会社経営における社内倫理


  ■社内倫理(コンプライアンス)と会社経営

   個人情報の漏えい、ハラスメント、サービス残業など企業の不祥事が後を絶ちません。

   社会全体がモラルの低下に陥っている。

   社内倫理とは、社内における「行動の規範となる原理」のことです。

   社内(企業)倫理はコンプライアンス(法令遵守)の訳語として用いられる時もあり
   ます。

   社内における原理ですので、当然それは各企業独自のものとなります。

   社内倫理は、規定として明文化されているケースや、不文律として社内に浸透して
   いるケースなどがありますが、自社にあったスタイルであれば形式は問いません。

   もっとも重要なのは、自社の倫理をそれを定める背景となった理由や考え方とともに、
   社員全員に周知徹底きせるという点です。

   どうしてその行為が許されないことなのかを全員に知らせ、例外の取り扱いや許容
   範囲について説明しなければなりません。

   今「社内倫理」が重要視されている。

   現代社会における企業経営を考えた場合、

    ・情報化社会への対応

    ・企業に対する消費者のイメージ

   などが、より重要になってきますが、これらは、社員の考え方や行動に大きく左右され
   るという点で「社内倫理」と密接な関係にあります。

   したがって、社員に自社の倫理を定着させることは、現代の会社経営において非常に
   重要な意味をもっているといえます。

  □社内倫理を考える視点

   1.金銭に関する社内倫理

     金銭に関わる倫理は、企業にとってもっとも重要であるとともに備わっている
     べき基本的なものです。

     横領などの問題が表面化する前に「服務規律」や「権限規定」を明確に定め、
     徹底することです。

     特に横領は、強盗や窃盗などのように他人が所持しているものを奪うのでは
     なく、すでに自分が所持している現金などを使ってしまうという行為ですので、
     ちょっとした出来心から非常に発生しやすい犯罪といえます。

     それだけに、部下に金銭を扱わせる場合には上司の注意が必要となります。

     また、横領とまではいかなくても、その一歩手前ともいえる行為はどの企業で
     も決して珍しいことではありません。

     たとえば、「会社の備品を持ち帰り私物化する」、「会社で私用電話をかける」
     など、どんな少額のことであっても、会社の所有物を無断で私物化するなどの
     行為は問題です。

     こうしたことに対応するためには、

      ・金銭倫理に反した場合には、断固とした対応をとることを就業規則に明記
       する

      ・文房具など公私混同しやすいものについては、これも会社の所有物である
       という認識を周知させるとともに備品管理をきちんと行う

      ・出金を伴う事項に関しては、必ず領収書をベースにして対応する

     などの対策が必要でしょう。

   2.情報に関する社内倫理

     情報の取り扱いに関わる倫理の欠如は、インサイダー取引(企業の内部関連
     者が未公開情報を利用して行う株式の不公正取引)といった大きな事件につ
     ながる可能性もあります。

     たとえば「会社のコンピュータソフトをコピーして私用に使う」といったことはよく
     見受けられるのではないでしょうか。

     このようなこと自体が、著作権上許されないのは当然ですが、これを放置して
     おくと、重要情報の社外流出といった事態をも引き起こしかねません。

     この問題に対しては、

      ・文書の破棄、保管方法

      ・社内情報の取り扱い

     といった点についてルールを定めることが有効です。

     情報の取り扱いに関して最低限必要と思われるルールの視点を列挙します。

      ・文書やCD−ROMなどのメディアの廃棄方法に関するルール

      ・文書やCD−ROMなどのメディアの保管方法に関するルール

      ・対外秘文書の配布、保管、破棄に関するルール

      ・社内情報の社外持ち出しに関するルール

      ・退職時の機密保持に関するルール

      ・営業活動などで収集した顧客などの個人情報の扱いに関するルール

      ・インターネットに接続しているパソコンからの情報流出防止に関するルール

   3.男女関係に関する社内倫理

     男女関係に関する問題は、組織風土に大きな影響を与えることになりますの
     で、明確な対処をするべきです。

     問題とされるのは、

      ・セクシャルハラスメント

      ・不倫

     が主なものでしょう。

     男女問題への対処は、各会社でそれぞれ異なるでしょうが、会社としての問題
     への取り組み姿勢が、今後、その組織の男女問題に関する意識形成に大きな
     影響を与えるのだということを理解する必要があります。

      ・「セクハラ」には明快に対処

       「セクハラ」は、その存在が対外的に知られると人材確保の面からも不利に
       なる。
       全社的な問題として捉えた予防策が不可欠

      ・「不倫」については、敢然と対処する

       深刻な事態に至る前に適切な対応策を打つことが必要である

   4.上司・部下の関係に関する社内倫理

     ここ数年で注目されるようになった問題に「パワーハラスメント(パワハラ)」が
     あります。

     これは上司がその役職を利用して、部下に理不尽な心理的圧力をかけたり、
     嫌がらせをすることです。

     前述のセクハラは男女間の問題ですが、パワハラは同性間でも起こります。

     たとえば、客観的にみて実行不可能な業務を部下に与え、できないことを理由
     に激しく叱責したり、逆に一切仕事を与えずに職場での居心地を悪くするなど
     のケースが考えられます。

     パワハラを受け続けた部下は、それに耐えきれずに退職に追い込まれること
     もあり、後にそれがもとで、会社が訴えられるといった可能性もあります。

     上司が「部下を成長させるために厳しく指導している」というつもりでも、それが
     度を超せば、パワハラにつながります。

     パワハラを防ぐためには、幹部陣に部下の指導に関する会社としての考え方
     を理解させるとともに、パワハラを受けていると認識した部下が、経営者など
     に直接相談できる仕組みを作っておくことが有効です。

  □社内倫理を定着させる

   社内倫理の定着には、社員に周知徹底するほか、経営者や幹部がまず行動すること
   によって規範となることが重要です。

   社員に「私用電話を禁止する」とした場合、経営者自身が決して社内で私用電話を
   してはいけません。

   経営者が私用電話をしているなら社員に対して禁じるわけにはいきませんし、禁じた
   ところで守らないでしょう。

   また、禁止事項を設けた場合には、例外や許容範囲についても明確に定めることが
   必要です。

   たとえば、「私用電話を禁じるなら社内に公衆電話を設置する」「私用外出を禁じる
   なら外出規定を作る」などです。

   もちろん、「許す範囲」を同時に決めることも重要です。

   そして、そのうえで断固とした態度で臨むことが必要です。

   それは、罰則を設けるという意味ではなく、そういった倫理とその重要性について繰り
   返し説明するとともに、明確な態度で注意をすることです。

   そうした徹底が社内倫理を確固としたものにしていくことでしょう。

   いずれにしても、社員に定着するにはかなりの時間がかかるものとして、気長に取り
   組むことが必要です。

  社内倫理チェックリスト(参考例)

   常識だと思われていることも、あらためてチェックしてみると完全でなかったり、抜けが
   あるということも案外あるものです。

   もう一度、基本的なところから「社内倫理」をチェックし、問題があると思われる項目に
   ついては、根本的に見直す必要があります。

   自社の倫理について検討し、独自のチェックリストを作成することをおすすめします。

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