若手社員の定着率向上
 

  ■若手社員の就業意識
   高齢化の進展が著しい現代社会において、若手社員は貴重な戦力です。

   しかし、若者の転職志向はますます高まっており、せっかく育ってきた頃に会社を
   辞めてしまう人材に頭を悩ます企業は少なくありません。

   若者の就業意識は変化しており、20歳代から30歳代前半のビジネスマンはキャ
   リアアップのための転職に抵抗を感じていないようです。

   また、会社に左右されず、スペシャリストとして通用する能力を身につけたいと考
   えている人も増加しています。

   一般的に、転職を考えるときの理由は、

    ・現在の仕事の内容、職場環境、給与や待遇などに不満があるため

    ・自分のキャリアプラン、ライフプランに沿ってステップアップを図るため

   という2つのどちらかだといえます。

   自分の将来像を模索中であり、自分の未知の可能性に賭けるだけの時間も意欲
   もある若者に、転職傾向がみられるのは当然のことです。

   そうした人材を引きつけ、留まらせ、戦力化していこうと考えるならば、仕事の内
   容、職場環境、評価、将来性など、さまざまな点で会社に魅力を感じさせるような
   取り組みが必要となります。

   そこで、若手社長の定着化を実現するためには、

    ・魅力的な人事制度づくりなど、若手社員を引きつける施策の具体化

    ・若手社員を指導する管理者に対する教育

   についての検討が必要となります。

  □若手社員を引きつけるための会社の施策

   定着率を向上させるための会社としての方策には、大きく分けて、

    ・会社への帰属意識の向上

    ・賃金、福利厚生といった処遇の改善

   があると考えられます。

   これらを実践する方策としては次のような事項が考えられます。

   ただし、こうした施策は、どれかを行えばよいというものではなく、すべてを複合的
   に行うことが大切です。

   1.経営ビジョンの明確化

     経営者が自社の成長と高収益化に向けた明確なビジョンと戦略を保有
     しているか

     経営ビジョンの具体的な表現方法としては、「戦略的な経営計画」を提示する
     とよいでしょう。

     できれば、「将来上場を考えている」といった具体的な項目なども盛り込みたい
     ところです。

     それができなくても、中長期の会社の経営目標を、

      ・取扱商品の構成

      ・進出事業分野

      ・販売先の構成

      ・社内管理の充実

     といった視点で明示することは、各個人の目標設定も容易になるため、大変意
     義があるといえます。

   2.会社と社員の成長をオーバーラップさせる

     会社の発展と社長の成長をオーバーラップさせ、
     若手社員の将来の夢を実現させることのできる企業であること

     社員にとって会社の成長は、その会社に魅力を感じる大きな要素です。

     しかし、たんに成長しているだけでは十分ではありません。

     会社の成長にしたがって自分も成長し、重要なポジションを得ることが具体的
     にイメージできなければ、社員は高い意欲をもつことはできません。

     中小企業に人材が定着しない理由のひとつに、「自分の将来像が描けない」と
     いうことがあげられる。

     この会社に自分がいた場合、「自分は将来どういった役職に就き、給料はどれ
     くらいで、会社にとって自分はどういった存在になっているのか」というものが
     みえてこないのです。

     これでは社員のモラール(士気)は低下してしまいます。

     そこで、先の経営計画の作成時に留意する点として、将来(5年後や10年後)
     の「事業ビジョン」を明示し、自社では将来、

      ・どのような能力が必要となるのか

      ・どのような人材が必要となるのか

      ・どのような仕事ができるのか

     といったことが考えられるようにし、個々人のキャリアプランやライフプランとの
     すり合わせができるようにしておくことが必要です。

   3.経営者とのコミュニケーション機会の確保
     経営者とのコミュニケーションが比較的容易で、
     役員室にも気軽に相談に行けるような風土が定着していること

     もうひとつ重要な視点として、「社員に経営者の考えや理念を理解させる機会
     をつくる」ということがあります。

     社員の多くは、「自分にとって意義のある仕事に取り組みたい」という考えを
     もっています。

     そこで、入社した社員が若いうちから意欲的に仕事に取り組み、定着してくれ
     るようにするためにも、「経営者や経営幹部自ら、社員に対しての動機づけを
     行う」ことが大切になる。

     経営者や幹部社員が、折に触れて自社で働く意義について話す機会を設ける
     ことによって、次のような効果が期待できます。

      (1)経営者側

        ・経営理念を社員に浸透させる場となる

        ・社員が抱いている不満を知ることができる

        ・実際の職場の現状を知ることができる

      (2)社員側

        ・会社の現状や方向性について、経営者自らの話が聞ける

        ・経営者の人間性を理解し、親しみをもつことができる

        ・自分をアピールできる場があることによって、会社での
         存在意義を感じることができる

   4.自社に合った人材の採用

     自社に必要な人材像が具体化しており、それに合わせた採用活動を
     行っていること

     人材の定着率が低い原因のひとつとして考えられるのが、採用時のミスマッチ
     です。

     人材を採用するにあたっては、自社でどのような能力、技術、経験をもった人
     材が必要であるか、また、その人材に社内でどのように働いてほしいのかとい
     うことまで具体化することが大切です。

