中小企業の営業力を強化 

   
  ■中小企業の営業力

   多くの中小企業が「売れない」と悩んでいる。

   弊社HPでも解説しているが当然のことだと言ってもいいでしょう。

   過去の成功事例は参考にならないのです。

   誤解を恐れずに言えば、今まで、ものが売れたのは営業力があったからではないのです。

   顧客の商品知識も少なく、好みの変化も激しくなかったため、営業マンはお客を単なる
   商品・サービスの販売先と見るだけで「売る」という一方通行的な仕事であっても、
   問題はありませんでした。

   お客の方も、どうせ注文するなら、よく通ってくれた営業マンに注文をするのも当然で
   あり、営業マンも用がなくても足繁く顧客を巡回することに、それなりの意味がありま
   した。

   その結果、「顔見せ」、「足で稼ぐ」、「夜討ち朝駆け」などの行為が営業の基本にな
   り、習慣化してきました。

   しかし、今はどうでしょう?

   世の中はモノで溢れ返っています。

   今までのようにいくら顧客に会っても、要らないものは結局要らないのです。

   義理人情で買ってくれるような余裕などありません。

   営業側の姿勢として重要なのは、あなたの扱う商品・サービスを理解して、そのうえで
   どのように顧客の抱える課題を解決するかなのです。

   結果にしか求めない営業管理をしていると、社員は、モチベーションが下がり、会社は
   戦略も戦術もなく、仕組みのない営業を続け、社員には精神論を唱え犠牲を強いている
   のです。

   これでは人材も育たず、仕組みを作ることもできません。

   精神論信者が増え、管理職は権威と権限にしがみつき、井の中の蛙になるからです。

   そして最後に、経営者は裸の王様になります。

   過去の成功事例にしがみつき、トップの威厳を振りかざして組織を叱咤激励するだけで、
   営業現場や顧客の中で起きている変化を読み取ろうとしなくなるからです。

   多くの営業マンがトップ営業マンの講演やセミナーに参加しますが、参加した彼らが成績
   優秀な営業マンになったという話は聞きません。

   トップセールスマンはほんのひと握りしかいません。

   これは彼らが持ち合わせているセンスに基づくものだからです。

   これらを考えずに、無意味な飛び込みや人海戦術を奨励する営業スタイルは実に多いの
   です。

   □中小企業に求められる営業力とは

    ・時代に沿ったやり方、考え方

    ・あなたの商品(サービス)の価値は明確か

    ・「理念の共有化」、「情報の共有化」はできているか

   顧客は、企業に支払った金額に相当する商品やサービスを営業マンにではなく会社側に
   求めています。

   決して担当営業マンの優秀なセールススキルを求めているわけではないのです。

   また、企業が財産として所有すべき顧客との接触情報を担当者個人のみに持たせる
   ことは、企業の大事な財産を捨てるようなものです。

  教育

   会社が行う教育は、あくまでも業務の遂行に必要な知識を伝える教育で、 訓練(トレ
   ーニング)にあたります。

   本当に顧客のために、社員のために、そして自社のためになる教育があるとすれば、
   それは効率的に自社(店)の商品やサービスを必要としている顧客に届け、理解して
   もらえるような「トレーニング」です。

   しかし、今その教育体制は問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   この問題を解決しなければ、社内教育(トレーニング)制度の内製化は不可能です。

   
   より少ないコストと時間で、本当に必要としている顧客に必要な商品とサービスを、
   最適なタイミングで、必要な分だけ提供するためのトレーニング。

   これが会社が行うべき営業マン教育です。

   優秀な営業社員でなくても、少ない労力で多く売れるほうがよいのは当然です。

   売れるためのプロセスを仕組み化し、それを実行させる。

   「どうして失敗したのか」、「こうすればうまくいくはずだ」とか、だから「次からは
   この方法に変えてみよう」などの具体的な指導・仕組みを、「売れない」営業マン
   たちは待ち望んでいるはずです。

   売れないモノは、どんなに頑張っても売れません。

   上司が、どのようなプロセスが売れることにつながるのか、どのようなプロセスが売れ
   ることにつながらないか、を把捉していれば、部下に無駄な根性論を言う必要がなく
   なります。

