製造業

            

製造業のフールプルーフ(ポカヨケ)対策


  ■製造業のフールプルーフ(ポカヨケ:うっかりミスを避ける)

   製造業では常に小さな事故(ポカミス)があいついで起きています。

   いずれもウッカリ事故と呼べるもので、機械も止まらず、怪我もなくすんでいます。

   どんなに慣れた工程でもなめないで、真剣に取り組むこと。

   作業をなめると、大きな事故を招きます。

   そして安全作業は、言うまでもなく従業員自身のためにこそ守らなくてはならない
   のです。
   
   では、安全な作業遂行のために、何をどうすればよいか。

   それは基本的なことですが、合い言葉を交わし合うことです。

   ご存じの赤穂浪士の討ち入りでは「山」と「川」の合い言葉が交わされます。

   あれは、味方同士の相打ちを避けるための大切な戦術です。

   そして見事に成功した例です。

   逆の例は、プロ野球を見ていると、フライをめぐって二人の選手がぶつかったりし
   ます。

   あれほど鍛えたはずのプロの選手同士が、ごく基本的なマナーである声を掛け 合う
   ことを忘れたばかりにとんでもないミスをするわけです。

   二人ともが、目の前のボールに集中するあまりにウッカリミスをやらかすのです。

   合い言葉は大切です。  

   とくに、口に出すことです。

   電車の運転手や車掌さんの仕事は、小さなミスが直接人命にかかわるから、安全の
   ためのチェックは二重三重に慎重にしています。

   運転席を覗くと、運転手さんは計器類をいちいち指で差し、なおそのうえに「発車オー
   ライ」とか「信号よーし」とか声に出して確認しています。

   あの慎重さが事故を防ぐのです。
 
   現場でいえば、お互いに作業の確認をし合うことが合い言葉に当たります。

   目で見て、音を聞いて、手で触って、よくよく確認したうえで「OK」「合格」でもいい
   でしょう。

   「了解」「完成」でもいいのです。

   実際に口に出して、お互いの作業を確認し合うこと。

   お互いに確認し、連絡し、報告をする。

   この基本を忘れないことです。

   ほとんどのポカミスはこれで防ぐことができます。
 
   大きなミスを防いで、安全作業を確保する近道は結局、基本を守ることに尽きる
   のです。

   その基本の一つが合い言葉を交わし合うことです。

   基本だからこそ、必ず励行してほしいことです。

   事故の多くは、どこか気持ちのたるみから発生します。

   御社では安全管理対策としてそのようなことを実施しておりますか。

   「安全管理対策」一つをとっても、定期に開催し、従業員が習慣化するまで繰り
   返し続けることが重要です。

  □フールプルーフ(ポカヨケ)対策の必要性とその目的
   人間が作業をする場合、つねに完壁に行うことができるわけではありません。

   作業標準や基準はあっても、ついうっかりミスをすることがあります。

   その場合、人間の判断をできるだけ機械的、あるいは電気的な機構などに置き換えて
   そのミスの発生を極力防ぐことが必要になります。

   ヒューマンエラーによる
    ・人間のちょっとした気の緩みから犯してしまう過失(ポカミス)の防止策
    ・それによって引き起こされる不具合を低減するための工夫
   を「フールプルーフ」(fool proof)、日本語では、「ポカ(うっかり)ミスを避け(ヨ
   ケ)る」で「ポカヨケ」といいます。

   これに対し、機器の一部が損傷、故障、停止などしても危険が生じないような構造や
   仕組みを導入する設計思想のことは「フェイルセーフ」(fail safe)といいます。

   近年、製造現場は、
    ・中小製造業を取り巻く経営環境の低迷
    ・消費者ニーズの多様化に伴う短納期・多品種少量生産への移行による工程や
     作業の頻繁な変化
   により、非常に不安定な状況にあります。

   しかし、そのような現場の現状にもかかわらず、厳しい企業間の競争に勝ち残り生き
   残るためには、均一で高品質の製品を低コストで提供することが要求されています。

   したがって、各企業では、誰もが、どのような環境においてもちょっとした気の緩みに
   よる末加工や操作ミスなど、安全に低いコストで100%の品質の商品が作れるような、
    ・ポカミスを完全に防止する仕組み
    ・ポカミスを注意する仕組み
   を構築し、それをいかしていくことが重要です。

  ポカヨケの仕組み
   「ポカヨケ対策」とは、
   部品忘れや未加エなどの人為的ミスをなくすことにより、品質の向上、コストダウン、
   安全面においての成果を図ることを目的としています。

   そして、それらの目的を最大に達成するためには、
    ・不良品を作らない仕組み、不良品を次の工程に送らない仕組みなどの
     「ポカミスを完全に防止する仕組み」

