会社を成長させるための社長の役割

会社を成長させるための社長の役割

■会社の成長
 ほとんどの社長は、その強力なリーダーシップでこれまで会社を引っ張り、そして、今後も
 自らが中心になって会社を成長させていきたいと考えていることでしょう。
 しかしながら、たとえば、創業間もなく従業員が10人程度の時期と、50人程度にまで
 規模が拡大している時期とでは、社長が果たすべき役割は変わっていきます。

 企業は『環境適応業』といわれています。
 究極の目的である「永続発展」のためにも、常に内部環境・外部環境の変化に敏感で
 なくてはならないのです。

□環境適応を阻害する組織内の「エゴと甘え」
 1.組織は年功序列ではない
  「素直な人は伸びる」と故松下幸之助氏も言っています。
  素直な 人は、上司から指示されたらすぐに取り掛かり、分からなければ相談する。
  上司は安心して仕事を任せられるから、どんどん指示を出して期待する。

  本人は期待に応えるべく一生懸命取り組み、結果的にだれよりも経験と実績を積んで
  成長する。
  会社の中で一番伸びた人はどうなるでしょう。
  企業のトップになると考えるのが普通でしょう。

  素直な人は、自分を取り巻く環境を肯定的に受け入れて乗り越える 。
  どんな環境をも肯定的に受け入れるということは、なかなかできるものではありません 。
  降り掛かってくる環境に対して「変わってくれ」と祈ったり、うらんだり、変えられ
  ないのに変えようとすることもある。

  そうではなくて、厳しい環境も肯定的に受け入れ、真正面からぶつかって乗り越えよう
  と努力するのが、素直な人の生きる姿です。
  企業が生き残るには環境適応していくことが条件であり、企業のトップは社員のだれ
  よりも素直でなければその必要条件を満たすことはできません。

 2.上位者ほど厳しさ序列に
  環境適応するためには、己をしっかりと知ることが不可欠である。
  「己を知り、敵を知れば百戦危うからず」のことわざ通りです。 
  ところが、自分を知ることは難しい。

  どうしても自分を見るときは甘くなるもので、 弱点を弱点と自身では認め難いものです。
  「自分を片目つむって見、他人を両目で見る」ようになり、 真実の自分を見えにくく
  しているのです。
  会社も同じです。

  他人の会社はよく見えるが、自分の会社は見えにくい。
  自分自身を両目で見られる厳しさが必要となるのです。
  自分に甘く他人に甘い、自分に甘く他人に厳しい、自分に厳しく他人にも厳しい、
  自分に厳しく他人に甘いなど、人のタイプはさまざまですが、会社をダメにするのは
  自分(自社)に甘いタイプで、会社組織を迷子にしてしまいます。

  しっかりと環境適応できるのは自分(自社)に厳しいタイプです。
  よって企業組織の序列は、上位者ほど自分に対する厳しさが求められる「厳しさ序列」
  が理想でしょう。

  環境適応できない企業の特徴としては、過去の成功体験に頼って今を変えられない人の
  エゴや、自分は変えずに環境の変化だけを期待する人の甘さとも言えます。

□成長する企業経営者の真の仕事

 1.社長にしかできない仕事、「組織の意思決定」
  (1)すべての仕事は 社長の私事からスタートしている企業は、1人から始めなければ
   何も始まらない、しかし、1人では何もできない。
   創業時はすべてが社長の私事であり、何から何まで社長がやっている。

   それから徐々に仕事が増えてくると、消化するのに 手一杯という状態になり、明日を
   生きていくための営業活動が疎かとなる。
   しばらくすると仕事がなくなって再び営業に歩き、そしてまた忙しくなると消化作業
   に追われて営業活動が疎かになるという繰り返しに陥る。

