社員のキャリアプラン
 

  ■キャリアプラン作成の意義

   すべての社長は、自社の社員が仕事・プライベートの両面で幸せな人生を送ってほし
   いと考えているはずです。

   そして、「仕事」についてはできるだけ長く自社でその力を発揮してほしいとも願って
   いるでしょう。

  □まずは真剣に向き合わせる

   キャリアプランとは、「仕事人としてどのように能力を高めていきたいか」、「どのよう
   な経験を積んでいきたいか」などを示す社員の長期的な成長プランをいいます。

   キャリアプランを作成することで、社員は努力の方向性が定まり、自身の将来的な
   社内ポジションをイメージすることができます。

   多くの会社では社員にさまざまな形でキャリアプランを作成させていますが、形式的な
   ものにとどまり、ほとんど成果につながっていないケースも少なくありません。

   社員たちは「自分はこんな能力を高めたい」という漠然とした思いはもっています。

   しかし、その能力をいかして、これからの長いビジネスマン人生をどのように送るの
   か、たとえば、「40歳までに技術力とマネジメントカを鍛えて技術部門のトップになる」
   といった、キ ャリアプランをしっかりともっている社員は少ないと思います。

   そもそも「そんな先のことなんかわからない」、とキャリアプランを作成すること自体が
   無駄だと思っている社員もいるでしょう。

   たしかに10年、20年先のことを今考えたところで、そのとおりに話が進むほうがむし
   ろレアケースです。

   しかし、「10年後にこうなりたい」という目標を決めて臨む今後の3年間と、目標を何も
   定めずに過ごす今後の3年間では、その密度に大きな差が出ることは明らかです。

   当然成長のスピードもまったく違ってくるでしょう。

  □「会社価値」と「市場価値」

   そもそもビジネスマンの成長とは、現在所属している会社における「会社価値」基準
   での成長と、社内外を含めた「市場価値」基準での成長の2つの視点から捉えること
   ができます。

   1.「会社価値」基準での成長

     社内に限定した成長基準です。

     本人の能力そのものの成長よりも、その会社で求められている役割に応えて
     いくための成長が優先されます。

     会社の考え方や慣習もそのまま身につけていく必要があります。

     極端な表現をすれば「会社の型にはまっていくための成長」といえなくもありま
     せん。 

     転職が当たり前の昨今では、社内での成長のみを前提としたキャリアプランは
     社員にとって現実味が薄いかもしれません。

   2.「市場価値」基準での成長

     活躍の場を社外にまで広げた成長基準です。

     一人のビジネスマンとしてこうなりたいという夢の実現に向けた純粋な意味で
     の成長です。

     現在所属している会社はそのための修行の場ということになります。

     社員は「この会社ではもう修行する意味がない」と感じれば転職や独立も選択
     肢として考えます。

     会社が社員にキャリアプラン作成を命じる場合、通常は(1)「会社価値基準で
     の成長」を意図しています。

     仮に社員自身が(2)「市場価値基準での成長」を明確に描いていたとしても、
     たとえば、「5年後には一流の技術力を身につけてこの会社を卒業する」と表
     明できるものではありません。

     キャリアプラン上ではそれを取り繕って、「自社の経営幹部になりたい」と記入
     することもあり得ます。

     その場合、会社はその目標をかなえるために、成長ステップのひとつとして人
     事などのスタッフ職を用意するかもしれません。

     これではキャリアプラン作成は社員と会社双方にとってむしろマイナスになっ
     てしまいます。

  □「本音」のキャリアプラン

   社員の側に立ったキャリアプランとは、現在所属している会社のなかでどのようなキャ
   リアを積んでいくかということに限定されるものではなく、転職や独立も選択肢にあり
   ます。

   つまり、「会社価値基準での成長」よりも「市場価値基準での成長」が優先されます。

   会社として社員にどのようなキャリアを積んでほしいかという会社価値基準を示すこと
   は必要ですが、それ以外のキャリアプランを志向する社員についても、否定せずに
   自由に作成させることが大切です。