    ・人的要素が多すぎて、完全に機械的・電気的な機構でうっかりミスができない
     場合の「ポカミスを注意する仕組み」
   という2つの視点で「ポカヨケ」を捉え、その対策を講じていく必要があります。

  □ポカヨケ対策の手順と留意点

   1.改善対象と推進組織

     ポカミスは、
      ・製品設計
      ・設備治工具
      ・環境レイアウト
      ・作業動作
      ・人間配置
     などの改善により防ぐことができます。

     そして、ポカミス防止のための活動は、
      ・職制主導型(職場グループ)
      ・プロジェクトチーム型
      ・QCサークル主導型
     などの組織により推進されます。

   2.ポカヨケ対策における留意点
     製造現場における部品間違い、部品忘れ、不良品混入、異部品混入、未加
     工、操作ミスなどのうっかりミスは、一般的に、
      ・無意識
      ・ほかへの意識集中
      ・体調の不良、疲労
      ・経験不足、教育不足
      ・規律不遵守
      ・外部からの刺激(外乱)
     などの要因により起こると考えられています。

     そして、各要因をみてみると、個人的な理由が大部分を占めているということ
     がわかります。

     よって、ポカミス防止対策を考える際は、
      ・専門的知識を不要にする
      ・高レベルの技能を不要にする
      ・未経験の者にもできるようにする
      ・特殊な技能、資格不要の作業にする
      ・勘、コツに頼らなくてもよいようにする
      ・無駄な気を使わないような体制にする
     という原則に留意し、個々の作業に集中できる仕組みや環境をつくることが重
     要です。 

   3.ポカヨケの改善手順と方法
     ポカヨケ対策は、次の手順と方法によりすすめられます。

     (1)手順
       @現状の整理把握
         ・過去のポカミスを分析する
             ↓
       A方針(目標・施策)の確立、対策の組織をつくる
         ・おおまかな実施計画の立案
             ↓
       B要因の解析
         ・他社の事例と比較することも重要
             ↓
       C改善案の評価および実施
         ・改善案は、あらゆる角度からできるだけ多く出す
         ・実施の段階では、実際に取り組むことにより不都合があれば改善前に
          戻すというように柔軟な対応で臨む
             ↓
       D徹底・維持・管理
         ・作業標準のなかにポカヨケ対策を織り込み、正しく機能しているかを確
          認する

     (2)方法


製造業における機械の安全対策

         

製造業における機械の安全対策

  ■機械の安全対策
   労働災害の発生件数は長期的には減少傾向にあるものの、平成24年における
   休業4日以上の死傷者数は11万人を超えており、依然として多くの労働災害が
   発生している。

   そのうち、機械による労働災害の発生割合が約4分の1を占めており、その災害
   防止対策が重要な課題となっています。

   機械による災害の特徴は、“はさまれ・巻き込まれ”などによって、手足あるいは
   全身が押しつぶされ大きな後遺症を残す、最悪の場合、死亡に至るような重篤な
   災害となる場合が多いということである。

   厚生労働省から公表された「第12次労働災害防止計画」(12次防:平成25年度
   〜29年度)では、機械による労働災害を防止するために、製造段階、使用段階そ
   れぞれの対策を進めているものの、依然として機械による災害が多発しているこ
   とから、さらなる取り組みの促進が必要であるとしている。

   ここでは、機械による災害防止の基本原則、機械の安全化の必要性、平成19年
   に改正された「機械の包括的な安全基準に関する指針」の内容などを中心に“機
   械の安全対策”について紹介します。

  □機械による災害防止の基本原則
   機械による災害は、機械とそれを操作している作業者等が関連して発生する。

   機械の可動範囲と作業者の動作範囲が重なりあった部分が危険領域であり、両
   者が接触した場合に災害という形で顕在化する。

   したがって、機械による災害を防止するためには、このような状況が成立しないよ
   うにする必要があり、そのためには次の2つの基本原則(隔離の原則、停止の原
   則)に従うことが重要である。

  □機械の安全化の必要性
   労働災害原因要素分析(平成22年厚生労働省)によれば、製造業全体における
    休業4日以上の死傷災害の9割以上は人間の不安全な行動が関係して発生して
   いる。

   つまり、人間側の行動に問題や誤りがあり、ほとんどの労働災害が発生している
   ことになる。

   したがって、人間はミスをする、勘違いをする、忘れるという前提に立ち、万一そ
   のような行動を人間が取った場合においても、事故や災害に至らないような機能
   を機械設備に持たせることが望ましい。

   機械設備に関する労働災害を防止するためには、機械そのものの安全を確保す
   ることを第一に考える必要がある。

   そのためには、設計段階でまず本質安全化を図ることが求められるが、機械の
   質安全化の方法
としては、3点が挙げられる。

  □機械の包括的な安全基準に関する指針
   機械そのものを安全にすることの重要性を前項で示したが、そのためにまずは製
   造者側で危険源の除去や安全機能を組み込んだ設計や製造等をする必要があ
   り、使用者側は設計段階で本質安全化が図られた機械を採用していくことが重要
   となる。

