総務の役割

 

  ■総務のコスト意識

   経営の改善を考えるとき、社長は売上を上げることのみ考えてしまう傾向があり
   ます。

   しかし、それと同じくらいに経費を下げる努力が必要です。
   会社が消費している費用を一つひとつ見直して、いかに効率よく、いかにお金の
   かからないものにするか。

   その小さな積み重ねが大きな金額となって返ってきます。

   会社のなかで高いコスト意識をもつべき部門が総務です。

   自社の総務部門のコスト意識はどうだろうか。

   コスト意識をチェックリストで再確認してみましょう。

    1.いまはインターネットでいろいろな情報が得られる時代です。
     インターネットを使って複数の企業間で価格の比較をすることは、有効なコスト
     削減策です。また、インターネットでの購入に切り替えるということも検討して
     みる。

    2.メール便は、上手に使えば、コスト削減にかなり有効です。宅配便の利用頻  
     度が高い場合は、単価を下げてもらうことや引取手数料をサービスしてもらう 
     など宅配業者に交渉をすることも検討してみる。

    3.かなりの金額をかけて名の通った求人雑誌に出しているものの、なかなか効 
     果があがらないという会社が見受けられます。
     無料の媒体を使ったとしても、ピーアールの仕方や、求職者へのアプローチの
     方法(先輩社員のコメントを載せたり、仕事の内容をわかりやすく紹介したりす
     るなど)を工夫することで、効果を上げることは可能です。

    4.運転の仕方で、燃費はかわります。
     エコドライブについて勉強会をするなど、社員の意識を高めましょう。
     上手に節約できた社員は、表彰するなどのイベント性をもたせることも効果的
     です。

    5.通信費の料金プランは、頻繁にかわっています。
     定期的に見直し、自社の使い方にあったプランにしておくことがコスト削減に効
     いてきます。

    6.インターネットバンキングは、事務所にいながらにして、振込を行えますの
     で、時間の節約にもなります。
     同じ銀行の支店間なら手数料が無料となる銀行もあるので、比較検討してみ 
     る。

    7.純正品にかえて、リサイクル品をつかうことはコストダウンに有効です。
     小さな努力の積み重ねが大切です。

    8.すすめられるままにあまり必要のない保険に入っているケースも少なくありま
     せん。
     自社にとって本当に必要な保険なのか、慎重に見直すことが大切です。

    9.作業導線を工夫することで、効率的な作業ができるようにしておきましょう。

    10.助成金は、一定の要件をクリアできれば、返還不要の非常に有利な制度。
     利用できるものがないか、専門家に相談してみることもお勧めします。

   この厳しい時代を生き抜きくためには次の2つの方向から検討する必要があります。

    1.売上を伸ばす

    2.支出を減らす

   もし売上を伸ばすことが難しい状況であるのならば、徹底したコストダウンを行わなく
   てはならない。

   ただし、思いつきのコストダウン活動ではかえって社内のモラールを下げてしまいます。

   成功させるためにも、総務部等が中心となり全社的な活動として盛り上げることが
   大切です。

   判定テストや下記項目について、自社でのコストダウンが可能かどうか、ぜひ検討
   してみてください。

    (1)社内の通信費(とくに電話代)、交通費、印刷費など

    (2)正社員の採用から、派遣社員への転換

    (3)社員教育の方法

    (4)営業・販売促進体制

    (5)書類管理の方法

    (6)給与の諸手当や役員報酬

    (7)退職金準備のための保険

    (8)設備投資、固定費

   会社組織のなかで、総務・人事・労務の分野は、間接部門であり、利益を生み出す

   部門ではありません。

   しかし、会社運営を行っていくうえでこの分野の業務は欠かせないものです。

   大企業では、総務部の中にも庶務課が存在したり、人事部には、労務担当、教育研修
   担当、採用担当など、業務が細分化され、業務体系や運用のシステムなども整備され
   ています。

   大企業のように、専属のスタッフを確保することが難しい中小企業では、限られた
   人材でこれらの業務をこなしていかなければなりません。

   複雑な内容の仕事を数人、あるいは1人の担当者が兼任しているのが実情ではないで
   しょうか。

   特に今、コンプライアンスの遵守が重要視されており、労働法関連においては、著しい
   改正が繰り返されています。

   また労使の紛争も増加の一途をたどっています。

   こういったことへの対応は、大企業であろうが中小企業であろうが変わることはありま
   せん。

   ますます、総務、人事、労務部門の担当者の負担は増えていくでしょう。

  ■総務の役割

   総務の仕事は、会社にとって影の力となるものです。

   現場の業務がスムーズに遂行されるためのサポートや会社を代表する役割もあり
   ます。

   また、時には法務的な役割も課されることがあります。

   総務部門は、直接利益を生み出す部署ではありませんが、管理業務を行う重要な
   部署なのです。

   また、会社の経営トップと非常に近い位置にありますので、経営に関連した業務も
   手がけます。

   特にコロナ禍における総務の役割は大きくなっており、様々な業務で改善が必要です。

   たとえば、採用、顧客データ、会議、各種社内規程の策定と見直し、整備、オフィスの
   移転・レイアウト、各種コスト削減、社内行事の運営、職場の安全対策、社員の
   健康管理、各種資産管理など挙げたらきりがありません。