   正しいプロセスに従って営業を行わない社員を指導するだけで済みます。

   ノルマだけを評価するのではなく、プロセスの実行状況をチェックすれば自然によい業績
   につながります。

   すぐに売り上げが上がらなくても、きちんと評価してあげる制度をつくるべきです。
   
  営業活動の中身

   数値目標を立て、目標達成に向け、計画に則った行動をとっている中小企業がどれだけ
   あるのだろう。

   達成が「たまたま」といったことではなく、計画にのっとって実行した結果の目標達成
   でなければならないのは当然のことです。

   ドラッカーの言葉にもあるように、

    計画とは未来に関する現在の決定である。
    全力を注がなければ、単に約束と希望があるだけで、計画ではない。

   そのためにも、目標達成可能な計画と実行が欠かせません。

   競争が激化する中で、会社(店)が存続していくためには我流、場当たりといった営業
   活動は決して避けなければならないのです。

   営業会社にとって、継続した収益アップを図っていくためにも『仕組み』づくりは急
   務です。

   ある調査によると、営業活動において、営業マンが成約するまでの訪問回数はおよそ、
   1回の訪問ではわずかに4%、2回の訪問では7%、3回の訪問では25%、4回訪問では
   22%、5回訪問では16%、5回以上訪問での成約は26%となっています。

   つまり、1回での成約は非常にまれで、少なくとも3〜5回の訪問が必要となります。

   しかし、訪問回数が増えるほど、揖益分岐点は高くなります。

   利益を拡大するためには、訪問回数を減らさなくてはなりません。

   つまり訪問効率を上昇させることです。

   営業環境が変われば、営業マンの行動や考え方が当然変わらなければならないはず
   です。

   競争激化の市場環境下で、新しい営業の仕組みを至急構築していきましょう。

   御用聞き営業から提案営業への質的変化を目指さなくてはならないのです。

   以上のことからも、同業他社(店)、異業からの参入組に対抗していくには差別化を図っ
   ていかなければならないのは既にご承知のことです。

   増収するには、お客様との接触回数を増やすことが第一ですが、だからといって「直接
   面談しかない」では能がありません。

   あなたの存在を、お客さんの頭の片隅にインプットさせることです。

   そのためにDM(ダイレクト・メール)・NL(ニュースレター)・はがき(礼状)・
   ビジネス情報(お客さんが興味関心を抱く内容)を発信(受信)し続けることです。

   ここで受信と書いたのは、情報発信の一方通行ではなく、必ず受信(返信)してもらう
   双方向のコミュニケーションがなくてはなりません。

   商品・サービスを提案していくあなたにとって、自分はどんなことが得意で、こんなに
   お客様の役に立つといったことをアピールしていくのです。

   多くのお客様は高度なセールススキルを求めているわけではありません。

   日常のちょっとした問題、疑問の解決をサポートしてあげることを心掛ければいいだけ
   です。

   個人対象なら、日常でのちょっとした面倒なこと、お得なこと、心配事を見つけ、解決策の
   提案をしてあげるのです。

   法人であっても、面倒なこと、お得なこと、抱える問題などの解決策を提案すればいい
   のです。

   今、旬な話題をテーマに、「○○○を甘く見てませんか?」といったタイトルで法人に問題
   提起し、「もし対策を怠れば、こんなことが企業を襲う」といったレポートをオファとして
   無料進呈し、レポート進呈先(見込み客)に次のステップで、解決策の提案をしていく
   のです。

   個人マーケットであれば主婦層、性別、年代別にホットな情報提供しニーズ喚起して
   いきます。

   お客さんに情報発信しなければ、いつまでたっても反応はありません。

   反応させるには、「お客様にどうやって興味を抱かせるか」です。

   そのためには、内容はともかく発信すること。

   継続していく中で、自然に精度は上がってきます。

   まずやってみよう!

   競合他社との違いを出さなければ、その他大勢の競合社と同じです。

   一歩でなくていいのです。

   半歩先を行くだけです。

   生存競争に生き残っていくためには変化に対応していかなくてはなりません。

   過去の成功事例に引きずられないことです。

   あなたにとって今が一番苦しい時かもしれません。

   しかし、このときを乗り越えれば、あなたの望む結果は必ずついてくることを信じる
   ことです。
   
  新規開拓がうまく進まない

   今日に至るまで、大多数の中小企業ではマンパワーに頼ったやり方を続けています。

   企業の多くは特定顧客との継続的な取引によって事業基盤を確保しているところが
   少なくありません。

   このこと自体は事業活動の効率化、営業基盤の安定化という側面から考えれば、決して
   間違っているわけではありません。

   いわゆる「選択と集中」という考え方からすれば、正しい事業活動であるといえます。

   このような顔の見える相手を中心とした営業活動に「偏っている」ということは、一見
   リスクが少ないように思えますが、実はハイリスクな経営状況といえるのです。

   営業活動が「選択と集中」という考え方の下、既存の特定優良顧客との関係強化に重点
   を置き過ぎる状況は、一部の特定顧客からの売上に依存する状況を生み出してしまう
   からです。

