経営計画策定のステップ


  多くの代理店が経営計画の策定をおざなりにしている。

  船が航行するのに羅針盤が欠かせないように、代理店業においても一人親方で 
  あっても規模の大きい代理店であっても羅針盤(経営計画)は欠かせません。 

  経営計画を作成するためのステップを掲載しておきますので、参考にしてください。

  ■計画策定のステップ

    1:経営理念、経営方針の明確化

    2:経営力の分析

    3:自店を取りまく環境変化の予測

    4:中期目標の設定

    5:次年度マスタープランの策定

    6:次年度部門計画の立案

    7:全体計画と部門計画の調整

    8:計画書の作成と発表会の準備

    9:計画の発表

   策定期間の目安として、

    1〜3:3ヶ月間

    4〜6:2ヶ月間

    7〜8:3ヶ月間

   このように経営計画の全体を策定していくのに初めは5〜8ヶ月くらいかかります。  
   当然、次年度の計画を策定するのですから、1週間やそこらで出来ることではあり
   ません。
   慣れてきますと、3ヶ月で策定できるようになります。

    1.経営理念、経営方針の明確化

     経営理念とは、経営者が実現したいと考えている企業経営に対してもつ基本
     的な価値親、態度、信条です。

     これは、「自社(店)を何のために経営するのか」を社内外に表わすものであり

     企業として社会的責任を遂行するための基礎となるものです。

     したがって、経営理念は経営者自身の価値観や経営思想に基づき、さらに社
     会から受け入れられ、社員の行動基準とならなければなりません。

     そして経営者はこの経営理念に則り、経営を正しい方向に導く努力をしなけ
     ればなりません。

     経営計画の策定は自社(店)の将来のあるべき姿を設定するものですから、こ
     れを機に経営理念を再確認し、文章になっていなければ「何のために経営す
     るのか」を明文化しましょう。

     そして、これを事業と結びつけて、事業の運営方針まで定めます。

     これが「経営方針」であり、経営理念をもとに「自社(店)がどのように事業を運
     営していくか」を示したものです。

   2.経営力の分析

     経営力の分析と自社(店)を取りまく環境変化の予測を行なう。

     経営計画策定の前提として、まず自社(店)の経営力の分析と自社を取りまく
     環境変化の予測を行ないます。

     将来の計画を立てるためには、まず、正しく自社(店)の現状を把握することが
     必要です。
     現状の分析を行ない、自社(店)の長所と短所を把握したうえで、長所を伸ばし
     短所を補うための方策を検討し、経営力の強化を図ります。

     経営活動の分析項目としては業種分野、販売力、組織編成、組織風土、およ
     び経営者層のリーダーシップといったものが考えられます。

   3.自社(店)を取りまく環境変化の予測

     業界を問わず、企業はさまざまな環境要因の影響を受けています。

     将来の自社(店)の方向性を考えるにあたって、これらすべての変化を予測す 
     るのは困難ですが、ある程度予測し、環境変化をチャンスととらえ、適切な施
     策を考えることが望まれます。

     環境変化には社会環境と自社(店)を取りまく直接的な環境とがあります。

     以下に環境変化の要因のおもなものをまとめます。

      【社会環境】

       ・社会、政治、経済(好・不況、出生率の低下など)

       ・技術(新素材、バイオテクノロジー、コンピューター化など)

       ・消費者価値観(価値観の多様化、豊かさの追求、余暇の充実など)

       ・法改正(規制緩和、税制改正など)

       ・金融(円相場、金利、株価など)

       ・労働(賃金水準、採用状況、福利厚生の社会動向など)

      【自社(店)を取りまく直接的な環境】

       ・得意先の戦略

       ・顧客のニーズ

       ・新設備の開発動向

       ・販売チャネルの変化

       ・同業他店の動向  

     環境変化の要因を正しくとらえ、これらの要因が自社(店)にどのような影響を 
     与えるかを予測し、そのための対策を検討していきます。

     さらに中長期の目標を設定するときに、この環境分析を基に重点的に取り組
     む必要のある課題をピックアップして検討します。
  
    4.中期目標の設定

     1、2、3で検討してきたことを基に、自社が進むべき中期的な方向性を決定し
     ます。

     目標設定の視点は、

      ・自社(店)がどのような分野に進んでいくのか

      ・どのような商品・サービスを扱っていくのか

     です。

     現在の代理店業を継続していくためには、市場の動向を把握することが欠か
     せない。

     主力商品が今までのままでよいか、主力商品を換えていくのか、さらには苦手 
     とする法人(事業所)マーケット攻略に備え、営業強化のための対策を講じて
     いくのか、などを選択します。

     ここまでを決定したら、これを実現するためには

      ・どのような組織体制が望まれるか

      ・どのような社外ネットワークが必要か

      ・どのくらいの組織規模が適正か

      ・どのような設備投資が必要か

     といった目標達成のための具体的イメージをある程度示します。

   5.次年度基本計画(計画の骨子 or マスタープラン)を策定する

     計画を立てるには、まず、基本計画を作成し、これを土台として全スタッフで話
     し合いを進め、全体計画をまとめていきます。

     各部門では基本計画にそって、部門計画を作成し、全部出そろったところで部
     門としての意見や見通しを発表して全体計画と部門計画の調整を行ないま
     す。