   だからなかなか企業の安定した業績を維持継続できない。
   企業の業績安定化を図るには、 営業活動を安定させなければならない。
   社長自身が1人で2役も3役もこなしていたのを、人を採用して消化作業をやって
   もらい、営業活動を毎日継続してできるように平準化し、安定させる。
   営業なくして経営なしである。
   零細企業の人材雇用はすべてここから出発している。

  (2)真の社長の仕事は「意思決定」
   経営とは「トップの思いを従業員の協力を通じて実現するもの」です。
   社長は直接仕事をするのでなく、 仕事をさせて思いを実現すること。
   しかし、中小企業はトップが率先垂範で営業したり、生産現場に立っているのが
   実態で、そうしなければ進まないというのも事実です。

   私事として始めた仕事を少しずつ社員に分担していった後には、「社長にしかできない
   仕事」だけが残るはずです。
   それが真の社長の仕事。
   真の社長の仕事とは、会社の 「意思決定」に尽きる。

  (3)成長する会社は部下が上司の仕事を取る、停滞する企業は上司が部下の仕事を取る
   社長が意思決定の仕事に集中できる環境をつくるには 、部下が上司の仕事を積極的に
   取っていく社風を目指すことです。

   それが良い企業、伸びる企業です。
   悪い企業、停滞する企業の 特徴として、上司が部下の仕事をしていることが挙げ
   られます。

   部下が上司の仕事を取るのは難しいが、上司が部下の仕事を取ることは権限を示せば
   極めてたやすい。
   部下が上司の仕事を取る社風があり、行動も伴う良い会社なら、「社員の成長が
   企業の成長」につながっていきます。

   社長が創業時と変わらず何から何まで口も手も出すような会社は、社員が成長できる
   機会を摘む結果となり、企業の成長が停滞してしまうのです。

 2.的確な意思決定は、正しい現状認識と価値判断基準から
  経営者の意思決定は企業の盛衰を左右するため、大所高所からの判断と勇気が求め
  られます。
  経営とは実践であり 、真剣勝負である。

  安易な意思決定によるミスは、取り返しのつかない大きなリスクとなって企業を危機に
  陥れるのです。
  意思決定は決断であり、判断とは違う。

  判断は材料があって決めるが、決断は材料がなくて決める。
  例えば、顧客アンケート調査を行えば、それをグラフ化して数値によって顧客ニーズ
  があるかどうかを判断することができる。

  しかし 、その顧客ニーズを受けて商品を開発するかどうかは、実際に発売してみな
  ければ売れるか分からないという状況下での決断が必要とされる。

  (1)正しい判断を導く3つの価値判断基準
   的確な意思決定を導くには、その前提として正しい現状認識の下で「考え方・行動
   ・数値」の基準に照らして正しい判断を導かなければならない。
   3つの基準は次のようなものです。

   考え方の基準=経営理念・経営哲学・企業使命感・仕事観・人生観・職業観
   行動の基準 =社員心得・職場規律・基本動作・作業標準マニュアル
   数値の基準 =中長期ビジョ ン・利益計画・販売計画・在庫基準

   これらに基づく判断を徹底し、基準と実績を比べたと きに敏感に反応しさえすれば、
   組織は環境変化に適応して生きていけるのです。
   これを実践することが管理なのです。
   基準が明確に設定さ れており、実績に機敏に反応できる組織は管理状態にあると
   言えます。

  (2)正しい判断に基づく意思決定でも成功率は30%
   社長はどんなにつらく苦しくとも、意思決定から逃れることはできない。
   社長が意思決定から逃げ、優柔不断な態度や言動を繰り返しているようなら、その
   会社の先行きは期待できない。

   意思決定の成功率は30%といいます。
   裏を返せば失敗率70%。
   あまりにリスキーな数字に見えます。

   しかし、勇気を持ってリスクに挑戦しなければ、企業の未来はない。
   一方で、経営者にはリスクを最小限に抑えるための卓越した行動力が求められます。
   「槍の名人は引くのがうまい」とは 、退く時はだれよりも早いということで「損切り」
   を指します。

