話を勉強する、技術力をつける、何かの検定試験を受ける、などい
     ろいろな具体策が出てくるでしょう。

     当然、会社としては「そこまでは必要ない」と考えるものも多く出てくることでし
     ょう。

     ただ、ここに書かれたものは、社員自身が自分で考えた具体策ですから、いざ実
     施するとなると、会社が押しつける教育や研修よりも、やる気も効果も高いことと
     思われます。

     ですから、ここで出てきた内容は、社員自身に自分で取り組ませると同時に、会社
     の教育プログラムを考えるうえでの参考にしたり、支援できることは積極的に支援
     したりするとよいでしょう。

     会社の人事政策や、個人のキャリアプランを考えるうえで、最も重要なことは、会社
     と社員個人が十分にコミュニケーションをとることです。

     そうしたうえで、お互いが納得できる部分を探すことが必要なのです。
    
   4.育成       

     上記のように営業会社は人材に負うところが非常に大きく、採用後の教育・育成が
     非常に重要な位置を占めてきます。

     以下を基軸として、業務知識や実務知識の初期教育を行うことで、その後の方向
     を明確に示すようにしましょう。

      ・お客様満足を目指す(経営理念)

      ・顧客満足を得るためのコンサルティングサービスを目指す

      ・顧客満足を通してお客様、自社(店)が共に成長・発展して行くことを目指す

     即戦力を期待するあまり、これらの方向性の理解のないまま、知識の詰込みをし
     てもその効果は半減してしまいます。

     また、雇用の形態や採用の期間、仕事の内容により教育にあまり時間を費やす必
     要がない場合がありますが、その場合といえども従業員はお客様と直接接点を持
     つと言う重要な役割を担っていますので、最低限上記の3 点と以下のことが基本
     教育として不可欠です。

      ・5S(躾、清潔、整理、整頓、清掃)の徹底

      ・組織人としての基本動作の習得

      ・クレームに対する初期対応

     基本教育の一環として様々な知識、技術を教育していくとともに、会社として人材
     を人財にできる仕組みが必要です。

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