レベニューマネジメント
 

  ■レベニューマネジメント

   1.最大の売り上げを生む価格設定

     商品の価格設定と販売量は、基本的には「価格を下げると販売量が上がり、
     逆に価格を上げると販売量が下がる」という関係にあります。

     当たり前ですが、「高ければ売れず、安ければ売れる」ということになります。

     たとえば、図のような販売量と価格の関係がある商品の場合、価格a、b、cで
     のそれぞれの販売量と売上高は以下のようになります。

       (価格a) 100円×900個= 90,000円

       (価格b) 500円×500個=250,000円

       (価格c) 800円X200個=160,000円

     この場合、価格bの500円の値付けをした場合にもっとも大きな売上が得られ
     ることがわかります。

     しかし、500円でこの商品を買った人のなかには「500円だから買った」という
     人だけではなく、「700円までなら買った」という人もいます。

     この場合は200円分の不要な値引きをしたことになります。

     また、買わなかった人のなかには「400円以下だったら買った」という人がたく
     さんいる可能性もあります。

     この場合は大量の機会損失が発生したとみることもできます。

   2.レベニューマネジメントとは

     レベニューマネジメントとは、顧客を同一の集団として扱うのではなく、

       顧客をセグメントして、
       セグメントごとに適切な価格設定をして総売上の最大化を図ろう

     という収益管理の手法です。

     レベニューマネジメントがもっとも活用されている業界として、航空業界と宿泊
     業界があげられます。

     これらの業界では基本的に早期予約者にはその度合いに応じた割引料金を
     適用し、早い時期に一定量の顧客確保を図ります。

     一方で、ビジネスユースなどの顧客のなかには直前ではないと予定が決まら
     ない人もいますので、このような層を対象にして、早期予約割引対象外の直前
     受付枠(通常料金)を確保しておくのも通例です。

     さらに混雑するハイシーズンには、「高くてもその日に利用したい」という顧客
     に対して、割増料金を設定することもあります。

     つまり同一の商品であっても複数の価格帯を準備し幅広い顧客層を取り込
     うとしているのです。

     これを先ほどの表を使って説明すると図のようになります。

     たとえば、価格bを前提とした顧客だけを対象にしていたものを、それよりも低
     い価格aや高い価格cを前提とした顧客も同時に取り込んで売上を最大にしよ
     うとするのがレベニューマネジメントの狙いです。

   3.その他のレベニューマネジメント

     航空業界や宿泊業界に限らず、レベニューマネジメントの手法はさまざまな分
     野で採用されています。

      ・スーパーで閉店直前に、生鮮品に「半額」のシールを貼っての特売

      ・タクシーの深夜割増料金

      ・電話料金の時間帯ごとの価格設定

      ・レンタルDVDの新作は値段が高く利用も短期間だが旧作は安価で
        長期間レンタル

      ・映画館などの平日割引サービス

      ・コインパーキングの深夜割引料金

     このように自社商品やサービスについても、

      ・一定の条件をつければ、もっと高くても買ってくれる顧客層はないか

      ・価格をわずかに下げることで購入に結びつく顧客予備軍はいないか

     といった祝卓で考えてみることも有益でしょう。

  □レベニューマネジメントの実践

   ここでは実際に自社でレベニューマネジメントに取り組む際の流れについて紹介
   します。

   1.レベニューマネジメントの流れ

     (1)第一の現状分析の段階

       過去の販売実績や顧客情報などを分析し、データベース化を行います。

       購入価格や購入時期、購入動機など顧客の消費行動を理解するよう努
       め、同じようなニーズをもった顧客をグループ化していきます。

       さらにこれまでの顧客層以外の潜在的な需要を見出し、その予測を行います。

     (2)第二の仮説構築の段階

       上記で設定したグループごとに商品・サービスの仕様を決め、適切な価格
       設定を行います。

       その際には、

        それぞれの価格によってどの種皮の需要が見込まれるものであるのか、
        シミュレーションモデルを作成する必要があります。

       これら一連の作業をするなかで、最適な商品仕様と価格の組み合わせが
       見出されます。

       もちろん、シミュレーションによって個人の購買行動のすべてを説明するこ
       とは困難ですが、少しでも科学的かつ合理的な意思決定に近づける努力
       をします。

     (3)第三の検証プロセスの段階

       仮説はあくまでも「このような形で売れるであろう」とするストーリーであり、
       つねに消費者の実際の行動との整合性を確認しなければなりません。

        消費パターンの詳細な分析を行い、需要予測と価格設定の見直しを行う

       作業が必要となってきます。

       そして、検証の分析結果は、第1の段階へ再入力されることになります。

       この一連の作業を繰り返すことで、レベニューマネジメントは精緻(せいち)化
       されます。

       なお、最適な価格設定とシミュレーションモデルの作成を実行するには、専
       門的なソフトウエアを利用する、社外のコンサルタントを活用する、などの
       方法が考えられます。

   2.仮説と検証の繰り返しが重要

     レベニューマネジメントは科学的な経営を実践するための手法であり、

      仮説と検証の作業を繰り返すことが何よりも重要である

     といえます。

     レベニューマネジメントを導入して一定の成果を収めるには、経営トップ陣が
     深く関与しながら長期的な取組を進めていくことが必要でしょう。

     こうした取組により、経営を科学の日で見ながらそこに直感を加えていく、いわ
     ば科学と感性とが融合する領域からの収益拡大が期待できます。

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