採算性を考えた事業計画
 

  ■事業採算計画

   新規事業を展開するに当たり「その事業は採算がとれるのか否か」が重要であ
   り、妥当な採算分析を行っているかが問われます。

   事業の採算性とは、

    1.初期投資をキャッシュフローで回収できるのか、さらに、その回収期間は
      どのくらいかかるのか

    2.損益分岐点比率が高く、早い時期から大きな利益が確保でき、かつ
      長期間にわたりそれが維持できるのか

   の2点から評価ができます。

   ここでは、「見積損益計算書」と「変動損益計算書」によって、収益面から事業の
   採算性を明らかにしていきます。

   1.事業採算シミュレーション

     (1)予想売上計画

       今後予想される市場規模と成長率を検討します。

       市場での自社のシェアを確定し売上高を予測します。

       市場の規模やシェアが予測できない場合は、

       「販売予想数量×販売予想平均単価」から売上高を算出することになります。

     (2)初期投資計画

       初期投資額は、事業を開始するのに必要な資金を指します。

       おもなものは土地・建物・設備機械類が中心です。

       事業の開始は初期投資額の資金集めにかかっています。

     (3)資金調達計画

       初期投資額や毎年の運転資金を見越し、資金の調達方法を計画化します。

       まずは自社の資金投入や私有財産による自己資金中心に検討しますが、
       ベンチャーキャピタルやパートナーからの出資も積極的に計画に入れてい
       きましょう。

       また、自己資本でまかなえない場合、金融機関からの借入を行いますが、
       国民生活金融公庫などの新規開業者向けの各種支援融資なども積極的
       に活用していきます。

       ◎Point

         楽観的な調達計画を立てないようにしましよう。

         まず自己資金で計膏をすすめ、次に出資受け入れ先や公的な
         融資制度を検討します。

     (4)事業採算シミュレーション(見積損益計算書)

       毎年の利益はどのくらいなのか、初期投資はどのくらいのペースで回収し
       ていくのかを明らかにします。

       状況にもるが、利益が出ない、大きな投資が必要で回収には10年以上の
       期間がかかるといった新規事業は考えものです。

       事業採算シミュレーションによって、妥当な資金回収計画が立ち、事業拡
       張のための追加資金の投資計画が成り立つようであれば、この利益を「目
       標利益」とします。

       主要な項目の記入の仕方を以下に記します。

       <作成ポイント>

        初期投資額…初年度は上記(2)の初期投資額を記入し、次年度
                 以降は追加の設備投資等の発生を見込み記入します。

        予想売上高…上記(l)の予想売上計画から転記します。

        税引後利益…毎年の予想売上から、製造・仕入原価や販売管理など
                 すべてのコストと税金を引いた、最終的に手元に残る
                 利益を記入します。

        減価償却費…上記(3)で計算した、毎年発生する減価償却費を記入
                 します。

        キャッシュフロー…税引後利益と減価償却費を合計した金額を記入
                    します。

        資金回収残…投資額から返済能力であるキャッシュフロー累計を
                 引いた額を記入します。
                 これが早期にゼロとなる経営を目指します。

       ◎Point

        事業性に応じた予想売上やコストに妥当性と現実性があり、シミュ
        レーションから早期の黒字化、資金の回収化が実現されているか
        確認しましょう。

   2.利益計画

     (1)損益分岐点売上高の考え方

       損益分岐点売上高とは利益がゼロの売上となる採算点を示し、目標売上
       高と対比して安全性を検討します。

       損益分岐点比率は、操業採算性における判定基準として使われます。

       この比率が高いほど、採算性が高くなります。

       言い換えれば、この比率が低かったり上昇傾向にないようであれば事業と
       しての採算性に問題があるといえます。

     (2)利益計画(変動損益計算書)

       目標利益をもとに利益計画を作成します。

       目標利益が妥当なものであれば、「見積損益計算書」をそのまま利益計画
       とすることができます。

       ここではさらに、損益分岐点によって事業の採算点を明らかにし、計画の
       実行にあわせてコストをコントロールしやすい「変動損益計算書」の作成を
       お勧めします。

       変動損益計算書は、費用項目を「変動費」と「管理可能な固定費」および
       「管理不能な固定費」を明らかにしているところに特徴があります。

       計画段階で採算性に問題がある場合や、計画の実行段階で目標売上の
       見込みがたたない場合、変動比率の低減と管理可能な固定費の削減を検
       討することになります。

       <作成ポイント>

        ・コストを固定費と変動費に分けて記入します。

        ・変動費はさらに、人件費などある程度統制余地のある「管理可能
         固定費」と、一度取得してしまうと継続的に費用の発生する「管理
         不能固定費」に分けて記入します。

       ◎Point

        損益分岐点比率が低い水準で推移しているか確認しましよう。

        また、固定費比率が抑制されているかを確証します。

  □計画書の内容(詳細計画)

   展開しようとする事業の規模や構想が大きいものであれば、事業部門や業務機
   能ごとの詳細計画が必要になります。

   前述してきた基本計画だけでは、各社員や部門が具体的な行動が起こせない場
   合がでてきます。

   自社の経営資源を詳細に把握したうえで、各業務ごとの部門計画を作成しましょう。

   1.自社の経営資源の詳細把握

     図表のように、新規事業を行うための「業務機能」と、ヒト・モノ・カネを中心とす
     る「経営資源」のマトリクスを作成します。

     この表より、業務機能面からの経営課題を抽出し、各個別計画での重点策を
     明らかにしていきます。

   2.各業務機能の個別計画

     (1)組織編成(要員)計画

       事業開始時における組織図を作成します。

       組織図には、必要な部門構成とどんな人材を何人配置するかを明らかにし
       ます。

       また、拡張に応じた、人員補強計画も明らかにします。

     (2)財務計画

       新規事業は予期せぬことが発生することも多く、財務上の計画と実績のズ
       レもしばしば大きいものになります。

       そこで、堅実な財務計画を立てるとともに、各部門のタイムリーな財務情報
       を入手し、柔軟な財務施策が講じられるような配慮を計画書に盛り込みます。

       <作成ポイント>

        ・年度、月次の資金繰り計画(キャッシュフロー計画)を作成します。

        ・各部門の予算計画を作成し、予算化決定のプロセスも明らかにします。

        ・計画と実績がタイムリーに比較、把握できる計画書を作成します。

     (3)生産・仕入計画

       品質のよい製品を納期どおりに安定供給できるような生産体制を計画化します。

       <作成ポイント>

        ・作業工程全般を明確にします。

        ・月々の生産量の計画に基づく、購買計画、在庫計画を作成します。

        ・品質基準の策定や、生産性向上(コストダウン、業務改善)のための
         計画を作成します。

        ・材料仕入や製品納品のための物流計画を作成します。

     (4)販売計画

       基本計画で掲げた「マーケティング方法」をさらにブレークダウンし、詳細な
       販売計画を立てていきます。

       <作成ポイント>

        ・製品別、販売チャネル別、販売員ごとの販売計画を作成します。

        ・見積書作成、値引きのタイミングなど価格の決定方法について
         規定化します。

        ・販売促進のためのプロモーション方法と実行計画を作成します。

        ・顧客との受注方法から納品、債権回収までの業務を設計します。

     (5)業務システム

       生産・仕入、在庫、受注、納品、資金回収といった加速のオペレーションを
       図表を用いて視覚的に明らかにします。

       とくにサービス業の場合は、業務システム自体が業務の中核能力となる場
       合が多く、重要な計画資料となります。

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