プレイングマネージャーと部下へのマネジメント
 

  ■プレイングマネージャー

   プレイングマネージャーとは、野球などのスポーツを例にとると、選手兼監督の立場に
   ある人を指し、企業においては自ら現場で活躍し、部下の育成という管理職としての業務
   も、こなす立場にあります。

   近年では中小企業において管理職に求める機能が変化してきました。

   例えば、これまでは戦略立案人材育成が管理職の主な機能とされてきました。

   しかし、企業経営を取り巻く環境が急速に変化する現在、デスクにいて営業計画などの
   立案などを行い、部下に業務遂行の指示をするような従来タイプの管理職では企業に
   十分に貢献できなくなってきました。

   中小企業の場合、限られた人員で多くの業務をこなさなければならないため、自然と
   管理職は自ら第一線で活躍しつつ、部下の育成という管理職としての業務もこなす
   「プレイングマネジャー」であることが求められます。

   企業は管理職に対し、実際に現場に出て顧客と接し、市場の生の声を聞いて実効性の
   高い営業計画の立案などを求めるようになったのです。

   営業プレイングマネジャーは、自ら第一線で営業活動を行うと同時に、チームをマネジメ
   ントして組織全体の営業力強化を目指します。

   営業プレイングマネジャーに求める機能は「営業力強化」と「人材育成」に大別され
   ます。
 
   「営業力強化」は、新規顧客の獲得などを指しますが、マネジャーである以上、単独
   プレーは好ましくありません。

   「人材育成(メンバーの指導)」にも力を注ぐことで組織全体の営業力の底上げを実現
   することが重要となります。

   理想は、人材育成によって営業力が強化され、その結果、営業成績が向上するといった
   状態です。

   しかし、社内の教育体制は今問題を抱えています。

   それは中小企業の多くが場当たりで無計画な教育が横行していることです。

   その原因に教育担当者の人数と能力の不足が挙げられます。

   厚生労働省「平成26年度能力開発基本調査」においても、全体の75.9%の事業所が
   「人材育成に問題がある」と回答しています。

   この問題を解決しなければ、社内教育制度の内製化は不可能です。

   多くの管理職は「プレー」つまり、自分の業務をこなすだけで手一杯になってしまい、
   部下のマネジメントがおろそかになってしまっているのが現状ではないでしょうか。

   例えば、経験の浅い若手にある仕事を任せたのはいいけれど、上司が自分の仕事に
   追われてしまい、完全にほったらかしにされてしまっ
   ているような状況になったことはないでしょうか。

   OJTは有効な社員教育の方法ですが、ただ仕事を与えてほったらかしにしているだけ
   ではOJTとは言えません。

   ほったらかしにされた社員は成長するどころか、逆にやる気を失ってしまうでしょう。

   上司にとって大切なのは、部下をしっかり見て、積極的にコミュニケーションを取ること。

   例えば、「最近の若い社員は飲みに誘っても嫌がる」という言葉をよく聞きますが、それは
   若い社員の「つきあいが悪い」のではないのです。

   確かにお酒は「飲みにケーション」といわれ、
   コミュニケーションを円滑にするひとつの道具ですが、
   それに頼らなければ部下とコミュニケーションが取れないとしたら問題です。

   お酒を飲みに行くのが好きな部下もいれば、そうではない部下もいます。

   上司は部下のことをよく見て、理解して、部下ひとりひとりに合ったコミュニケーション
   の方法をとらなければならないのです。

   これはコーチングの考え方でもあります。

   しかし、部下とコミュニケーションを取るのが上手な管理職ばかりではありません。

   そこで、意識的にコミュニケーションの場をつくってしまうためのツールが「部下面談記
   録シート」です。

   月に一度、ふた月に一度でもいいので、このシートを使って部下と面談をします。

  部下面談記録シート

   1.面談のテーマ

    できれば事前に、面談で話す内容を決めておきます。

    話す内容については部下にも知らせておくことで、密度の濃い話をすることができ
    ます。

    もちろん、面談を始めてから話す内容が変わってしまってもかまいません。

    無理に「今日はこの話をすると決めたのだから」とこだわってしまうと、部下と自然な
    会話をすることはできないので、部下の反応に合わせて話の内容を変えていくこと
    も必要です。

