売れる営業


  ■KDDやGNP

   あなたは買い手側から「これ高いから、もっと安くならない」と言われたら、どのように
   答えますか。

   どのように打開(応酬)するかについて、今でも多くがKDDやGNPで対応するよう
   です。

   KDDとは「勘・度胸・出たとこ勝負」、GNPは「義理・人情・プレゼント」のことを言
   います。

   相当のベテランセールスでも、このスタイルが多いようです。

   プロのセールスパーソンとしては、完壁な答えを用意しておかねばなりません。

   そして相手を納得させることで、購入してもらうことです。

   客の断り文句や反論にうまく対応して、クローズまで持っていく技術を身につけねば
   なりません。

   誰でも値段を下げれば簡単に売れます。

   価格を下げずに、適正な利潤を確保して売るのが腕のみせどころです。

  □価格に対する断り文句

   買い手側の断り文句のなかでも「そんなお金がない」、「ウチには必要ない」、「商品が
   気に入らない」などがあります。

   中でも特に、セールスパーソンがぶつかる最大の壁と言えるのは、価格に関する断り
   文句でしょう。

   見積書を見せたら、お客様は当然のように「高いね」という断り文句を言ってきます。

   しかし、ここで重要なのは、「高いね」という言葉の真に隠れているお客様の心理
   です。

   「高いね」という断り文句は、本当にお金がなくて高いと思っているのか、それともただ
   断る理由として言っているだけなのかという、お客様の言葉の真に隠れている本音を
   知る必要があるのです。

   では、本音を見抜くために、ここで価格に関する、よくある断り文句を見てみましょう。

   ◎価格に対する断り文句

     ・「お金がないんで」

     ・「高いね、もっとまけてよ」

     ・「他社のほうが安いから」

     ・「余裕がないんだよ」

     ・「ランニングコスト(経費)がかかりすぎるから」

     ・「○○円以下なら考えるけど、○○円しか予算がないんだ」

     ・「もっと安ければ考えるよ」

    大体この7つくらいではないでしょうか。

    共通するのは、「お金がない」ということです。

    ところで、「お金がない」、あるいは「高い」とはどういう意味なのでしょうか。

    「高い」と言う根拠は絶対の事実ではなく、今の時点のお客様の意見、お客様の
    見方でしかありません。

    しかも、買い手は値下げさせようと意図的に嘘をつく可能性もあります。

    アメリカの伝説のセールスマンと言われたフランク・ベトガー(著:私はどうして販
    売外交に成功したか)は次のように言っています。

    「お客様の断りの62%はウソである」、真実の断りは38%にすぎないと断言して
    いる。

    実に、断りの半分以上はウソだと言っているのです。

    一方、お客様は今の時点で、あなたの商品やサービスのよさをわかっていない 
    ために、「高い」と言っているのかもしれません。

    まけさせようとして「高い」と言っているのでしょう。

    ということは、セールスパーソンは辛抱強く会社、商品、サービスのよさをお客様に
    伝え続けなければなりません。

    そして、よさをわかってもらう必要があります。

    お客様の言う「高いね」の意味は、

     ①その商品は値段ほどの価値がない 

     ②他社と比べて高い 

     ③その値段では払いきれない

    というものです。

    つまり、そのときの感覚で言っているにすぎないのです。

    絶対的に高いという意味ではないのです。

    この商品と全く同じ品質のものを、同じ条件で日本中の他の業者から見積もりを
    出させて比較して、「君のところが一番高い」と言うのであれば、これは本当に高
    いことになるかもしれません。

    しかし、日本中の業者から見積もりを取ることなどしていないでしょうし、ただ
    フィーリングで高いとコメントをしているのです。

    つまり、高いとは、お客様の主観的な判断にすぎません。

    しかし、お客様から、「高い、まけろ」と言われると、セールスパーソンは絶対的
    に高いものだと思い込んでしまいます。

    値段を下げれば誰でも簡単に売れますが、これではいけません。

    適正価格で売るのがセールスパーソンの使命であり、価格を下げずに売り込む
    のが、プロの力の見せどころです。

    そこで、セールスパーソンであるあなたは、こうしたお客様との価格交渉を効率
    的に進めるために、断り文句に対する答えを事前に考え、準備しておく必要が
    あります。