     基本計画の作成は次の手順で進めます。

      (1)翌年度重点方針の決定

      (2)商品、市場別の計画の設定

      (3)開発投資計画の策定

      (4)売上利益計画の骨子策定

     各ステップのポイントについて

      (1)翌年度重点方針の決定

        「2.経営力の分析」で得られた結果を参考にしながら「3.中期目標を設
        定する」の中長期目標を実現するために「翌年度は何に重点的に取り組
        むべきか」をまとめます。

        このとき、今年度の計画のなかで実行できなかった点など課題を洗い出
        し、現状に即した目標となるよう心がけます。

        重点方針が決定したらこれを実現するための組織編成についても検討し
        ましょう。

        重点方針の表わし方は、できるだけ具体的に設定し、1 年後自社がどの
        ようになっているのかがイメージできるようにします。

      (2)商品・サービス、市場別の計画の設定

        次に、自社(店)がターゲットとしている顧客の分類を見直し、さらに商品・
        サービスの品揃え計画を立てます。

        ターゲットとする顧客の編成については、自社(店)の顧客別売上構成や
        利益状況を分析して、これから売上の拡大が見込まれる顧客、縮小が見
        込まれる顧客などを把握し、今後の営業政策に適した顧客分類を行ない
        ます。

        商品計画についても同様に現在の商品分類別の売上高と利益の状況を
        把握したうえで、今後の営業政策に適した商品の再分類を考え、品揃え
        を検討していきます。

        これを基に中期の目標と照らし合わせ、今後どの分野に力を入れていく
        かといったことを検討し、分野ごとの売上高と利益を予測します。

      (3)開発投資計画の策定

        投資は慎重に計画を立てなければなりません。
        過大なコストをかけ経営が行き詰まり、最悪の事態を招かないよう心が
        けます。

        計画を立てる際は、設備投資と人材開発投資とを別項目として検討しま
        しょう。

        設備投資の計画については、投資の見積もりを行なった後、採算予測を
        行ない、投資により得られる利益と債務のバランスを比較します。

      (4)売上利益計画の骨子策定

        この段階における利益計画は、各部門の立てる部門計画の指針となる
        ものなので詳細にわたる必要はなく、概算で示します。

        まずは、前年度の実績利益を参考に来年度の目標からみた売上を予測
        し、目標利益を設定します。

        これに必要となる費用を加算して目標とする収益を算出します。

        必要となる費用については人件費の増加分やその他費用などを考慮し
        ます。

      以上、(1)〜(4)までの内容を基本計画(計画の骨子)として表にまとめ、各
      部門へ提示します。

   6.次年度部門計画の立案

     部門計画は次のような手順でまとめます。

      (1)各部門への基本計画(計画の骨子)の提示

      (2)部門方針と部門予算骨子の作成

      (3)部門メンバーによる方針の確認

      (4)全体計画と部門計画の調整

      (5)個人目標の設定

     各手順のポイントについて、

     (1)各部門への基本計画(計画の骨子)の提示

      はじめて各部門へマスタープランを発表することになります。

      基本計画(計画の骨子)に対してどの程度理解を得られるかによって、今
      後、各部門で部門計画を立案する際にどれだけの協力を得られるかが変わ
      ってきます。

    (2)部門方針と部門予算骨子の作成

      自部門の今年度実績見込みを予測し、これを基に基本計画にそって翌年度
      の部門予算骨子を
立案します。

      ついで、今年度の方針で十分に成果が上げられなかった施策についての反
      省を踏まえ、また翌年度の全体方針との整合性を考慮しながら部門予算の
      見込みおよび部門方針をまとめます。

      さらに計画実現のための組織編成も部門方針に盛り込みます。

    (3)部門メンバーによる方針の確認

      計画策定は上から押しつけられたものではなく、自主的に自分たちの意思
      で行ない、各人が
経営に参加しているという意識をもつことが必要です。

      そのために部門方針と予算骨子を策定した後、これを部門メンバーに提示
      し、全員で検討を加え、計画実現に向けて全員の意思を確認します。

      この際、事前に基本計画と重点方針について十分な説明を行ない、理解を
      求めるようにします。

    (4)全体計画と部門計画の調整

      部門から積み上げられてきた予算と全体の売上利益計画マスタープランを
      比較検討してその
ギャップを明らかにします。

      部門予算とのギャップの原因や予算の妥当性を判断し、全体予算と部門予
      算の調整、あるいは部門間の予算の調整を行ないます。

      互いが納得し実現可能な計画となるように具体的な根拠をもって調整を行
      なうようにしなければなりません。

      予算の根拠として具体的な施策を示すとともに、その対策の期限や担当を
      決めるなどの取り組みが必要です。

    (5)個人目標の設定

       部門方針が実現できるかどうかは部門全員の努力にかかっています。

      とくに責任者のリーダーシップが問われるのです。

      したがって、調整が終わり予算がまとめられたら、部門予算および方針を実
      現するために部門責任者が取り組まなければならない課題を、行動目標と
      して設定します。

      その課題を遂行するための部門責任者自身の能力開発目標もつけ加えま
      す。

      さらに各部門メンバーの個人目標も同様に設定します。

      目標を設定する際は抽象的にならないよう気を付け、現状の自己分析を基
      に具休的に何をするかを掲げます。

   上記に記載した計画は営業のみならず、内務部門(経理、総務、etc)についても
   計画策定を行いましょう。

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