   コロナ後の社内体制の整備を今から始めましょう。


  情報管理
   日々の業務の中で取り扱う膨大な情報を効率的に管理するのも総務の仕事です。

   上手にパソコンを活用しましょう。

   今では、情報の管理にパソコンの活用は不可欠です。

   膨大な情報データを管理し、必要なものを必要なときに検索でき、取り出せるように工夫
   します。

   ○取引先の名簿の管理と更新
    取引先である得意先や業者、所属団体などの情報をまとめて名簿にします。

    管理する情報は、会社名や所在地、部署、担当者、連絡先はもとより、業種や
    取扱商品、社内の担当、顧客・仕入先などを網羅しましょう。

    整理された情報は、社内の誰もが活用できるようなシステムを整備し、必要なと
    きに活用できるようにしましょう。

    社内サーバーにデータを格納することにより、社内の人が誰でもいつでも閲覧
    できるようになります。

    また、取引先の情報は適宜更新しましょう。

    得意先の担当者が部長に昇格しているのに、課長の宛名のまま書類を送付し
    てしまったといったことにならないためにも、随時更新し、いつも最新の状態にし
    ておくことがポイントです。

    データ管理の担当者を決めておき、毎月一定の時期に必ずチェック・更新を行う
    ようにしておくとよいでしょう。

   ●備品・消耗品管理

    日々の兼務で必事な備品や消耗品の調達、管理は総務の重要な仕事です。

    ○少額備品と高額備品
     備品といってもいろいろな種類がありますが、大きく2つに分類されます。

     筆記用具やコピー用紙、文房具など金額が少額なものは、経費で処理するこ
     とになります。

     一方、机、ロッカー、コピー機、パソコンなどの金額が高額なものは固定資産と
     なります。

     固定資産の中でも会社で使用するこれらのものは、減価償却資産としての取
     り扱いとなりますので、購入時から廃棄 まで一貫した管理が必要となります。

     ただし、使用可能期間が1年未満もしくは購入価格が10万円未満のものにつ
     いては、一括償却が可能です。

  □固定資産台帳での管理項目

   ①備品番号 ②製品名 ③メーカー名 ④シリアル番号 ⑤取得価額

   ⑥使用開始年月日 ⑦使用部署 ⑧納入業者など

   固定資産台帳は、単に固定資産の管理のみならず、修理の際などにも役立ちます。

   またこれとともに、該当の備品に台帳と同じ情報を記載したシールを貼り付けておき
   ましょう。

   どの備品がどれに該当するか一目で把握できます。

   ○備品の状況を把握
    備品は、定期的に使用状況を把握しましょう。

    各部門にて廃棄されることもあるので、廃棄の際は、必ず総務へ連絡するという
    ルール決めが必要です。

    廃棄など備品の状況に変更があった場合には、固定資産台帳を改定します。

    廃棄した場合には、①廃棄した日付 ②引取業者 ③売却価額 などを記載し
    ます。

    廃棄業者からは引取証明書や廃棄証明書を発行してもらい保管しましょう。

    パソコン等の廃棄については、情報流出を避けるため、ハードディスクの中身を
    物理的に消去するなどの処置をとった上で廃棄するようにしましょう。

   ○事務用品など消耗品の取扱い
    高額な備品は、購入すれば補充や買換えは頻繁には発生しませんが、事務用
    品などの消耗品は、いざというときにストックがないと、業務に支障をきたしてし
    まいます。

    在庫のチェックは総務の重要な仕事です。

    定期的にチェックを行い、むだな使い方をしていないかも管理しましょう。

    消耗品の管理には、受払帳をつけるとよいでしょう。

    総務でストックを足したときは増加量とその時点での在庫を記載します。

    消耗品を使用したときは帳簿に使用量と部門などの情報を記載してもらいま
    す。

    総務は週に1回など定期的に在庫をチェックし、不足しそうな時期に発注をかけ
    るようにします。

    またこの受払帳は、記録をとることによって、どのような物品がいつごろよく使用
    されるか、またどの部署がどの物品を使用する頻度が高いかなどの傾向を把握
    することにも役立ちます。

  □各種書類(文書)の管理
   対外的取引の際に必要となる書類や契約書等の管理暮チェックを行います。

   ●登記簿謄本と印鑑証明
    会社の戸籍ともいえる「登記簿謄本」、また「実印」と「印鑑証明書」は、会社の
    運営上の様々な場面で必要となりますので、理解しておきましょう。

    ○いろいろな場面で必要
     新規の取引開始のときや銀行口座開設、事務所の賃貸契約のときなどには、
     「登記簿謄本」が必要となります。

     また、他社の登記簿謄本も、取引先の会社の状況を把握するために入手する
     こともあります。

     重要な売買契約や、金融機関から融資を受ける場合などは実印をもって締結
     することが通例です。

     その際、実印であることを証明する「印鑑証明書」の添付が必要となります。

    ○登記簿謄本とは
     登記簿謄本とは、会社の商号、本店所在地、発行株式数、設立年月日、資本
     の額、役員の氏名など会社の基本的な情報が記載されているものです。