   例えば 、新たに営業所を出したが3年経っても黒字転換できないといったような
   場合にさっと退く。
   新商品を出して1年経っても売れ行きが良くないために撤退する。

   失敗のリスク を最小限にとどめられるのは、社長の行動力がそれを決めるのです。
   社長の真の仕事とは「組織の意思決定である」と説明しましたが、それだけでは
   会社は成長しない。
   会社を成長させる社長の仕事は、顧客創造にほかならない。

□企業を成長させる社長の仕事、顧客創造
 成長する人材とは、上司の仕事を取れる人材、顧客創造できる人材です。
 社長に意思決定の仕事に集中してもらうためには、社員は主任の、主任は係長の、係長は
 課長の、課長は部長の、部長は役員の、役員は社長の仕事をできるものから取っていく
 社風づくりが必要だと説明しました。
 では、社長はだれの仕事を取るのか、それは「お客さまの仕事」です。

 1.幹部に昇進したら何をすれば良いのか
  ある会社の幹部研修会で、幹部を対象とする個別ヒアリ ングの時間があった。
  そこでは幹部が日ごろ抱えている悩みが上がってくる。
  ある幹部から「4月に課長から次長に昇進し、社長からも『次長の仕事をしてください』
  と期待の言葉をいただいたが、これまでの課長の仕事をこなしつつ次長の仕事をする
  ということで、『何を、どのように、どれだけ』やれば良いのか分からない。

  上には部長がいるし、どうしたらいいのでしょう」という相談が上がった。
  答えは簡単です。
  次長への昇進は「部長の仕事をやる権利」をいただいたのであり、「部長の仕事を
  しなさい」ということです。

  部長の仕事で自分にできる仕事はどんどん取っていく。
  意思決定を除く、部長の仕事をすべてできるようになったら、会社はいつでも部長に
  昇進させることができるのです。

  次長が部長の仕事を取るには、部長が本来の仕事をする上で阻害要因になっている案件
  を取り除くこと。
  簡単に言えば、部長が困っていることを解決してあげるのです。

  そのためには部長という仕事と、部長自身をよく知る必要があります。
  「こうすればもっと良くなるはず」と提案し、上司の満足を創造できるかがポイント。
  この判断ができる人材とできない人材の違いが、成長する人材と成長できない人材の
  差です。

 2.社長が顧客満足を創造できない会社は成長しない
  部下が上司の課題を取り除き、仕事を創造していく。
  このような社風は人材を成長させる。
  発展する会社は多かれ少なかれ、この社風を身に付けています。

  そうして最も成長した人材が、会社のトップになるのが会社にとって好ましいといえます。
  要は、会社のトップは顧客満足を創造する達人でなければならないということです。
  社長が顧客の満足を創造できる会社は成長するのです。

 3.駄目なのは小さい会社ではなく、成長していない会社
  お客さまは生きている。
  日々、進化しているのです。
  その環境に自社のベクトルを合わせることが環境適応業である会社の存続条件だから、
  会社も毎日成長し続けなければならない。

  良い会社を定義すると、「毎日、成長している会社」です。
  悪い企業は「昨日よりも悪くなっている企業」であり、企業規模の大小には関係ない。 
  今日、年商1億円であれば、明日は年商1.1億円の企業になれば、いずれは立派な
  企業になる「良い会社」です。

  たとえ100億円企業であっても、明日は99億円に下がる会社はやがて消えてなくなる
  「悪い会社」と言えるでしょう。
  顧客創造を怠れば商品は陳腐化し、売上げは落ち、粗利益も取れない。

  最終的には消えてなくなる運命にあるのです。
  企業が人類のために存続するならば、人類が進化し続けているように企業も永遠に
  成長し続けなければならない。

□社長の器以上に会社は伸びない
 「会社は社長の器以上には伸びな い」とよく言われるが 、器とは何かについて考えて
 みましょう。

 1.企業の価値の大きさで社長の器を測る
  人の器を測るモノサシは決まったものがあるわけではないが、その器以上に会社は成長
  しないわけだから、企業価値の大きさから社長の器を測ることができるでしょう。
  では、企業の価値とは何か?