   上記の取り組みを進めるために、厚生労働省は平成13年6月にすべての機械に 
   適用できる「機械の包括的な安全基準に関する指針」を公表した。

   当該指針は、その後、
    @労働安全衛生法が改正され、危険性又は有害性等の調査およびその
     結果に基づく措置の実施(リスクアセスメント*)が努力義務化されたこと
    A機械類の安全性に関する国際規格等が制定されたことなどを踏まえ、
     平成19年7月に改正され、機械の設計、製造、改造、輸入等(以下、
     製造等)の実施事項、機械を労働者に使用させる事業者の実施事項が
     新たに定められた。

       *リスクアセスメント
         事業場のあらゆる危険性、有害性を特定し、それらに起因するリスクの
         大きさについて、発生可能性と重篤度の度合いから見積る。

         明らかとなったリスクに対して、リスクを低減させるための措置を検討・
         実施することにより事業場の安全衛生水準を向上させていく
先取りの
         安全管理手法。(リスクアセスメントの基本手順

  □
機械の安全化の実施事項および手順
   「機械の包括的な安全基準に関する指針」に示されている“機械の製造等を行う
   者の実施事項”および“機械を労働者に使用させる事業者の実施事項”は図の
   とおりであり、該指針に基づく機械の安全化の手順を示しておきます。

  □まとめ
   「機械の包括的な安全基準に関する指針」は、新規に機械を導入する場合などを
   想定しているが、機械設備に関係する労働災害を防止していくためには、既に設
   置されている機械についても、使用者側で計画的にリスクアセスメントを実施し、
   その結果に基づく適切なリスク低減対策を実施することが重要である。

   また、当該指針においては、機械の設計・製造、機械の使用などに際して実施す
   べき具体的な保護方策を例示しているが、保護方策はそれらに限定されるもので
   はなく、機械の製造等を行う者や機械を労働者に使用させる事業者は、個々の機
   械における危険有害要因や各事業場の状況等に応じて、有効と考えられる保護
   方策を実施していくことが望まれる。

 

安全な職場づくり

         

安全な職場づくり

  ■安全安心な職場づくり

   「きちんと片付けなさい!」「使った物はもとの所に戻しなさい!」「整理・整頓しま
   しょう!」いずれも小さい頃、家庭や学校で言われ続けてきたことです。

   当時はその意味を深く考えることもなく、なかなか身につかない躾(しつけ)の一つ
   くらいにしか捉えていなかったのではないでしょうか。

   そして大人になった今、また同じことを言われるわけです。

   でも、その意味や目的は単なる躾の域にとどまらず、ケガをしない(させない)、職
   業病にかからない、仕事のムリ・ムダ・ムラを省いて高い生産性を維持する、と
   いった安全衛生管理の基本として位置づけられます。

   これは、厚生労働省が平成23年度より取り組んでいる第三次産業における労働
   災害防止対策において、4S活動(整理、整頓、清掃、清潔)の普及促進を取り上
   げていることからも分かります。

   一般に言われることですが、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)の徹底度は業種
   を問わず、その作業現場を一目見ればある程度判断できるものです。

   すなわち、5S活動は実行すればその成果が表れ、目ですぐに確認でき、不十分
   であればすぐに改善でき、またその結果がすぐに確認できるという、実に管理し
   やすい活動であると言えます。

   現場の管理監督者が安全衛生管理に取り組む場合、まず5Sの徹底からはじ
   め、その効果を目で確かめながら活動をすすめていくうちに、「安全で快適な職場
   環境の確保」「品質の向上」「作業能率の向上」「コストの削減」「モラールの向上」
   「良好なチームワークの構築」などの果実を得ることができます。

   5S活動の最大の特徴は、成果が目に見える活動であり、安全衛生活動の基本と
   して最初に取り組むべきものであるといえます。

  災害発生の三要因
   5S活動は事故や災害(ケガ)を防止するための基本であるといいましたが、ここ
   で、その理由について考えてみましょう。

   事故や災害が発生する背景には三つの要因があるといわれている。

   図に示すように、直接原因としての“不安全状態の放置”“人の不安全な行
   動”と、根本原因としての“不十分な安全衛生管理/不活発な安全衛生活動”で
   す。

   この中の一つである不安全状態の代表的な例が、いわゆる5S不良による乱雑な
   現場なのです。

   原材料、半製品、廃棄物などが雑然と置かれていたり、掃除されることもなく床面
   が油で汚れていたりする作業場では、ケガにつながる危険の芽も覆い隠されて、
   結果として転倒、踏み抜き、激突、切創(切れ)などさまざまな災害につながる。

