保険代理店に必要不可欠なこと Ⅱ


  □経営計画の具体的な立て方

   1.中期経営計画の必要性と策定手順

     どんなに素晴らしい経営戦略を練り上げたとしても、それで満足してしまっては
     意味がありません。

     その戦略に沿って実際の行動に移し、目的を達成してこそ、それまでの分析
     や施策が報われるのです。

     建築に例えれば、完成後のイメージを表す完成予想図が経営目標に相当し、
     建物の基本設計にあたるのが経営戦略であり、詳細な施工図や工程表が経
     営計画だと言ってよいかもしれません。

     ある代理店では、年度毎に経営計画書をまとめています。

     そこには、経営理念やビジョンが掲げられているほか、今後数年間の数値計
     画と具体的な行動計画が記載され、より詳細な年度計画に展開されている。

     数値目標を例示すれば、「初年度代手3,000万円、経常利益200万円、継続
     率95%」といった具合で、行動計画には「一般種目50万円以上のAランクの
     お客様には社長が月1回、部長が月2回の定期訪問を行う」といったレベルで
     記載されています。

     ところで、専業代理店で中期経営計画という場合、「中期」とは3年間を目安に
     考えればよいでしょう。

     なお、2年後、3年後の事業環境を現時点で確実に予測することは不可能で
     す。

     したがって、環境変化について当初から幾つかのシナリオを想定したり、1年
     経過時点など途中段階で必要に応じた修正を行います。

     ●ポイント

      1.戦略を具体化、スケジュール化して実現可能性を高めるために必要

      2.行動計画の策定にあたっては、実効性が高く、確実に進捗をチェック
        できる形にすることを心がける

      3.行動計画の実施にともなって発生する費用や投資、そこから得るべき
        成果について計数計画に反映させる

   2.実効性の高い行動計画を立てる際の留意点

     景気低迷が続く状況下では、業績見通しや利益目標の下方修正を当たり前の
     ように繰り返してしまう例がかなり見受けられます。

     予期できないような事業環境の変化にともなう下方修正であれば止むを得な
     いと言えるでしょうが、当初の見込みが甘すぎたり、計画が十分に練れていな
     いといったケースも少なくないようです。

     計画に実効性を持たせるためには、計画の実施に携わるメンバーが具体的に
     なにをすべきか理解していることと、適切な進捗管理によって施策の確認・見
     直しを繰り返すことが重要です。

     「活きた計画」を立てるためには、

      ①明確なゴールを見据え(創出価値)

      ②ゴールに至る道筋を描く(取組施策)

      ③その道を進むために用いる道具や材料を明確化(投入資源)

      ④ゴール到達までの道のりに時間軸を割り当てる(スケジュール)

      ⑤だれが先頭に立って進むのかを決める(役割分担

     以上のことが重要です。

     いきなり中長期の計画を立てるのは難しいという場合は、身近な日常業務に
     ついて上記のポイントに沿って整理してみると良いかもしれません。

     繰り返し大過なく実践できている仕事であれば、多くの場合は意識していない
     としても、これらのポイントを押さえた成功パターンができているものです。

     ●ポイント

      計画が「画に描いた餅」になってしまわぬよう、下記の諸点について
      明確に定める

      1.投入資源(インプット)と創出価値(アウトプット)、スケジュールを明確
        にすることで、計数計画との整合性を保てる

      2.具体的で進捗管理しやすい計画とすれば、この枠組みを人事管理上
        の目標管理と一体化できる

   3.年度経営計画(予算)を立てる際の留意点

     予算を立てるときは、前年実績などをベースにして増し分を加減すると考えが
     うまく整理できます。

     ただし前年実績をベースにするとしても、同じことを単純に繰り返したのではジ
     リ貧に陥ってしまうのが普通です。

     時間の経過による収益力の目減り分をどうやって補い、上積みを築いていく
     か、ということがポイントになります。

     この点に着目して具体的な行動計画を作ることができれば、それが計数的な
     予算とリンクします。

     ●ポイント

      1.中期経営計画と整合性のとれる年度計画(予算)とすること

      2.放置すれば目減りする売上見込額と成長に向けた施策の効果を
        考慮した売上予算とすること

      3.過去のコスト構造と新たな取組にともなうコストを考慮した経費予算
        とすること

   4.売上予算の考え方

     売上を単純に分解すると、

      ①お客様の数

      ②お客様一人あたり契約数

      ③1契約あたり手数料単価

     の3つを掛け合わせたものとして捉えることができます。

     単純な更改業務を繰り返した場合、継続ロストでお客様の数が減少し、等級
     アップで単価が低下してしまうので、年々売上は減少することになってしまう。

     当然、目減り分を補い、さらなる事業拡大を目指して、新規開拓やクロスセ
     ル、アップセルのための営業活動を展開することになります。

     売上予算を組むときには、それらの取組からどの程度の成果を獲得するの
     か、という点について見積もることが求められます。

     さまざまな取組を実践して、その成果について確認していくことによって、売上
     アップに効果的な施策についてのノウハウ蓄積が進み、業績向上と合わせて
     売上予算の精度向上が図られます。

