中小企業のブランド戦略


  真のブランド力とは顧客と企業の信頼関係

   本当の意味でのブランド力とは、顧客が商品を気に入り、同じ会社の商品を繰り
   返し購入するうちに、次第に「この会社の商品であれば大丈夫だ」、「高くてもこの
   会社の商品が買いたい」といった気持ちになった状態のことです。

   一方、ブランド力をつけたい会社では、「自社の商品はこんなコンセプトで、こんな
   人に、こんな風に使ってもらいたい」と訴え続けます。

   買った人が満足してくれれば、さらに磨きをかけた商品を発売し、顧客をさらに満
   足させたいと考えます。

   つまり、ブランド力は会社と顧客のどちらかの一方的な働きかけではなく、相互に
   「こんな商品を提供したい」、「こんな商品が欲しい」とメッセージを交わしながら育
   てていく「信頼関係」のことなのです。

   また、信頼関係は個々の商品だけではなく、「顧客にとってこんな企業でありたい
   (企業側)」、「顧客にとってこんな企業でいてほしい(顧客側)」といった企業その
   もののブランド力構築への源泉となるものです。

   すべての商品がコモディティ化(目に見える品質での開発競争が限界に達して差
   別化が困難となり、価格のみが価値判断の基準となる状態)の脅威にさらされて
   いる昨今、差別化の源泉を「ブランド力」に求める企業が増えているのです。

  □中小企業にとってのブランド力

   1.中小企業だからこそブランド力が大切

     経営資源に限りがある多くの中小企業は、大企業のような大規模な物量作戦
     はできません。

     もちろん、価格競争になった場合にはまず勝ち目はない。

     中小企業の勝負所は狭い分野に絞り込んで、「あの商品ならA社だ」と取引先
     に選ばれることにあります。

     これは商品のブランド力を育成・強化していくことにほかなりません。

     そして、すでにほとんどの経営者は、この取り組みを日々の業務のなかで意
     識的・無意識的に実践していると思います。

     その活動をさらに効率的に進めることができれば顧客との信頼関係は一層高
     まっていくはずである。

   2.ブランド力保有のメリット

     ここでブランド力を保有することのメリットを確認しておきましょう。

     それらは次のように整理されます。

     (1)固定客を維持できる

       ブランド力によって深い締で結ばれている顧客は、簡単には離れていきま
       せん。

       自社の商品を心から信頼してくれている顧客は、提供する側の企業がブラ
       ンド力の源泉となる「約束」を破らない限り、繰り返し注文してくれます。

       これによって長期間の安定売上が見込めるのです。

     (2)新規顧客へのアピール材料になる

       固定客をたくさん抱えているということは、自社商品の品質の高さの証明で
       もあります。

       それらをアピールすることで、新規顧客営業にプラス効果をもたらすことは
       間違いない。

     (3)高価格設定が可能、価格競争に巻き込まれない

       「シャネル」や「グッチ」のような超高価格設定はともかく、「多少高くても、
       信頼できるあなたの会社から買いたい」というレベルのブランド力はどの会
       社でも勝ち取ることが可能です。

       また、同業他社が値下げに走っても価格競争から一定の距離を置くことが
       できる。

     (4)さらなるブランド力向上への好循環が生まれる

       一定水準のブランド力を保有しているということは、顧客が何を望んでいる
       かを理解し、その要望に沿った商品をきちんと提供できているということ。

       そのサイクルを活用して固定客の要望をさらに深く理解し、それにきちんと
       応えていくことでブランドカはますます高まります。

       また、最初は特定の「商品」に対してのブランド力であったものを、「会社そ
       のもの」に対するブランド力に高めることも可能です。

  □ブランド力向上のための3つの視点

   ブランド力を構成する要素としては次の3点が考えられます。

   1.商品の品質

     まずは商品そのものの品質です。

     ここでいう品質とは単純に「精度が高い」とか「耐久性がよい」という企業側の
     追求する品質ではなく、顧客の要望を満たす品質であることが必要です。

     たとえば、消費者は必ずしも処理能力の高いパソコンを欲しているわけではあ
     りません。

     多くの消費者は自分の使用目的に応じた一定の処理速度さえ確保できていれ
     ば十分で、むしろ「持ち運びしやすい」、「壊れにくい」といった使い勝手に対し
     て要望をもっています。

     つまり、企業が技術の粋を結集して他社に比較して圧倒的な処理速度のパソ
     コンを開発しても、それが購買動機となる消費者は限定されているということ。

     顧客は自社商品の何をもって「品質」と評価してくれるのかを見極めることが
     大切です。

   2.社長、従業員

     社長の考え方、社内での日頃からの立ち居振る舞い、取引先との接し方など
     が会社のブランド力に大きな影響を与えることは間違いありません。

     ブランド力を高めていくためには、

      ・自社は顧客ニーズをこのような方法で把握していく

      ・把握した顧客ニーズにこのような方法で応えていく

      ・そのためには日頃からこのような仕事の仕方をしなければならない

     といった姿勢を社長が明確に示す必要があります。

     それによって営業マンが顧客回りをする際にも、新商品の企画開発や製造現
     場においてもブランド力構築に向けた一貫した取り組みがなされることになり
     ます。