   仮にこうした優良顧客との取引が何らかの原因でなくなってしまった場合、企業全体の売
   上に対する影響は甚大なものとなります。

   また、特定顧客とあまりにも密接になり過ぎた結果、自社(店)の事業基盤が特定顧客か
   らの売上げに過度に依存することになってしまい、売上確保のために無理な条件での
   取引をやむを得ず受け入れなければならなくなるケースなども見受けられます。

   新規開拓活動に関してはどうかといえば、見込み客開拓の実施率は低くなっています。

   多くの中小企業の営業活動は、特定顧客へのルートセールスが中心となっており、
   新規開拓活動にはあまり力が注がれていないということがいえます。

   なぜ営業活動がこのようになってしまうのかを考えてみましょう。

   それは目標が売上高予算という「今日の糧」中心だからです。

   少しずつ減り続ける顧客数を気にしながらも、特定顧客に対して必要以上の販売攻勢を
   かけてしまい、結果として顧客への押しつけ営業となり、これを嫌がるお得意様は離れて
   いという負のスパイラルに陥ります。

   これが営業力の弱い中小企業の実態です。

   もちろん、あなたが事業を営んでいくためには売上とそれに基づく利益の確保が最重要
   課題です。

   しかし、目先の売上確保のための活動だけでは事業を継続させていくための「明日の
   糧」は見出すことはできません。

   明日の糧、つまり新たな顧客候補としての新規顧客の開拓が必要不可欠なのです。

   販売(sale)という活動のみでなく、営業(business)という活動を、自社の営業のもう
   一つの基軸と位置付け、継続的かつ計画的に行っていく必要があります。
    
  □新規開拓活動3つのポイント
   新規顧客の開拓があなたにとって必要とされていることには異論はないと思います。

   しかしながら、新規開拓がうまく進まないと感じている企業が多いのも事実です。

   これは、なぜなのでしょうか。

   それは、新規開拓に関して各営業担当者任せになってしまっているからです。

   営業担当者レベルでも新規開拓の必要性は確かに感じています。

   しかし、新規開拓活動が本格化することはなく、営業担当者は時間が余った時に「つ
   いで」に行う、気になる見込み客の近くに来たので「ついで」に訪問するなど、その場
   その場での思いつきによって行われているのがほとんどです。

   ついでに行っているのですから、他業務で多忙になると新規開拓活動は後回しになっ
   てしまいます。

   そしてせっかく構築しかかっていた見込み客との関係も消失してしまい、顧客化できず
   に終わってしまうのです。

   既存の顧客は永遠に自社のお客様ではありません。
  
   そのことを理解し、集客、新規開拓、既存顧客の維持管理を計画的に実行して行か
   なければ、どこかの時点で行き詰まってしまいます。

   企業の戦略として新規顧客の獲得を目指すならば、当然企業として活動をコントロー
   ルしていく必要があります。

   ここではこの活動への考え方を「誰に」「何を」「どのように」という3つのポイントに分
   けて検討していきます。   

   1.誰を対象として新規開拓をするのか

     通常の営業活動である販売(セリング)では、自社の製品やサービスをどのよ
     うにお客様に購入あるいは採用してもらうかが焦点となります。

     つまり、

      →自社のある製品を購入してくれそうなのはどのような顧客か
      →顧客の興味を引くためにはどのようなアプローチが求められるか

     など、自社の製品やサービスという「モノ」を起点として営業活動を検討してい
     くことになります。

     一方、新規開拓は将来のお得意様を開拓していくという活動ですから、自社を
     高く評価している既存の優良顧客に似たタイプが最も有望なターゲットとなりま
     す。

