従業員満足の向上策

  顧客満足(CS)の前に従業員満足(ES)
   顧客と接する従業員が満足していなければ、顧客に真の満足を与えることはできません。
   経営者・責任者がいくら顧客満足の重要性を唱えたとしても、顧客と実際に接する
   従業員にその意志が理解されていなければ、顧客満足の向上は実現しません。
   そのためには、従業員が仕事に意欲的に取り組む環境を整備し、従業員満足を高める
   必要があります。

   それでは、従業員にとっての満足とはどのようなものでしょうか。
   例えば、ある従業員にとっては「給料が高い」という金銭的な満足が大きなウエイト
   を占め、別の従業員にとっては、「仕事にやりがいを感じる」といった仕事の
   やりがいの満足が大きいかもしれません。

   このほかにも「経営者が優れているので、会社の将来性がある」といった企業経営
   や経営者に対する満足や、「人間関係がよいためストレスを感じない」といった
   人間関係面の満足もあるでしょう。


  社長の思いを伝える

   1.給与明細の社長メッセージ
     トップのメッセージを社員に伝える方法として、給与明細に「社長メッセージ」
     を入れる企業は多いようです。

     社内報などの出版物がなくても、定期的かつ確実に社員の手元に届けられる
     ので、非常に有効なコミュニケーションツールです。

     その際に注意すべき点をいくつか紹介します。

     (1)常に感謝の気持ちを表す

        経営とは、「トップの思いを、働く人の協力を得て達成すること」である。

        経営者だけ、あるいは社員だけで会社は成り立たない。

        常に、自社で働いてもらえる感謝のスタンスを忘れないようにする。

     (2)「社員の家族が見る」ことを念頭に置く
        社員の家族は普段、会社の様子を知ることが難しい。

        給与明細にメッセージが添付されれば、家族の目にも留まりやすい。

        会社の様子や、社員や家族への感謝の言葉があれば、会社への
        信頼感が高まるでしょう。

     (3)ビジョンや方針の達成度合い・業績について触れる
        会社が将来に向けてやろうとしていることと、進捗度合いを(差し支え
        ない範囲で)示すことで、現状を共有します。

     (4)景況感を盛り込む
        外部環境の概況を記しておくと、いわゆる緊急時の対策(例えば、急な
        増産への協力や、一時的な生産ラインの休止など)にも理解を得やすく
        なります。

     (5)頑張った社員を褒める
        全社的な貢献をしてくれた社員を、折りに触れて褒める。

        社員のモチベーション向上策や、良い事例の共有化となります。
 
     (6)自分のプライベートを書く
        トップへの親しみが高まり、日常会話が弾むことにつながります。

        特別なことを書く必要はなく、「休日に何をした」などの趣味レベル
        でも十分に効果があります。


   社長メッセージは簡単に始められ、コストがかからず効果も高い。

   メッセージを入れていない社長は、この方法の採用をお勧めします。

  □古くて新しい「社内報」
   「社内活性化プロジェクト」の近年の傾向として、あらためて社内報を導入する事
   例がよく見受けられます。

   特に、複数の拠点がある会社などで、良い効果を発揮しているので紹介します。

   「社内の課題」というテーマでディスカッションを行うと、必ず「ほかの拠点でやって
   いることが見えず、多くのムダが見られる」という意見が上がってくる。

   各拠点の情報の共有化は古くて新しいテーマだが、社内報(社内新聞)といった 

   アナログな手段の導入も、検討の余地があると思われます。

   電子メールや社内ネットワーク環境は充実してきているものの、給与明細に入れ
   るトップメッセージと同様、紙媒体が伝える価値は高い。

   頻度としては月1回。

   ボリュームは、A3判で1枚程度が適量で、これをカラーコピーして、全社員に配布

   する。

   構成としては次のコンテンツが挙げられる。

    (1)トップコメント

      これは、社長でなくとも構いません。

      後継社長が発行責任者となり、自分の考えを社員に発信するツールとしても
      有効です。

      また、社内活性化プロジェクトからスタートした企画の場合、プロジェクトメン
      バーが交替で書く場合もあります。

    (2)業績短信

      業績や年度方針の進捗を記載する。

      全社的に知っておく情報を定期的に意
      識させることに役立つ。

    (3)拠点だより

      拠点の業績や取り組み具合、成功事例、クレームなどの注意事項を記載。

      拠点長の一言コメントを載せる会社もある。

    (4)全社共有化事項

      ここでは「社員が喜ぶ」ことを中心に、内容を検討することが効果的。

      経営目的に向けて頑張った社員、業績を残した社員だけでなく、ちょっとした
      気遣いができた事例や誕生日、在社歴(10年在社)など、人を喜ばせようと
      思えばネタはいくらでも見つかる。

