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中小企業におけるBCPの策定と活用 |
内閣府の調査によると、2013年度、BCPを策定済みである大企業は53.6%である もちろん、BCPの効果的な運用のためには、従業員向けの教育訓練を定期的に実施 しかし、BCP自体は、中小企業庁がウェブサイトで公開している「中小企業BCP策定 災害時の備えとしてだけでなく、BCPの策定にはさまざまなメリットがあります。 例えば、BCPの策定過程は、中核事業をはじめとした自社の事業内容や業務フロー また、BCPを策定している企業は、政府系金融機関等による貸付金利優遇制度や 災害はいつ起こるか分からないものです。 BCPの策定は難しいと考え、策定していない企業が多いのかもしれませんが、「難 そして、こうした姿勢こそが、災害発生後の企業の存続を左右する大きな要因になる 企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業 BCPは、人命保護や建物の倒壊防止といった従来からの「防災対第」を一歩進め、 「事業の継続」という視点で見れば、大企業のように事業拠点が分散しておらず、特定 中小企業庁は、BCPを策定する際の一助として「中小企業BCP策定運用指針」を 「中小企業BCP策定運用指針」を利用すれば、専門的な知識を有していなくても、 万一の際に事業を継続するために、企業として打つべき手をあらかじめ検討しておく 平成23年3月に発生した東日本大震災によって、我が国の企業・組織は、巨大な また、経済活動への影響は、サプライチェーンを介して、国内のみならず、海外の 我々は、この甚大な災害の教訓も踏まえ、今後発生が懸念されている大災害に立ち 有効な備えが無ければ、災害発生時に我が国の経済・社会が危機に陥ることにな そこで、我が国の企業・組織は、国内外における大災害のあらゆる可能性を直視し、 これまでの災害では、自社の事業継続計画や他社との連携が有効に働き、いち早く また、企業・組織の事業構造や活動環境が極めて多様化・複雑化している今日、災害 そこで、災害のみならず、どのような不測の事態に直面しても、強くしなやかに回復 既に我が国における事業継続の取組は一定の進捗が見られ、その有効性が発揮 これらを踏まえ、今後さらに一層の拡充に取り組む必要がある。 本ガイドラインは、我が国の企業・組織における、このような事業継続の取組の必要 また、企業・組織は、原因が何であれ重要な事業を継続できない場合に備え、常に そこで、経営者自らが責任を持ち、平常時から事業継続能力の強化に取り組む必要 そして、その取組を内外にアピールすることも求められる。 さらに、不測の事態の対応においても、経営者の的確な判断とリーダーシップが不可 このように、事業継続の取組は経営者が率先して取り組むべき重要な経営課題で 本ガイドラインでは、1.4章に経営者に求められる事項、Ⅷ章に経営者及び経済社会 経営者においては、これらを先に重点を置いて読まれることを勧める。 事業継続ガイドライン第三版(平成25年8月)(内閣府) 中小企業庁「中小企業BCP策定運用指針」 1.BCPの策定状況 内閣府が2014年7月に発表した「平成25年度企業の事業継続及び防災の 実態調査によると、BCPの策定状況(2013年度)は次の通りです。 BCPについて、大企業では「策定済みである」という回答(53.6%)と、「策定 一方、中堅企業では「策定済みである」「策定中である」という回答を合わせて BCP策定状況において「策定済みである」「策定中である」「策定を予定してい 全体を見ると「過去の災害、事故の経験等からの必要性」という回答の割合が これは2011年の東日本大震災の影響と考えられます。 次いで、「親会社・グループ会社の要請」「株主の要請、企業の社会的責任の (1)「中小企業BCP策定運用指針」の特徴 中小企業では、人材やコスト不足の問題からBCPの策定が大企業と比べて 中小企業では、BCPの知識がある人材が不足しているばかりか、新たに教 また、「いつ発生するか分からない(目に見えない)災害のために、多額の費 しかし、災害がいつ発生するか分からないからこそ、万一に備えて、自社の さらに、BCPの策定は平常時の「取引の維持・拡大」につながる取り組みとも BCPの第定を検討する際、手助けの一つとなるのが中小企業庁「中小企業 「中小企業BCP策定運用指針」では、様式に従って基本方針、責任者、緊急 「中小企業BCP策定連用指針」では、BCPの第定に投入できる人材・時間な 自社の中核事業を理解・把握した上で、「経営上最優先で復旧すべき事業は そして、自社の重要業務を継続するために必要な資源(ヒト・モノ・カネ・場 BCPの策定と活用は中核事業の継続に不可欠な経営資源ということです。 また、中核事業を復旧させるまでの期限の目安となる目標復旧時間も決め 目標復旧時間を決める際には、次のような方法があります。 地震などの災害が発生した際、自社の中核事業がどの程度の影響を受ける そのためには、地震などの災害によって「ボトルネック資源」がどの程度の影 また、「ボトルネック資源」を次のように区別しておくことが重要です。 ・目標復旧時間内に機能回復しないもの(させられないもの) ・目標復旧時間内に機能回復するもの(させられるもの) 建物が倒壊したり、設備が故障したりした場合の復旧費用や事業中断によ 「中小企業BCP策定運用指針」の「財務診断モデル」を利用すると作業がス 中小企業は、その結果に応じて事前対策を講じます。 具体的な対策には次のようなものがあります。 ・1カ月程度の操業停止に耐え得る資金の事前確保 ・適切な損害保険への加入 ・事前の対策実施 「中小企業BCP策定運用指針」には、平常時に実施しておく対策メニューの 中小企業は、自社にとって必要な対策や投入可能なコストを考慮して検討す また、ここには「事前対策を講じたいが資金がない」という中小企業のため ①BCP発動基準を明確にする 中核事業に甚大な影響を与える可能性のある災害とその規模に基づい BCP発動後から事業復旧を完遂するまでの間、次の機能を果たす組織 機能ごとにリーダーを配置し、そのリーダーに対しては経営者が指揮命 復旧対応機能:施設や設備の復旧など、社内における復旧対応 「BCPの発動フロー」「事業継続に必要な各種情報の帳票類」を文書化 「事業継続に必要な各種情報の帳票類」については、「中小企業BCP策 BCPは、策定していればよいということではなく、緊急事態発生時にそれを BCPを実効性の高いものにするために、万一の際に、BCPを利用して実際 そのためには、BCPに関する訓練や教育を積極的に行うとともに、BCPの運 こうした文化を「BCP文化」といいます。 BCPの運用は自社が存続する限り継続されるべき活動であり、維持・更新 従業員に対して行うBCP教育の目的は「従業員にBCPの運用を浸透させ 具体的には、次のような教育を実施するとよいでしょう。 ・BCPや防災に関する社内ディスカッション ・BCPや防災に関する勉強会 ・心肺蘇生(そせい)法などの応急救護の受講支援 ・BCPや防災対策関連のセミナーヘの参加支援 BCP訓練にはさまざまなレベルや種類がありますが、次のようなBCP発 ・机上訓練 ・電話連絡網および緊急時通報の演習 ・代替施設への移動訓練 ・バックアップしているデータを取り出す訓練 また、各自治体が主催する防災訓練などに従業員を参加させることで防 同時に、自治体と自社、近隣の企業同士の連携を深めることもできます。 BCP文化を醸成するためには、長期的な視点で経営者と従業員の意識 また、BCPの運用に対する従業員の認識を促進させるために、BCPや防 経営者が平常時から意識しておくべき点として次が挙げられます。 ・従業員との平常時からのコミュニケーション ・従業員のための安全対策の実施 ・取引先や協力会社、地域を大切にした事業の実践 ・その他、BCPや防災に関する各種活動の支援 時間の経過とともに企業を取り巻く環境は変化します。 また、会社自身も変化を続けることから、組織体制をはじめとしてさまざま そのため、常に実効性のあるBCPであるためには、定期的にBCPの有効 訓練などを通じて不備な点などが明らかになれば、BCPの内容を見直し また、「中小企業BCP策定運用指針」には、自己診断チェックリストが用意 このプロセスでBCPに問題点や不十分な点などがあれば、再び「自社中 その際、「中小企業BCP策定運用指針」の中にある、「BCP策定・運用況 チェックリストの設問ごとに、「はい」か「いいえ」で答えていくと判定結果が BCPの取り組みは非常に多岐にわたります。 とはいえ、企業活動に大きな影響を及ぼすリスクはさまざまであるため、どのよ また、より効果的なBCPを策定しようとするほど、多くの人材やコストが必要と 中小企業が、BCPの取り組みを始める際に大切なのは、完壁を求めず、できる 例えば、想定する緊急事態を絞り込むというのも一案です。 内閣府防災担当の事業継続計画策定促進方策に関する検討会「事業継続ガ そして、その後、段階的に想定する災害の種類を増やしていくという方法を示し BCPへ取り組む際には、まず自社ができる範囲からスタートし、BCPサイクル また、「中小企業BCP策定運用指針」は、原則として中小企業が独力でもBCP そのため「BCPの策定・運用は個々の企業の努力で行うもの」と感じた人もいた しかし、必ずしもBCPの策定を全て自社で行う必要はありません。 最近では、企業のBCPへの取り組みをサポートするサービスや専門家が多く見 例えば、BCPについて理解を深めたいという人であれば、セミナーなどに参加し また、最近では、コンサルティング会社などもBCPの策定支援などを行っていま より効果的なBCPを策定・運用していくためには、こうした専門家の活用も検討 1.BCPの策定 ここでは、前述した「基本コース」によって、BCPを策定するための手順を紹介 基本コースでは、主に経営者自身の主観を基に、指針で用意されている このファイルに入力すれば、シートの記入が容易に行えます)に記入すること 記入したシートの内容は、全従業員と共有し、緊急事態に備えることが望まれ まず自社において、指針に従ってBCPを策定し、日常的な運用を推進する社 次の点を考慮して、策定する体制と運用推進する体制を決めます。 検討した策定・運用推進体制を「BCPの様式類」に記入します。 ・経営者自らが率先して策定し、運用推進にあたる ・企業の規模や業務の役割分担に応じて人選する ・取引先企業や協力企業との意見交換や擦り合わせを行う ・BCPの策定および運用推進に取り組んでいることをすべての従業員に周 自社の中核事業(会社の存続にかかわる最も重要性・緊急性の高い事業)を 緊急時において、 ・経営上最優先で復旧すべき事業は何か ・いつまでに復旧することを目指すべきか を特定します。 そして、自社の重要業務を継続するために必要な資源(ヒト・モノ・カネ・場所・ 指針では、これらの資源を「ボトルネック資源」と呼んでいます。 ボトルネックの本来の意味は、瓶(ボトル)のくびれ(ネック)で、事業の継続や また、中核事業を復旧させるまでの期限の目安となる目標復旧時間も決めて 目標復旧時間を決める際は、「中核事業にかかわる取引先と事前に調整して 自社の中核事業が、地震・風水害・火災などの災害により、どの程度の影響 そのためには、前のステップで理解・把握した中核事業の継続に必要な資源 その際、災害別に中核事業の継続に必要な資源を、目標復旧時間内に機能 なぜなら、「目標復旧時間内に機能回復しないもの(させられないもの)」であ 自社が地震などにより被災した場合、建物・設備の復旧費用や事業中断によ その状況によっては、被害を軽減するための以下のような事前対策を取るべ ・1カ月程度の操業停止に耐え得る資金の事前確保 ・適切な損害保険への加入 ・事前の対策実施 指針では、「財務診断モデル」が掲載されており、財務診断を進めるための手 ダウンロードページから「財務診断モデル基本コース」をダウンロードし、指示 また、災害発生後、多くの中小企業で復旧資金の借り入れが必要になるもの このBCPを実行することによって、災害発生後に政府系中小企業金融機関・ 指針には、平常時に事前に実施しておく対策メニューの一覧が示されており、 自社において投入可能な資金額や弱点と思われる個所を踏まえて、対策を 事前対策を講じたいが手持ち資金がないという企業のために、災害復旧貸付 中核事業を継続するうえで欠かせない各種資源(ヒト・モノ・カネ・場所・情報) このプロセスでは、基本的なBCPの策定と、それを、いつ、どのような体制で (1)BCP発動基準を明確にする BCPの発動基準を設定する際のポイントは、自社の中核事業が何らかの そのため、中核事業に甚大な影響を与える可能性のある災害とその規模 BCP発動後から事業復旧を完遂するまでの間には、主として以下の機能 各機能にチームを構成してリーダーを立て、チームリーダーへの指揮命令 ・復旧対応機能 ・外部対応機能 ・財務管理機能 ・後方支援機能 ここで策定するBCPは、大きく分けて次の2つの要素からなります。 ・BCP(事業継続計画)の発動フロー ・事業継続に必要な各種情報の帳票類 指針には、情報を整理する帳票のひな型となる様式集が「PDF形式」と これにより、基本的なBCPが策定できます。 BCPは、策定していればよいということではなく、緊急事態発生時にそれを従 BCPを実効性の高いものにするならば、緊急事態発生時にBCPを利用して実 そのためには、BCPに関する訓練や教育を積極的に行うとともに、BCP運用 指針では、こうした文化のことを「BCP文化」と表現しています。 BCPの運用は企業が存続する限り継続されるべき活動であり、維持・更新と、 (1)従業員へのBCP教育を実施する 従業員に対して行うBCP教育の主な内容は次の通りです。 ・BCPや防災に関する社内ディスカッション ・BCPや防災に関する勉強会 ・心肺蘇生法などの応急救護の受講支援 ・BCPや防災対策関連のセミナーへの参加支援 BCP訓練にはさまざまなレベルや種類がありますが、以下のような、BCP ・机上訓練 ・電話連絡網および緊急時通報の演習 ・代替施設への移動訓練 ・バックアップしているデータを取り出す訓練 また、各自治体が主催する防災訓練も行われています。 こうした訓練に参加することは、社内の防災能力を高めるだけでなく、自治 なお、BCPに関する教育や訓練については、指針のBCP関連資料中の「教 「BCP文化の醸成」の実現には、長期的な視点で経営者と従業員の意識を また、BCP運用に対する従業員の認識を促進させるためには、BCPや防災 経営者が平時から意識しておくべき点は以下の通りです。 ・従業員との平時からのコミュニケーション ・従業員のための安全対策の実施 ・取引先や協力会社、地域を大切にした事業の実践 ・そのほか、BCPや防災に関する各種活動の支援 BCPを発動してみたものの、「整理されている情報が古くなっており、役に立た こうした事態に陥らないためには、BCPが企業の中核事業の復旧継続に本当 また、必要に応じてBCPの運用体制の見直しや運用資金(事前対策費用な BCP運用は継続的な活動であり、企業が存続する限り、BCPに関するこれら 指針のWeb上では、BCPの策定および運用の検討が一通り終了した後に、 チェックリストの設問ごとに、「はい」か「いいえ」で答えていくと、判定結果が出 かなり詳細なチェックリストであるため、経営者は毎年自己診断を行い、点数
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