  □お客様の真のニーズ

   価格はお客様のニーズが決める。

   ですから、セールスパーソンは根気よく、商品やサービスがお客様のニーズを満たす
   ということを説明し、納得してもらわなければなりません。

   成功するまで(お客様が納得し、購入に至るまで)、違うやり方で(訪問したり、
   メールを出したり、時にはパンフレットや業界情報を持参するなどして)、やり続け
   る(決してあきらめないで、何度でも行う)ことです。

   そこで、お客様の真のニーズは何か、ということになります。

   一般的に、価格、性能、品質、経済性、簡便さ、耐久性、納期、デザイン、色、サイズ
   などがニーズとされています。

   別の言葉でいえば、お客様の“主要関心事”ということになりますが、果たして本当の
   ニーズでしょうか。

   ニーズには2種類あります。

   1つはこの主要関心事であり、表面に現れている理性的な分野についての(顕在)
   ニーズです。

   もう1つは、感情的な部分のニーズです。

   人間は感情の動物と言われています。

   感情的な満足感を求めているのです。

   自己の幸せ、達成感、相手からの評価、名声、出世、仕事上の成功などのニーズ
   です。

   つまり、お客様の求めている感情的(潜在的)ニーズである購買動機は、このよう
    な精神的な満足のことです。

   では、どうすればお客様のニーズを知ることができるのでしょうか?

   それは聞くことです。

   答えはお客様が持っているわけですから、聞けばよいのです。

   優秀なセールスパーソンは聞き上手、質問上手なのです。

   あなたはセールスパーソンとして、徹底的に聞き役になり、お客様の2つのニーズを
   確かめ、あなたの商品やサービスを買うことによって、これらのニーズが満たされ、
   満足が得られることを強調するのです。

  □価格交渉を進めるためのステップ

   1.プラン(Plan)

     交渉の前に計画を立てる。

     よく「段取り八分(事前準備)」と言われるように、事前に周到な計画を立てて
     交渉にあたるべきです。

     「経験からいって、まあ何とかなるだろう」「あとは現場対応で何とかします」で
     はいけない。

     お客様との交渉を甘く見てはいけません。

     交渉の場は真剣勝負です。

     相手も自らの生活をかけて交渉にあたるのですから、こちらとしてもいい加減
     な対応はできません。

     しっかりとした交渉プランを立て、十分な準備をして交渉にあたってください。

     例えば、お客様の断り文句に対する応酬話法を事前に用意し、ロープレなど
     で普段から練習しておくことです。

     そうすることによって自信を持って事にあたることができます。

     仮に想定していなかった断り文句が返ってきたとしても、応用力を利かせて何
     とか乗り切ることができます。

     セールスパーソンとして、お客様と価格交渉を始める第一歩は「計画を立て
     る」「事前準備をする」ということです。

     このことは、しっかりと頭の中に入れておいてください。

   2.エンカウンター(Encounter)

     よい人間関係がなければ交渉はうまくいきません。

     当事者同士が出会い、交渉の雰囲気作りを行い、よりよい人間関係を作り上
     げるということです。

     私たちは知らない人とどんなによい条件でも取り引きしたくないのです。

     つまり、価格交渉に先立つよい人間関係作り、雰囲気作り、これがとても重要
     なのです。

   3.アグリーメント(Agreement):折衝して合意する

     ここからが交渉スタートです。

     話し合い、軌道修正、譲歩、妥協といった具体的な交渉のテクニックを駆使す
     るわけです。

     事前に練習してきた応酬話法を使って、お客様の断り文句を受け、話し合いを 
     進めるのです。

   4.リレーションシップ(Relationship)

