スクマネジメント(危機管理)手法


  経営において、100万円の利益を出すことと、100万円の損失を未然に防ぐことは同じ
  価値を持ちます。

  リスクマネジメントの意味は広義に渡りますが、事業運営におけるリスクマネジメント(危
  機管理)手法の活用は経営にかかわるリスクから防衛することが目的となります。

  今一度、自社のリスク管理をチェックすることをおすすめします。


  中小企業の多数が売り上げを上げることだけに躍起となり、足元のリスクに対しては無頓
  着な傾向にあります。

  事業を運営していく上で、多種多様な危険があなたを待ち伏せ、そのリスクは複雑・多様
  化してきています。

  たとえば、工場が火災で焼失したとします。

  これにより、企業の生産活動は停止し、操業停止の危機というリスクにさらされます。

  また、規制緩和・消費者ニーズの多様化などの社会の動きそのものが、企業の利益に大
  きな影響を与えることもあります。

  すなわち、すべての企業はどんなに業績が順調に推移しているとしても、常に事業縮小や
  最悪の場合、倒産というリスクにさらされているのです。

  そして事業リスクにおける90%がヒトに関わるものであることも確かです。

  リスクマネジメント(危機管理)対策では

    リスクマネジメント情報  各種マニュアルの紹介

     マニュアルの考え方・つくり方  会社を守る診断シート 

   組織における危機管理強化(コンサルティング・セミナー・研修・講演)のご案内

  についてまとめました。


  企業が直面する5つのリスク

  (1) 財産損失のリスク

   火災・爆発・地震・風災害(台風など)・盗難などにより
   生じる直接損害に関わるリスク(例えば、ショーウィンドウの商品が盗難など)

  (2) 収入減少のリスク

   企業の売り上げや利益が減少するリスク(例えば、自
          社工場が罹災し、生産がストップや取引先の倒産など)

  (3) 賠償責任のリスク

   他人の権利を違法に侵害し、これにより損害を発生させた結果、法律上の賠償責任を
          負うリスク(例えば、新製品の商品名が商標権侵害であるとの警告書が届くなど)

  (4) 人的損失のリスク

   経営者、重役、あるいはその他の従業員の死亡・事故・疾病・不
   健康・信用損失などのリスク(例えば、自動車事故により、キーパ
   ーソンが死亡など)。

  (5) ビジネスリスク

   新製品開発や海外進出などの営業戦略上のリスク、および株式
   投資・商品取引・為替操作・他社への融資などの資産運用上のリ
   スク(例えば、新規参入者の出現により、自社製品のマーケットシ
   ェアが低下など)。

  以上のようにさまざまなリスクが企業を取り巻いています。

  しかし、多くの企業ではこれらリスクに対して無防備であり、

   ● 経営者がリスクの存在を認識していない。

   ● リスクをコストとして認識していない(企業経営にとっては、100万円の利益を出す
     ことと、100万円の損失を未然に防ぐことは同じ価値を持っている)。

   ● 安全を人的依存にすりかえている(注意をすれば事故は起こらないなど)           

   ● 天災による被害、損失は人間の責任の範囲外の出来事という認識が強い。

     しかし実際には対策により被害、損失は防止、低減できる。
     天災は人災ととらえるべきである。

   ● 危機管理マニュアルの未整備(企業に内在するリスクの予見と分析がない。)

    ○経営者の判断ミスにおけるリスク(新規事業進出、事業規模拡大の失敗など)

    ○特許侵害、訴訟問題による損失

    ○経営者、管理責任者の事故や病気による企業のリスクなど

  こうしたリスクにかかわる意識や対応の欠如は、ひとたびリスクが発生した際には、企業
  の存続すら危ういものにします。

  こういった事態を防ぐためにも、リスクマネジメント(RM)が求められています。   

  会社を守るためにも、あなたの抱えるリスクを、部分管理から一元管理のできる専門家
  
に依頼することです。
    
  ■リスクマネジメントとは

   企業の諸活動に及ぶ悪影響を低減させるため、要因(リスク)を特定し、資産・活
   動・稼働力を保護するために必要な機能を、最少のコストで運営管理するプロセス
   で、経営管理手法の一つと定義される。

