ポジティブアクション


  働く女性の実情(平成25年版)

   『働く女性の実情』について厚生労働省から公表されました。

   その中から「結婚・出産・育児」を中心に概要をご案内します。

   1.平成25年の働く女性の状況

     平成25 年の女性の労働力人口は2,804 万人と前年に比べ38 万人増加し
     ており、労働力人口総数に占める女性の割合は42.6%となりました。

     女性の労働力率を年齢階級別にみると、左右のピークがそれぞれ「25〜29
     歳」と「45〜49 歳」、底を「35〜39 歳」とするM字カーブを描いており、10 年
     前と比べると多くの年齢階級で労働力率は上昇しています。

     これは結婚・出産・子育てなどによって就業を中断し、子育てが一段落したら
     再就職するというサイクルの女性が多く、近年ではM字の底が上昇するととも
     に、年齢が30〜34 歳から35〜39 歳にシフトしてきています。

     その要因として、非婚、晩婚化による影響が考えられ、結婚・出産した女性が
     就業継続できる環境が整備されたとは必ずしも言えない状況にあると考えら
     れます。

   2.働く女性に関する対策の概況

     少子高齢化が進行する中で、減少する生産年齢人口を補うという観点だけで
     なく、経済成長の観点からも女性の活躍促進は重要な課題と言われています。

     しかし、前述のとおり年齢階級別でみますと30 代に労働力率が低くなるM字
     カーブを描いており、結婚・出産・育児によって労働から離れる女性は10 年 
     前と比較して改善していながらも未だ多いのが現状です。

     このため、厚生労働省では、介護離職の問題とも合わせて、子育てや介護を
     しながらも働き続けやすい環境の整備、また仕事と生活の調和が取れた働き
     方を実現するために以下の取組を推進しています。

     (1)仕事と育児・介護の両立のための制度の定着促進として、短時間勤務制
       度の措置義務や所定外労働を免除する制度、パパ・ママ育休プラスなど男 
       女ともに子育て等をしながら働き続ける環境の整備を推進しています。

     (2)次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定企業」に対して税制上
       の優遇措置が取られることを周知して、認定の取得促進を図っています。

     (3)育児や介護をしながら働き続けやすい環境整備の推進として、企業にお
       ける両立支援の取組の周知や職場環境整備の促進、ファミリー・サポート・
       センター事業の推進、保育施策等の充実等などの取組の推進を図ってい
       ます。

     (4)雇用保険制度では、一定の要件を満たす方に対して、育児休業給付や介
       護休業給付を支給しています。

       また平成26 年4 月からは育児休業給付の充実を図り、男女ともに育児休
       業を取得することを更に促進しています。

     (5)マザーズハローワーク事業として、子育てをしながら就職を希望する女性
       に対しての就職支援、保育サービス関連情報の提供など、再就職に向け
       た総合的かつ一貫した支援を行っています。

     (6)全国の女性関連施設等における、女性就業促進支援事業が効果的、効
       率的に実施され、就業促進と健康保持増進のための支援施策の充実が図
       れるよう、相談対応や講師派遣などの支援事業を実施しています。

     (7)母子家庭の母等がその適性、能力にあった職業に就くことができるよう、
       職業相談の実施や、職業訓練を受講する者で所得が一定額以下の方に
       対して訓練手当を支給しています。

       なお、労働力不足が騒がれている昨今、人材戦略として女性が継続就業
       できる環境整備を行う企業も増えてきています。

       そのような場合に受給できる厚生労働省の助成金もありますので、併せて
       検討してみると良いでしょう。

  ■ポジティブ・アクションとは

   男女雇用機会均等法や男女共同参画社会基本法などによって、性別で区別される
   ことなく、男女がともにその能力が発揮できる環境づくりが進められています。

   特に、男女雇用機会均等法は、2007年4月に改正され、「性差別禁止の範囲の拡大」
   「間接差別(後述)の禁止」などが盛り込まれました。

   しかし実際は、従来からある固定観念や役割分担意識などによって、特に女性が職場
   においてその能力を十分に発揮しているとはいえない状況にあります。

   こうした状況は、従業員の意識や意欲の低下などを招きかねず、結果として企業力の
   低下につながる恐れがあります。

   そこで、こうした男女間の差を是正し、人材を最大限に活用するための取り組みで
   ある「ポジティブ・アクション」が注目されています。

   厚生労働省「女性の活躍推進協議会」が2002年4月に発表した「ポジティブ・アクション
   のための提言」によると、ポジティブ・アクションは次のように定義されています。

