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トレーサビリティ |
■トレーサビリティの概要 近年、食品に関するさまざまな問題により、消費者の食の安全性への関心は高 食品表示や食品産地の偽装といったように業者が故意に行った事件のほか、基 そのため、食の安心・安全を守るために、国が取り組みを進めてきました。 そのなかでも、食品小売業、食品製造業、食品卸業の間では、トレーサビリティの 農林水産省によると、トレーサビリティとは、 生産・加工および特定のひとつまたは複数の段階を通じて、 となっています。 なお、トレーサビリティシステムとは、 トレーサビリティのための「識別」「対応づけ」「情報の記録」、 をさします。 それは、ルール(約束事や決まり)や手順、それらを文書化した手順書、組織・体 トレーサビリティシステムを導入することで、食の安全に関して次のことが改善さ ②正確で、迅速な撤去・回収を行うために、事故や不適合が生じた食品を ③食品の履歴に由来する健康への予期せぬ影響や長期的な影響が明ら ④事業者の責任を明確にする。 (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム これは国内牛のすべてに10桁の個体識別番号を記した「耳標」をつけ、生産者 近年、食品関連業界ではICタグなどを利用して生産流通履歴を管理するトレー 大手スーパーなどでは納品業者にトレーサビリティシステム導入・運用について 1.事業者のメリット トレーサビリティシステムを導入することで、事業者にとっては、以下の効果が ①原因究明や撤去・回収の迅速化により、事故や不具合による健康や ②自らの製品の表示を含む情報の信頼性を向上させることを通じて、 ③クレームなど問い合わせに対して対応しやすくなる。 ④取引先や消費者からの信頼を確保することにより、取引関係が維持 ⑤同様に、製品のブランドが維持される。 ⑥各事業者の既存システム(安全管理、仕入・製造・販売管理、在庫 ⑦記録された履歴情報を分析することにより、生産・製造・保存等の (社団法人食品需給研究センター「食品トレーサビリティシステム トレーサビリティシステムに必要なおもな費用は、次のとおりです。 <導入費用> ①トレーサビリティシステムの基本構想書、手順書の作成費用 ②ソフトウェアの開発や機器(計量器、情報処理機器など)の整備 ③教育・研修などの費用 *中小企業の場合、これらの費用を抑えるために他の事業者と ①識別、対応づけ、情報の記録・整理・保管等の業務の人件費 ②識別媒体(ラベル等)や記録用紙等の消耗品費 ③機器やソフトウェアの保守・更新費用(電子情報システムを導入 ④システムの信頼性を保証するためのモニタリングや監査の費用 データは古いですが、農林水産省の「平成19年度食品産業動向調査」による そのうち、すべての食品・製品に導入している企業は20.0%、一部の食品・ 平成17年度と比較すると、導入している企業の割合は7.6ポイント増加して 小売業におけるトレーサビリティシステム導入状況をさらに詳細な業種別にみ 次いで、米穀類小売業、菓子・パン小売業、各種食料品小売業、その他の飲 一方、小売業のなかでは導入があまり進んでいないのが、野菜・果実小売業 食品小売業 業種別トレーサビリティシステム導入状況 1.導入している業種の例 流通業や小売業においては、平成16年12月から個体識別番号をラベルに表 消費者は店頭や包装パックに表示された個体識別番号により、インターネット ただし、この対象になるのは個体級別番号をもつ牛の精肉で、輸入牛や細切 また、焼き肉、しゃぶしゃぶ、すき焼き、ステーキをおもに提供し、売上高の過 対象となる飲食店では、食材の製造・生産工程に直接関わったりするほか、 牛肉だけでなく野菜、魚、豚・鶏肉など、生鮮食品全般についてトレーサビリ JAS法においては、消費者の「食」に対する信頼を回復する目的で「生産情報 他の食品に先駆けて平成15年12月からは牛についての「生産情報公開JAS 牛や豚については個体識別番号、生年月日、管理者の名称、畜者の名称、飼 また、農産物については、生産者の住所、氏名、連絡先、ほ場の所在地、収 ※ほ場 作物を栽培する田畑、農園 上記情報に加えて、生産者によっては栽培方法や品種、生産者の顔写真など 前述のとおり、導入している業界や品目が増加傾向にあります。 食品のトレーサビリティシステムに関係する任意の規格・ガイドライン等は次の <品目別・段階別のガイドライン> ・国産牛肉トレーサビリティ導入手引書 ・原材料入出荷・履歴情報遡及システムガイドライン ・トレーサビリティ構築に向けた外食産業ガイドライン ・青果物のトレーサビリティ導入ガイドライン ・貝類(カキ・ホタテ)トレーサビリティガイドライン ・鶏卵トレーサビリティ導入ガイドライン ・養殖魚のトレーサビリティシステムガイドライン ・海苔のトレーサビリティシステム導入の手引き トレーサビリティシステムは、食品に限らず工業製品や精密機器など、あらゆ 生産や流通の履歴が記録きれるICタグは、小さいながらも情報量が大きいこ たとえば、一つひとつの衣料品につけて管理することにより、消費者が望む色 従来は人手に頼っていた棚卸も、ICタグを利用すれば短時間でできます。 また、建設業ではトレーサビリティシステムを導入し、建材を管理することで建 医療業界では、総務省の「電子タグの高度利用技術に関する研究開発」の一 投薬間違いの防止や、安全管理の効率化をはかるためにトレーサビリティシ トレーサビリティをいかした新ビジネスやサービス、商品はもとより、システム ●農林水産省 トレーサビリティ関係 (導入の手引き、食品トレーサビリティシステムの要件、品目別 (青果物のトレーサビリティ導入ガイドラインほか) |
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