     つまり、
     自社の優良顧客が活動検討の起点となるわけです。

     以上のことから、ターゲットとなる既存の優良顧客のプロフィールをしっかり把
     握・分析することが、効率的な新規開拓活動の原点となります。

     優良顧客の検討は、売上高と利益率の両面から行います。

     特に大手企業との取引がある場合、その売上の大きさから「この大手企業こ
     そが優良顧客である」と判断しがちです。

     しかし実際には大手企業との取引は、取引条件面で非常に厳しい内容になっ
     ているものや、営業利益面での貢献度合そのものは小さい(あるいは赤字に
     なる)ケースが数多く見受けられます。

     自社を適正に評価してくれている顧客ならば、適正な利益の享受も認めてくれ
     ているはずです。

     顧客の事業規模に惑わされることなく、自社の商品や技術・ノウハウなどを高
     く評価し、継続的に取引を行ってくれている顧客層をみつけなければなりませ
     ん。

     企業や事業所向けの事業の場合は、次の観点で分析を行い、自社が得意と
     する顧客タイプを明確化します。

      ・業種、業界

      ・事業規模(売上規模のみならず、従業員数、事業所数・工場数なども検討)

      ・地域的な特性(地理的なものだけでなく、都市圏か郊外かなども注意)

     消費者向けの事業においては、顧客のプロフィールデータとこれまでの購買
     履歴を基に顧客タイプを次のような観点で整理し明確化します。

      ・人口統計学的特性(年齢、性別、職種など)

      ・地理的特性(地域、気候風土、都市圏・郊外など)

      ・心理的特性(想定されるライフステージやライフスタイル、トレンド
       感受性など)

      ・購買行動的特性
       (日用品なら購買頻度、専門品ならば1回当たりの購買金額など)

     店頭販売が中心の場合、個別顧客のプロフィールの把握は困難です。

     ポイントカードなどを導入することで顧客情報を得ようとする企業もあります
     が、実態を表しているとは言いにくい面もあります。

     このような業態の場合、正確なデータ収集にこだわるよりも、実際に店頭での
     接客を通じて顧客を観察し、上記特性に当てはめて整理することで十分でしょ
     う。

     このようにして明確化した優良顧客にプロフィールが類似した見込み客を、自
     社の営業展開エリア内で具体的にリストアップしていくことで、新規開拓活動
     のための準備の最初のステップが完了します。

     このような検討方法は、ある程度多数の顧客との取引実績があり、かつ顧客
     情報や購買履歴が明確になっている場合に有効です。

     しかしながら下請に特化してきた会社や創業間もない会社の場合、顧客数が
     極端に少ないかあるいは特定顧客以外への販売実績がほとんどないというのが
     現実でしょう。

     そのような場合はどうやって新規開拓の対象先を見つけていけばよいのでしょ
     うか。

     このような場合には自社が提供している製品や商品・サービスが、既存顧客
     においてどのように使われているかという「用途」を中心に考えていきます。

     企業向けの事業であれば、自社が提供した製品やサービスが顧客企業の業
     務プロセス上のどのような部分でどんな使われ方をしているかを調査し、似た
     ような業務プロセスを有すると思われる業種・業態、事業規模、地域について
     仮説を立てていきます。

     販売実績がほとんどない場合は、どのような業務プロセスに適合するように製
     品やサービスを企画したかを基に、やはり仮説を立てていきます。

     そしてこの仮説に基づいて自社の営業展開地域内における見込み客をリスト
     アップします。

     一方消費者向けの場合は、自社の提供している商品やサービスがどのような
     タイプの消費者にどう使われるのかを想定して企画をしたのかを考え、想定さ
     れる顧客像(人口統計学的特性・地理的特性など)に近いと思われる見込み
     客候補の名簿を作成していきます。

     この際の名簿はあまり絞り込まず、かなり大まかな基準に基づいたもので構
     いません。

     なお、見込み客リストを営業担当者に個別に作らせて個人管理をさせるのは
     避けるべきです。

     多くの企業で見込み客リストを作ったらすぐにそれを各営業担当者に分けてし
     まい、あとは各担当者の管理に委ねてしまう傾向があります。

     これでは新規開拓の成果判断などが困難になるので注意しましょう。必ず組    
     織として作成し、管理者による一元管理ができるようにしておく必要がありま
     す。