   「企業の諸活動に及ぶ悪影響」とは、「経営損失」そのものです。

   この要因となりうる不確実性が企業を取り巻くリスクそのものです。

   すなわち"経営損失をもたらす可能性を持つ不確実な要因"を総じて企業リスクと
   いいます。

  □リスクマネジメントの目的

   リスクマネジメントの目的は、企業を支える「資産・活動・稼働力」の保護であり、
   これがうまくいかない場合には、企業は倒産してしまう。

   よって企業リスクマネジメントの目的は、企業の倒産防止ということになる。

   まさに経営管理の重要部分を担っているといえるでしょう。

   近年、社会的責任を全うしなかったことに起因する企業イメージの低下や、企業を
   舞台とした不正義の発覚などが大きく取り上げられるようになった。

   いわゆる、社会的信用の失墜につながる『企業のポジションそのものに起因する
   リスク』の存在が大きくクローズアップされてきている。

   従来からの『企業の生産や販売・サービス活動から派生して発生するリスク』のみ
   を対象としていたのでは不十分になってきました。
    
  □「保険」と「保有」

   リスク対策にはリスクファイナンシング(保険)とリスクコントロールがあるが、リスク
   コントロールの多くは、法律や各種規格によって決められており、あまり自由度が
   ない(高度な対応策を導入することは可能だが、規制以下の対応はできない)。

   一方、リスクファイナンシングでは、保有(リスク保有:リスクによる損失を内部留保
   された資金等で賄う)と保険のバランスにより、コストとしての最適値が見つけられ
   ます。

   ●保険の効用

    ・巨額損失に対応できる担保力が確保される

    ・コストを平準化でき、税法上のメリットが享受できる

    ・事故処理を代行してもらえる

    ・資金負担に関わる無用の利害衝突・トラブルを回避できる

    ・各種付帯サービスを活用できる

     「保険」の活用は、確かに多くの場合、リスク対策コストを引き下げる最も有効な
    手段である。

    しかし、「保有」が必ずしも不利な手段というわけではない。

    「保有」には、次のような2形態があり、場合によっては有効な企業リスク対策と
    いえます。

   ●積極的保有(自家保険)

    リスクの存在を認識していても、保険会社等に任せるのではなく、自己資金等の
    積み立て(社内留保)によって、損失に備えること。少額損害が多発するような
    ケースや、企業としてその体力に比較して問題なく損金処理可能な損失しか発生
    し得ない場合など、保険より有利なリスク対策が可能な場合に使われる。

    米国で労災保険等保険料が高騰し、事故率の低い企業が自家保険に踏み切っ
    たケースや、国内の大手運輸業などの車両事故損害の自社保有が好例。

    当然のことだが、上記の保険のメリットは享受できない。

   ●消極的保有(無保険)

    不注意によってリスクの存在に気づかなかった。

    もしくは、保険料負担ができず、必要な保険をかけなかったこと等による損失の
    保有。

    これはリスクマネジメントの手段ではなく、単なる結果である。
   
  ■自社(店)を取り巻くリスク

   中小企業の多数が売り上げを上げることだけに躍起となり、足元のリスクに対して
   は無頓着な傾向にあり、危機管理に対する意識が希薄であることが見受けられ
   ます。

