顧客管理 情報の収集・管理・活用     


  ■契約者情報ではなく顧客情報 

   本来、見込み客・顧客情報(データ)があって初めて営業活動ができるはずだが、データ
   を基に営業活動をしている代理店はどれだけいるでしょうか。

   これは今に始まったことではない。

   10、20年前の営業から進化していないのが実態ではないでしょうか。

  □お客様情報収集の目的 

   お客様のことを知らずに「何を、どうやって売るのだろう」というのが正直な気持ちで
   ある。

   孫子の兵法の中の「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という一文からも、敵(お
   客様)を知ることの重要性が理解できると思います。

   ここで大事なのは、

   何故、お客様の情報を集めるのか?

   情報を集めてどうするのか?

   その意味が正しく理解されないと、情報収集は長続きできません。

   あなたにとって必要なのは「契約者管理」ではなく「顧客管理(法人  個人)」です。

    お客様の「契約内容の把握、管理」だけでは、あなたの目的である継続した増収は

   達成不可能です。

   これからは、一人のお客様全体に対して1つの代理店。

   言い換えると、ワンストップサービスの時代なのです。

   生損保を含めてお客様単位のサービスを考えていかなければなりません。

   お客様情報の収集と管理を考える上でもっとも大事なことは、以下のことを自分で
   しっかりと確認しておくことです。

     ① 何のために情報を収集、管理するのか(収集の目的)

    ② どんな情報を収集するのか(収集の対象)


   お客様の情報収集は、お客様を丸ごと抱え管理していくこと、他の代理店にお客様を
   奪われ
ないよう保全することまた、更にお客様とのより良いリレーションシップ(信頼
   関係)を維持・
発展させていくためです。

   次にお客様の「管理」「ファン化」「保全」「信頼関係の発展」とは、具体的な行動と
   しては、
何をすることでしょう。

   通常代理店が行うべき基本的な業務を実行することは、もちろんですが、具体的には
   以下の
2点の実行にあります。

   「顧客管理」とはお客様に対する

    ① 多種目販売の実行

    ② リレーションマーケティング(顧客関係の深耕)の実行

   何のために情報を収集するのか、どんな情報を収集するのか、情報はどのように
   管理する
か、収集してどう活用するのか、以上の問いの答はすべて上記2点に集約
   されます。

   そして、そのためには、情報の収集は上記の行動と切り離さずに同時併行で行う
   こと、収集
した顧客情報を活用しやすい形で蓄積していくこと、更に常に最新状態に
   なるようにメンテ
ナンスしていく必要があります。
    
  □情報収集時のヒアリングシート例

    1)「聞く」のテクニック

      情報を収集する方法として「聞く」がある。

     聞き手となる営業担当者にそれなりのテクニックが求められる。

     既に承知のことと思うが、再確認のために紹介します。

     ○顧客が受け入れやすい話題から始める

      顧客と会った瞬間に商談の話をすることもあるが、これは、その顧客とあ
      る程度の面識がある場合に限られる。

      新規の見込み客を訪問し、開口一番に「いい商品ですから、ぜひとも購入
      してください」などといったら、顧
客が警戒心を強める。

      そこで、まずは顧客にとってよいニュース、あるいは当たりさわりのない
      題からはじめ、全体の空気を和ませることから始めます。

     ○自分ばかりが話し過ぎない

      あなたは商品やサービスを熟知しているので、ついついサービスの機能
      や
利点ばかりを宣伝しがちになってしまう。

      気が付くと、1時間の商談で営業担当者が45分以上話してしまっているこ 
      ともある。(あなたの話す時間は
15分)

      目的はあくまでも情報収集ですから、できるだけ質問することを心掛け、
      顧
客が話す時間を長くする。

      ただし、あれもこれも聞きすぎると、顧客が疲れてしまい、話す気を無くし
      てしまうこともある。

      このような場合は、話のところどころで顧客が興味を持つ情報を提供し、
      「情
報のギブアンドテイクの関係」を築くと話が進めやすいでしょう。

     ○あらかじめ質問内容を準備しておく

      「聞く」情報収集は、顧客に質問し、それに対する回答から必要な情報を
      導き
出すもの。

      よって、最低でも訪問前に質問したい事項をまとめておく必要がある。

      ただし、用意した質問をすべてしなければならないと考え、顧客の話の腰
      を折
って質問を投げ掛けるのは問題です。

      あくまでも、話の流れを止めないように臨機応変に対応しましょう。

      また、話しているうちに、事前に準備していた質問が的外れとなってしまう
      こ
とがあります。

      こうした場合は、準備していた質問にとらわれることなく、新たに浮かんで
      くる疑問について、素直に質問してみるといい。


     ○相づちは打つが、メモは取り過ぎない

      顧客との1時間の商談の中で、すべての会話が最重要であることは、ほと
      んどありません

      本当に重要な情報は会話の中のごく一部であるのが通常である。

      そして、大切なのは、重要な情報を聞き出すことだから、適度に相づちを
      うち、適度に笑う


      また、必要に応じてメモを取り、真剣に話を聞いている姿勢を顧客に示し
      ます。

      ただし、あまりに真剣にメモを取り過ぎるのは問題となることがある。

      メモは紙の残るものであるため、顧客が警戒して話しを止めてしまうこと
      があるから。

      メモを取るべきなのは、顧客が話した本当に重要な情報の部分だけで十 
      分。

     ○フィードバックを行う

      会話が一段落ついたところで、「今のお話は○○ということですね?」といっ
      たようなフィードバックを行うとよい。フィードバックの効果は大きく2つあり
      ます