   2.何を使って新規開拓をするのか

     見込み客リストを作り、これに基づき新規開拓活動を行っているにもかかわら
     ず一向に成果が上がらないという企業が少なくありません。

     このような企業の場合、新規開拓の目的をそもそも履き違えている場合が大
     多数です。

     新規開拓では、明日の糧である「顧客数の量的な拡大」が活動目的となりま
     す。

     しかし多くの企業では、顧客数だけでなく、売上高の拡大という「取引の量的
     拡大」や、利益率の高い商談の実現という「取引の質的拡大」まで一度に目指
     そうとします。

     このため、新規開拓に向かない高額商品を新規開拓用の商材として選択す
     る、提案型営業と称して商談プロセスが複雑な商材を選択するなど、誤った商
     材やサービスを用いて新規開拓活動を行ってしまう傾向があります。

     新規顧客との初回の取引だけでは、相互の信頼関係は構築されていません。

     このような段階で高額商品を薦めることは時期尚早です。まず新規顧客との
     信頼関係を十分に強化することを優先しましょう。

     また、提案営業に関しても自社の技術力やノウハウなどに関し、顧客から十分
     な信頼を受けてからでなければ実現しません。

     新規開拓の目的はあくまでも、将来のお得意様の候補となるような新規顧客
     を、できるだけ数多く獲得することです。

     この新規顧客の内の、例えば1割が大口取引を行ってくれるような優良顧客に
     育てていけばよいのです。

     また、新規開拓は換言してしまえば確率論です。どれだけ多くの見込み客に
     対して自社と自社の製品やサービスを紹介できるか、見込み客にどれだけ効
     率的にアプローチできるか、そして興味を持ってくれた見込み客とどれだけ効
     率的に商談ができるかという点が重要です。

     この観点から、新規開拓に向く商材とは次のような3つの特性を持つものにな
     ります。

      (1)商材の特性が明確であるもの(聞けば、あるいは見れば、すぐに
        理解できる)

      (2)製品仕様や取引条件に関して複雑な商談を必要としないもの

      (3)その販売において業界における営業経験の長さが必要とされないもの
        (新人でもベテランでも、あるいは営業担当者以外でも説明できる)

     この条件から考えると、企業向けの事業の場合は、顧客別にカスタマイズを必
     要としない標準仕様製品もしくは新製品であり、価格的には高額ではないもの 
     (低価格である必要は必ずしもなく、業界における標準的な価格であれば問題
     ない)が新規開拓に向いた商材ということになります。

     また、消費者向けであるならば新商品や季節限定品など商品特性について顧
     客が理解しやすく、価格的にあまり高額でないものが対象となります。

     次にどのように効率的かつ効果的に商談を進めていくかという点ですが、これ
     に関しては「FABE」という手法を使って、商材のセールスポイントとセールス
     トークをまとめたものを事前に準備するとよいでしょう。

     FABE(ファブ)とはセールスポイントを

      (1)Feature(特徴)

        その商品やサービスの性能や品質、素材などの客観的な事実

        その商材に関する客観的な事実であり、数値などで表され、箇条書きに
        網羅できるものです。

        顧客にとってはカタログを読めば済むようなことです。

        せっかく面談までたどりついた見込み客に、商品やサービスの特徴を
        長々と説明し続けると、商談が打ち切られてしまいます。

        できるだけ簡潔に事実のみを伝えられるようにまとめておく必要がありま
        す。

      (2)Advantage(利点)

        その商品やサービスが持つ一般的な優位性

        簡便さや使いやすさ、汎用性あるいは専門性、安全性や顧客満足度など
        の一般的なメリットの説明です。

        金銭的あるいは経済的な効果に関しては含みません。

        なお、利点の説明についても十分注意を払う必要があります。

        実際の商談において、利点の説明は話していて楽しいですし、見込み客
        も身を乗り出して聞いてくれるかもしれません。

        特に商談の初期の段階では非常にインパクトがあります。

        ただし、利点までで商談を区切ってしまうと、見込み客は次のように言う
        かもしれません。

          「なるほど説明はよく分かりました」

          「・・・しかし、当社(私)には当てはまりませんね」

          「・・・当社(私)で必要となるのはかなり先のことでしょう」

        利点は一般的な優位性でしかありません。

        この段階で見込み客からこのような発言が出てしまうと、その商談はその
        時点で打ち切りとなる危険性が高くなります。

        成果の出ない営業担当者が陥る典型的なパターンです。

      (3)Benefit(利益)