   『経営において、100万円の利益を出すことと、100万円の損失を未然に防ぐこと
   は同じ価値を持ちます。』

   企業経営には様々なリスクが発生します。

    ・労災:製造現場での事故、社用車による交通事故など

    ・盗難:現金、商品、オフィスの備品など

    ・社員の不正:横領、企業機密の漏えい、業務用PCへの不正ソフトインストー
     ルなど

    ・業務上の賠償問題:社用車による事故、製造物責任、環境汚染など

    ・雇用問題:サービス残業、不当解雇、不当な賃金格差など

    ・ネットワークの障害:ウィルスなどによるシステムダウン、サーバーへの不正
     進入など

    ・ハラスメント問題:セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなど

   が挙げられます。

   上記のリスク対策として行われているのが、

    ・社員教育の徹底

    ・危機管理マニュアルの作成

    ・ITセキュリティの徹底

    ・管理者教育の徹底

    ・行動指針の作成

    ・緊急連絡網の整備

    ・与信管理の徹底

   などです。

   企業を取り巻く環境にはさまざまなリスクがあり、発生する可能性も変化し続けて
   います。

   さらに、リスクは予期せぬときに突然危機に発展する可能性があり、予期せぬ危機
   は企業に大きなダメージを与えます。

   危機が発生する時期をあらかじめ予期することは非常に困難ですが、起こりうる
   可能性のあるリスクをあらかじめ予測し、それらの事態に即座に対応できる体制を
   整えることは可能です。

   危機を生み出すリスクの予測と対応体制の確立は危機管理の基本といえます。



   □企業を取り巻くさまざまなリスクと危機管理体制づくりのポイント

    ○経済的リスク

     ・金利、為替相場、株式相場など

    ○法的リスク

     ・知的財産権訴訟、環境保護関連法制度の強化、独占禁止法の強化

    ○人的損失リスク

     ・経営者や社員の死傷、重度疾病、ヘッドハンティング、若年社員の離職

    ○インフラ事故リスク

     ・電力や通信施設の事故、航空機、自動車事故の発生

    ○社内的リスク

     ・工場、事務所の火災や事故、設備機械の故障、取引先企業の倒産

     ・機密漏洩、社員犯罪、商品製造工程の不備、個人情報の漏洩


   危機管理は、システムではなく意識の在りかたにこそ、その本質があります。

   完璧なマニュアルを作ることが危機管理なのではなく、完璧なマニュアルで危機に
   対応しようという意識の高まりを行動に移すことこそが危機管理なのです。

   危機管理には、最初に始めなくてはいけないというものはなく、必ずやらなければ
   ならないものがあるわけでもありません。

   まずは、自社にとって重要だと思われることのうち、できることから一つずつ始めて
   いくことが大切といえるでしょう。

      自社のリスク管理体制がどのような状況かチェックしてみてください。

   小さなことからでもとにかく取り組みを始め、日常の業務としての危機管理を定着
   させることが、危機管理体制確立への第一歩です。

   「たら、れば」にならないためにも早急な対策を講じることです。
   
  ■リスク管理体制の構築

   中小企業などにおいては、経営トップのリスク管理に対する認識そのものがまだ
   甘いといわざるを得ません。

   不測の事態に備えるリスク管理では経営者のリーダーシップが重視されます。

   社外では、為替の変動、脅迫や誘拐といった犯罪、株主代表訴訟、PL(製造物
   責任)訴訟などに対応しなければなりません。

   また、社内にはセクハラ、労災、背任、横領、インサイダー取引などのリスクがあり
   ます。

   こうしたリスクを回避あるいは最小化するためには、迅速な意思決定と事前の緊急
   対応体制の整備が必要不可欠です。

   また、マスコミ対応に失敗し、リスクを拡大してしまうことのないような体制を整備
   することも重要なポイントです。

   リスク管理体制の構築に向けて、緊急事態発生時はもとより、平常時においても、
    → リスクの抽出・特定

    → リスクの評価・対策

    → リスク教育

    → リスクの管理・連絡体制

   などの緊急事態発生を予測・予防するリスクマネジメントを一層強化していく必要が
   あります。

  □リスクの管理

   企業活動からすべてのリスクを排除することはできません。

   そこで、企業を取り巻くリスクと上手につきあう、つまりリスクを適切に管理(マネ
   ジメント)する必要が出てきます。

   リスクの内容は各事業によって異なり、同じ事業でも時期や周囲の環境などによって
   異なってきます。

   従って、リスクを効果的にマネジメントしていくためには、まず部署ごとに想定される
   リスクを抽出し、認識・確認することが必要になります。

   最終的には、想定したリスクをできるだけ排除し、また実際にリスクが発生した際
   には被害を最小限に食い止めるためのリスク管理マニュアルを作成する必要が
   あります。