  「会社はだれのためにあるのか」「自社の使命は何か」と考えれば、答えが見えてきます。
  企業の価値は「どれだけ多くの人の幸せに貢献したか」であり、モノサシは「どれだけ
  長く存続しているか」と「どれだけ多くの売上高を上げているか」だと言えましょう。

  したがって、社長の器とは「ど れだけ先のことを考えているか」と「どれだけ多くの
  顧客の幸せを創造しているか」ではないでしょうか。

 2.社長も貢献しながら育ち、育ちながら貢献する
  器は、現状がすべてではない。
  会社の成長は、社長の器が大きくなっている証拠です。
  中小企業の成長は90%が社長で決まると言っても過言ではない。

  よって会社の成長は、社長の成長と置き換えても差し支えないと思われます。
  そして経営者の能力とは「知っている」「分かっている」というレベルでは通用しない。
  実行を伴ってはじめて能力といえるのです。

  会社経営の実践を通じて、企業、あるいは社長と社員は、社会に貢献しながら成長し、
  成長しながら貢献していくのである。

 3.成長する経営者の条件と姿勢
  成長している会社こそ良い企業であり、そこには成長している経営者がいる。
  成長する経営者は、常に顧客満足を追求し、できるだけ多くの人の幸せに貢献する
  ことに情熱を燃やす人であり、実践・行動する人。

  「ビジョン」「パッション」「デシジョン」「アクション」が成功経営者の 四つの条件
  です。
  今、経営者として10点ならば、明日は12点になろうとする姿勢が大事なのです。
  小規模だからといって卑下することは何もない。
  それよりも、昨日より成長していない今日の自分を恥じることです。

□会社を育てるのは社長、育てることで社長も育つ
 「教育=共育」だと提唱した人がいるが、教育する側も育てることで育つ。
 まさに真理をついた言葉です。
 中小企業の社長は、まさに会社を育てる人であり、既に大人になった会社の経営者とは、
  大学の先生と幼稚園・小学校の先生と同じくらいの違いがある。
  中小企業のトップが社員に多大な影響を与えるのは、そのためである。

 1.起業したら育てよ、大人にするまでの責任がある
  会社を起こしたら、育てなければならない。
  起こすのはだれでもできる、大事なのは育てること。
  人間も子供を生むのはだれでもできるが、育て方次第で子供の人生が決まったりして
  いるのです。
  会社も同様なのです。
  会社を起こしたら、大人にすることを第一に考えるべきです。
  起こした張本人である 創業者=経営者には、企業を大人に育てる責任がある。

 2.企業を大人に育てるためには問題解決能力の育成が不可欠
  「企業を大人にせよ」と言ったが 、具体的な視点を挙げると「組織による問題解決
  能力の向上」です。
  組織力とは問題解決能力そのものなのです。
  生きるとは成長することであり、成長するとは目の前の課題を解決して前に進むこと。
  つまり、会社の組織力とは問題解決能力を指す。
  会社の成長段階を整理すると、

   第1段階:経営の問題を、社長がすべて解決する
   第2段階:経営の問題を、社長と特定の幹部が解決する
   第3段階:経営の問題を、社長を中心に各機能の責任者が解決する
   第4段階:社長に意思決定を仰ぐだけで、各機能責任者で解決できる

  第2段階までは、問題解決の主役は社長であり、組織はまだまだ子供の段階と言って
  よいでしょう。
  第3段階からようやく、会社組織は大人の仲間入りを果たしている。
  問題を解決して会社も人材も成長を遂げる。
  売上げを上げる、利益を出す、経費を最小限に止めるなど、すべての問題を解決して
  いくことが、会社が生きるということです。
  会社を成長させるのは顧客創造であり、問題解決力の向上こそ会社成長の証であると
  述べました。
  次に、会社を成長させる社長の実務についてまとめてみます。

