労働契約書の作成ポイントと雛形

         労働契約書の作成ポイントと雛形 


   労働基準法では、労働者保護の点から以下のことを定めています。

  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間、その他
  の労働条件を明示しなければならない(労働基準法第15条)

   そして、賃金、労働時間等の主要な労働条件については、労働契約書や就業規則等
  の書面の交付によって明示することを使用者に義務づけています。

  また、パートタイム労働法では、次のことが定められています。

   事業主は、短時間労働者を雇い入れたときは、速やかに、
   当該短時間労働者に対して、労働時間その他の労働条件に
   関する事項を明らかにした文書の交付等により明示しな
   ければならない(パートタイム労働法第6条) 

  パート・アルバイト等の短時間労働者を雇用する企業では、短時間労働者向けの労
  働契約書あるいは雇入通知書を整備しておくと、労働条件をめぐるトラブルの防止
  になります。

 ◆労働契約書作成のポイント

   労働契約を結ぶ際に労働者に以下の労働条件について明示しなければならない。 
 
   労働契約.jpg

 

  上記表の「必ず明示」に示された事項については、書面を作成し、労働者に渡す
  
方法で明示しなければなりません。

  「会社に定めがある場合に明示」に示された事項については、口頭で説明すること
  でも足りますが、書面交付という方法をとったほうがトラブルの未然防止には有
  効
です。

  これらの事項が就業規則に記載されている場合、就業規則を交付することで書面
  による明示義務を果たしたことになります。

  ただし、従業員ごとに異なる労働条件については、就業規則には記載されていない
  ので、労働条件通知書や労働契約書などの書面を交付する必要があります。

  また、特に確認したい事項については、注意を促す意味からも書面を交付するのが
  よいでしょう。

  労働法令上は、書面を交付すればよいと
  されていますが、労働者と雇用契約を締結
  する以上、後々の労使トラブルを防止す
  る意味からも、労働契約書には労働者に
  も署名または記名・押印してもらい2通作
  成して、労使双方で一通ずつ保管するよ
  うにしましょう。

  なお、労働契約の締結においては、法律
  的規制についての注意が必要です。

  たとえば、労働基準法では週所定労働時
  間は最長40時間と定められているため、
  「週所定労働時間を50時間とする」という
  契約は法律違反になります。

  このように、労働基準法やその他の諸法規に違反する労働条件を定めた契約を結
  んだ場合は、違反する部分については無効となります。

  法律に違反する労働条件で労働者を使用した場合には、使用者に刑事罰が科せら
  れることもあるため、注意しなくてはなりません。

  また、法律で定められた労働契約書の保存期間は3年間ですが、後々トラブルが
  発生することを想定し、できるだけ長期間保存するのが望ましいといえます。

  厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp)でも最新情報を提供して
  います。


  <労働契約書の雛形>

    労働契約書の雛形(一般)    労働契約書の雛形(有期労働者向け)

    労働契約書の雛形(短時間労働者向け)   



    身元保証書  

 

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書面による労働条件の明示

         

書面による労働条件の明示(正社員にも交付)

  ■書面による労働条件の明示

  □労働条件を明示
   (1)明示すべき時期
     明示すべき時期は、労働契約の締結の際です。

     期間の定めのある契約において、契約期間満了後、契約を更新する場合も含
     まれます。

     また、労働者が出向する場合については、在籍型でも移籍型でも、出向先労
     働者との間で新たに労働契約関係が成立するものなので、出向に際して出向 
     先はその事業場における労働条件を明示する必要があります。

     なお、この労働条件の明示は、出向元が出向先のために代わって行うことも
     差し支えません。

   (2)労働条件の明示がない場合の契約の効力
     労働条件の明示は、労働者が就職するにあたって労働条件の内容を了知し
     得る状態におくため、使用者にその内容の明示を義務付けたものです。した
     がって、労働契約の締結にあたって労働条件が明示されなかったとしても、そ
     の労働契約自体は有効に成立します。

  □労働条件の明示方法
   (1)書面による交付
     下記の労働条件については書面による交付が必要となります。

      @労働契約期間
      A期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(平成25年4月1日施行)
      B就業の場所・従事すべき業務
      C始業・終業の時刻、所定労働時間を超える労働(早出・残業等)の有無、
        休憩時間、休日、休暇、労働者を2組以上に分けて就業させる場合におけ 
        る就業時転換に関する事項
      D賃金の決定、計算・支払方法、貸金の締切り・支払の時期
      E退職に関する事項(解雇の事由を含みます。)

     なお、書面で明示すべき労働条件については、当該労働者に適用する部分を
     明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支え
     ないことになっています。

  □書面で交付すべき労働条件
   (1)労働契約期間
     期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間の定めのない労働契約
     の場合はその旨を記載する必要があります。

   (2)期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準(平成25年4月1日施行)
     書面の交付により明示しなければならないこととされる更新の基準の内容は、
     有期労働契約を締結する労働者が、契約期間満了後の自らの雇用継続の可
     能性について−定程度予見することが可能となるものであることが必要です。