  □現場における5S
   ここで、5Sのそれぞれの意味をもう一度確認してみましょう。
    ・整理…要るものと要らないものを区別し、要らないものは処分する。
    ・整頓…るものを所定の場所にきちんと置く。
    ・清掃…業場所や周辺を掃除して、ゴミ、汚れのないきれいな状態にする。
    ・清潔…整理・整頓・清掃を徹底して実行し、汚れのないきれいな現場を維持す
         る。
    ・ 躾 …マナー・ルールを守る、守らせる。

   もう少し掘り下げて考えてみると次のようになります。

    1.「整理」:整理の2要素
      (1)必要なものと不要なモノを分けること
      (2)不要なモノを捨てること

     この2つを実行することが「整理」です。

   管理監督者は何が不要かの基準を明確に伝えることが重要です。

    2.「整頓」:整頓の3要素
       (1)必要な材料や工具などを見つけやすくする
      (2)材料や工具などを間違いなく利用・活用しやすいようにする
      (3)利用後、正しく戻しやすいようにする

     この3つが揃って生産性が向上するのです。

     そしてこれらの要素を満たす知識・知恵の活用が求められます。

     特に(1)と(3)は対になっています。

    3.「清掃」:「清」=清める(ほこりをふき取る)・「掃」=チリを掃く

    4.「清潔」
      「整理」、「整頓」、「清掃」が徹底し、維持されている状態を「清潔」という。

      図で示すと、「清潔」は「整理」、「整頓」、「清掃」の上に成り立つ形となる。

    5.「躾」
      図で一番上位に示されているように、「整理」、「整頓」、「清掃」、「清潔」の
      4つが身について、実行できる状態、これを躾ができた状態という。

      【事例】「5S不良で営業努力が水泡に‥‥」
           中堅会社のA社の社長は、大手企業B社の協力会社になるべく、3
           年前から営業努力を重ねてきた。

           そして営業努力が実り、B社の首脳がA社の工場を見に来てくれるこ
           とになった。

           視察の日、社長は緊張した面持ちで、B社の首脳を出迎えた。

           B社の首脳は、工場内をじっくり視察して回り、視察が終わった後 
           で、その口から出た言葉は‥‥。

           「なんて汚い工場だ。5S活動が全然できていない。こんな工場では
           品質を維持できない。仕事を出せるわけがない。」

           3年間の営業努力は結局水泡に帰した。

  □5Sは何のため?

    1.当たり前のことが当たり前にできているか?
     今、製造業、建設業、物流業、メンテナンス・サービス業、病院、ホテルなど業
     種を問わず「5S」に再注目する企業が増えています。

     整理、整頓など、どんな会社でも当たり前のこと、清掃をし、清潔な状態を保つ
     ことなど、できていて当然のことと思われるかも知れません。

     でも、その当たり前のことを当たり前にやることが今日では簡単ではなくなって
     きていることも確かです。

     その背景と潜在するリスクを図に示すと次のようになります。

     『あなたの職場では、当たり前のことが当たり前にできていますか?』

    2.競争の基盤づくりのために
     昨今の厳しい企業間競争を勝ち抜くためには、業種を問わず常に新たな経営
     手法や新しい製造手法の導入が求められています。

     ところが、新しい取り組みがうまくいかない(定着しない、時間がかかる)会社
     があります。

     「新しい取り組みがうまくいかない会社」に共通していることの一つに、職場(現
     場)が「きたない」ことがあります。

     5Sができていない会社は、決め事が守られなかったり、方針が徹底しなかっ
     たりと、ルーズさが目立つ職場の風土となりがちです。

     つまり、5Sすらできない職場(現場)では、新しい手法の取り組みが素早く、正
     確に行われ、高品質の製品(商品)の提供ができるわけはない、ということで
     す。

     これらのことから、図(不良の背景とリスク)に示すように、5Sは安全管理だけ
     でなく、品質管理、工程管理の基盤といえるし、そのことが企業の競争力強化
     にもつながるといえる訳です。

  □5S活動の実践と評価

   1.5Sの評価基準
     すべての活動に共通することですが、まず行うべきことは職場の5Sの現状が
     どのレベルにあるかを知ること(現状把握)です。

     その上で、改善を重ねレベルアップを図ることが確実な成果に結びつくことに
     なります。

     そのために必要な物差しとして「5Sの評価基準」の例を示します。

   2.5S実施のポイント
     前述のように、まずは現在の5Sレベルを把握し、問題点を見出し、実情に応
     じたレベルアップを図ることです。

     また、実施はされているもののマンネリ化に陥っている場合にはその改善が
     必要となります。

     (1)5Sレベルの把握
       5S組織運営状況なども含め、5Sレベルを全社、部門別に把握します。

       5Sレベルの低い場合の要因としては次のようなものが考えられます。
        ・トップの方針が不明確で5Sの認識が低い
        ・5S推進組織や運営方法が不備(5Sの教育不足を含む)
        ・5S手法活用に不慣れで5S実践の重点が不明確
        ・継続して5S維持ができてない
        ・設備の清掃、点検知識・技能が不足