     セールスパーソンの仕事は、事前に計画を立て、お客とのよい関係を構築し、
     そして交渉に臨んで価格を決定する、それだけではありません。

     交渉後の実行、契約の履行、相互のよい関係の持続も大変重要な仕事です。

     「その後、エアコンの調子はいかがですか?」「今度新しい洗濯機が発売にな
     りました。買い換えはいかがですか?」

     こうしてお客様のアフターフォローを行い、次の交渉に備えます。

     価格交渉は、4つのステップを永続的に繰り返していくことを言います。

  □値上げ交渉を上手に進める

   最後に、長く営業活動をしていると、モノを売り込む、という活動だけでなく、納入価格
   を上げていただくという、いわゆる「値上げ交渉」も必要なときがあります。

   セールスパーソンにとって、お客様に値上げをお願いする仕事ほど骨の折れることは
   ありません。

   できれば避けたいと思う、とても厳しい交渉です。

   そこで、スムーズな値上げを実現するためには、相手に納得してもらえるだけの 
   「大義名分」が必要となります。

   例えば、原油高、通貨高による原料高、全般的な人件費の高騰、海外でのストライキ
   など、こうした理由なら、取引先も理解を示してくれる可能性が高いのです。

   「前年から続いている円安によって、わが社の生産コストは10%も上昇してしま
   いました。生産性の向上や、経費の削減、賃金のカットなど、考えられるあらゆる
   手段を講じて対処してきましたが、コスト上昇分をすべて補うことはできていない
   のが現状です。
   かといって、商品の品質を落とすことはできません。それこそお客様にご迷惑をお
   かけすることになります」と言って、円安に対するこれまでの取り組みを説明しま
   す。そして、値上げのお願いをするのです。「そこで、ご相談です。わが社もこれま
   で以上の経営努力を行っていく覚悟ですが、それだけではこの難局を乗り切るこ
   とができません。ぜひ、御社には5%の値上げにご協力いただけませんでしょう
   か」。取引の打ち切りを恐れてビクビクするより、「事業を安定して続けるために
   は、値上げは必要」と自信を持って切り出すことが得策です。

   大義名分があれば、必ず成功するわけではありません。

   相手にとっても、値上げに応じることは自社の大事な利益を減らすことにつながるから
   です。

   値上げ交渉を有利に進めるためには、事前準備を重ねることです。

   その準備の1つとして、綿密な想定問答を用意し、交渉の模様を実際にシミュレー
   ションすることです。

   そうすることで、交換条件を持ちかけるチャンスがやってきます。

   交換条件というのは、保証期間の延長や分割払いに応じるなど、金銭以外のサー
   ビスを提供することです。

   買い手は、値上げ要求だけでは受け入れにくいものですが、有利な交換条件が提示
   されれば、値上げを了承する大義名分になります。

   上司や社長に説明しやすくなるからです。

   「先方が値上げをしたいと言ってきたので、受けました」では、相手の言いなりに
   なった印象しか与えませんが、一方、「値上げはやむをえないと思います。

   ただし、交渉を重ね、保証期間を1年間延長させました」と言えるような交換条件を
   出せば、交渉が円滑に進みやすいでしょう。

   このように、相手から納得を得られるのがポイントですが、交換条件として提供できる
   新たなメリットとしては、以下を使ってアプローチるとよいでしょう。

    ・Quality(品質)

     基本は、値上げと同時に品質向上を打ち出すことです。
     製品のモデルチェンジを実施し、性能をアップしたり、新規機能を追加したりし 
     ます。
     サービス提供の場合は、新たなメニューを加えてもよいでしょう。

    ・Service(サービス)

     モデルチェンジが難しい場合はサポート・サービスの向上を考えます。
     製品を売るだけでなく、使い方を丁寧に教える窓口を用意するのもよいでしょ
     う。

    ・Condition(条件)

     それも難しい場合は、条件面で相手に譲歩することを考えます。
     代金の分割払いを認めたり、通常より短期間で納めたりすることがこれにあた
     ります。

    ・Sales Person(営業担当者)

     最後は、担当者同士の知恵比べになります。普段はセールスに同行しない開
     発担当者に新機能のメリットを詳しく説明してもらうなど、それまでと違う深み
     のある情報をプラスして相手の納得感を引き出すのも効果的です。

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