     登記簿謄本の交付は、以前は写しが交付されていましたが、現在では、法務
     局の管理がコンピュータ化されたことに伴い、写しではなく証明書が交付され
     るようになっています。

     証明書には、「履歴事項全部証明書」と「現在事項全部証明書」の2種類があ
     り、「現在事項全部証明書」には、抹消された情報など一部の情報は記載され
     ません。

     一般的には「履歴事項全部証明書」を登記簿謄本と呼びます。

    ○実印の使用には「印鑑証明書」を添付
     法人設立の際には、登記所で印鑑登録を行います。

     この登録された印鑑は「実印」として、契約書や重要な書類で使用されます。

     「印鑑証明書」は、その印鑑が実印であることを法務局が証明するものです。

     重要書類に実印を使用した場合には、ほとんどの場合この印鑑証明書の添
     が必要になります。

    ○登記簿謄本、印鑑証明書の交付
     ・登記簿謄本の交付申請
      法人の登記簿謄本は、本店所在地を管轄する登記所で請求しますが、オン
      ライン化によって、管轄外の登記所でも請求ができるようになっています。

      交付の手数料は窓口交付の場合は600円、オンライン請求・送付の場合は
      500円、オンライン請求・窓口交付の場合は480円です。

     ・印鑑証明書の交付申請
      印鑑証明書も登記所で申請します。
      印鑑証明書は本店所在地を管轄する登記所でなければ請求できません。

      請求の際は、印鑑カードを添付します。

      交付の手数料は窓口交付の場合は450円、オンライン請求・送付の場合は  
      410円、オンライン請求・窓口交付の場合は390円です。

      担当者が代表者に代わって請求する場合は、委任状が必要となります。

     ・契約書のチェック
      会社の仕事は、法律に従って行われています。

      中小企業の場合は、規模にもよりますが、独立した法務部門がない企業が
      多いのではないでしょうか。

      そういった場合、法務業務を担うのは総務部門ということになります。

      その中でも契約書は日々いろいろな部門で締結されることになります。

      また継続契約の更新のチェックなども必要になるでしょう。

      時期を決め、毎年、社内の契約書をチェックしましょう。

    ○トラブルを未然に防ぐために、契約書は必要
     ビジネスにおいては、日々様々な取引が発生しています。

     契約は、必ずしも文書でなければならないということはなく、口頭でも成立しま
     す。

     しかし、後々のトラブルを未然に防ぐためにも文書による契約が必要といえま
     す。

     双方が合意した契約の内容を文書にしたものが「契約書」です。

     契約を書面で交わすことによって、契約の履行責任を双方が確認できたり、契
     約の記録を残すことができるなどのメリットがあります。

     あとから挟め事に 発展しないためにも、「契約書」という文書で内容を書面化
     することが重要といえます。

    ○契約書の形式
     契約書の記載内容や書式は特に法律で定められているものではありません。

     「契約書」「同意書」「覚書」など、タイトルにかかわらず内容によって契約書と
     認められます。

     用紙の大きさは特に決まりはありませんが、統一しておくとファイリングなどに
     便利です。

     最近はほとんどがA4サイズで作成されます。

     ・契約の当事者
      当事者が契約締結権限(代表権もしくは代理権)を持つ権利者かどうか、確
      認します。

      相手が法人の場合は、一般に当該会社の執行権を持つ代表取締役や理事
      長などが権利者です。

     ・署名・記名・捺印
      必ず双方の署名・捺印を行います。

      「署名」は自筆のサイン、「記名」はゴム印やワープロなどで記載されたもの
      です。

     ・実印と認印
      契約書に使用する印は、実印でも認印でも問題ありません。

      重要な契約には実印で捺印します。

      実印での捺印の場合は、印鑑証明書の添付を要求されることもあります。

      契約書が複数ページになる場合は、契印を忘れないようにしましょう。

     ・収入印紙
      印紙税法の定めに従い、不動産売買契約書や金銭消費貸借契約書、請負
      契約書などには印紙の貼付が必要です。

      印紙には消印も必要です。

  □契約書に必要な印紙税額
   一般の売買契約書等

    (例:不動産等又は営業の譲渡に関する契約書、土地の賃借権の譲渡に関す
       る契約書、消費貸借に関する契約書、運送に関する契約書 など)

    ※「不動産の譲渡に関する契約書」のうち、平成30年3月31日までに作成され
      るものについては、契約書の作成年月日により、税額が軽減されています。
      平成26年3月31日まで

   ●請負契約書
    (例:工事請負契約書、工事注文請書、広告契約書、映画俳優専属契約書 な
       ど)

    ※「建築工事の請負に関する契約書」のうち、平成30年3月31日までに作成さ
      れるものについては、契約書の作成年月日により、税額が軽減されていま
      す。

      平成26年3月31日まで

   ●継続取引の基本となる契約書 4千円
    (注)契約期間が3ケ月以内で、更新の定めがないものは除かれます。  


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