不祥事の発生とトップの姿勢


   近年、社会的責任を全うしなかったことに起因する企業イメージの低下や、企業を
   舞台とした不正の発覚などが大きく取り上げられるようになりました。

   不祥事は経営陣から末端の社員に至るまで、枚挙にいとまがありません。

   規制制度が増えるということは、それだけ企業の不祥事が多発しているということで、
   様々な規制を設けても、いたちごっことなっています。

   不祥事は大企業を筆頭に中小企業においても同様です。

   内容においても巧妙になり、複雑多様化してきています。

   責任においても大企業であれば、首のすげ替えで済みますが、中小企業ではそう
   はいきません。

   中小企業にとって、不祥事は廃業という最悪の事態を招きかねません。

   規模の大小にかかわらず、「対岸の火事」ではないことを認識しておきましょう。


   「企業は人なり リスクも人なり」といわれるように、企業が抱える問題の80%が人に
   関わるものです。

   制度として、コンプライアンス(法令遵守)、CSR(企業の社会的責任)、コーポレー
   ト・ガバナンス(企業統治)といった企業の守るべきルールはあるが、不祥事は後を
   絶ちません。

   企業の不祥事は社会的信用を著しく毀損し、最悪の場合はそれによって廃業に追い
   込まれることもあります。

  ●不祥事はなぜ起こるのか

   これほど経営に大きな悪影響を及ぼすことがわかっているにもかかわらず、不祥事は
   なぜ次々に起こるのでしょうか?

   不祥事を起こしてしまった企業の社長でも最初は悪気などまったくなかった人がほと
   んどでしょう。

   しかし、経営が厳しくなってきたときなどに「悪いことだとは思うけれども、これぐらい
   なら許されるだろう」と一線を越えてしまうと、後は「これぐらいなら」の範囲がどんど
   ん大きくなって、最終的にはとんでもない不祥事につながってしまいます。

   また、社長の知らない、報告がないなどで不祥事が発生したケースでは次のような
   原因が指摘されます。

    ・経営理念が全く浸透していない

    ・短期的な偏った「儲け」の雰囲気が社内に充満している

    ・役員幹部が絶対的な権力をもち、従業員の進言などい切開かない

    ・重大事項が上層部のみで秘密裏に決められ、従業員には知らされていない

    ・日常的な「報・連・相」などのコミュニケーションが非常に悪い

    ・社内の「見える化」対策がまったくできていない

  ●不祥事防止の基本

   不祥事発生の責任のすべては社長にあります。

   社長が社内の環境整備を怠った結果であり、不祥事を起こした人の責任もありますが、
   不祥事が起こりやすい環境であると肝に銘じる
   べきです。

   まずは社長が確固たる姿勢を示すことです。

   不祥事を防止するためには管理体制の構築
   が不可欠ですが、いくら厳格な管理体制をつ
   くったところで、それをきちんと運用しようとい
   う意識が低ければ事態は改善しません。

   むしろその管理体制を逆手にとって巧妙な手
   口で不正が行われることも考えられます。

   自分の会社の状況を振り返ってみて、少しでも
   このような兆候がみられたら、早急に改善して
   不祥事のもとを排除していくことが大切です。

   不祥事を防ぐためにはまず社長自らが「我が
   社はどんな小さな不祥事も起こさない」という
   強い姿勢を示し、そのためにはどのような心構えで働くべきかを繰り返し全従業員に
   説いていくことが非常に重要です。

   また、会社業務だけではなく、従業員のプライベートな生活態度についても指導していく
   ことが求められます。

   社長が姿勢を示した後は、それを実現していくための管理体制づくりが必要になり
   ます。

   その際にもっとも簡単な方法は、現状の管理システムを見直すことです。

   どのような会社でもすでに通常の業務報告や経理、人事などの仕組みがあるはず
   です。

   その仕組み(管理システム)をたんに業務処理のみに使うのではなく、不祥事防止
   にも役立つように充実させるのです。

   たとえば、部門ごとにその業務特性を踏まえた「不祥事につながる可能性があるリス
   ト」を作成します。

   製造部門では、特別な理由もなく原価が大きく変動することは少ないはずです。

   したがって一定のプレ幅を超えた原価変動については、その理由を部門長にきちんと
   報告することを義務づけるといったことが考えられます。

   このように各部門で起こっている「見えにくい部分」をできるだけ「見える化」するため
   の仕組みづくりが重要なのです。

  ●隠蔽

   隠蔽は完全な逆効果となります。

   不幸にも不祥事を起こしてしまった場合、それを隠蔽しようとすればするほど会社の
   受けるダメージは大きくなります。

   問題そのものに加えて隠蔽姿勢に対しても、社会の厳しい目が向けられます。

   不祥事が起きたら事態の収拾を急ぐことはもちろんですが、実際に何が起こったか、
   誰がどのような被害を受けたのか、不祥事が起こった原因は何かなどについてわかっ
   ている範囲の情報を迅速に公開します。