     (2)マンネリ化傾向の調査
       5S活動が長く続くとマンネリ化し、油断や惰性に陥り、実行が伴わなくなる
       ことがあります。

       その背景には次のような要因が考えられます。
        ・5S委員会や職場活動の停滞・不活発(やらされ感の蔓延)
        ・役割・責任体制が不明確
        ・点検チェックシートの結果を上司が確認しない
        ・5Sに起因する災害が多発
        ・5S関連マニュアルや管理水準が長い間未改訂

   3.5S活動改善方法

     (1)レベルアップ対策
       把握した会社や職場の5S水準により、目標を定め段階的に整備し定着さ
       せる進め方が効果的です。

        〔例〕整理・整頓・清掃(3S)を重点的に整備し、ついでに清潔・
           躾(5S)を定着させます。

       実行する際の改善の要点を次に例示します。

        全般:トップの方針の明確化と組織運営の見直し
        整理:整理基準の明示、赤札などによる大幅整理の実行
        整頓:物の置き場所、置き方、保管方法の明示/目で見る5Sの
            管理方式の採用
        清潔:5Sマニュアル(手順、基準)類の整備
        躾  :現場規律の見直し、明るい職場づくり

     (2)マンネリ化対策
       制度:トップの5S方針宣言、特別点検の実施
       運営:5S点検方法及びチェックリストの見直し、5S起因災害の再発
           防止、 小集団活動での5S活発化
       啓発:5S特別キャンペーン、全員による5Sスローガンのワッペン着用、
           従業員の家族に対する5Sポスター募集による家庭協力の推進

   4.効果の評価
     5S活動の診断及び効果の測定・評価項目とそのポイントの例を示す。

     ここに示すような全社レベル評価だけではなく、部門に特有な要素を盛り込ん
     だ具体的な評価項目表を作成して運用することがより効果的です。

     いずれにしても、それぞれの項目について定量的に評価し、好ましい改善策
     があれば他部門への水平展開につなげ、改善の余地があればそれによる効
     果を教育するとともに、具体的な改善策を考えていくようにします。

 

製造業と安全管理

          

製造業と安全管理


  ■製造業と安全管理

   製造業における労災事故の件数は、全産業の約4分の1を占めています。

   なかでも多いのが「はさまれ・巻き込まれ」による事故で、全体の約3割を占めて
   おり、この傾向は過去20年以上変わっていません。

   「はさまれ・巻き込まれ」事故の原因を検証していくと、危険部分が露出したままの
   環境で作業を行っていたり、操作中に誤って手を入れてしまったりなどの危険行動
   や、機械の運転停止を省略するといった安全作業手順の無視などの実態がうかがえ
   ます。

   また、製造ラインに従事する派遣労働者や施設内で軽作業をする請負作業員など、
   派遣や請負の増加に伴い、社員以外の作業員が労災事故に遭うケースも増えて
   います。

   それにより、受入先会社の安全配慮義務が厳しく問われる(場合によっては損害賠償
   責任が生じる)ようにもなってきました。

   労災事故の多くは、採用後間もない作業員や作業経験の浅い作業員に多くみられ
   ます。

   労災事故は起きてしまってからでは取り返しがつきません。

   作業に不慣れな新人はもちろんのこと、すべての作業員に対して安全に作業をする
   ことの大切さを教育し、現場での安全管理を徹底することはとても重要です。

  □安全管理体制の整備

   1.安全管理体制の構築
     安全管理は、作業員一人ひとりが自主的に行動しなければ効果がありませ
     ん。

     それと同時に、監督者(経営者)はつねに安全に気を配る必要があります。

     そこで重要となるのが「安全衛生管理体制」です。

     これは労働安全衛生法に定められているもので、業種や規模によって管理者 
     などの選任が義務づけられており、それを守らずに重大な労災事故が起きて
     しまった場合には、安全配慮義務違反として損害賠償責任を問われることに
     なります。

     事業場における安全衛生管理体制を確立し、それぞれの担当者が労災防止
     のための職務をきちんと運営していくことが重要です。

     製造業の場合、規模(従業員数)に応じて担当者を選任しなくてはなりませ
     ん。

     それぞれに実務経験等の資格要件が設けられており、担当者を選任したら労
     働基準監督署に届け出ることになっています(安全衛生推進者、作業主任者
     については労働者への周知のみ)。

