保険代理店業の人事評価の対象は「能力」や「意欲・態度」 


  損保、生保の代理店における人事評価には、売上など数値で測られる短期的な
  貢献度を評価する「業績評価」と長期的な人材育成を目的とし、人物を評価する「人事
  考課」
があります。

  人事考課における評価の対象は「能力」や「意欲・態度」などが中心となります。

  評価については、総人件費管理と明確な職務区分が可能なことを考慮すると、能力や
  意欲・態度を中心とした人事考課よりも「実績」や従業員が担う「職務」を対象とした「業
  績評価」に重心
を置いた方が望ましいでしょう。

  考課の際の注意点は、

   ◎従業員へのフィードバックを行うルールを設ける

   ◎評価項目・基準の明確化と公開性および従業員の納得性を重視する。

   ◎昇格や昇給へきちんと反映させるルールを設ける

  従業員を評価をする理由は賃金や賞与、昇格などを決めるためだけではありません。

  評価には経営者から従業員に対する様々なメッセージが込められています。

  まず第一に、長期的に人材を育成しようと考えているケースでは、例えば、その従業員
  が保有している「能力」を評価項目に加え、評価の対象とすることにより、従業員の能力
  開発が期待できます。

  一方で、保有している能力も発揮されてしかも実績として数字に表れなければ意味がない
  と考える場合は、評価項目を実績重視にし、「やったらやっただけの給料がもらえる」「や
  らなかったら給料は少ない」、という成果主義になります。

  大切なことは、自社(店)の経営方針や風土を活かしながら、能力評価や成果評価の項目
  をバランスよく取り入れていくことです。

  このように、評価項目一つとっても、従業員に対する考え方、言い換えれば従業員へのメ
  ッセージを込めていることになるのです。

  どんなに素晴らしい評価制度を設けても、評価結果を従業員に納得のいくようにフィード
  バックしなければ評価する本来の意味が伝わりません。

  「自分がなぜこのような評価なのか」「私は相対的に評価が高いのか、低いのか」といった
  疑問をもつ従業員も少なくありません。

  評価結果とその理由、相対的な位置付け、今後の仕事の取り組み方や能力開発など、
  効果者がきちんと従業員に伝えて、初めて評価
  する意味が生まれるのです。

  なぜなら、評価結果後の従業員の次の活動と成
  長が今後の代理店の成長につながるからです。

  □評価

   評価には、売上など数値で測られる短期的な貢献度を評価する「業績評価」と長期的な人材育成            を目的とし、人物を評価する「人事考課」があります。

   「業績」とは、売上など目に見える数字となって表れる「定量的な結果」や、業務効率が
   どれだけ改善されたか、自店としての強みが確立されたか、などの「重点戦略の達成度」
   などを指します。

   一方、

    (1)各人に課せられた使命に相応しい計画を策定

    (2)それを実践の場で検証

    (3)事業開発・推進など、新たな施策を立てて成果を生み出したか

   をチェックすることが「評価」です。

   業績評価とは、今を存続するための収益力確保や、将来の成長のために業務効率の
   改善や強みの確立などを展開してゆくための「マネジメントの仕組み」と言えます。

  □何を業績評価の項目とするか

   業績評価の項目は、職種によって異なります。

   営業職であれば個人の売上や粗利、事務職であれば全社の売上や粗利などが評価項
   目として広く使われています。

   チームワークや職場貢献などを重視するのであれば、営業職に対しても個人業績だけ
   でなく全社業績を加味することも必要です。

   また、このような全社業績と個人業績の評価全体に占める割合などを検討することも
   必要になってきます。

   年度事業計画に示される予算の立て方についても、前年度の実績をもとに慎重に設定
   する必要があります。

   なぜなら、予算が甘く達成率(予実比)が高くなったりすると評価を誤るからです。

   重点戦略の達成度などを評価する際には、年度初めに設定する目標についても高い
   志があるかどうかといった「意欲度」をまず評価し、そして年度末に実際にどれだけ遂行
   できたかといった「達成度」を評価します。


  □資格等級制度

   資格等級制度は、評価制度・給与制度とともに、基本的人事制度の一つです。

   資格等級制度は、

    (1)能力のレベル

    (2)仕事のレベル

    (3)組織上の位置の高さ

    (4)賃金の額のレベル

   の4つのレベルの関係を決定する制度です。

   資格等級制度は、従業員の能力を基準に決定する「能力等級」と仕事の責任・難易度
   を基準に決める職務等級があります。

   両者とも代理店への貢献度や期待値で等級づけするのは同じですが「能力」の側から
   測定するか、就いている「仕事」から測定するかという違いがあります。

   一般的な能力等級制度は職能資格制度、職務等級制度の一般例には職務資格制度な
   どがあります。

   従業員数名規模では、資格等級制度を設ける必要は現時点ではないでしょう。

   しかし、合併等で規模が大きくなるにつれ、資格等級制度の必要性が出てくるケースも
   想定されます。

  □資格等級制度のメリット・デメリット

   資格等級制度のメリットは、従業員を能力や担う仕事で格付けし、賃金を決定できるこ
   とが挙げられます。

   しかし、実際には、必ずしも能力に対応した仕事を担っている訳ではあ
   りません。

   これは、

    (1)職能基準・要件が曖昧なことが多いこと

    (2)年功的に運用されがちなこと

    (3)職種によっては適さない場合がある

   などの問題点がある。

   資格等級制度も、明確、納得性、公開性を重視し、メリハリのある運用がなされなけれ
   ば、単なる“資格”を与えているだけとなり、モチベーションの向上にはつながりません。