   企業がリスク管理体制を構築する際、特に留意すべきポイントは次の3点です。

   (1)経営トップが必ず関与する

     リスク管理は経営そのものです。

     企業が活動を行って行く中で、完全にリスクをなくすことはできません。

     まずは、経営トップがこのことを正しく理解し、自らが先頭に立ちトップダウ
     ンで進めることが肝心です。

   (2)組織としてノウハウを継承する

     阪神大震災の後、多くの企業でリスク管理マニュアルが作られましたが、当
     時その作成にかかわったプロジェクトのメンバーは、人事異動などで担当
     部門を離れてしまい、その後、マニュアルにメンテナンスが加えられること 
     はありませんでした。

     そのため、社員の大部分がマニュアルの存在は知っているものの、内容を
     見たことはない状況になってしまいました。

     実際には、マニュアルのメンテナンスやその教育徹底こそが重要なことで
     あり、当初の姿勢や体制を継承する仕組みが必要となります。

     そのためには、経営に近い部署の担当者がその任に当たり、企業規模に
     よっては専任部署を設置することが望まれます。

     この担当者や担当部署は、企業全体を見渡したリスク管理の構築を行い、
     日常的にはリスクの予防対策や社員への教育訓練を実施し、緊急事態に
     は経営トップの補佐として、リスク管理対策本部の中枢として活動すること
     が求められます。

   (3)一貫した体制構築と対応を行う

     リスク管理の最大の目的は、可能な限りリスク状態を排除することであり、
     もしも、リスク状態に陥ったとしても損害を極少に抑えることです。

     リスク状態に陥らないためには、重要なリスクに対して日常的な対応を疎か
     にしないことが最初に求められます。

     次に有事に備えての体制の構築です。

     しかし、日常の管理だけに目を向けすぎて、リスクの防止だけが強調されす
     ぎると、「これだけの日常管理をしているのだから、リスク的状況などは発
     生するはずがない」という過信につながり、実際にリスクが発生した場合、
     発生後の対策対応が不十分になることがあります。

     リスク管理は、日常のリスクマネジメント(事前対応策)への経営トップの関
     与と、それでも万一の事件・事故の発生があり得るとして、クライシスマネジ
     メント(事後対処策)への備えを行うことになります。

   まず最初に自社のリスク管理についてチェックしてみてください。

  □リスク管理体制の確立

   以下では、リスク管理体制を確立させる具体策について簡潔にまとめます。

   まず、リスク未然防止のための全社的潜在リスクの洗い出しの実施です。

   社内に潜在するリスク要因の多様さを認識させ、リスク意識を高めるとともに、防止
   策に取り組ませます。

   そのうえで、全社的なリスク管理対応能力を高める「リスク管理マニュアル」を作成
   しますが、社員のだれもが迅速で正しい判断と行動が取れるよう、「必要なこと」
   と「必要でないこと」を明確に示すことが重要です。

