新規事業計画策定の意義
 

  ■新規事業計画策定の意義

   1.なぜ新規事業の策定か

     新規事業は大きな成果が期待される一方で、撤退や失敗の頻度の高いビジ
     ネスであるといえます。

     ここでは、

      新規事業とは「既存の事業とは違い、企業として未知な部分が多い事業」
      と定義します。

      未知な事業には、市場、技術、製品、サービスなどにおいて、企業にとって未
      経験であり、新たに分析やノウハウの獲得が求められる事業領域が当ては
      まります。

      大きな労力やコスト、ときには失敗をも視野に入れた事業展開が求められて
      きます。

      それではなぜ、企業や起業家たちはリスクが大きく未開の分野である新規事
      業に進出するのでしょうか。

      新規事業を指向する理由として、次のような場面があげられます。

       (1)会社の既存事業が成熟・衰退すると、近い将来大きな収益が
         見込めなくなる。
         そこで将来の収益の柱を築くために新規事業を展開する。

       (2)個人やグループが自分たちの夢やビジョンを実現するために、
         起業家精神を発揮し新たに事業を立ち上げる。

      しかし、新規事業は未知の事業分野への挑戦であることから不確実性や大
      きなリスクが伴い、失敗の可能性も必然的に高いものです。

      そこで、新規事業を成功に導く条件として、不確実性やリスクを分析したうえ
      で、事業の展開方法を構想する「新規事業計画」の策定が必要になる。

      そして、この計画によりさまざまな関係者に理解や協力を得ることが可能に
      なり、成功をさらに確実なものにしていきます。

      新規事業計画とは、技術・製品・サービスに関するアイデアを、新しいビジネ
      スに挑戦するための方法、手段、手順を確定し、明文化したものです。

      計画書には、事業コンセプト、事業環境の分析、マーケティング方法、事業
      収支計画など、新規事業を推進していくために必要なことを明確にします。

      新規事業計画を策定するということは、未知な部分を既知なものへ変換して
      いくことであり、成功の可能性を高める有効な手段であるといえます。

   2.新規事業計画書作成の効果と目的

     新規事業計画書は使い手・読み手によって、活用する目的のウェイトが異なっ
     てきます。

     たとえば、計画書を作成する経営者や起業家であれば、計画を策定する過程
     でより深い思考がなされ、計画自体の論理性、妥当性が増すといった効果を
     期待できます。

     また、計画書として文書化しておくことで、事業の進捗状況を確認し、必要に応
     じて的確な軌道修正をすることも容易になります。

     さらに、社員やスタッフは新規事業計画書を読むことによって、会社の新たな
     方向性を理解することができ、そのなかで自分自身が果たすべき役割を確認
     し、自分の業務計画に落とし込んでいくことが可能になります。