  □資格等級

   「資格等級」に関連する呼称には、「資格呼称」、「役職位」があります。

   資格呼称は資格等級の対外呼称として設けられていますが、役職位の方が広く使われ
   ています。

   資格等級制度を採用しているのであれば、資格等級は賃金(の一部)のレベルを決定
   する大きな要素となります。

   一方、役職位は対外的な呼称としての意味が大きく、給与との関係では役職手当など
   に留まっているケースが多いと言えます。

   資格呼称と資格等級は相互にリンクしていますが、役職位と資格等級は必ずしも一致
   しているとは限りません。

   少人数の代理店の場合(10人未満)、資格等級や資格呼称は必要ないでしょう。

   それらを制度化し、運用することを考えれば、むしろ時間と手間とコストがかかってしま
   い、マイナス効果を生んでしまう恐れがあります。

   また、事務系、営業系、経営管理系と職種が明確に区分されていることもあり、わざわ
   ざ資格を設けなくても、職種別に給与を決定し、業績に応じて賞与を変動させるシンプ
   ルな制度が望ましいとも考えられます。

   ただし、対外的な呼称としての役職位は設けておいた方が好都合といえます。

   このとき、役職手当を設けるかどうかは、代理店の経営方針に基づきます。

  □役員への登用 

   役員は自社(店)の将来を担う人材です。

   役員の役割は、

    (1)従業員や組織の役割期待を明確に
      すること

    (2)従業員の職務遂行をしっかり管理
      すること

    (3)代理店組織としてのパワーを最大
      限に引き出すこと

    (4)そのパワーによる成果を評価すること

    (5)次の戦略を立てて推進すること

   です。

   役員を登用する際には、年功や過去の実績だけでなく、上記にあげたような役員とし
   ての役割を果たせる力量があるかどうか、能力や 資質を厳密に判断することが大切
   です。

   役員選任にあたり、以下の素質を保有しているかどうかを見極める必要があります。

    ○広い視野を持っているか

     役員になるからには、広い視野を持っていることが必要です。
     広い視野というのは全社的な観点からものごとを考えることが
     できるかどうか、ということです。
     特定の分野のことしか分からないといった人は役員として適格
     性があるとはいえません。

    ○先見性があるか

     経営環境は日々変化し、先を読む力も求められます。
     厳しい競争に打ち勝つためには、その変化に的確に対応する
     ことが必要です。

    ○戦略的思考ができるか

     先見性に基づいて戦略を立案できなければならず、そうした
     思考ができることも重要です。

    ○経営的知識があるか

     戦略立案にあたっては、経営的知識は不可欠です

    ○法的知識を持っているか

     コンプライアンスという点からは法的知識も欠かせません

    ○熱意や意欲はあるか

     精神的、肉体的側面では、熱意や意欲がないと始まりません

    ○激務に耐える体力はあるか

     激務に耐えるだけの体力を持っていることも条件となります

   役員になるからには、広い視野を持っていることが必要です。

   広い視野というのは全社的な観点からものごとを考えることができるかどうか、という
   ことです。

   特定の分野のことしか分からないといった人は役員として適格性があるとはいえない
   でしょう。

   また、先を読む力も求められます。経営環境は日々変化しています。

   厳しい競争に打ち勝つためには、その変化に的確に対応することが必要です。

   そして、先見性に基づいて戦略を立案できなければなりません。

   そうした思考ができることも重要であり、戦略立案にあたっては、経営的知識は不可
   欠ですし、コンプライアンス(遵法)という点からは法的知識もなければなりません。

   精神的、肉体的側面では、熱意や意欲がないと始まらないし、激務に耐えるだけの
   体力を持っていることも条件になるでしょう。

  □役員退任に関わる留意点

   役員は、会社の重要な意思決定に関与する立場にあります。

   したがって、不適格な役員を留任させていたのでは、経営にもマイナスの影響を与える
   ことになります。

   こういう場合には、役員を辞めていただくのが望ましいかもしれません。

   役員として不適格かどうかは、役員としての知識・経験が不足、役員としての自覚がな
   い、リーダーシップや実行力がない、などの判断基準がありますが、最も重要な基準は、
   「会社業績に貢献していない」 ことです。

   不正を働いて会社に損害を与えるなどは論外です。 

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