        その商品が見込み客に具体的に与える金銭的・経済的な優位性

        その商材を相手が採用することによって相手が得られる具体的な利益で
        す。

        例えば「他社製品と比較して費用対効果が勝っている」「コストが安い」
        「省エネ・省力が実現できる」「人手がかからない」などがこれに当たりま
        す。

        この段階まで言及できて初めて商談として成り立ち始めます。

        新規開拓においては個別の見込み客ごとの利益はなかなか事前に話法
        の準備ができませんから、事業所向けであれば業種・業界や事業規模別
        に、消費者向けであればライフステージやライフスタイル別にいくつかの
        パターンを想定しておくとよいでしょう。

      (4)Evidence(証拠)

        特徴・利点・利益を保証する具体的な採用事例など

        利点、利益の説明の根拠となるような事実をできるだけ集め、商材に対
        する信頼性を増し、採用に踏み切らせるためのものです。

        大手企業や同業者での採用実例や、公的試験機関でのテスト結果、新
        聞や業界誌での紹介記事など、第三者による評価が受けられたものが有
        効です。

        実際の商談では「FABE」という順で説明するのではなく、必ず、下の商談
        事例のように
          B → FABE
        という順で行うように心がけます。

        これは、FABEの順で説明を行うということは、カタログ内容の説明から入
        るということになり、見込み客にとっては退屈なセールスになってしまうか
        らです。

        つまり、見込み客に

          こちらの話も聞かずに、いきなり堅苦しい説明が始まった…
          ⇒この営業担当者は、こちらのニーズには全く興味がないのか?

        と感じさせてしまい、悪い印象を最初に与えてしまうことになるからです。

        ダイレクトメールやテレフォンセールスのように、時間やスペースが限定さ
        れる場合は「B→E→F→A」という流れで構成してもよいでしょう。

        以上の4段階に分けて説明しながら、顧客に提供していくという手法で
        す。

     この手法の利点は、新人・ベテランを問わず誰でも同じように顧客へ納得性の
     あるセールストークを展開できること、商材のセールスポイントが明確化される
     ので短時間かつ効率的に説明可能なこと、ダイレクトメールやテレフォンセー
     ルスなど限られたスペースや時間で説明を行う際にも有効であることなどが挙
     げられます。

    ●FABEに基づく商談事例
     Benefit(利益)

      「この装置をご採用いただけますと、○○%の生産性向上が図られ、
      年間で○○台の生産台数増加が期待できます」

     Feature(特徴)

      「なぜなら、この装置は従来問題となっていた○○部分に関する不良
      発生を○○%未満にする、当社特許の△△技術に基づく○○という部
      品が組み込まれています」

     Advantage(利点)

      「そのため、現在の不良発生率を劇的に減少させることができます」

     Benefit(利益)

      「従いまして、おうかがいした話を基にシミュレーションをすれば、○○
      部分での歩留まりが○○%向上し、1ライン当たりの生産性が○○%
      向上します。これを年間に換算しますと○○台の生産台数増加が期待
      できます」

     Evidence(証拠)

      「実際、本装置を昨年導入していただいた○○業界のX社のY工場では、
      ○○%生産性が向上され、大変、喜んで頂いております」

   3.どのように新規開拓を進めるか

     新規開拓活動の運営において最も重要なのは、営業担当者の個々の裁量に
     任せてしまわないということです。

     どのような企業においても、営業担当者は既存顧客との商談を中心とした売
     上確保の活動を最優先させています。

     新規開拓は必要と思っていても、その優先順位は低くなりがちです。

     新規開拓活動においては、商材・スケジュール・活動目標を明確化したうえ
     で、営業部門の管理者もしくは経営者自らがリーダーシップを取って、全営業
     担当者で一斉にローラー作戦を採ったほうが効率的といえるでしょう。