     例えば、「更新の有無」としては次のように記載します。
      @自動的に更新する
      A更新する場合があり得る
      B契約の更新はしない

     また、「契約更新の判断基準」として、次のような内容を明示することが考えら
     れます。
      a 契約期間満了時の業務量により判断する
      b 労働者の勤務成績、態度により判断する
      c 労働者の能力により判断する
      d 会社の経営状況により判断する
      e 従事している業務の進捗状況により判断する

     また、更新の基準についても、他の労働条件と同様、労働契約の内容となって 
     いる労働条件を使用者が変更する場合には、労働者との合意その他の方法 
     により、適法に変更される必要があります。

   (3)就業の場所・従事すべき業務
     雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すれば足りますが、将
     来の就業場所や従事させる業務を併せて網羅的に明示することは差し支えあ
     りません。

   (4)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休
     日、
休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時
     転換
に関する事項
     当該労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件を明示しなけれ
     ばなりません。

     なお、明示すべき事項が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性
     も考慮し、所定労働時間を超える労働者の有無以外の事項については、勤務
     の種類ごとの始業及び終業の時刻、休日等に関する考え方を示した上で、当
     該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことで足ります。

   (5)書面により明示すべき貸金に関する事項
     書面によって明示すべき事項は、賃金に関する事項のうち、労働契約締結後
     初めて支払われる賃金の決定、計算及び支払方法並びに賃金の締切り及び
     支払の時期です。

     具体的には、基本賃金の額(出来高払制による貸金にあたっては、仕事の量
     (出来高)に対する基本単価の額及び労働時間に応じた保障給の額)、諸手
     当の額又は支給条件、時間外、休日又は深夜労働に対して支払われる割増
     貸金について、特別の割増率を定めている場合にはその率並びに賃金の締
     切日及び支払日となります。

     また、就業規則の規定と併せ、賃金に関する事項が当該労働者について確定
     し得るものであればよく、例えば、労働者の採用時に交付される辞令等であっ
     て、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えあ
     りません。

     この場合、その就業規則等を労働者に周知させる措置は必要です。

   (6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
     退職の事由及び手続き、解雇の事由等を明示しなければなりません。

     これについても明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、 
     労働者の利便性も考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項
     名を網羅的に示すことで足りるとされています。

  □明示された労働条件が事実と相違する場合
   (1)即時に契約解除
     明示された労働条件と事実が相違する場合には、労働者は労働契約を即時 
     に解除することができます。

     明示された労働条件は、労働契約の内容となっていますので、もし事実と相違
     する場合には、労働者は明示されたとおりの労働条件の履行を使用者に要求
     することができます。

     その要求に応じない場合には、債務不履行を理由に損害賠償請求を請求す
     ることもできることになります。

     この場合の解除とは、将来に向かって消波させることをいいます。

   (2)明示された労働条件の事実との相違
     労働条件の解除が認められる場合は、明示された労働条件の全てを指すも
     のではなく、明示された労働条件中、労働基準法第15条第1項で明示しなけ
     ればならないと定められた事項に限られます。

     例えば、労働契約の締結にあたり、社宅を供与するべき旨の契約をしたにも
     かかわらず、これを供与しなかった場合、その社宅を利用する利益が賃金に
     あたる場合は、社宅を供与すべき条件は即時解除が適用されますが、社宅が
     単なる福利厚生施設とみなされる場合は、社宅を供与すべき旨の条件は、明  
     示すべき労働条件に含まれないので、即時解除は適用しないことになります。

     雇入れ後に労働協約又は就業規則が変更され、これに伴って現実に適用さ
     れる労働条件が変更された場合は、労働契約自体が変更されると解されるの
     で、事実との相違には該当しません。

   (3)必要な旅費の負担
     就業のために住居を変更した労働者が、明示された労働条件と事実が相違す
     ることを理由に労働契約を解除して、その日から14日以内に帰郷する場合に
     は、使用者は、労働者の帰郷のために必要な旅費を負担しなければなりません。

     @帰郷旅費を負担しなければならない場合
       住所を変更した場合だけでなく、居所を変更した場合も含まれます。

       14日以内に帰郷の予定で請求した場合は、使用者の都合によって帰郷旅
       費が支給されないために、契約解除の日から14日経過後に帰郷すること
       になっても帰郷旅費を請求する権利は失われません。

       また、14日以内に帰郷するとは、14日以内に目的地に向かって現住所を
       離れればよく、目的に到達することは必要ありません。

     A帰郷に必要な旅費
       「帰郷」とは、通常、就業する直前に労働者の居住していた場所まで帰るこ
       とを言いますが、必ずしもこれのみに限定されることなく、父母その他親族 
       の保護を受ける場合にはその者の住所に帰る場合も含まれます。

       「必要な旅費」とは、帰郷するまでに通常必要とする一一切の費用をいい、 
       交通費はもちろん、食事、宿泊を要する場合の宿泊費も含むと解されてい
       ます。

       また、本人とともに労働者により生計を維持されている同居の親族(事実婚
       も含む)も転居した場合には、その者の旅費も含みます。

  □罰則
   使用者が、労働基準法第15条に違反して明示すべき範囲の労働条件を明示しない
   場合や書面交付によって明示しなければならない事項について書面交付によって
   明示しなかった場合には、30万円以下の罰金に処せられます。

   使用者が帰郷旅費を負担しない場合も同様に罰せられます。