既存顧客の深耕
 

  ■ワンツーワンマーケテイング

   厳しい経済環境の中で、企業にとって新規顧客の開拓が重要なのは言うまでも
   ありません。

   しかし、それ以上に注力しなくてはならないのが、既存顧客の掘り起こしです。

   売り上げの減少のなかでも深刻なのが、既存顧客数の減少や顧客一人当たりの
   売り上げの減少です。

   既存顧客に対して何の手も打たないと、固定客はやがて休眠客となり、最終的に
   は「死滅客」となってしまう。

   顧客を捉えたら、その目や耳を自社に向けさせるための工夫を怠らず、継続して
   商品やサービスを売り続ける努力をすべきです。

   新聞の折り込み広告など不特定多数に向けたマーケティング戦略をマス・マーケ
   ティングと言います。

   過去にはこの手法は新規顧客の開拓に一定の役割を果たしてきました。

   それに対して近年、顧客一人ひとりの顔(属性)に応じたマーケティング手法が注
   目されている。

   「ワンツーワン・マーケティング」と呼ばれ、この分野の先進国である米国では広く
   定着している手法です。

   個人名の明記されたダイレクトメールをご覧になったことがあると思います。

   「○○様に3割引きで販売します」といった類の文面です。

   これがワンツーワン・マーケティングの一例です。

   ダイレクトメールを、ターゲットとなる消費者に絞り込んで送付するため、ヒット率
   は飛躍的に向上します。

   しかも、消費者から見ると「自分だけに届いた」という印象を強く受けるので、その
   広告が目に止まる可能性自体も向上します。

   半面、ワンツーワン・マーケティングでは、顧客の顔がある程度見えていないと有
   効な手は打てません。

   例えば百貨店では、外商部門などでなら見込み客の情報も入手できますが、店
   頭部門では難しいでしょう。

   既存顧客の“活性化”にワンツーワン・マーケティングが使われることが多いのは
   このためです。

   1.顧客情報の収集・管理
     まず最初に販売の記録をデータベース化することから始めて下さい。

     「誰が」「いつ」「どこの売場で」「なにを」「いくつ」買ったかという情報が
     すべての基本です。

     しかし、営業部門にだけ依存していては有効なデータベースは作れません。

     自社と顧客の接点のあらゆる場面に目を向ける姿勢が大切です。

     自社の営業部門だけでなく保守や配送など、さまざまな場面で日常的に顧客
     と接しています。

     これらすべての部門で情報の入手とメンテナンスを行う仕組みづくりが重要な
     のです。

     顧客の数は膨大ですし、その顧客データは日々刻々と変化しています。

     手作業によるメンテナンスでは到底追いつきません。

     ワンツーワン・マーケティングを実践する多くの企業で、営業情報の管理にコ
     ンピューターを使い、データベースを駆使しているのは、データの入力、加工を
     スピーディーにこなすためなのです。  

     マス・マーケティングからワンツーワン・マーケティングに移行して大成功を納
     めたのが、宅配ピザ・チェーンのドミノピザです。

     ドミノピザでピザを注文すると、最初に電話番号を聞かれます。

     この電話番号がキーとなっており、一度ピザを頼んだことがあれば、住所や氏
     名などの顧客データが即時に店側のパソコンに表示されます。

     それだけではありません。

     同社ではこのシステムをさらに発展させ、過去1年間に、その顧客がいつ、ど
     の商品を注文したかという情報もデータベース化しており、注文時に確認でき
     るのです。

     さらに顧客が単身者か家庭持ちかというデータも入力されています。

     もちろん注文を受けたときの電話口では、そんなことは聞きません。

     配達を担当するドライバーが玄関口で目で確かめているのです。

   2.収集した顧客情報の活用法
     ドミノピザの応用例は、顧客の消費パターンに合わせた割引チケットの発行。

     顧客が「シーフードスペシャル」というピザを2週間に1回1枚ずつ注文している
     とします。

     データベースにはその顧客が家族持ちであることも入力されている。

     顧客から電話が入り、注文内容をパソコンに入力すると、その顧客専用の割
     引チケットがプリンターから打ち出されるのです。

     例えば、その内容は「シーフードスペシャルを2枚同時に注文すれば10%割
     引き。有効期間は10日間」。

     このチケットには、ピザの注文枚数を1枚から2枚に増やすこと(客単価アッ
     プ)と、次回の注文を2週間後から10日以内に短縮すること(注文頻度向上)
     の2つの狙いがあるわけです。

     同じチケットを大量に印刷し、近隣の家庭に配ったケースを考えてみます。

     ある家庭はシーフードのピザより肉のピザを好むかもしれませんし、別の家庭
     は一人暮らしで1度に2枚ものピザを食べられないかもしれません。

     そもそも、その家庭がピザを食べるのかどうかも分からないのです。

     顧客の顔をデータベース化することで、営業の効率が飛躍的に向上すること
     はおわかり頂けるでしょう。

   3.新規顧客の開拓などへの応用
     顧客の購買行動のパターンは、「顧客の顔」を知るためにもっとも効率の良い
     情報ではありますが、それは顧客情報のすべてではありません。

     営業マンにとって、たとえ営業が見込み段階であっても、先方の会社概要や商
     談の決済者、競合情報、予算枠、スケジュールなど有益な顧客情報は無数に
     あります。

     これらはすべて蓄積すべき情報なのです。

     見込み客からの問い合わせが担当者の不在時にあるかもしれません。

     同僚が商談に役に立つ情報を持っているかもしれません。

     取引が成立した後、顧客をスムースに担当セクションに引き継がなければい
     けません。

     こうしたときに蓄積した顧客情報は必ず役に立つはずです。

     「勘」と「経験」「根性」の3Kで営業マンが勝負できたのは、情報不足の時代の
     過去の話です。

     それに比べて今は、情報過多、人材不足の時代です。

     そういう時代であるからこそ、優秀な営業マンの情報を共有するシステムを作
     り、見込み客を含む個々の顧客に最適な提案をすることが重要なのです。

     そうしてできた営業システムは、その商戦で勝ち抜く武器になるだけにとどまら
     ない。

     自社の営業力全体をレベルアップすることにもつながるのです。


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