     当然、新規開拓活動は思いついたときに行うのではなく、年間スケジュールを
     計画し、定期的・継続的に行う必要があります。

     新規開拓は「働きかけた見込み客数×成約率」という確率論です。

     できる限り多くの見込み客に働きかけ続けることが成功への近道です。

  ■新規開拓の意義・目的

   中小企業に限らず新規開拓は、企業にとって非常に大切であるが、営業担当者・営業
   マンにとっては、一番嫌な仕事ではないでしょうか。

   彼らにとって、既存の得意先は、通いなれた道、いつも会っている人たち、いつもの
   ペースで、売りなれた商品をいつもの条件で売るので楽である。

   それに対して、新規開拓は、知らない道、初めて会う人たち、どんな条件で、何を売れば
   よいのかわからない。

   訪問しても、入ってから出てくるまで緊張の連続である。

   しかも、努力しても成功に結びつくとは限らない。

   だから、できれば新規開拓はやりたくないのです。

   しかし、それでは困るので、なぜ、新規開拓が必要なのか?営業担当者・営業マンに
   わかってもらわなければならない。

   多くの中小企業では新規開拓は、営業担当者・営業マンだけの仕事と思っているところ
   が少なくありません。

   これは大きな間違いである。

   限られた人材の中で収益アップを実現させるには、大企業のようなマンパワーに頼った
   やり方では赤字を垂れ流すだけです。

   新規開拓は必要に応じて幹部も経営者も一緒に行動しなければならない、会社にとって
   大切な仕事であるという認識が必要であり、共に力を合わせて成功させることが大切
   なのです。

  □新規開拓の意義とは

   (1)既存顧客の売上減を補うため

     既存の顧客だけでは、

      ・よくても、前年実績止まり

      ・通常は、前年比95%前後

      ・悪い場合は、前年比90〜95%

     前年実績を維持するためにも、新規開拓は欠かせません。

   (2)今年の売上高を確保するため

     あなたが健全な経営を進めていくには、前年対比の経費増の分を、売上増によっ
     て吸収していく必要がある。

     例えば、経費が前年比103%とすると、売上高も前年比103%以上となる。

   (3)得意先構成をよくするため

     あなたの顧客は優良顧客ばかりとは限らない。

     そのため、新規開拓を行って、入れ替えを行う必要があります。

   (4)市場占有率を高めるため

     経営の目的は、「売上アップ」「利益アップ」「シェア・アップ」です。 

     シェアを高めるには新規開拓は欠かせない。
     (既存顧客の「シェア・アップ」も同様に欠かせない)

   (5)訪問効率を高めるため

     現在の得意先に、新規開拓見込先、さらに新規取引先を加えれば、1日の訪問件
     数を多くすることができる。

     ただし、単に訪問件数を増やすだけの御用聞き営業では時間の無駄であり、相
     手も忙しい。

     直接訪問をしなくても、同様の効果が期待できるのがメールやFAXを活用した
     情報提供である。

   (6)営業担当者・営業マンが役割を果たすため 

     集客から顧客の維持・管理までを営業マン個々に任せることは至難の業といえる。
     本来、集客は会社が行い、集客した見込み客に対してセールスを行うのが営業マ
     ンの役割である。         

   (7)企業の営業力強化のため

     営業力とは、社員全員が営業に関わる営業力強化の仕組み(営業改革)をつくり、
     組織を効率的・効果的に活かして利益をあげる「売れる仕組み」をつくることです。

     せっかくの組織をマンパワー営業に頼らず、組織営業体制に改善することが営業
     力強化のためであり、企業の将来を切り開いてくれる。

  □新規開拓は計画的・組織的に行う

   新規開拓は、企業にとって重要な経営課題です。

   売上不振になると、トップから、「新規開拓をやれ!」と号令がかかったので、不承不承
   ながら形だけでもつけなければといった、小細工では成功しません。

   新規開拓は会社をあげて取り組まなければならない。

   新規開拓を行うことで、企業の大切な財産である得意先が増えることになる。

   単に、売上が足りないから新規開拓を行うというような問題ではない。

   そこには、企業の戦略が求められるのです。

   「よい企業にはよい得意先がつき、悪い企業には悪い得意先がつく」といわれるが、
   新規開拓を行いながら魅力のある企業づくりを進めなければならない。

   また、「価格で取った得意先は、価格で取り返される」ので、商品価格を下げて新規開拓
   を行うことは邪道であって好ましいことではない。

   新規開拓を真剣に行うなら、企業の経営陣も乗り出さなければならない。

   新規開拓のための組織図にも顔を出していて当然である。

   経営陣が真剣に取り組めば、幹部も真剣にならざるを得ない。

   そうすれば、営業担当者・営業マンもやらざるを得なくなる。

   新規開拓は、全社的に計画的・継続的に行えば必ずうまくいく。

   大切なのは、全社の力を結集させて外へ向けることです。

  □競争力を高めて新規開拓を成功させる

   営業マン・営業担当者が訪問し、「ぜひ、当社とお取引いただけませんか?