   幹部社員にはリスク管理の知識と意識を高める継続的な「リスク管理セミナー」
   を実施します。

   幹部社員のちょっとした判断ミス・連絡ミス・対応ミスが大きなリスクを招いてしまう
   ことを自覚させます。

   また、初期対応の判断ミス防止策としての継続的な「シミュレーショントレーニング」
   を実施し、どう判断し、どう行動すべきか、ケースごとに具体的に習得させます。

   さらには、経営トップのマスコミ対応を高める定期的な「メディアトレーニング」を実施
   し、マスコミ関係者への正しい応答の仕方を理解してもらいます。

   リスクマネジメント(事前対応策)で大切なことは、予測できる、あるいはその逆に
   予測できない事態が起きたときの対処法を考えておくことです。

   例えば、

    ・リスク管理マニュアルの整備

    ・全社的なコンセンサスの統一

    ・責任窓口の明確化

   など、リスクが発生しても対応できる体制をつくっておくことが必要となるのです。

   さらに、リスク管理マニュアル通りにうまく事が運ぶとは限らないので、マニュアルで
   想定できなかった事態が起きることも認識しておかなければならないでしょう。

   リスクマネジメントを効果的に実施するためには、

    → 従業員のリスクに対する感性が敏感となるよう教育・啓発を行う

    → 当初は小さな事故・事件と判断される場合も大事件に発展することもあるので、 
       事故発生の場合には、極力情報を収集し、重大性を意識して対応する

    → 事故が発生した場合、地元住民・行政・マスコミにすべてを隠さず情報公開
      するなどが求められます。

   リスクマネジメントを実効性あるものとするためには、適切な方法と頻度で評価・
   検証することも重要となります。

   また、社会情勢の変化や他社事例なども是正・改善のための有力な情報源となる。

   今では、大手監査法人が企業の社会的責任(CSR)の支援サービスが拡充されて
   いる。

   CSRは環境や法令順守、人権問題など幅広い分野を対象にしており、監査法人
   各社は企業の現状診断や社内のリスク管理体制づくりの支援なども行っています。

  □リスクコミュニケーション

   世の中のあらゆる事象には、利便性とともにリスクが含まれています。

   従って、そのリスクを回避するために、情報の所有者である行政や企業は、事象の
   持つ利便性とリスクを伝え、ともに対応を考える必要があります。

   このように、事象の持つポジティブな側面だけではなく、ネガティブな側面について
   の情報、それもリスクはリスクとして公正に伝え、関係者がともに考えることのでき
   るコミュニケーションのことをリスクコミュニケーションといいます。

   リスクコミュニケーションは関係者の参加を発展させながら、リスクの理解とリスク
   への対処の方法ついての双方向の交流を進めることでもあります。

   リスクコミュニケーションは、単に誰かがリスクについて教えたり、リスクが小さい
   ことを説得したりすることではありません。

   リスクコミュニケーションでは、科学技術や政策といった話だけでなく、人々が漠然
   と感じている不安や行政や企業に対する不信感も重要な情報となります。

   もちろん、その内容によって、人々の理解や安心感が高まることもありますが、
   時には、人々の不安が強まったりすることもあるでしょう。

   リスクコミュニケーションでは、どのような結果になるかではなく、意見交換の過程で
   どのような関係を作っていくかが重視されます。

   リスク情報の流れを整理すると、次の3つの形態に分けられます。

    (1)社内のリスクコミュニケーション

    (2)外部の関係者とのリスクコミュニケーション

    (3)消費者・顧客とのリスクコミュニケーション

   これらのリスクコミュニケーションは、平常時から心がけるべきコミュニケーション
   です。

   しかし、これらに加え、リコールや事故などのリスクの発生時には、マスコミなどの
   メディアとのコミュニケーションの不備が2次リスクを発生させたり、損害を必要以上
   に拡大させることがあります。

   マスコミなどのメディアは、企業の直接の利害関係者ではありませんが、社会の
   理解を得るための重要な関係者ととらえ、誠実な対応が望まれます。

   従って、リスクコミュニケーションを効率的かつ効果的に進めるために、経営トップ
   がリスクコミュニケーションを理解し、基本方針と責任体制を確立し、戦略的に取り
   組むことが重要です。

  ■中小企業にとっての事業継続計画(BCP)

   事業継続計画を作成しても機能させなければ絵に書いた餅に終わってしまう。

   コンサルタントに高額な料金を支払い、立派な計画書を策定して満足していないで
   しょうか?