     一方、金融機関や提携先など外部関係者に対しては、計画書を提示すること
     により、会社の方向性に理解を求めることができます。

     これにより、新たな資金援助やパートナーシップの構築が実現します。

     このように、計画書の作成にはさまざまな目的が存在し、見せる相手によって
     アピールする内容も変わってきます。

     そこで、新規事業計画策定の目的を、企業の内部向けと外部向けに分類して
     みました。

     自社において、計画書作成の目的はどこにあるのか、どのような効果を期待
     するのか整理してみましょう。

  □新規事業計画策定の手順

   新規事業計画とは、事業のアイデアを具体的な事業像として目標化し、それを実
   現するための実行方法のことです。

   素晴らしいアイデアであっても思うにまかせて実行していては、事業の成功に期
   待はもてません。

   新規事業計画書は策定手順に沿って計画書として明文化される。

   新規事業計画は、アイデアから「新規事業の方向性」を見出すことからスタートし
   ます。

   市場調査などによる「事業環境の分析」、自社におけるヒト・モノ・カネの「経営資
   源の把握」を行なうなかで、「事業コンセプト」を明確にしていきます。

   そして、事業コンセプトを中核に据え、事業を展開するのに必要な「経営課題」を
   抽出します。

   この経営課題を克服するために、「実行計画」としての全社計画、採算計画、個別
   計画を練り上げていくことになります。

   なお、ここで紹介した策定プロセスは、問題解決手法に沿って計画を進めていくこ
   とに特徴があります。

   つまり、

    仮説化 → 現状分析 → 課題の抽出 → 解決策の確定 → 実行

   のプロセスを経て新規事業計画を実行可能なレベルまで引き上げていくのです。

   したがって、実際に作成される計画書自体の「構成順序」は、新規事業計画の「策
   定手順」と完全には一致しません。

   これは、計画書は第三者が見て確認するためのものであり、計画書としてのわか
   りやすさが求められるからです。

   そこで、次項以降では、比較体系図を参考にしながら、計画書中に盛り込
   むべき各計画項目の具体的な考え方、書き方を解説していきます。

  □計画書作成上の留意点

   1.計画書には論理性・整合性があるか

     事業計画は関係者に理解され、実行されてはじめて意義のあるものとなりま
     す。

     そのため、計画書は論理的な記述で展開され、各計画項目間に整合性が保
     たれていることが必要になります。

     論理的な展開とは、

      ・全体計画から説明がはじまり、それを具現化するための部分計画が
       トップダウン的に明らかにされている

      ・基本構想を掲げ、現状分析、問題点や課題点、解決策、実行方法など
       問題解決プロセスで示されている

      ・実行するための手順や優先順位を示し、事業展開のシナリオが描かれ
       ている

     といった合理的な構成が計画書に表現されていることです。

     また、計画書に整合性をもたせるということは、各計画項目間に矛盾がないこ
     とです。

     これは、

      事業コンセプトを中核に首尾一貫した事業施策が練られ、
      事業環境の各分析がそれを裏付けているか

     ということです。

     たとえば、不整合な計画書には「低価格志向の顧客をターゲットとしながら、価
     格政策において思い切った戦略が明確にされていない」といった矛盾があげら
     れます。

   2.計画は「仮説−検討」が繰り返されているか

     ひらめいた事業アイデアを、即、完壁な新規事業計画書としてまとめ上げるの
     はたいていの場合困難なものです。

     試行錯誤を繰り返すなかで、実行可能な事業として洗練されていくのです。

     たとえば、まず
     (1)事業アイデアとしての仮説を立てる

     (2)市場性を分析

     (3)自社能力からみた実現性を分析する

     など仮説の妥当性を検証していきます。

     そして、

     (4)障害となる問題点が生じたら、さらにそのハードルを
       クリアする仮説を構築していく。

     このように、事業アイデアを成長させ計画をふくらませていくのです。

     したがって、計画書を作成する際は、1回で轍密な計画を完成させるのではな
     く、計画の成熟レベルにあわせて段階を追って作り込んでいきます。

   3.理想と現実がうまくミックスされているか

     新規事業計画書は「新しい事業をこのような方法で展開していきたい」という社
     長の意志や熱意の表われともいえます。

     ビジネスパートナーには事業の魅力をアピールし、社員に対しては士気の高
     揚をもたらす役割を担います。

     したがって、

      新規事業計画書は経営者の理想やビジョンを訴えるものでなくてはならない。

     その一方で、

      計画書によって熱意を伝えるだけではなく、
      第三者にその「妥当性」や「現実性」を認めさせなければならない。

     たとえば、市場分析において、社長自身の市場の読みだけではなく、客観的な
     データを盛り込むことにより、その説得力が大きく高まるのです。

   4.具体的かつ定量的な記述にする

     計画書が新規事業展開のための手引書である以上、具体的な目標が掲げら
     れていなくてはなりません。

     たとえば、計画書では「部門一丸となって取り組む」といった抽象的な表現は   
     適当ではありません。

     このような曖昧な表現はさけ、販売活動であれば「何人の営業マンが、どのよ
     うな方法で、どのような顧客層を対象に、いつまでに、どれだけ受注する」と
     いった具体的な行動や目標値が読みとれるものでなくてはなりません。

     つまり、

      計画書全体を通じて、

      だれが(Who)、何を(What)、誰に(Whom)、いつまで(When)、
      どこで(Where)、どれくらい(How)が

      具体的、定量的に理解できることが必要です。

     計画書にこうした記述がされていないと、各部門や各社員が作成する行動計
     画が焦点のぼやけた内容になり、責任と使命感を植え付けることができなくな
     ります。

     また、計画は策定後、その進捗状況をチェックしていくことになりますが、その
     ときに計画と実績が数値により定量的に比較できないと、正確な進捗状況が
     把握できなくなるのです。

   5.リスクをおさえる工夫がされているか

     新規事業には大きなリスクが伴います。

     したがって、事業計画の策定において、リスクをおさえる工夫が求められてき
     ます。

     たとえば、

      ・当初は控えめな目標を立て早期に資金を回収し、実績や成功体験を
       築きながら事業を拡張していく

      ・パートナーシップやアウトソーシングを取り入れ、事業投資のリスクを
       分散する

      ・試作品やアンテナショップによるテスト販売を行なう

     などを計画書中に盛り込んでいきます。

 

 

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