       1.顧客が「自分の話を聞いてくれているんだな」と気分をよくする。

       2.営業担当者がフィードバックした内容について、顧客が補足説明をし
         くれることがある。


      補足説明を受けられれば、より幅広い情報を収集することができる。

      営業担当者の中には、わざと間違えたフィードバックを行い、顧客の補足  
      説明を導き出す
テクニックを使う人もいる。

      ただしこれは、一歩間違えると「理解の遅い営業担当者だ」と顧客に嫌わ
      れて
しまう危険性があり、使う相手と場面を確実に見極めることが重要。

  □増収に不可欠な顧客管理

   契約者管理はしていても、顧客管理をしている代理店は数少ないようです。

   すでに承知でしょうが、顧客管理は契約内容の管理だけにとどまらず、一人・一企業の
   顧
客を丸ごと管理することです。

   この管理がなければ多種目販売・顧客の固定化・単価アップによる増収は困難を要
   します。

   販売チャネルの多様化により、専業代理店の環境は厳しさを増すばかりです。

   保険という「形がなく、目に見えない」商品を扱うには、「形があり、目に見える」商
   品を扱う以
上に営業のやり方を考えなくてはなりません。

   データベース・マーケティングを一言で表現すると、「データに基づいた営業」という
   ことです。

    ・データでお客様の情報を管理する

    ・データで行動プロセスを管理する

    ・データで結果を確認する

    ・データで分析、フォローする

    ・データで重要管理項目を明確にする

   1.顧客のニーズキャッチ

    (1) 固定客づくり

      シェア・アップ戦略を成功させるカギは得意先が顧客(エンドユーザー)をいかに
      吸引してくれるかという、得意先の自社に対する「協力度」や得意先自体の「販売
      競争力」にあります。

      つまり、インストア・シェア(特定の取引先における保険契約全体のうち、自社が
      占める割合)を、どう高めて行くかが重要となるのです。

      そのためには、得意先との強力な連携と密着をはかり、固定取引先として、イ
      ンストア・シェアの充実をはかって行くことです。

    (2) ニーズキャッチ

     顧客に対して、いくら約束を守り定期訪問をしていても、それだけでは真の固定客
     にはなり得ません。

     固定客化をはかるには、約束を守り、定期訪問をすることにプラスして、常に変化
     していく顧客のニーズをさぐり、今一番顧客の困っていることは何かを的確につか
     み、それを満足させるように対応していくことが必要です。

     そうした顧客のニーズが価格・品質・サービスなどのどこにあるか、的確なニーズ
     キャッチによって、先手をとった時、信頼が生まれ、より強固な顧客との密着化を
     図ることで、固定客になってもらえるのです。

     「分からないことは、お客に聞いてみよ」、常に顧客の困っていることに耳を傾ける
     ことが、固定客をつくりあげ、業績安定基盤をつくっていくキメ手になります。


   2.顧客管理ソフトの活用

    顧客密着を促進するためには、その顧客との現在と過去のつながりの深さが一つ
    のキーファクターとなります。

    つながりの深さを保つには、その顧客と自社(店)との過去の歴史を、営業マン自身
    がよく認識し、そのつながりの深さをうまく活用したセールス活動をすることです。

    (1) 顧客データベースの作成

      画一的なセールス活動では成果はあがりません。

      そのためには、

       ・記憶に頼らない。

       ・記録としての顧客データベースを作成する。

       ・常に顧客と自社(店)との関係を確認する。

       ・固定客化促進のためのポイントを探し、研究する。

       ・攻略方法、アプローチ方法を常に考える。

      以上の点を材料として活用していくことが大切です。
 

    (2) 顧客データベースから得られる情報のポイント

      データベースを作成し、活用することによって得られる情報の主な点は、

       ・顧客との過去のつながりの歴史。(取引年数の長さ)