   事業継続計画を日々の業務の中で生かす仕組みをつくらなくては、計画策定が
   目的化し、実態にそぐわない計画に終わってしまいかねません。

   中小企業にとってのBCPはシンプルでなくてはなりません。
   
  □小企業の事業継続計画(BCP)の取組状況    

   中小企業のBCP策定アンケートでは「BCP を作成・作成予定」と回答した企業は、
   11.3%にとどまった。

   業種別にみると、製造業のほうが「BCP を作成・作成予定」と回答した割合が高い
   (製造業14.9%、非製造業7.7%)。

   従業員規模別にみると、従業員数の多い企業ほど「BCP を作成・作成予定」の
   回答割合が高くなっており、従業員100 人以上の企業の34.0%は「BCP を作成
   ・作成予定」と回答している。

   このアンケート数字からもわかるように、従業員100人以下の中小企業ではBCP
   の作成がほとんど策定されていないことがわかります。

   BCP は通常「事業継続計画」と訳されるが、中小企業庁が策定した「中小企業
   BCP策定指針」によると、BCP は「緊急時企業存続計画または事業継続計画」
   と訳されている。

   これは中小企業にとって、震災により大きな被害を受けることは、単に事業が中断
   してしまうリスクがあるのではなく、企業の存続そのものが危ぶまれるリスクがある
   ことを意味しています。

   BCP 作成は、事業を継続するための課題が浮き彫りになり、平時においても経営
   力強化に役立つ計画を作成することが望まれます。

  □事業継続計画(BCP)

   1000年に一度の規模ともいわれる東北地方太平洋沖地震は、東北地方を中心に
   壊滅的な被害を与えました。

   多くの方が命を落とされ、ライフラインも各地で寸断されました。

   私たちはこのような想定外の災害に対して、万全な準備をしておくことは非常に
   困難です。

   しかし、だからこそ想定し得る範囲については、日頃からできるだけの対策を講じ
   ておくことが大切であるといえます。

   企業が緊急事態のなかでもその被害を最小限に抑え、早期復旧を図っていくため
   の事業継続計画(BCP:Business Continuity Plan)について考えてみましょう。

   BCPとは、企業が自然災害、大火災、感染症などの緊急事態に遭遇した場合に
   おいて、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは
   早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続
   のための方法・手段などを取り決めておく計画のことです。

   BCPがあらかじめ策定されていないと、緊急時に「何から着手してよいかわから
   ない」、「指示・命令系統が途絶え、社内が大混乱する」という事態に陥りかねま
   せん。

   災害の発生直後には操業が完全にストップすることもあります。

   また、その後の回復のスピードが遅ければ、競合他社に顧客を奪われ、最悪廃業
   に追い込まれる可能性もあります。

   BCPは自社のみで完結するものではありません。

   大災害が発生した場合は、自社だけではなく仕入れ先・販売先などの取引先企業
   も大きな被害を受けます。

   たとえば、自社がBCPによって早期に操業体制を回復したとしても、重要部品の
   仕入れ先企業の操業が停止したままであれば、自社の製造ラインを動かすことは
   できません。