  □ポジティブ・アクションに取り組むメリット

   企業がポジティブ・アクションに取り組むメリットは、

    1.生産性の向上と競争力の強化

      男性が優位な企業風土の場合、そうした風土を見直し、能力や成果に基づく
      公平な評価が徹底されれば、女性従業員の労働意欲の向上につながり、能
      力の発揮を促します。

      また、女性の活躍が周りの男性によい刺激を与え、結果として企業の生産性
      の向上や競争力の強化が期待できます。

    2.多様な個性による新たな発想の創出

      市場が多様化する中、企業は市場のニーズに合った商品やサービスを提供
      することが求められています。

      性別にこだわらずさまざまな個性を持つ人材を確保・登用することは、今まで
      とは異なった新たな発想を生み出すきっかけとなります。

    3.労働力の確保
      少子高齢化が進む中、企業が優秀な人材を確保することはますます難しい
      状況になりつつあります。

      性別にこだわらず優秀な人材を登用している企業は、「人材を公正に評価す
      る企業」として世間に認知され、優秀な人材を確保しやすくなります。

    4.企業イメージの向上

      ポジティブ・アクションは、男女間にある「差」を是正し、従業員の能力の発揮 
      と育成を実現する積極的な取り組みです。こうした取り組みを行っている企 
      業は「人を大切にしている企業」という姿勢を顧客や株主、取引先などに示  
      すことができ、結果として企業イメージの向上につなげることができます。

  ポジティブ・アクションへの取り組み状況調査結果

  □ポジティブ・アクションの実施

   1.ポジティブアクションの実施手順

     厚生労働省では、ポジティブ・アクションに関する情報提供を行う「ポジティブ・
     アクション応援サイト」を開設しています。

     「ポジティブ・アクション応援サイト」によると、ポジティブ・アクションの具体的
     な進め方は、

     ●ステップ1(現状の分析と問題点の発見)

      まずは、自社における女性従業員の状況を分析します。
      状況の分析には、「職場や職務ごとの女性従業員の比率」「女性従業員の採
      用状況や勤続年数」などの把握や、従業員への意識調査などを実施し、女
      性従業員の雇用や労働における自社の現状と問題点の把握を行います。

    ●ステップ2(具体的取組計画の作成)

      ポジティブ・アクションの目標設定と目標を達成するための具体的な取り組
      み計画を作成します。
      設定する目標としては、「男女の均等な待遇の確保」「女性の勤続年数の伸
      長」「職場の雰囲気・風土の改善」などが考えられます。
      目標は、<ステップ1>で見つけた自社の問題点を改善するものであること
      が重要です。
      設定された目標を基に、具体的な取り組み計画の策定を行います。
      計画策定時には従業員への意見聴取を実施し、従業員の意見・要望を反映
      した計画を策定するようにします。

       (1)目標の設定・具体的取組策の策定

       (2)期間の設定

       (3)労働者、とりわけ女性労働者の意見・要望の聴取

     ●ステップ3(具体的取組の実施)

      作成した取り組み計画を実行します。
      ここで大切なことは、全社的に取り組むという意識を持つことです。
      そのためには経営者が率先してポジティブアクションに取り組む姿勢を従業
      員に示すことが重要となります。

     ●ステップ4(具体的取組の成果の点検と見直し)

      目標の達成状況を確認します。
      当初設定された目標がどのくらい達成されているか、計画通りに進ちょくして 
      いるかなどを定期的に見直します。
      目標の達成状況が十分でない場合には、計画の見直しを含めて再度ポジ
      ティブアクションの進め方を検討する必要があります。

   2.ポジティブ・アクションに取り組む際の留意点

     (1)経営者が率先してポジティブアクションに取り組む

       ポジティブ・アクションは、組織の一部が行うのではなく、全社的に取り組む
       ものです。
       そのため、まず経営者自身がポジティブ・アクションを自社の重要な課題と
       とらえ、率先して取り組む姿勢を従業員に提示する必要があります。

     (2)ポジティブ・アクションを継続できる仕組みをつくる

       ポジティブ・アクションは一度目標を達成したらそれで終わり、というもので
       はありません。

       継続的に取り組みを行わなければ、本当の意味でのポジティブ・アクション
       の効果は得られません。

       そのため、ポジティブ・アクションを継続して進めるための仕組みを社内に
       つくっておく必要があります。

       例えば、社内でプロジェクトチームを設置し、ポジティブ・アクションの実施
       状況を定期的に検証することや、ポジティブ・アクションに関する社内研修
       を定期的に行ってポジティブ・アクションに対する従業員の意識を常に高い
       ものとすることなどが必要です。

