リスクマネジメントの考え方

           

リスクマネジメントの考え方

  ■リスクマネジメントの考え方

   1.企業経営とリスク

    企業経営には、恒常的に発生する可能性があるごく小さなリスク(損失)から、発生の確率は
    きわめて低いものの、いったん生じると組織の存続が危ぶまれるほど重大なリスクまで、
    じつに多様なリスクが存在します。

    経営の本質は意思決定の連続であるといえますが、いかに合理的・科学的な経営を進めて
    いる企業であっても、すべてのリスクを完全に回避することは不可能です。

    しかし、発生する可能性があるリスクを正確に把握し、何らかの対応策をとっている企業と、
    リスクへの意識が欠如している企業とを比較すると、組織全体のリスク回避力や環境への
    適応力、成長力には大きな差が生じるものと思われます。

    リスクマネジメントとは、企業経営において発生すると判断されるリスクを予知し、的確な
    予防策を打ち出して事業活動を進め、もし損失が発生した場合にはそのロスの程度を
    可能な限り低めようとする管理手法を指します。

    経営におけるリスクは、(1)投機的リスク、(2)発展段階リスク、(3)倒産リスク、
    (4)純粋リスクの4つに分類することが可能です。

    「投機的リスク」は組織に損失と利益の両方をもたらす可能性のあるリスクであり、各種
    経営資源の獲得と配分などから発生するものが該当します。

    次に「発展段階リスク」は、企業が設立されて事業や組織の規模が拡大するにしたがって
    顕在化するリスクをいいます。

    たとえば組織の肥大化によりその活力が削がれ、経済的な損失が発生するようなケースが
    考えられます。

    「倒産リスク」は文字どおり企業経営が破綻するリスクを指していますが、これはもっとも
    打撃の大きいリスクであり、長期存続を使命とする企業にとって第一に回避しなければ
    ならないものです。

    さらに「純粋リスク」は、いったん発生すると組織に損失のみをもたらす類のリスクであり、
    具体的には自然災害や突発的な事故などがあります。

 

   2.リスクマネジメントの流れ

    経営におけるリスクは多種多様ですが、全リスクを同じような重みをもって管理していくのは
    合理的ではありません。

    つまり、

     リスクの発生確率とそれが発生したときの損失の大きさという2つの要素を
     尺度に、リスク管理に強弱をつけて対応策を検討する必要があります。

    たとえば、頻繁に発生することが予想されるが、損失はほとんど発生しないリスクを完全に
    制御しようとすると、その対応に費やしたコストが実際の効果を大きく上回ることも考えられ
    ます。

    また、こうした問題にとらわれた結果、発生する確率は非常に低いものの万一それが起こった
    ときには経営危機に陥る可能性が高いと判断されるリスクへの対処が後回しになって
    しまうならば、それは適切なリスクマネジメントの対極に位置する行動といわざるを得ません。

    まず、考えられるリスクの程度と発生確率という観点から、自社の経営状況を点検する
    ことが重要です。

    こうした作業をベースにし、実際にリスクマネジメントをどのような手順で進めるべきか、
    基本的な考え方を下図に示します。

    第1の段階では発生し得るリスクを予測し、その予防策を考えて実行します。

    この段階では社内にある過去のリスク情報を精査して、予防策を構造的に把握するように
    努めます。

    こうした作業を継続するなかで、リスクに対する従業員の意識が高められる効果も期待
    されます。 

    先にも述べたようにリスクへの予防を進めていても、企業経営には不可避的にリスクが
    発生します。

    それが第2の段階です。

    また、発生したリスクに対しては、科学的な観点からアプローチするのが有効で、これが
    第3段階であるリスクの分析になります。

    ここでは予防策があったにもかかわらず、なぜ組織内で損失が発生したのかを丁寧に
    考えていく作業が必要です。

    具体的には、考えられるすべての発生要因を列挙して構造的に分類します。

    最後の段階では、リスクの発生を抑える対応策を立案して実行します。

    換言すれば、このステップは仮説を検証する段階であるともいえます。

    つまり、リスクの分析結果から効果的な対応策を合理的に決定し、「おそらくこうした一連の
    対応策でリスクをこれだけ低減することが可能であろう」との仮説をたてた後に、仮説の
    妥当性がどの程度あるのかを確認する段階です。

    そして対応策への評価を行なったならば、また第1の段階に戻っていきます。

    こうしたプロセスを繰り返すなかで、企業が推進するリスクマネジメントの水準は徐々に
    高められていくのです。

   3.組織的なリスクマネジメントの実践へ

    効果的なリスクマネジメントを実践するには、基本原則が存在します。

    何よりも重要なのは、組織の負担能力の限界を超えるリスクを出さないようにすることで
    あるとされています。

    また、リスクの発生確率をつねに考える姿勢をもち続け、予防や従業員の教育への投資を
    惜しまないことも大切です。

    目先のコストばかりに関心をもってしまうと、将来の大きな損失発生を防げなくなる可能性が
    あるからです。

    中小企業では、経営者自身が中心となってリスクマネジメントを推進することが大切では
    ないでしょうか。

    つまり、「経営者=リスクマネージャー」との認識が求められるということです。

    そして

     経営者自身がこの問題に深く関与し、
     全従業員にリスクへの意識を浸透させなければなりません。

    そうした経営者の姿勢は、「組織的リスクマネジメント」の実現にもつながります。

    以上のような観点からリスクマネジメントを推進するのであれば、その企業はいわば社会的
    責任を遂行することにもなります。

    そしてすべての従業員がリスクへの意識を高めることで、組織全体のリスクへの感度が
    極めて高い水準にまで導かれたときに、業績面への確かな正の効果がもたらされるでしょう。

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