   情報公開は直接の被害者だけでなく、必要に応じて主要取引先や銀行さらにはマス
   コミなどに対しても行います。

  ●対応マニュアル(管理システム)の作成と見直し

   多くの会社ではすでに通常の業務報告や経理、人事などの仕組みがあるはずです。

   未整備の会社であればクレーム対応(マニュアル)危機管理(マニュアル)等を参
   考に作成を試みてください。

   その場合、仕組みをたんに業務処理のみに使うのではなく、不祥事防止にも役立つ
   ように充実させるのです。

   管理システムを見直す場合、部門ごとにその業務特性を踏まえた「不祥事につながる
   可能性があるリスト」を作成します。

   各部門で起こっている「見えにくい部分」をできるだけ「見える化」するための仕組み
   づくりが重要です。

   不祥事発生直後の対応によりダメージがどこまで拡大するかを大きく左右します。

   不祥事発生という緊急時に、事態の収拾と適切な情報公開を同時に進めるのは困難
   を要します。

   そのため日頃から起こり得る不祥事を想定して、発生時にどのような対応を取るかを
   示したマニュアルを作成しておくことが大切になります。

   マニュアルには社長に正しい情報が即座に上がってくる仕組み、「危機管理委員会」
   などの解決チーム、経営幹部の役割分担、弁護士など相談できる専門家のリストなど
   を盛り込んでおきましょう。

  ●再発防止

   事態が収拾してきたら、不祥事が起こった原因を掘り下げます。

   たとえば、経理担当者に不正が発覚した場合、担当者個人だけではなく、管理体制
   や組織風土にも問題があることが考えられます。

   真の原因を特定し、確実な再発防止策を講じることが大切です。

   また、その取り組み状況を社内外に十分に説明することも必要です。

   企業として社会的な使命を全うしていくための経営(「CSR経営」)が求められます。 

   その場限りの解決にしないためにも、不祥事を発生させた人への追求よりも、発生の
   原因を究明し、再発防止の対策を講じていくことが重要です。
    
  □不祥事における(信賞)必罰

   組織の体質が最もよく表れるのは、負け戦や不祥事が起きた時である。

   個々の人間も苦境に陥った時にこそ、その人の真価が問われます。

   順調な時・平穏な時は、皆「いい人」でいられるのです。

   では、逆境の時に表れる「本質」とは、どのようにして培われるものでしょうか。

   結局は、その人の体験や受けた教育、躾を通して培われた「人生観」に帰する。

   したがって、強い会社を作るためには「会社は、社員一人ひとりの『人生観』にまで
   関わっていかなければならない」という理屈になります。

   集団を率いていくためには「信賞必罰」が不可欠でしょう。

   特に、してはならないことをした場合、「必罰」が絶対に必要である。

   「必罰」がないから、平気でルールを破るのである。

   ケジメのない会社は、これが甘いのです。

   甘さは結局、本人も会社も駄目にしてしまう。

   では、これだけで「強い会社が作れるか」となるとそうではありません。

   やはり「思想集団」の一面がないと、真に強い組織にはなり得ない。

   特に営業、小口のリフォームやメンテナンス業務などは一人で仕事をする機会が多く
   なります。

   その場合、仕事の品質については各人のモラルに期待するしかない。

   そのモラルを維持するためには、社員教育を通し「会社の思想」を共有し共振する
   レベルにまで深める必要があります。

   したがって、このような社員がそろっている会社は強い。

   せめて幹部だけでもこのような人材がそろっていれば、会社は大きく変わってくる。

   経営者をして、「よくやってくれた」と言わしめるような幹部・社員は、「会社の思想
   (企業文化)」を社員に教育している会社にしか育ちません。

   やはり、「経営は思想(企業文化)なり」が基本です。

   会社の成長過程においては、特に社員教育の重要性を再認識することです。

   決して社員は時間の経過とともに勝手に育つわけではないのです。


   「一つの重大事故の背後には29の軽微な事故があり、その背後には300の異常が
   存在する」といわれるハインリッヒ(ヒヤリハット)の法則を基本とした取り組みが必要
   です。

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経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
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