     なお、労災事故防止についてさまざまな方策を行うために、労働者の意見を
     反映させる必要があることから、安全衛生委員会の設置も義務づけられてい
     ます。

     安全衛生委員会とは、労働者の危険防止、健康障害防止のための基本対策
     や労災の原因調査、再発防止対策などを調査審議して、事業者に対して意見
     を述べる機関です。
      
   2.危険予知(KY)
     重大な事故の背後には、29件の軽微な事故があり、さらにその背景には300
     件のヒヤリ・ハット(ハインリッヒの法則:事故には至らなかったものの、ヒヤリ
     とし、ハツとした事例)があるといわれています。

     このヒヤリ・ハットは見過ごされてしまうことも多いのですが、重大な事故を未
     然に防ぐには、ヒヤリ・ハットの段階で対処していくことが大事です。

     そこで、個々の作業員が経験したヒヤリ・ハットの情報を共有し、重大な事故
     の発生防止に役立てる活動が有効となってきますが、そのひとつが「危険予
     知(KY)活動」です。

     危険予知(KY)活動とは、ミーティングや職場内研修を通じて、その日の作業
     に潜む危険性などの情報を皆で共有し、事故発生を予測しながら危険回避策
     を話し合うものです。

     この活動が習慣化されることで、日常の作業をただ流れで行うだけでなく、危
     険が潜んでいないかとつねに考えて作業に取りかかる意識を一人ひとりにも
     たせることが期待できます。

     具体的には、その日の作業を始める前に、グループ全体でミーティングを行い
     ながら進めます。

     話し合う内容は、
      ・その日の作業から予測される危険(危険のポイント)
      ・予測される危険に対する対策  (私たちはこうする)
      ・対策に基づいた安全な作業方法 (行動目標)
     といったものです。

     KY活動のミーティングと通常のミーティングとの違いは、雑談の延長に近い感
     覚で行われるところにあります。

     つまり、通常のミーティングでは「まあいいか」と思ってしまいがちな些細なこと
     についても、KY活動のミーティングでは気軽に話し合うことができます。

     このようにKY活動を行うことで、必要な情報を漏らすことなく、また、堅苦しくな
     い雰囲気のなかで危険予知を行うことができます。

     なお、KY活動のミーティングで話題になったことは、その都度シートに記入し
     ていくことが望ましいでしょう。

     また、KY活動の前に「安全ミーティング」と呼ばれるミーティングを行う事業場
     もあります。

     安全ミーティングでは、その日の作業を行う前に関係者全員が集まって、当日
     の作業内容、作業方法・手順、人員配置などの指示・調整を行います。

     作業員の意識や責任感を高めるためにも、ミーティングの際に、作業員が具
     体的に体験した危険を、その場の状況などと併せて報告させることが必要で
     しょう。

     このことで、KY活動の効果をより高めることができます。

  □現場における安全管理
   製造業の現場では、さまざまな機械設備が使用されており、それらによる「はさまれ・
   巻き込まれ」事故が多いことから、そこに重点をおいた対策を講じる必要があります。

   ここではおもに、機械設備による「はさまれ・巻き込まれ」事故の防止ポイントをみて
   いきます。

   安全管理においてもっとも重要なのは、基本的なことをいかに忠実に、手を抜くこと
   なく遂行するかです。

   前記の対策を組み合わせながら、作業員の安全に対する意識を高めて、労災事故の
   危険性を低減していくことが大切です。

  □健康管理
   どんなに現場の安全管理を厳重に行っても、作業員の体調がすぐれなければ事故が
   起こりやすくなるものです。

   作業員の健康管理も安全確保の大きな要素といえます。

   1.基本的な生活態度のチェック項目
     □ 作業員は進んで健康診断を受けているか。
     □ 手洗い、うがいを励行しているか。
     □ 飲み過ぎ、食べ過ぎをしていないか。
     □ 夜更かしばかりしていないか。

   2.安全対策の徹底
     健康保持増進のための具体的指導は、事業場内に専門スタッフを確保するよ 
     うなことが困難な場合には、一定の基準を満たして認定を受けた、次のような
     外部の機関を利用して推進することができます。

      ・労働者健康保持増進サービス機関
      ・労働者健康保持増進指導機関

     上記機関の詳細については「中央労働災害防止協会」のウェブサイトでご確
     認ください。

     参照URL

      中央労働災害防止協会(労働者健康保持増進サービス機関等

   3.会社で行いたい健康保持増進活動

     ・健康測定……生活状況調査、医学的検査、運動機能検査を行う。
     ・運動指導……運動によって健康的な生活習慣を確立するために行う。
     ・メンタルヘルスケア
             ……健康測定の結果、メンタルヘルスケアを受けることが望ましい 
               場合や、本人からの希望があった場合に、援助や指導を行
               う。
     ・栄養指導……食生活の偏りからくる問題の解決のための指導を行う。
     ・保健指導……健康上の問題を予防、コントロールする方法の指導を行う。