   3.イメージ向上

     いかに顧客ニーズに応える素晴らしい商品を開発しても、それが顧客に十分
     に伝わらなければ大きな成果は期待できない。

     大企業はイメージ向上のために全国的なテレビCMなどを行いますが、このよ
     うに莫大な費用をかけなくてもやれることはあります。

     そのなかでもっともベーシックなのは、「商品案内」や「会社案内」などのパンフ
     レットを見直すことです。

     ほとんどの会社では扱っている商品についてのパンフレットを作っていると思
     いますが、その内容は、商品の写真と簡単な仕様を並べただけのものが多い
     と思います。

     そこにはこの商品で顧客のどのようなニーズに応えようとしているか、あるい
     は自社がこの商品にどのような思いを込めたのかといったブランドカ構築に必
     要な「企業の約束」が提示されていません。

     会社案内でも社名、事業内容、役員紹介、事業所一覧といった必要最低限の
     情報しか掲載されていないものが多く、自社が顧客や社会に対してこのような
     影響を与える存在でありたいといった経営理念まで深く掘り下げているものは
     あまり見受けられない。

     自社の思いが十分に反映された商品案内や会社案内を準備し、社長や営業
     マンがことあるごとにそれをアピールしていく、これだけでもイメージ向上は十
     分に期待できます。

     また、自社のウェブサイトを工夫して、企業の思いをわかりやすく発信したり、
     双方向性をもたせて顧客とのコミュニケーションの場にすることも有効です。

  ブランド力向上のためのステップ

   ※ ロイヤル・ユーザー……商品や企業に対して深い思い入れ(ロイヤルティ
      があり、愛着をもって継続的に付き合ってくれるユーザーのこと

   ステップ0:まだ商品が認知されていない

    ・顧客に自社の情報がまったく伝わっていない状態です。
     積極的な営業活動により認知率を高めることが必要です。

     施策例)飛び込み訪問、ウェブサイト開設とアクセス数向上、ダイレクト
          メール、チラシやビラの配布(地域密着型ビジネスの場合)など

   ステップ1:商品を認知

    ・顧客は商品を知っているが、決め手となる情報がなく、最初の
     購入に至っていない状態です。
     購入のきっかけとなる情報提供が必要です。

     施策例)フォローアップ営業、他社商品との比較情報提供、キャンペーン
          の実施など

   ステップ2:商品を熟知

    ・顧客は商品を購入したことがあるが、評価を決めかねている状態です。
     顧客満足度の把握や購入者へのフォローアップが大切です。 

     施策例)アフターフォロー営業、購買客へのお礼ダイレクトメール、満足度
          アンケートおよびアンケート結果に基づく商品改良など

   ステップ3:商品への好感

    ・顧客が購買した商品に対して好感をもっている状態です。
     顧客の囲い込みや商品に込めた企業の思いなどを伝えることが重要になる。

     施策例)購買客の会員組織化、会員向けの新商品紹介ダイレクトメール、
          紹介キャンペーン、他の購買客の感想の提供など

   ステップ4:商品の信頼感

    ・顧客の評価が好感(ちょっといいな)から、信頼感(安心して購入できる)
     にまで高まっている状態です。
     顧客にとってその商品は他社製品を使うよりメリットがあることを丁寧に
     説明してあげることが大切です。

     施策例)後述

   ステップ5:商品への愛着心

    ・顧客がその商品に愛着心をもっており、余程のことがない限り、他社
     商品に切り替えることがなくなっている状態です。

     施策例)後述

   ステップ6:提供企業への信頼感

    ・顧客が提供企業の商品を複数購入し、商品への信頼感・愛着心が提供
     企業そのものへの信頼感にまで高まっている状態です。

     施策例)後述

   <(後述)ステップ4〜6を通じた施策例>

    このステップにまで高まっている顧客は、企業とともにブランドカを高めていく 
    パートナーとも呼べる顧客です。

    既存商品の改良の方向性、投入すべき新商品などについてきめ細かく顧客の
    要望を吸い上げる努力が欠かせません。

    また個々の商品だけでなく、自社そのものに要望されている企業姿勢なども吸
    い上げて、「企業の約束」をブラッシュアップし、それを確実に実行し、企業その
    もののブランド力向上につなげていくことが重要になります。

    そのためにはアンケート形式だけでなく、実際に面談して意見交換することも望
    まれます。

    なお、このステップにまで達している顧客は少々のことがあっても、自社製品か
    ら離れていくことはありません。

    しかし、企業の決定的な不手際によって「裏切られた」という感情を抱くようなこ
    とになれば、多くの場合、「単純にひとりの顧客を失った」という損害では済まさ
    れません。

    顧客にとっては「心から信頼していたのに裏切られた」のですから、怒り心頭で
    口コミによる企業攻撃に走り、結果として既存顧客を一気に失うという事態もあ
    りえます。

    したがって、特にロイヤルティの高いユーザーについては、ブランド力向上のた
    めの強力なパートナーであると同時に、企業の不誠実な対応が過ぎれば経営
    の屋台骨を揺るがす存在として認識し、細心の注意をもって付き合っていくこと
    が求められます。 

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