     ●ポイント

      1.旧来どおりの活動の繰り返しでは、通常は前期の売上を維持できない

      2.持続的に成長していくためには、上積みを生み出すための狙いを
        定めた施策が必要

      3.新規開拓・クロスセル・アップセルを表す3つの軸を使うと、取組施策と
        リンクした売上予算を考えやすい

   5.経費予算の立て方

     経費予算を考える際のベースとなるのは、多くの場合、過去の実績値です。

     継続的に事業を営んでいて過去数年のコスト構造が安定的であったならば、 
     経費予算を考えるには、売上に連動して増減する変動費と、売上水準に関わ
     らず一定額が発生する固定費とに分けて捉えると良いでしょう。

     費用を固定費と変動費に分別して捉えることができれば、売上水準が変わっ
     た場合に利益がどのように増減するかということを把握できるので、マネジメン
     トの質を高めることができます。

     予算編成とは、別の角度から見れば、自店のコスト構造を設計することだとも
     いえます。

     事業規模の拡大が約束されているような状況下では変動費率を引き下げて固
     定費型のコスト構造とした方が利益拡大という点で有利ですが、売上減少リス
     クを無視し得ない状況では、固定費を切り下げた方が業績安定化が図れる。

     専業代理店では最大の費用項目は人件費となるが、持続的かつ安定的に黒
     字を計上している代理店では、概ね、人件費60%(経営上は50〜55%)、物
     件費30%、営業利益10%といった比率でコントロールできているケースが多
     いようです。

     ●ポイント

      1.現状の自店のコスト構造を把握し、固定費と変動費を区分する

      2.行動計画との関連を踏まえ、意図的に追加する費用や人事・購買
        施策の変更効果などを織り込んで予算化する

      3.業績を安定させるためには、人件費を含めて固定費の水準を引き
        下げ、変動費化を進めることが効果的

  □経営管理の体系図

   1.計画の実現化

     小さなPDCAサイクルの積み上げで大きな計画を実現することが基本です。

     PDCAサイクルの基本的な流れは、

      計画・目標を設定し(P)、

      目標を達成するための手段で職務を遂行し(D)、

      その手段が適切になされたか、効果があったかどうかを点検し(C)、

      必要に応じてその手段を修正・改善する(A)

     目標を達成するために行うこと(手段)を下位の目標と読み替えてより具体的
     な手段へとブレークダウンすると、実現性が高まります。     

     ●ポイント

      1.計画を実現するための基本動作は、Plan(計画・目標)⇒Do(手段)
        ⇒Check(点検)⇒Action(修正)を繰り返すこと

      2.目標を達成するために行うこと(手段)を下位の目標と読み替えて、
        より具体的な手段へとブレークダウンする

      3.上司によるトップダウンの管理ではなく、各自の自発的管理がしやすい

        環境づくりを心がける

  □経営管理の要素

   1.経営理念の共有と浸透を図る

     自店は事業を通じて社会に対してどのような価値を提供してゆくのか、といっ
     た経営者の事業に対する思いを従業員が理解していなければ、お客様にも伝
     わりません。

     したがって、経営者は従業員に対して常に経営理念を語り続け、その理念に
     基づいて自らが行動することが大事です。

      ○経営理念を従業員に語り続け、自らも行動し、従業員に分かってもらう
       →経営理念の発信・共有

      ○経営理念が分かった従業員がお客様にそれを伝える
       →経営理念の伝達

      ○お客様はサービスを通してその経営理念に共感する
       →お客様満足(CS)

     一方で、制度や仕組みの中で経営理念を共有していくことも有効な手段です。

     例えば、理念に整合する行動指針にしたがって業務を遂行したか、という項目
     を評価の一つにする方法です。

     中小企業の評価制度にも見られるやり方です。

     また、単純に評価項目にするだけでは十分ではありません。

     理念を浸透させるには、評価結果の処遇(賃金や昇格)への反映、面接による
     フィードバックなどをきちんと行うなど、制度を適確に運用することが大事。

     ●ポイント

      1.一番大切なことは経営者自らが経営理念に基づいて有言実行すること

      2.その経営理念は、従業員に分かりやすく明確であること

      3.社訓などの媒体を活用したり、理念に基づく行動を評価するなど制度
        に取り入れる工夫も有効

   2.計画を実現するための管理手法

     「誰」ではなく、効果を上げるための『手段』と、手段による『効果』を管理の対
     象とする考え方を目標管理の基本とする。

     「誰」を管理の対象にしてしまうと、個人の属人的な手段に管理がとどまり、組
     織全体の手段⇒ノウハウとして共有できない恐れもあるからです。

     その『手段』で業務を遂行すれば誰でも『効果』を上げられる仕組みを創り上げ
     ることは、特定の個人が属人的に短期的な売上を上げることよりも、組織には
     るかに大きく貢献していると言えます。