    (5)個人の発表の場

      最近読んで面白かった本や自分の趣味など、社員個人をクローズアップす
      る場を設ける。

      この運営において大事なのは、3カ月先行で手配・依頼することである。

      情報は常に1〜2カ月分ストックできれば、安心して社内報を発行することが
      可能。

      これらを基本としながら、詳細内容や運用については、できれば総務部門の

      社員に任せるのがよいでしょう。

      総務部門は「社内活性化」が業務目的の一つだからです。

      主体的に総務部門の社員ができるようになれば、人材育成としての効果も
      高まってくる。

      紙だからと言って軽視せず、この古くて新しい手法に挑戦していただきたい。

  □従業員満足度(ES)
   製造業のA社は社員数約50名の企業である。

   特筆すべきは、A社の社長室の隣に「子ども用の教室」があることだ。

   社長にその理由を聞くと、社員の子どものための部屋だと言う。

   例えば、日曜日に運動会など学校のイベントがあると、子どもは月曜日が振替休
   日となる。

   だが共働きの場合、子どもは夕方まで1人で留守番をしなくてはならない。

   そこで、子ども連れで出勤できるように社長が計らい、それが転じて「教室」になっ
   たのだという。

   もちろん毎日子どもが在室しているわけではなく、言わば緊急措置的な場所とし
   て活用されているとのこと。

   部屋はもともとオフィスだから、特別な設備は何もない。

   しかし、子どもが喜びそうな絵が貼ってあり、社員が自宅から持ち寄った知育玩
   具や絵本が置いてある。

   子どもの相手を担当する社員がいるわけではなく、仕事の手が空いた人が宿題
   を見るなど相手をしてあげている。

   そして時には社長が手を引いて、工場で働く親の姿を見せに行くこともある。

   この教室のおかげで、社員は安心して働くことができるし、子どもは親の職場や
   働く姿を見て、会社にも親近感が増す。

   手作りで温かみがあるこの試みは好評で、社員の自慢の一つにもなっている。

   社長は「うちは余分な金もないし規模も大きくないが、何か社員の役に立ちたいと

   思ってやったことが評価されてうれしい」と語る。

   そのままマネをする必要はないが、A社の社長の言葉から学ぶべき点は多い。

  □顧客満足度(CS)手当
   特異な例であるが、会社が求める社員の行動特性と社員個人の給与を密接にリ
   ンクさせた事例を紹介する。

   B社は、技術系の社員を大手企業に派遣する会社である。

   普段からトップは、「顧客満足度が業績の重点ポイント」と言い続けていたが、残
   念ながら社員の行動を変革するまでには至っていなかった。

   そこで、トップは暫定的に「顧客満足度手当」を支給することに決めた。

   すなわち、顧客満足が高く、ほかの社員のモデルになると判断した社員には、そ
   のレベルに合わせて手当を支給するようにしたのです。

   これに社員が敏感に反応し、「どうしたら私もその手当がもらえるのですか?」と
   いう問い合わせが総務部に殺到した。

   感性的な評価が多分にある領域であり、厳密に公正な評価はできないが、B社は

   次のルールで運用した。

    (1)全員の意識を統一するために、3年間の期間限定で行う

    (2)対象者は、「業務に対する顧客の評価が高く、新規受注、あるいは
      リピート受注につながる成果を出した者」、または「行動特性が特別に
      ほかの社員のモデルとなる者」

    運用上ではいくつか誤解やトラブルが見られたが、結果としてB社の示す方向

    が全社員に共有化され、手当に関する納得性も高まった。

    最終的に、この仕組みは手当ではなく、人事考課の加点として評価制度に組み
    込まれた。

    制度自体の是非は別として、「会社がしてほしいことをすれば給与が上がる」と

     いうストレートな仕組みへの社員の納得度、満足度は予想以上に高かった。

    この制度そのものをマネすべきだとは言わないが、社員との意思疎通という意

    味において気付きの多い例である。

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