       「女性の活躍推進協議会」による定義にもあるように、ポジティブ・アクショ 
       ンは単に女性を優遇する取り組みではありません。

       ポジティブ・アクションは、性別を区別することなく、企業が持つ人材を最大
       限に活用する取り組みです。

       人材は会社にとって大切な経営資産です。

       そのため、「人材を最大限に活用する」という点から、ポジティブ・アクション
       は多くの企業にとって、非常に重要な取り組みといえます。

       ポジティブ・アクションに積極的に取り組み、男女の区別なく従業員の能力
       を最大限に活用することで、企業力の向上につなげていくことが期待できる
       のです。

       男女の区別に関して、外見上は性中立的な規定や基準、慣行などが、実
       際には男女一方に不利益を与える規定などとなっている「間接差別」という
       ものがあります。

       間接差別とは、

        ①性別以外の事由を要件とする措置であって、

        ②ほかの性の構成員と比較して、一方の性の構成員に相当程度の 
         不利益を与えるものを

        ③合理的な理由がない時に実施すること

       をいいます。

       具体的には、「身長や体重、体力などを採用の条件に加える」ことなどが当
       たります(業務に必要など、合理的な理由がある場合は間接差別には当た
       りません)。

       2007年4月に改正施行された男女雇用機会均等法では、間接差別の禁
       止が明記されています。

       この法改正により、性別で差別することなく、男女がともにその能力をより
       発揮できる環境が整うことが期待されます。

       男女間の差を解消するための社会的な仕組みが整いつつある中で、今
       後、ポジティブ・アクションは企業にとって重要な取り組みの一つとなります。

  ポジティブ・アクション能力アップ助成金

   1.本助成金の目的 

     働き続けることを希望する女性労働者が就業意欲を失うことなく、その能力を
     伸張・発揮できる環境整備を推進することを目的としています。

   2.受給の条件

     (1) 女性の職域拡大または女性の管理職登用等に関し、ポジティブ・アクショ
        ン(女性の活躍推進)に関する数値目標(※1)を定めていること。
         なお、職域拡大、管理職登用の対象となる女性は通常の労働者であるこ
               と

     (2) 「ポジティブ・アクション情報ポータルサイト」内の「ポジティブ・アクション応
        援サイト」または「女性の活躍推進宣言コーナー」に、数値目標を掲載して
        いること

     (3) (2)の数値目標を掲載後、平成26年4月1日以降に女性の職域拡大また
        女性の管理職登用等に必要とされる能力を付与するため等の研修(「ポジ
        ティブ・アクション研修」といいます)を30時間以上実施すること

     (4) 数値目標について、2で定めるサイトまたはコーナーへの当該目標の掲  
        載日から6か月経過後3年以内に達成され、さらに支給申請日までその状
              態が継続されていること

     (5) (4)の数値目標を達成するに当たり、女性労働者のうち少なくとも1名は
        上記(3)のポジティブ・アクション研修に参加していたこと

       ※1 以下の①または②の女性労働者に係る目標です。
          ①女性の職域拡大に関する目標
            ・ 男性労働者と比較して女性労働者が相当程度少ない(※2)職務 
              において増加させる女性労働者数

          ②女性の管理職登用等に関する目標
            ・ 男性労働者と比較して女性労働者の割合が相当程度少ない職
             務において増加させる女性労働者数

            ・ 社内の規定等に基づいて、男性労働者と比較して女性労働者が
             相当程度少ない役職への昇進を行うに当たり必要となる社内試
             験の合格者について増加させる女性労働者数

       ※2 「相当程度少ない」とは、女性労働者の割合が4割を下回っていること
          を言います。 

   3.受給額

     大企業:15万円
     中小企業:30万円
      ※ 1事業主当たり1回限り。

                       組織力強化マニュアルについてはこちら

                       お問合せ・ご質問はこちら  

                       メルマガ登録(無料)はこちらから
 

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
054-270-5009

静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。

対応エリア
静岡・愛知県内、東京周辺

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

054-270-5009

 (コンサルティング部門 直通<柴田>)

新着情報

2024年4月19日
記事:「効率的な仕事の進め方 Ⅱ」更新しました。
2024年4月18日
記事:「メルマガ708号」 更新しました。
2024年4月18日
記事:「保険代理店 法人マーケットの攻略」更新しました。 
2024年4月17日
記事:会社を育てる」更新しました。
2024年4月15日
記事:「タイムマネジメント Ⅱ」 更新しました。
  • 詳細はこちらへ

ビジネス
ソリューション
仕組み構築

住所

〒422-8067
静岡県静岡市駿河区南町
2-26-501