   よろしくお願いいたします」と、言った場合、「急に取引してくれといわれても困るな。
   しかし、うちの会社にとって何かメリットがあるなら、考えないでもないがね」と、言う
   のが一般的です。

   多くの中小企業にとって、少しでも売上高を大きくしたい、1円でも多く利益が欲しいと
   願っているのです。

   現在の仕入先よりもプラスの効果があるなら、新しい仕入先を増やすか、条件によっては
   入れ替えを行ってもよいということである。

   現在の仕入先と比較して何もメリットがないのならば、何回、訪問しても取引はして
   くません。

   そこで、手っ取り早いのは商品を安く売ることだが、ライバルも対抗して値段を下げて
   きたらどうなるでしょう。

   価格競争に拍車がかかり、下手をすると赤字を垂れ流し、最悪のときは倒産につながり
   かねません。

   それを避けるには、自社の強み・特長を伸ばし、競争力を高めるしかありません。

   それでは、会社の競争力としての強み・特長はいくつあれば、見込先に提示した場合、
   効果に結びつくのでしょう? 

   一般に、3つ以上になると力を発揮します。

   1つか2つでは威力を発揮しないと思ってよいでしょう。

   新規開拓の見込先の業種・業態によって、こちらが提示する特長の内容を多少変えなけ
   ればならないので、最低5つぐらいは用意しておく必要があります。

   社内で、営業関係者が集まってつくるとよいでしょう。

   営業担当者・営業マンが納得したものでなければ、実践で使うことは難しいでしょう。

   努力も準備も無くして、新規開拓は成功しません。

   新規開拓は、同業他社以上に知恵を絞り努力して、企業として競争力を持てるかどうかに
   かかっているのです。

  □訪問実績をきちんと記入(行動計画)して継続していく

   新規開拓は、1〜2回の訪問で結果が出るものではない。

   1回の訪問で成功することもあるが、それは、例外と考えておくべきです。

   では、初回訪問で取引が始まるケースの中身を考えてみよう。

   通常、どんな会社でも仕入先を持っているし、決まっている。

   それなのに、もし1回の訪問で「取引しましょう」と言われたら、あなたの会社が素晴ら
   しい会社で、相手の会社は以前から、取引したかったのです。

   そしてもう1つのケースは、相手の経営内容が悪くなって、従来の仕入先から見放されて
   いた場合です。

   「ああ、ちょうど、いいところへ来てくれた。さっそくお願いします」などと言われて、
   大量に仕入れて、翌月には倒産されたのではたまったものではありません。

   通常は、数回、訪問して新規に取引をしてもらえるのが一般的です。

   場合によっては、2年、3年かかることも珍しいことではありません。

   見込先が、大企業や官庁関係なら、初めから3年くらいはかかると思っておいたほうがい
   いでしょう。

   せっかく見込み客開拓をしていても見込先を管理しなくては、忙しさにかまけて忘れてし
   まいます。

   見込み先カードに記入しておくことで、いつ、誰がカードを見ても状況がつかめるように
   しておきます。

   新規開拓は、営業担当者・営業だけではなく、いつ、誰が見てもわかるようにしておか
   なければならない。

   一般的に中小企業は「売り」に弱いと言われています。

   従来と同じことをしていると、従来以上の数字は上がらないということを認識すること
   です。

   それは困るという企業は、従来のどこを変えるか、従来のどこを新しくするかという2つの
   対策を打ち出すことです。

   既存客だけを相手にした営業では、売上は伸びないどころか、減少する可能性が高くな
   ります。

   変化の激しい時代には、自社の顧客先を見直し、これから成長する新規の得意先の
   開拓と育成が不可欠となります。

   会社は、個々の営業担当者・営業マンに依存した営業体質から脱却するためにも、
   組織的な営業活動が展開できる環境と仕組みを作ることが重要となります。

  個人情報 

   新規開拓見込先カードなどを作成する場合、訪問先から頂いた名前・住所・電話番号
   ・メールアドレス等の顧客情報を、発送業務や連絡以外には一切利用せず、いかなる
   外部に対しても漏らさないことが大切です。

   個人情報の扱いについてはもちろんのこと、新規開拓には企業の信用を保つための
   全社的な徹底した情報管理が求められています。

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