   2.面談でわかったこと

    面談を始めたばかりの頃は、まず、部下がどんな考えをもっていて、どんな人間なのか
    を理解するように努めます。

    相手がどんな人間なのかわからなければ、相手に合った指導はできません。

    部下に心を開いてもらうためのポイントは、まず自分をさらけだすことです。

    自分はこんな人間だということを素直に示して、
    部下からの信頼を得られることができてはじめて、部下は本音を語ってくれるのです。


    また同時に、部下がどんな問題を抱えているのか、そして部下は何を望んでいるの
    かといったことも聞き出してください。

    仕事の能力を高めたいと思っている部下もいますし、もっと評価してほしいと思っ
    ている部下もいます。

    「いいところを見つけて褒めてほしい」と思っている部下を「おまえはためだ」と厳し
    く叱責しても何の効果もありません。

    そうした部下の望みを知らなければ、効果的な指導はできないのです。

    ここでのポイントは、まず部下が答えやすい質問から始めることです。

    仕事の話でなくてもよいでしょう。

    多くの場合、上司は自分が聞きたいことを、自分が聞きやすい質問で聞いています。

    つまり、「この部下ならどんな質問の仕方をしたら答えてくれるだろうか」という
    ちょっとした気遣いがないために、部下の心を閉ざさせてしまっているのです。

    一人ひとりの部下に合った話し方をするよう、常に心がけてください。

   3.どう指示、指導したか

     2.でわかったことに対して、どう対応したのかを記入しておきます。

     できれば、部下が自分の言葉や態度にどういう反応を示したのかも記録しておく
     とよいでしょう。

     この積み重ねによって、「この部下にはこういう方法」という部下一人ひとりにとっ
     てベストの指導方法がわかってきます。

   4.フォローすべきポイント

     指示、指導したことについて、ほったらかしにしないこと。

     きちっとフォローし、部下を見守ることが大切です。

     面談が終わった後に、どういうフォローが必要なのかを記入しておきます。

  □プレイングマネジャーの営業管理

   営業管理は実績数値の結果を追いかけるだけのものではありません。

   もちろん、営業の結果である実績数値が最重要であることに間違いはありませんが、
   実績数値の源泉となる営業活動そのものを管理することも重要です。

   つまり、目標数値を達成するために必要な活動がきちんと実施されているかどうかを
   管理する(行動管理)ことがプレイングマネージャーの役割です。
   
  □行動管理を実施する上での要点

    (1)感情ではなく数字で管理する

    (2)指示・命令項目を決める。

    (3)中間、終了時の報告・連絡を励行させ、報告機会を与える。

    (4)指示・命令は期限、ポイントを明確にする。

    (5)記録する、記録させる。

    (6)現場への指示・命令内容を点検する。

    (7)結果を評価し、ケジメをつける。

    (8)中間報告などの対策内容を重点に具体的に詰める。

    (9)判断を下し、再指示、再命令を出す。

    (10)指示・命令の記録ノートをつくる。

    (11)出来ない理由を聞きすぎないこと。

    (12)決定事項の進度チェックで、行動をチェック・コントロールする。

    (13)担当者へ具体的な指示・命令をする。

   実績数値ではなく営業活動段階で営業担当者を管理するためには、営業担当者の活動
   スケジュールの管理を行うことが求められます。

   具体的な方法としては、月間の目標を週単位、日単位にブレイクダウンし、その目標
   に応じた活動計画がスケジュール化されているかどうかを確認するのです。

   たとえば、営業管理では、

    ・営業担当者ごとに当該月の目標金額を確認

    ・当該月の目標金額に必要な見込み客がリストアップされているか
     どうか

    ・見込み客への営業プロセス別アプローチ計画が適正な時間配分で
     計画されているかどうか

    ・見込み客へのアプローチ計画が無理なく月間のスケジュールに落と
     し込まれているかどうか

    ・月間スケジュールに基づいた週間スケジュールが策定されているかどうか

   行動管理においては、「何を」行動管理するのか
   の目的を明確にします。

    ・業績の進度チェック・コントロール

    ・決定事項(指示・連絡)の実施状況

    ・顧客先・見込み客先訪問

    ・営業同行による指導・育成

    ・会議並びに上司への報告

  見込み客評価 

   営業マンによる見込み客評価に対する営業   
   方針を決定します。

   単に営業方針を決定するだけではマネジャー
   としての役割を果たしたとはいえません。

   見込み客評価は、営業マンの実力をつけるいい機会です。

   「情報収集をしっかりしているか」「評価選定の基準は適正か」など、部下の「お客を見
   る目」をしっかりと評価、育成します。

  □行動の定型化(標準化)

   成果は行動の積み重ねであるが、その行動が思いつきであったり、衝動的であったり、
   また他因するものに振りまわされるものであってはならない。

   特に、「やらねばならない事」と「やったほうが良い事」については、『やらざるを得な
   いシステム』をもって習慣化することが大切であり、行動の標準化は組織強化のため
   にも優先課題となります。

    1.行動の定型化

     (1)やらねばならない業務は何かを明確にする。(定型業務は何か)

     (2)その目的は何か。(目標の設定)

     (3)そのための期間、期限、頻度は

     (4)月間週間毎日の計画は

     (5)実行、実施状況はどうか

     これらのことを基準に社内業務を管理していきます。

    2.業務命令・指示・連絡の日常チェック(業務処理メモ

     企業においては、数多くの課題が山積されています。

     その一つひとつを確実に、適正に処置して行くことが大切であり、特にプレイング
     マネージャーとしては、最後まで完遂させて行くことが必要条件となります。

   面談を通して、部下には「自分のことを聞いてもらえた、理解してもらえた」という
   満足
を与え、やる気を引き出すことができます。

   そして、上司は管理職として必要なコミュニケーション能力を養うことができます。


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