食品業界における苦情対応


  ■食を取り巻く環境

   近年、食品による食中毒や、BSE(牛海綿状脳症)の問題、食肉の産地偽装事
   件、残留農薬の検出など、食に関する多種多様な出来事が続き、消費者の食に
   対する信頼が低下している傾向があります。

   また、最近の例では、大手製菓メーカーで期限切れの食材が使用されていたこと
   が発覚し、品質管理体制のずさんさが露呈するなど、食の品質管理が社会問題
   となっています。

   食品関連業者は、規模の大小にかかわらず、食に関する規格の認証を受けるな
   どさまざまな方法で品質・衛生管理を徹底しなくてはならないことはいうまでもあり
   ません。

   しかし、認証の取得だけで、品質が守られているとはいえません。

   実際に、不祥事を起こした大手製菓メーカーでは、複数の管理規格の認証を取
   得していたといわれています。

   認証を取得しても、その後の製造過程で管理基準が遵守されていなければ、品
   質維持はできません。

   また、厳重に注意を払っているなかでも、万が一クレームが発生してしまった際に
   は、適切な対応をとれる体制を整えておくことも求められています。

  □クレーム発生時の適切な対応

   つねに品質管理を徹底しているとしても、販売している食品について顧客から問
   い合わせがくることがあります。

   それが、食品に対するクレームであった場合、どのように対応することが望ましい
   でしょうか。

   食品のクレームは、図のように分けて考えることができます。

   次に、ケース別にとくに注意したい対応のポイントをみていきます。

    <ケーススタディ①:食中毒に関するクレーム>

     顧客から、「購入したレトルト食品を食べたら、下痢になった、食中毒かもしれ
     ない」と連絡を受けた。

     対応のポイント

     a.顧客の体調を第一に考える

       「下痢をした」というだけでは、食中毒かどうか、症状の重度などはわかりま
       せん。
       場合によっては、腸炎ビブリオ、サルモネラ菌などの可能性もないとはいえ
       ません。
       顧客の体を気遣い、医師の診察を受けてもらうことを優先します。

     b.第三者の分析機関を利用する

       菌の混入の可能性があるケースについては、その分析を自社、または第
       三者の分析機関で行います。
       菌の分析などは、機器の精度が大変重要になりますが、それらの機器を中
       小企業で所持・メンテナンスをすることは難しいため、第三者の分析機関に
       依頼して報告書を出してもらうのが一般的です。

     c.情報の開示

       分析の結果、食中毒の原因となる菌が存在することがわかった場合、トラ
       ブルに関するすべての情報を把握したうえで、社告を出すよう手配します。
       内容は、事実関係や回収方法、その費用の負担、送り先などについてで、
       媒体には新聞を活用するのが一般的です。
       新聞を活用する際には、自社商品のエンドユーザーがどこであるかを考
       え、それが消費者であれば、購読者数が多い全国紙に掲載することになり
       ます。
       一方、業者間取引が多い場合には、全国紙とあわせて専門紙などへの掲
       載も検討しましょう。
       なお、取引先には、新聞などの社告だけでなく、実際に連絡し、謝罪すると
       ともに今後の対応などを伝えます。
       顧客、取引先のどちらに対しても、誠意ある行動を迅速にとることが大切で
       す。
       新聞以外には、ホームページなども利用して、いち早く問題解決に努める
       ようにします。

    <ケーススタディ②:異物の混入に関するクレーム>

     顧客から、「購入した菓子パンに髪の毛が入っていた」と電話で連絡を受け
     た。

     対応のポイント

     a.顧客の体調を第一に考える

       クレームを真摯に受け止め、顧客の状況を把握します。
       言い訳をせずに、不快感を与えてしまったことに対して詫び、顧客の体調を
       気遣い、症状を詳しく開きます。その際、電話代などを考慮して折り返し電
       話するなどの配慮も大切です。

     b.原因を分析する

       今回のトラブルの原因を分析するために現物を回収したい旨を顧客に説明
       し、了承を得て回収します。
       その際には、説明できる範囲で、分析を自社で行うか、または第三者の分
       析機関で行うかなどの詳細を正直に伝えます。

     c.対策を説明する

       顧客へ報告する際は、製造工場でのトラブルなどの結果のほか、謝罪、今
       後の対策を企業の責任者が行います(企業の規模にもよりますが、事の大
       きさを考慮して、できる限り顧客へ誠意が伝わる人選をします)。
       なお、対策として、検品を2回から3回へ強化するなど、すぐ行えるものや、
       施設の大がかりな清掃をする回数を増やすなどの中期的なもの、さらに新
       しい機械の導入など、比較的長期的なスパンで検討するものなどがある。
       いずれも、顧客の問い合わせから、安全管理を見直す機会ができたことに
       感謝する気持ちが大切です。

    <ケーススタディ③:アレルギーに関するクレーム>

     顧客から、「お弁当の中にある肉のようなものを食べたらアレルギー反応がで
     てしまった。
     食品表示には、自分がアレルギー反応を起こす大豆について表示されていな
     かった」とのクレームを店頭で受けた。

     対応のポイント

     a.顧客の体調を第一に考える

       代理の方が来店した場合でも、被害を受けてしまった方の症状を確認。
       場合によっては、その場で救急車を呼ぶ必要性もあるかもしれません。
       まず医師にみてもらうようすすめます。
       その際には、顧客が購入した現物のほか、その食品に使用している食材な
       どの情報を用意しておき、医師に伝えます。アレルギーは、場合によっては
       生死にかかわる問題ですから、判断を誤らないためにも医師の力をかりま
       しょう。

     b.厳重な情報表示

       食品に含まれる食材や調味料など、食品衛生法で定められているアレル
       ギーの原因となる品目はもちろんのこと、そのほかに注意が必要と思われ
       る食材についてもできる限り表示するよう心がけます。

     c.従業員へのアレルギーに関する教育

       食品衛生法では、加工食品について、アレルギーの原因となる特定原材
       料5品目(卵・乳・小麦・そば・落花生)の表示が義務づけられています。
       ほかにも可能な限り表示することを勧められている特定原材料に準じる20
       品目(あわび・いくら・いか・えび・オレンジ・かに・キウイフルーツ・牛肉・
       くるみ・さけ・さば・大豆・鶏肉・豚肉・まつたけ・もも・山芋・りんご・
       バナナ・ゼラチン)についても表示を行うようになっています。

       このような知識を従業員はじめ、関係者へも伝え、啓蒙することで、再発を
       防止していきます。

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