     「能力があって、仕事ができて、バリバリと働いてくれる人」「我が社の将来を
     担ってくれるような、一流大卒の若い人材」といった人物像を描いても、それで
     は必要な人材を明確にしたことにはならない。

     確たる採用計画をもってこそ、それが実現できるのだということを十分に理解
     しなくてはなりません。

   5.教育・育成プログラムの完備

     人材育成プログラムが完備されており、それによって十分な
     教育・育成が受けられること

     いくら経営計画に夢のある話が盛り込まれ、将来自分が就けるかもしれない
     「ポジション」が明確になっていたとしても、そこへ到達するための能力向上の
     方法が明確になっていなければ、単に「絵に描いた餅」です。

     「勝手に成長してくれ」というのではなく、会社がめざす方向へ、会社が求める
     能力を身につけてもらうためには、教育システムの充実、教育マニュアルの作
     成など、各人が成長する環境を整備することが必要不可欠です。

     一般的に行われている教育施策としては、

      ・OJT(職場内での教育体制)の整備

      ・能力開発の自己申告制度や外部教育機関利用時の支援制度の整備

      ・上司によるカウンセリングの場の設定

     などがあります。

     自社に合った方法を検討してみましょう。

   6.やる気を出させ、理解を得られる人事制度の整備

     若手社員に対しても「仕事」と「責任」に見合う「地位」や「給与」が
     与えられるという、「やる気」を出させ「理解」を得られる人事制度
     設定されていること

     日本の大企業において普及している人事制度に「職能資格制度」があります。

     この制度は、ある程度の年功的な要素を残しつつも能力主義を取り入れてい
     ることから、「緩やかな能力主義制度」として、日本の企業風土とマッチし、多く
     の大企業で定着してきました。

     職能資格制度は、基本的に「仕事をする能力に応じて賃金が支払われる」とい
     うスタンスをもっているため、若手社員でも能力が高ければ、ある程度、相応
     の処遇を受けることができるように設計されています。

     こうした制度は、仕事の習得が早く、やる気のある若手社員へのインセンティ
     ブとして有効に働くことでしょう。

     このほかにも、業績の差によって給与に差をつけて、社員のやる気を高め理
     解を得るための「業績給」や「歩合給」といった賃金制度の検討も必要です。

  □若手社員を指導する管理者の育成

   前述した、社員が転職を考える理由にあげられる「現在の仕事の内容、職場環
   境、給与や待遇などに不満があるため」のなかで、給与に関することを除くと、管
   理者の仕事の与え方、職場管理の仕方、管理者自身の活性化度(管理職に値す
   る仕事ぶりであるか)や魅力度(将来目標としたいか)が与える影響が大きいとい
   えます。

   すなわち、若手社員は、

    ・やりがいが感じられるような仕事を望んでいる

    ・業務を信頼して任されたいと望んでいる

   ため、この2つを充足させてくれる管理者のもとでなければ、仕事そのものに充実
   感を得ることができないのです。

   そのため、管理者クラスの能力の強化は若手社員の定着化に大きなウエートを
   占めています。

   そこで、若手社員の定着化を図るためには、とくに管理者の、

    ・業務設計力の強化

    ・職場管理力の強化

    ・リーダーシップの強化

   に重点を置いた教育を実施する必要があります。

   さらに、優れた管理者のもとで充実した毎日を送っていると、若手社員も「この人
   の能力を少しでも吸収しよう」という気持ちになってきます。

   若手社員が優秀であればあるほど、彼らは勤めている会社が「自分にキャリアを
   つけさせてくれるところかどうか」という観点で評価します。

   したがって、管理者が一見厳しく部下を扱っているようにみえる組織ほど定着率
   がよいというのはよくあることなのです。

   このほか、管理者が若手社員に接する際に注意すべき点として、以下の項目が
   あげられます。

    ・会社のマイナス面だけでなくプラス面も見出すことができるように、
     本人の「ものの考え方」を変えること

    ・若手社員との「コミュニケーション」の機会を増やすこと

    ・若手社員でも仕事の場を「コントロール」し、自分で仕事をしている、
     という感覚をもてるようにすること

    ・若手社員に対し、仕事面、生活面において「指導」すること

    ・若手社員がスムーズに仕事に向かえるように、「メンタルケア」、
     「モチべート」を行うこと

   これらを達成するためには、各個人の意識や能力の向上に期待するばかりでは
   なく、それを支援し、さらに発展させていくための会社側の姿勢が明確であること
   が必要不可欠だといえるでしょう。

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