 

建設現場の安全管理

           

建設現場の安全管理

  ■安全管理の徹底が図りにくい建設現場

   多くの企業は労働災害の防止に取り組んでいます。

   特に、建設業など労働災害が多く発生する業種の場合、企業は安全管理を徹底し、
   労働災害の未然防止に努めなければなりません。

   一方、建設業の仕事現場は、特殊な環境にあります。

   建設現場の作業内容は作業の進行とともに変わっていきます。

   また、元請け・下請けなどの異なる階層の事業者、土木工事・建築工事などの異なる
   工事業者が集まって作業をしています。

   こうした事情から、建設現場の安全管理は足並みがそろいにくいのが現状です。

   ここでは、建設業における労働災害の発生状況に関するデータを紹介するとともに、
   法令に基づく安全衛生管理体制の整備の内容、建設現場で実施される安全管理の
   内容などについて紹介していきます。

  □建設業における労働災害の発生状況 
   1.労働災害の発生状況
     厚生労働省「労働災害発生状況」による建設業の死傷災害発生状況
     (死亡災害および休業4日以上の死傷災害)

   2.墜落・転落の事例
     労働災害は、設備の点検不足やちょっとした気の緩みから発生することがあり
     ます。

     厚生労働省「職場のあんぜんサイト」公表資料(建設業における墜落・転落の
     事例)

     日ごろから作業場内で危険な場所が無いかを点検する担当者を決めていた
     り、余裕のある工期を確保すれば、こうした事例は防げたかもしれません。

     このような基本的な安全管理の体制については、労働安全衛生法(以下「安
     衛法」)とその関係法令で定められています。

     建設事業者が労働災害を防止するための第一歩は、安衛法などに定められ
     た安全衛生管理体制を構築することだといえるでしょう。

  □建設現場の安全衛生管理体制

   1.建設現場における安全衛生管理体制
     安衛法の目的は、労働災害の防止のための危害防止基準の確立や責任体
     制の明確化など総合的計画的な対策を推進することにより、職場における労
     働者の安全と健康を確保するとともに快適な職場環境の形成を促進すること
     です。

     建設事業者は安衛法に基づく安全衛生管理体制を構築しなければなりません
     が、それは建設事業者のオフィス(本社など)と建設現場で異なります。

     ここでは、一定規模以上の建設現場の安全衛生管理体制を紹介します。

     以降で紹介する建設現場の安全衛生管理体制においては、元請けは「特定
     元方事業者」または「元方事業者」と表記します。

     特定元方事業者とは、元方事業者のうち、特定事業(建設業および造船業)を
     行う事業者です。

     また、下請けは「関係請負人」と表記する。

     建設現場における安全衛生管理体制は次の通りです。

     なお、常時従事する作業員の規模などによって異なるが、ここでは労働安全
     衛生法施行令第7条第2項で定める次の場合について紹介します。

      (1)ずい道等の建設の仕事、橋梁の建設の仕事(作業場所が狭いこと等
        により安全な作業の遂行が損なわれるおそれのある場所として厚生
        労働省令で定める場所において行われるものに限る)または圧気工法
        による作業を行う仕事:常時30人

      (2)上記1.の仕事以外の仕事:常時50人

     図は、一定規模以上の建設現場の安全衛生管理体制を簡単にまとめたもの
     です。

     詳細については所轄の労働基準監督署もしくは建設業労働災害防止協会  
     (通
称「建災防」)に問い合わせることをお勧めします。

     なお、特定元方事業者は、統括安全衛生責任者や元方安全衛生管理者の選
     任などの他、特定元方事業者および全ての関係請負人が参加する協議組織
     を設置・運営するなど、労働災害の防止に必要な措置を講じなければならな
     い。

   2.建設業の総合的労働災害防止対策についての通達
     建設現場において元方事業者や関係請負人が実施する安全衛生管理の詳
     細は、「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について」で示され
     ているため、一度、確認することをお勧めします。

     また、建設業における労働災害の多くは墜落・転落によるものです。

     これらの労働災害の防止を図るため、2009年6月1日より労働安全衛生規則
     が改正され、墜落防止措置の強化が図られました。

     これにより、建設現場では足場の種類によって墜落防止措置を講じることや作
     業開始前に足場に関わる墜落防止設備の取り外しの有無等の点検をするこ
     となどが義務付けられました。

      厚生労働省「建設業における総合的労働災害防止対策の推進について

      厚生労働省「労働安全衛生規則(足場等関係)が改正きれました

  □建設現場の安全管理

   1.安全管理の手法
     労働災害を未然に防止するためには、建設事業者は安衛法などに基づく措置
     を確実に講じつつ、個々の現場の実情に応じた安全管理を行うことが重要で
     す。