     また、上司によるトップダウン型の管理ではなく、日々の定常的業務の中で
     『手段』の遂行を担う本人が自発的に修正・改善・遂行を繰り返す自己管理型
     の環境を創ることが大切です。

     したがって、上司の管理者としての最大の役割は、

      (1)このような環境を創ること

      (2)チェックやアドバイスで採用している『手段』を改善するだけではない

      (3)その『手段』を組織としてのノウハウとして蓄積・共有・浸透していく

     ●ポイント

      1.計画進捗に関する事実(行動を実践した事実、効果が得られた事実)
        をチェックするという姿勢が大事

      2.ヒトを管理しようとすると、アラ探しや責任追及に目が向いてしまい、
        事業の推進力が削がれてしまうことが多い

      3.それぞれの役割を担うメンバーが自己管理のもとで業務を推進する
        ことが望ましい

   3.具体的な営業管理の方法

     代理店の競争力は、営業担当者のレベルに依存するところが非常に大きいと
     言えます。

     営業担当者のノウハウを個人的な能力としてとどめておく限り、代理店の競争
     力は向上しません。

     組織全体のレベルアップにつながる営業管理の仕組みが必要となります。

     ①PLAN:

       営業担当者の行動予定表を作成し、組織として共有します。
      長期計画ほど具体的な訪問予定は入れられませんが、重要なお客様
      ○○社への拡販といった戦略的な項目や更改予定等予め長期的なスパン
      で分かるものが中心となります。
      短期であるほど具体的になります。(重点訪問先を入れる等)

     ②DO:

       営業日報が日常の情報収集のツールとなります。
      報告は口頭ベースで記録を残さない代理店が大半ですが、組織的に
      営業力を高めようとすれば、情報共有化ツールとして営業日報は重要と
      なります。
      ここで得る情報は営業進捗情報等の「セールス情報」と営業戦略のベース
      ともなる「マーケティング情報」の2通りがあります。

     ③CHECK:
      「マーケティング情報」は、お客様管理表(お客様データベース)に蓄積し、
      メンバー全員が共有して代理店としての営業戦略を検討するベースとする。

     ④ACTION:

      上の情報をベースに次の新たな打ち手を講じたり、現在のやり方の軌道
      修正を行い、次期計画に反映します。

     ●ポイント
      1.個人の情報やノウハウを組織としての情報・ノウハウへ

      2.Plan(行動予定)⇒Do(営業)⇒Check(お客様管理)⇒Action(次の
        作戦)が営業管理の基本動作

      3.営業日報から得られるマーケティング情報(お客様・競合・商品・価格
        等)を組織としての営業戦略の素材に

   4.業務分担の進め方   

     競争の時代に勝ち残り、お客様から選ばれる代理店になるためには、お客様
     のニーズに的確にかつ迅速に対応し、専門性・個別性の高い企画提案が実施
     できる、安定した組織体制づくりが必要となります。

     また、生損保併売を効率的に推進する意味でも、外勤者・内勤者の業務が適
     切に分担され、個々の時間を最大限に活用できるような体制の確保が望まれ
     ます。

     なお、個々の時間を最大限に活用できるような組織体制も大切ですが、個々
     の時間をうまく捻出するための「時間管理」も重要です。

     時間を捻出するということは、なにかをやらずにすませてより価値の高い仕事
     のために時間を生み出すことです。

     そのためには、

      ①仕事の優先順位をつけること

      ②計画を立てること

      ③計画どおり仕事をこなすこと

      ④業務遂行にあたり工夫すること

     といった基本動作を習慣づけることが大事です。

     この基本動作をしっかり守りつつ、自分なりのテクニックで時間管理を行うこと
     が望ましいと言えます。

     ●ポイント

      1.組織の拡大に伴い、機能ごとに業務を切り分けて分業体制を構築
        できれば、各人の業務効率の向上が期待できる

      2.各人の得意な部分をうまく組み合わせて補完的な関係を作れれば、
        組織全体のレベルアップが図れる

      3.業務をマニュアル化し、特定の人だけでなく、全員でノウハウを共有
        できるようにしておく

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