人脈の形成
 

  ■人脈とは

   1.人脈とは育てるもの

     会社経営における人脈の重要性は、ほとんどの方が感じていると思います。

     長く会社を続けていれば「あの人がいたからこそ今の自分や会社がある」とい
     う恩人がいる人も多いでしょう。

     一口に「人脈」といっても、そのとらえ方は人それぞれです。

     しかし、少なくともビジネスの世界で活用するためには、相互に相手のことを理
     解し、信頼していることが必要となります。

     自分の恩師ともいえるような人はもちろん大切な人脈ですが、「名刺交換」した
     だけの人は本当の人脈とはいえません。

     つまり、人脈とはある日偶然手に入るものではなく、自分自身の努力で育てて
     いくものなのです。

     たんなる知り合いと人脈の大きな違いは、ここにあります。

   2.バランスのとれた人脈が必要

     人脈というと実際の取引に直接つながる人との関係を考えがちですが、人脈
     の有効性はそれだけにとどまりません。

     中国の古い格言に「二師三兄五友五弟」があります。

     これは人生では、自分の生き方の指針となる「師」と仰げる人を2人、自分を
     日々直接的に導いてくれる「兄」のような存在を3人、自分と志をひとつにする
     「友」を5人、そして自分の意志をついでくれる「弟」のような後輩・後継者を5人
     作りなさい、ということです。

     このような人たちとの関係性のなかで自分を磨いていくことによって、豊かな
     人生が送れるということなのです。

     この格言から学べることは、自分と対等の立場にある「友」はもちろんのこと、
     上の立場にある「師・兄」や、下の立場にある「弟」の必要性を指摘しているこ
     とにあると思います。 

     上の立場にある人からは謙虚に学び、学んだことは下の立場にある人にも伝
     えていくことで、自分自身の人生の豊かさはもちろん、社会全体への貢献も可
     能になります。

     自分の人脈について考えるときには、特定の相手との「一対一」の関係だけで
     はなく、人脈全体が、このようにバランスのとれたものになっているかどうかも
     同時に考えてみたいものです。

   3.相互の関係性が成立していることが必要

     人脈とは一方通行ではなく、相互の閑係性によって成立するものです。

     自分としては「Aさんは自分に有意義な情報をくれる貴重な人脈だ」と考えてい
     たとしても、Aさんが自分のことを同じように考えてくれていなければ、人脈は
     深まりません。

     特に自分自身が困ったときだけアプローチするようなスタンスでは、やがてAさ
     んは去っていくでしょう。

     「助けてもらう前にまずは自分が助ける」、お互いがこれくらいの考えをもって
     接するなかで、人脈は深まります。

     そして信頼を得られたAさんから、さらにBさんを紹介してもらうことによって、
     人脈は広がっていくのです。

  □さまざまな人脈の種類

   1.既存の人脈を棚卸ししてみる

     人脈は「相手は誰か」、「相互にどのようなメリットを生んでいるか」といった視
     点から分類することができます。

     下記はおもに「相手は誰か」に着目した分類例ですが、たとえば取引上のメ
     リットのみに着目していた現在の取引先が、実は自分に足りない専門知織を
     豊富にもっているといったことはよくあります。

     すでに築いている人脈についても、相手の顔を思い浮かべながら棚卸しして、
     今後の関係性をどのように深めていくかを考えてみましょう。

     (1)取引先関連の人脈

       ・現在の取引先

       ・過去の取引先

       ・新規の取引先候補

       ・新規の取引先を紹介してくれる人

     (2)経営者・専門家などの人脈

       ・同業社長

       ・異業種社長

       ・弁護士、会計士、中小企業診断士などの専門家

       ・金融機関などの資金調達先

       ・商工会議所など経営関連団体

       ・異業種交流会、展示会

     (3)自分とは違う感性や知識をもった人脈

       ・異世代の経営者、ビジネスマン

       ・異性の経営者、ビジネスマン

       ・異なる国、異なる地域出身の経営者、ビジネスマン

       ・リタイヤした先輩社長

       ・地域活動でリーダーシップを発揮している人

       ・NPOなど公共福祉目的で活動している人

       ・マスコミなどのメディア関係者

       ・学者、研究者

     (4)やる気を与えてくれる人脈

       ・よきライバルと思える友人

       ・古くからの恩師、気のおけない友人

       ・同じ勉強会などに参加している仲間

       ・趣味などプライベートの仲間

       ・自分を慕ってくれている後輩

   2.会社全体の人脈を活用する

     社長自身が人脈を広げていくことはもちろん大切ですが、社員に対しても人脈
     形成を勧めることも重要です。

     これは社員個人にとってプラスになるだけではなく、会社全体としてもプラスに
     なります。

     若手であれば若手にしか作りにくい人脈というのもあるものです。

     たとえば自分は取引先の社長本人とはあまり深い関係になれないと感じてい
     る場合でも、自社に出入りしている先方の営業マンは気に入っていて、何かと
     力になってやりたいと考えることなどはあると思います。

     この場合、相手先企業からみれば、社長同士の人脈はそれほどないが、営業
     マンを通じて社長(自分)との人脈が深まっていることを意味します。

     この図のなかでB社とC社の関係を考えると、B社からみれば自社の幹部クラ
     スとC社の社長との人脈を活用することを、C社からみればB社社長に可愛が
     られている自社の若手クラスの人脈を突破口とすることも考えられるのです。