     以降では、建設現場において、労働災害を未然に防止するための手法とし
     て、「5S」「KY」「TBM」を紹介します。

   2.整理整頓:5S
     建設作業ではさまざまな設備・機械・工具を使います。

     また、建設現場では多くの作業員が仕事をしています。

     建設現場を散らかったままにしておくと、工具を探すのに時間がかかって作業
     効率が低下します。

     また、設備・機械・工具などが散らかっているために作業場の床の大きな穴や
     段差が見えなければ、転落や転倒といった労働災害につながりかねません。

     建設現場では、日ごろから整理整頓をしておくことが重要であり、そのための
     手法に「5S」があります。

     5Sの定義は次の通りです。

     5Sとは、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「しつけ」という5つの項目の頭文字を
     とったもので、整理からしつけまでを組織的・継続的に実施していくという手法
     です。

     主に製造業で用いられる整理整頓の手法ですが、建設現場でも応用すること
     ができます。

     「整理・整頓・清掃・清潔」を徹底し、建設現場を「4S」の状態にしておくことを
     習慣付けるように、作業員全員に「しつけ」を行います。

     4Sの状態にしておくことを建設現場のルールとしても、ただルールを決めて壁
     に張り出しておくだけでは、建設現場が常に4Sの状態になることはありませ
     ん。

     作業員一人ひとりにとって4Sの状態が当たり前になるまで、作業前と作業後
     に必ず整理・整頓するように指導を徹底します。

   3.危険予知:KY
     建設現場では、日ごろから、作業の中に潜んでいる危険をいち早く予知し、回
     避・改善に努めることが大切です。

     この「危険予知」の頭文字をとったものを「KY」と呼びます。

      また、危険を予知するには、そのための訓練が必要で、それを危険予知訓練
     (危険予知トレーニング=KYT)と呼びます。

     危険予知訓練は、作業状況のイラストや実際の作業を見せたりしながら、そこ
     に潜む危険とそれによって起こり得る事故などについて話し合うことです。

     例えば、建設現場で仕事をする作業員が、自分が高所で作業する際にどのよ
     うな安全対策を行っているかを他の作業員に説明するなどして、その作業の
     危険な点などを話し合います。

     こうした危険予知訓練を実施して、建設現場で仕事をする作業員一人一人が
     日ごろの仕事の中に潜む危険を予知する能力を高めることで、労働災害につ
     ながるヒューマンエラー(人的過誤)の防止になります。

     その他、作業員に対して中央労働災害防止協会(通称「中災防」)などが行っ
     ているKY関連のセミナーや勉強会に参加させ、そこで行われた訓練をその作
     業員が他の作業員に教えるといった方法で危険予知訓練を行ってもよいで
     しょう。

   4.意識継続
     建設現場で作業開始前に作業内容や安全目標を確認するために行うミーティ
     ングは、工具箱(ツールボックス)に腰をかけて行うことも多いため、「ツール
     ボックスミーティング(TBM)」と呼ばれています。

     5SやKY(危険予知)を行っていても、日々作業を進めるうちに、安全への意識
     は薄れていってしまいます。

     そこで、毎日、仕事を開始する前にTBMを行って、その日の「作業内容」「安全
     のために特に気をつけなければならない作業の内容」「安全目標」などを作業
     員全員で確認し、その日1日、安全への高い意識を持って仕事に取り組むこと
     ができるようにします。

     TBMは、作業員の安全への意識を継続させるというだけではありません。

     毎日、仕事の前に互いに顔を見せ言葉を交わすことで、コミュニケーションを
     図り連帯感を高めることにつながります。

     作業員同士が互いに困った点を相談し、改善すべき点を指摘し合うことで、労
     働災害を未然に防止する効果が期待できます。

   5.労働災害発生時の備えとしての法定補償(政府労災)と法定外補償(労災)
     労働災害を完全に防止することはできません。

     そこで、建設事業者は万一の備えとして、いわゆる「法定の労災保険」に加入
     することが不可欠です。

     これは労働者災害補償保険法で定められている政府管掌の労働保険で、1人
     でも作業員を雇用している建設事業者は必ず加入しなければなりません。

     また、一人親方であっても特別加入することができます。

     この他、民間の保険会社が行っている、いわゆる「法定外補償」に加入する建
     設事業者もあります。

  □建設現場の安全衛生管理状況チェックリスト
   これまで紹介してきた建設現場の安全衛生管理体制や、労働災害を未然に防止する
   ための手法などを踏まえた、建設現場における安全衛生管理状況チェックリスト
   紹介します。

   こうしたチェックリストを日々活用することによって建設現場の安全管理が徹底され、
   労働災害を未然に防ぐことができるでしょう。