□企業を成長させるための社長の実務
 企業は、社会貢献を果たして働く人の幸せを実現するものです。
 この正しい目的・目標に沿って進み、前進を阻む問題を組織の力で解決し、組織・個人が
 ともに成長を果たしながらさらなる環境変化に適応し、高度な社会貢献へと進化して
 いきます。

 人のための企業であれば、地球上に人が存在している限り、進化し続けなければならない
 ということになります。
 したがって、企業も人も「貢献しながら育ち、育ちながら貢献していく」のです。

 このような企業特性を踏まえると、会社を成長させるための社長の実務は、集団を幸せ
 へと導き、進化する社会ニ ーズに適応するための 社会貢献を追求すること、つまりは
 顧客創造です。

 順を追って説明します。
 社会貢献の方向性から、顧客創造の実務が発生する。
 この 顧客創造の中身を決めるのが「社長の思い=意思」です。

 「どのように幸せになりたいのか?」「何をもって幸せになりたいのか?」です。
 顧客創造から戦略が決まる。
 社会貢献を実現するためには 、顧客を常に創造する実務が発生すると述べました。

 顧客創造は次に、どのようにその顧客に適応していくかという戦略を立てる前提条件と
 なるのです。
 社長の実務は、会社の「バランスとタイミング」を図ること。

 企業は、人が進化し続ける限り進化を続けなければ生き残れない、まさに環境適応業
 なのです。
 よって仕事の目的も進行形で表されます。

 「より良いモノを、より安く、より早く」が仕事の目的であれば、仕事そのものも進行形
 でなければならない。
 絶えず進化してこそ仕事なのです。
 仕事を業務に分解すると、
 大きく分けると「日常業務」と「改善業務」の2つ。

  <社長・幹部・一般社員の仕事>
   一般従業員の仕事:日常業務+改善業務
   幹部の仕事   :部門マネジメント+部門付加価値創造
   社長の仕事   :マネジメント+戦 略

 1.日常業務
  日々行っている定例業務のこと。
  決まったやり方を忠実に守り、「ムダ・ムラ・ムリ」が発生しないように努める。
  部門単位であれば、部門全体で「ムダ、ムラ、ムリ」が発生しないように努め 、もし
  発生しても異常を早期発見して処置し、最小限に抑えるようにする。
  会社で言えば、損益のバランスを取り、黒字を維持する。
  社長の仕事として表現すると「マネジメント」となる。
  マネジメントとは、会社を活かしてい くための社長の実務です。

 2.改善業務
  日常業務の生産性と品質の向上を追求する業務を指す。
   一般従業員なら、自分の担当している業務をより良くするための活動である。
  部門では、「部門付加価値創造業務」(部門の付加価値を向上させる業務)。
  部門の収益性やサービス・品質の向上などを図る。

  会社で言えば、「戦略」です。
  会社の付加価値そのものを向上させる商品戦略・生産戦略・コストダウン戦略・財務
  戦略・組織人材戦略などを指す。

  トップから一般従業員まで、仕事で求められる業務は立場により異なるが、要素は
  同じです。
  日常業務は、仕事の損益を個人・各部門・ 全社の各単位でバランスを図ることであり、
  これができれば生きてはいけるのです。

  しかし、日常業務だけでは成長できません。
  成長するために行うのが改善業務である。
  改善業務とは、仕事の付加価値を高める業務であり、質の向上や、個人・部門・会社の
  仕事そのものを成長させるものです。

  社長の仕事は「戦略」決定であり、これこそが会社を成長させる社長の実務だと言えます。
  改善業務に携わった社員・幹部・社長は、付加価値向上の問題解決を通じて、結果的に
  自らを育てることができる。
  仕事を通じて人が育つとはこのことを言います。