       ・顧客の現状と過去からの成長過程。

       ・自社(店)のインストア・シェア

       ・自社(店)との取引状況の変化。

       ・自社(店)との現状の密着度。

       ・種々様々なアプローチ経過と結果。

      などのポイントがあげられます。

    得意先は営業マン個人の私物ではなく、自社の資産であり、企業として、特に幹部

    固定得意先の充実と拡大

     ・顧客データベースを作成する

     ・業績が向上しているか低下しているかのチェック

     ・追加情報の記入

     ・定期的なチェック

     ・検討を加え、対策を立てる

     ・会議では必ず持参し、得意先の動向報告をする

     ・対策資料として積極的に活用する

     ・継続的に作成する。

   以上のように、データベースは作成することが目的ではなく、それをどう活用するか
   という
ことが大切です。

   これらは、なかなか継続されない傾向が強いので特に配慮し、動機づけをし、日常の
   業務
としての習慣化がポイントとなります。

   顧客を固定客にしていくためにも、顧客との関係を深め、記念日情報を聞き出し、パソ
   コンに入力し、記念日が近づいたら気持ちを込めてメッセージ(カード)を送ります。

   個人顧客(一家族)であれば、子供の七五三や成人式、結婚式、結婚記念日、誕生日
   など、法人顧客であれば創立記念日、社長のバースデー、○○周年記念、社長交代と
   いった人生
のサイクルにあるさまざまなイベントに目を向け、絶妙のタイミングをつか
   むことで販売チ
ャンスが広がるのです。

   お客様の購買意識を刺激することがますます難しくなってきています。

   だから記念日をおおいに利用すべきなのです。
     
   顧客一人ひとりの身になって購入動機を刺激するメッセージを送ることが収益減退の
   打開
策となります。

   「購入の目的・動機」を、顧客の立場にたってこちらからメッセージし、気づかせること
   です。

   その商品を提案した理由、商品の特徴、今までの商品とどこがどう違うのか、そし
   て顧客
別にどんな利点(メリット)が約束されているかといったメッセージを、明確に
   わかりやすく
説明できていなければなりません。
 
   ただしメッセージは、「顧客別」に送ることです。

   商品はひとつでも、顧客一人ひとりの「目的・動機」はいろいろあるからです。

   その心の琴線に敏感に触れるようなメッセージを送ることができるようにします。

   ここで、顧客データベース(顧客情報)が威力を発揮します。

   より多くの顧客情報をデータベース化し、見込みの高い客をセグメントして、顧客一人
   ひとり、あるいは顧客別のまとまり(層別:地域、業種、規模、種目、家族、年令等)ごとに
   的確な
プロモーションを展開するのです。

   代理店にとって、種目別の利益管理は最重要テーマです。

    ・どの種目が利益頭であるか

    ・どの種目が利益を上げていないか

   を常にチェックします。

   そして、

    ・どれを販売強化するか

    ・どれを撤退するか

   について決めなくてはなりません。

   その検討材料として、カテゴリー別の売上データ、経費データの収集が不可決である。

   利益目標を決めるにあたっても、既存の各商品の利益動向とのバランスをよくチェックす
   ることが重要です。

   専業代理店の多くが全体挙績に占める自動車保険の割合が60〜70%以上ということ
   も、今からの事業展開において改善の要大なのです。
  

  3.顧客管理による強化体制 

    販売活動は、得意先(顧客)の実態把握から開始されます。

   いずれにしてもベストのコミュニケーション方法は、「双方向」「一対一」「同時」の
   コミュニケ
ーションです。

   (例)封筒に返信用ハガキを入れる   往復ハガキを入れる

      ファックスの場合、返信用FAXの準備   E−mailの活用

   ところで、全てのお客様と同じように接点をもつことは殆ど不可能です。

   重要な点は、どのようなお客様には時間をかける価値があるか、すなわちどのような
   お客様
が代理店経営上、優先順位が高いかを見極めて、自分なりにお客様の分類が
   できるように
しておくことです。

   以下はお客様分類指標の一例です。

    ・ 既契約の収保規模により上位○○社(人)

    ・ 同業者組合や地域の組織などで役員をしているお客様

    ・ 取引先の多いお客様

    ・ 自分の得意な業種(建設業など)の企業     等


   もちろん分類付けの指標は、個々の代理店の営業戦略によっても当然に異なって
   きます。

   接点を多く持つには、下記のような方法があります。

    ・ 代理店ニュースを定期的に発行・送付

    ・ 法人顧客で業種を絞って有用な情報を提供(FAX−DMによる「経営情報ニ
      ュ−ス」、
リスク情報の提供)

    ・ 個人顧客を世帯・子供の有無・年齢等で分類し、その層に有用な情報を提供

   ここで注意することは情報の収集が目的となってしまわないことです。

   目的はあくまでも増収のためです。

   これらの刺激を与えることによって、必要な情報をひきだすことができるだけでなく、
   あなたの存在・価値をアピールすることもできる。

   一人のお客様と接点をもてる時間は限られています。 

 

   その時間は最大限有効に活用しなければならない。

   そのためには、事前に自分の得たい情報をあげ、それに優先順位をつけて準備
   しておくことと、それを引き出すための話法を組み立て、情報引き出しのツールを
   整えておく必要があります。

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