     社長同士はどうしてもウマが合わないということはよくあります。

     しかし、このように先方社長から気に入られている自社の社員の人脈を活用し
     て、会社同士の関係を深めていくことができるのです。

     社長自身だけではなく、部下たちがどのような人脈を築いているのかも把握
     し、部下たちの人脈を広げていくように指導すること、そして部下たちの人脈を
     会社経営にどのようにいかしていくかを検討することも大切です。

  □人脈を深め、広げていくために

   1.自分が最も欲しい人脈を明らかにする

     これまで自分が作ってきた人脈は、仕事やプライベートを通じて「自然とできあ
     がってきた」と感じている方も多いかもしれません。

     しかし、もっとスピーディーに人脈を広げ、深めていきたいと考えるときには、
     自分がどのような人脈を得たいかをあらかじめ明確にしておく必要があります。

     たとえば、最初の項の『人脈とは』で取り上げた「二師三兄五友五弟」のうちの
     「師」や「兄」として仰ぐような人が欲しいと考えるのであれば、そのような人た
     ちとの接触の場を自ら求めていく必要があります。

     たとえば著名経営者のなかには書籍を執筆している人もたくさんいますし、定
     期的に講演会などを行っている人もいます。

     そのなかには自分の悩んでいることに答えを示してくれる人もいるでしょう。

     また、共同して新規事業を行えるような人脈が欲しいのであれば、商工会主催
     の勉強会に参加することなどで必要な人脈を得られる確率は高まります。

     つまり、時間とともに自然と人脈が広がっていくという「待ち」の姿勢ではなく、
     どのような人脈が欲しいのかを明らかにしたうえで、その人脈獲得のために適
     切な行動を開始することが大切なのです。

   2.自分を表現できる準備をしておく

     どんな人との人脈を広げたいのかが明らかになったら、逆に自分自身が相手
     にとってどのような人脈となり得るのかも考えておかねばなりません。

     自分の専門知識、これまでの経験、既存の人脈などを使って相手に何をして
     あげられるかを準備しておくということです。

     ここで重要なのは、そのことが相手にきちんと伝わるようにするということです。

     自分の専門知識を相手のために提供したいと考えていたとしても、そのことを
     初対面の場で短時間に伝えることは通常は不可能です。

     そこで、たとえば短い時間でも自分のことをアピールできるようなフレーズをあ
     らかじめ考えておくこと、名刺の裏に自社のこれまでのおもな実績や「ウリ」な
     どを載せておくことで、相手への印象を深めることができます。

     相手に悩み事が生じたときに「そういえばこんな人がいたなあ」と自分の名刺
     を見返してもらえるような工夫が必要なのです。

     また、事前に会う相手がわかっている場合には、「先方がどのようなことで悩
     んでいるか」、「そのために自分は具体的に何が提供できるのか」といったこと
     を熟慮し、相手に感情移入しておくことが大切です。

   3.人脈構築を「仕事」と考える

     人脈を構築しておくことは自社の経営スピードを大幅にあげたり、経営戦略を
     構築する際などに大いに役立ちます。

     「先方の意思決定権をもつ人物に会うまでに膨大な時間がかかる」、「どうして
     も経営上の悩みに答えが出ない」といったケースでも、人脈があればそれを活
     用して短時間のうちに解決できることもあります。

     つまり人脈構築は、それ自体が重要な仕事といえるのです。

     そして仕事として位置づける以上は、「いつまでに、どんな人脈を構築する」と
     いう計画と進捗管理が必要です。

     定期的に自分と会社全体の人脈がどうなっているかをチェックするようにしま
     しょう。

   4.面倒な取りまとめ役を買って出る

     たとえば人脈構築の有効な手段のひとつとして、さまざまな企業が集まる「会
     合への参加」があります。

     もちろん参加するだけでも効果は期待できますが、可能であれば、自らが事務
     局などのとりまとめ役を買って出ることで、人脈構築効果は一層高まります。

     事務局としての作業を通じて、参加者の状況がより明確に理解できますし、参
     加者からも「面倒な事務局業務を自らやってくれている」と評価され、一定の信
     頼感を得ることもできるでしょう。

     また、会合が講師を招いて行う「勉強会」などの場合には、事務局の「役得」と
     して、打ち合わせなどで講師と緊密に連絡がとれるというメリットもあります。

   5.ブログを作成する

     最近では自社のホームページのなかで「社長ブログ(日記)」を掲載している会
     社も増えています。

     ブログを読む人はそれによって社長の考え方や興味の分野などを知ることが
     できます。

     不特定多数の人が目を通すようなホームページを作ることは難しいですが、た
     とえば名刺交換の際に名刺に会社のホームページのアドレスを書いておき、
     「ご興味がありましたら私のブログをご覧ください」という流れを作ることはそん
     なに難しくはないはずです。

     ブログに共感してくれた人から再度じっくりと話をしたいという申し出があるか
     もしれません。

     特に普段から短時間で多数の人と接する機会が多い人にとっては、ブログは
     人脈構築のステップとして有効といえるでしょう。

     これらのことすべてが経営体質強化に繋がるのです。

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