   同様に自社の製品の販売先企業が営業していなければ、納品不可能となり、在庫
   の山を築いてしまうことにもなりかねません。

   つまりBCPは自社だけではなく、川上・川下企業においても策定されている必要が
   あります。

   このような理由から、特に大手企業においては取引先企業にBCPの策定・充実を
   求める傾向が強まっています。

   これは素材調達から最終製品販売に至るサプライチェーン全体を通じて、BCP
   をより高いレベルで準備しておこうという狙いによるものです。

   今後は取引先との関係の維持・強化のためにBCP策定の重要度がますます高
   まっていくでしょう。

   BCPが単なるセレモニーで終わらせないためには自社に継続した訓練のための
   仕組みづくりを構築することです。   
   
  ■自社の地震対策

   最近日本各地で地震が多発している。

   「転ばぬ先の杖」として、緊急に対策を講じておくことをお勧めします。

   巨大地震は国内のどこでも、いつ起きてもおかしくない状況にあります。

   大地震に備えて、企業では日頃から、地震発生前の防災対策、地震発生時の対応
   策など、さまざまな角度から十分に対策をたてておくことが重要です。

   
  □日常の地震対策

   建物などは、日常の点検を組織的に行い、補強などの対策を施して、万一の大
   地震発生に備えておくことが重要です。

   自ら定期的に点検を行うとともに、より具体的な診断や補強などは専門家に依頼
   することも必要です。

   さらに、従業員の役割や非常用品に関する事前の準備も重要です。
   
   ●地震対策として

     ・建物

     ・ブロック塀

    ○設備・什器・備品

     ・照明器具

     ・空調機等の設備・装置

    ○情報システム

     ・バックアップ

    ○非常電源

    ○非常用物品の備蓄

     ・保護用具(ヘルメット、防災ずきん、軍手、スニーカー等)

     ・救急用品等

     ・水、食料、ラジオ、懐中電灯(電池の常備)

     ・防寒具、ろうそく、ライターやマッチ、携帯トイレ、笛

    ○医療体制

     ・従業員の血液型を登録しておく

     ・病院の連絡網を作成

    ○書類の保管

     ・フロッピーは定期的にバックアップをとる

    ○マニュアルの整備

     非常時の行動をマニュアル化しておく必要があります。

   東日本地震でも大きな津波が来たものの、災害マニュアル通りに行動して、全員が
   助かったという事例もあります。

   具体的に、災害マニュアルに記載すべき事項は

    ○避難場所、避難方法、避難経路、避難に関する指示系統

    ○緊急連絡網

    ○本店支店間の連絡体制

    ○火災、地震、津波、落雷、雪崩など災害別の対処法

     ・例:地震の場合は、すぐに机の下に潜る

    ○対策本部などの設置

    ○災害後の業務体制

    ○情報システム

     ・情報の分散化(管理サーバーの分散化)

     ・クラウドなどを利用した情報管理

   などです。


  事業継続計画(BCP)  

   2011年3月11日に発生した東日本大震災により、被災地はもちろんのこと、非
   被災地においてもサプライチェーンに組み込まれている他企業の事業停止、計画
   停電などの事業の継続を妨げる様々な事象が発生して、対応に苦心されている
   企業が多いことを見聞きします。

   このような事態に備え、行政等より従来からBCP(Business Continuity Plan
   :事業継続計画)を策定しておくことが強く推奨されてきています。

   BCPとは、突然・偶発的に発生し、多大な被害や損失をもたらす自然災害、人為的
   ・社会政治的災害、環境災害などの緊急事態に際し、主要なビジネス機能を中断
   ・停止することなく、継続できるよう、事前に取り決めた事項や手順のことを言い
   ます。

   中小企業にとっては、防災対策の一環として事業継続計画(BCP)に取り組む際の
   最大の関心事は費用でしょう。

   人材や資金などの経営資源にも余裕がない中小企業では、「いつ発生するか分か
   らない事故や災害に対して大きな費用をかけることはできない」というのが本音
   かもしれません。

   しかし、知っておかなければならないのは、事前対応よりも事後対応のほうが費用
   が大きくなるということです。

   そして、事前のわずかな投資でリスクに備えることこそが重要なのです。

   「企業は人なり、リスクも人なり」といわれるように、事業運営におけるリスクを完
   全になくすことはできない。

   しかし組織におけるリスクを最小限に押させることは可能です。

   それは組織内のムリ・ムラ・ムダを排除し、業務をシンプルに標準化させることで
   す。

   業務改善は収益に直結した最優先課題です。

   この問題を先送りにすればするほど、経営リスクとして重くのしかかってきます。

   ですから、今やるしかないのです。

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  <参考資料>
    経団連 「企業の地震対策の手引き

    中小企業庁 「BCP策定運用指針
 

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静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。

対応エリア
静岡・愛知県内、東京周辺

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2024年4月25日
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2024年4月25日
記事:「社内体制の強化なしに会社の存続なし」 更新しました。
2024年4月24日
記事:コストダウンの最終目標」更新しました。 
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