□会社を育てる仕事、会社をつくる仕事
 これまで会社を育てることについて述べてきたが、育てる前につくる仕事があることも付け加えておきます。

 1.マネジメントサイクルから企業づくり
  マネジメントサイクルとは、サイクル(計画→組織化→統制→報告)を指し、企業の
  基盤となる。
  まず「計画」の中には 理念・目的・目標が入る。
  「組織化」は指揮命令系統や役割分担、「統制」は仕事のPDCAサイクル 、そして
  「報告」は決算報告となる。

 2.企業を一からつくる場合、家業から企業へと脱皮を果たす場合
  (1)企業を一からつくる場合
   まず、会社をつくるときに大事なのは、その会社の 存続理由・存続目的を明確に
   することです。
   儲かりそうだから、リスクがないからといった理由で起業するケースもあるが、
   99%失敗しています。

   「儲けるは欲、儲かるは道」と言うように、事業の選択は自分の欲から考えるのでない。
   何をもって社会に貢献するかをまず考えてから、「自分はどうしたいのか」という
   意思をハッキリさせます。

   その中で見えてくるのが「取り組むべき事業」です。
    中小企業が別会社を興して失敗する例は数知れない。
   事業選択の時点で既に誤っているからです。

   次に、正しい考え方を組織として持つこと。
   経営理念や社是社訓で表現し、組織内に浸透させる。
   そして、「やりたいことと、できることは違う 」という認識を持つことです。

   社長も人間だから欲がある。
   甘い誘いや個人的な夢、好きなことにまつわる事業が、必ずしも既存事業に関係
   するとは限らない。

   むしろ、既存事業には無関係なことが多いのです。
   そうすると、技術やノウハウがなく、リーダーになれる人材もいない。
   金がない場合もある。

   それでも技術やノウハウはすべて借り物、リーダーは自分が兼務し、銀行に借金を
   してまで実行に移す人がいます。
   やりたくてもできないことは、会社としてやるべきではありません。

   繰り返しますが、社長は冷静に「やりたいことと、できることは違う」と自覚する
    ことです。
   会社を興すときは、始めることに精一杯で成功することしか考えていない、しかし、
   失敗することだって当然あるのです。

   失敗したときのことを考えて、最初にやめる際の条件を決めておくことです。
   「槍の名人は引くのが上手い」という。
   経営もまた然りです。

  (2)家業から企業へ脱皮を果たす場合
   家業から企業への脱皮を果たす過程で、どうしてもつくらねばならないのが、管理と
   組織の体制。

   家業の段階では組織を形成して管理しなくても、社長がすべてを見て業務をこなし、
   状況を判断できるが、規模が大きくなるにつれて社長は全体を見られなくなり、
   業務も部下に分担、分散していく。

   企業は環境適応業だが 、業務が分散したところへ外的要因が影響して、不適応の
   状況に陥ることはよくある。
   よって、 環境に適応できる企業をつくるためには、全体をまとめ上げるための管理と
   組織をどうしてもつくらねばならないのです。

   企業の体を人間の体のごとくつくり上げることが理想であり、組織の隅々まで
   神経を張り巡らせる作業が必要となるのです。

                      メルマガ登録(無料)はこちら

                      お問合せ・ご質問はこちら

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
054-270-5009

静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。

対応エリア
静岡・愛知県内、東京周辺

新着情報

2024年5月16日
記事:「メルマガ712号」 更新しました。
2024年5月16日
記事:営業日報の目的」更新しました。 
2024年5月15日
記事:代理店 営業体制の標準化 Ⅱ」更新しました。
2024年5月14日
記事:「変化への対応」 更新しました。
2024年5月13日
記事:「事務部門の生産性向上」更新しました。

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

054-270-5009

 (コンサルティング部門 直通<柴田>)

  • 詳細はこちらへ

ビジネス
ソリューション
仕組み構築

住所

〒422-8067
静岡県静岡市駿河区南町
2-26-501