   つまり、「会社」のためではなく、「社員自身」のためのキャリアプランづくりを支援す
   るというスタンスで臨むのです。

   そうすることで社員は「この会社は自分の人生について損得抜きで真剣に考えてくれ
   ている」という信頼感を抱きます。

   そんな会社から社員は簡単には離れません。社員のスタンスに立つことが、結果と
   して社員流失の抑止につながります。

   また、「本音」のキャリアプランを聞くことで、優秀な社員に社内で働き続けてもらうた
   めに、会社自体がどのように成長していくべきかを考えることができます。

   彼らの期待に応えるために必要な業務レベル・職場環境・社内ポジション・待遇などに
   ついて明確化していくのです。

  □キャリアプラン作成の意義

   キャリアプラン作成の本当の意義を社員・会社双方の立場からまとめると以下のよう
   になります。

   1.社員にとっての意義

     ・現時点での自分のキャリア目標・成長ステップを「真剣に」考えて明確にする

     ・現在所属している会社の枠にとどまらず、「市場価値」に軸をおいたプランを
      作成する

   2.会社にとっての意義

     ・社員が建前ではなく「本音」で考えているキャリアプランを知ることで、それを
      社内で実現してもらうための会社自体の成長の方向性を明確にする

     ・「会社のため」ではなく、あくまでも「社員自身のため」に作成してもらうとい
      う、社員本位のスタンスを示す

     ・上記のような取り組みによって優秀な社員流出の抑止を図る

  □キャリアプランを作成させる

   キャリアプラン作成の際には、まずは会社にとって将来的に必要となる人材像やそこ
   に至るまでのモデルプラン(前述の「会社価値」)を示す必要があります。

   社員はそれを踏まえたうえで自身の「市場価値」も考慮しながら本音のキャリアプラン
   を作成します。

   まず、10年後の自分のめざすべき姿を描かせることから始め、その実現のための
   ステップを考えさせます。

   作成には直属の上司がマンツーマンで指導します。

   具体的には、以下の点を明確にします。

    ・キャリアゴールとキャリアコース

    ・10年後の理想像と理由

    ・その実現のために必要な知識・能力・経験とその度合い

    ・上記の必要条件と現状のギャップの整理

    ・ギャップ解消の課題

    ・5年後、3年後、1年後に到達しておくべきステップ

    ・今後1年間の詳細な計画、目標設定

    ・会社に期待する支援事項

   上司は部下が自分の作成したキャリアプランを読み返して、ワクワクしているか、本当
   にやる気になっているかを確認します。

   部下がワクワクしないキャリアプランであれば意味がありません。

   十分に時間をかけて部下にとって本当に魅力のあるプランになるように継続して支援
   します。

   そして、キャリアプランシートに落とし込みます。

   1.必要な人材像を示す

     自社の経営理念・ビジョン・戦略などを基に、将来的に必要となる人材像を明
     確にします。

     たとえば、一般的なメーカーであれば、「設計」、「製造」、「営業」、「スタッフ
     (経営企画、経理、人事など)」などの部門があるはずです。

     これらの部門ごとに10年後に必要な部門トップの人材像を設定します。

     当然ながら現在よりもハイレベルな人材が求められるでしょう。

     また、将来「研究開発」などの新たな部門を設けるのであれば、その部門トップ
     の人材像も設定します。

     これが会社価値基準のなかで社員たちがめざすべきゴールになります。

     次にそれぞれの人材に必要な知識・能力・経験などについて定義していきます。

     たとえば、製造部門のトップであれば、幅広い専門知識や技能、大規模な組
     織をまとめられるだけのリーダーシップやマネジメントカ、会社経営全体への
     提言力などが求められるでしょう。

   2.キャリアプランのモデルコース

     キャリアゴール実現に向けたモデルコースを設定します。

     一貫して特定の関連部門での成長をめざす「プロフェッショナルコース」、さま
     ざまな部門で経験を積んでスタッフ部門のトップをめざす「ゼネラルマネー
     ジャーコース」などが考えられます。

     どのようなモデルコースを設定するかはその会社の特性や社長の考え方次第
     です。

  □ライフプラン作成も推進

   ライフプランとは社員の人生全般に関する設計のことです。

   「何歳ぐらいで結締するか」、「子どもは何人欲しいか」、「趣味をどのように充実させ
   るか」といったプライべ−トな部分も含みます。

   社長のなかには「社員のプライベートな部分にまで会社が口出しするのは気がひける」
   と感じる人もいるでしょう。

   しかし、いうまでもなく会社が社員のライフプラン作成を奨励するのは、社員のプライ
   ベートを「のぞき見」したいからではありません。

   その目的は、仕事面だけではなく、社員の人生そのものを充実させることにあります。

   キャリアプランとライフプランを切り離して考えることは不可能です。

   住宅購入などでお金がたくさん必要になる時期には、それなりに出世していたいと
   考えるのが普通です。

   また、女性は出産や育児などで、一時的に仕事を離れたり、短時間勤務が必要な
   時期もあるでしょう。

   最近では男性でも長期の育児休暇を取得する人が増えています。

   社会的にもワークライフバランス(「仕事」と「生活」の調和)の重要性は高まって
   おり、社員に安心して働き続けてもらうためには、プライベートな事情にも配慮する
   ことが必要です。

   ライフプランシートを作成してもらうことで、社員一人ひとりに対する支援策が立てやす
   くなるのです。

   ライフプランシートは毎年分の作成は必要ありません。

   人生設計上、大きな節目を迎える年について、その状況を記入してもらうようにする。


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