商品の活性化

            

商品の活性化


  ■既存の商品構成を確認する

   商品活性化とは、個々の商品や商品構成を見直し、さらに今後必要とされる新規商品を継続的に
   開発して、自社の商品群をつねに「売れやすい魅力的な状態」にしておくことです。

   ここでは、自社の商品活性化の手順やポイントについて解説します。

  1.商品構成分析のための2つの手法

   (1)ABC分析

     まずは自社の売上がおもにどの商品によってもたらされているのかを確認します。

     そのためには「ABC分析」といわれる手法を使うと便利です。

     自社商品のなかで売上高の高い商品から順に並べて、「売上高」、「シェア」、「累計シェア」を
     計算していきます。

     そして、累計シェアをみながらA・B・Cのランク付けを行います。

     たとえば、累計シェアで上位50%までを構成している商品をA、それ以下で上位80%までの
     商品をB、それ以外をCとします。

     ABC分析を行うと、自社の取り扱っている多数の商品のなかでもごく少数の売れ筋商品が
     経営の屋台骨を支えていることがわかります。

     逆に「ランクC」の商品は、売上にほとんど貢献していないばかりか、商品の在庫管理や
     生産体制の維持などに大きな手間と費用がかかっていることになります。

     商品の改良や販促の見直しなどによって「ランクA」、「ランクB」に育てることを検討する
     とともに、その可能性が低ければ思い切って生産中止にする判断も必要です。

   (2)プロダクトライフサイクル分析

     次にすべての商品を商品寿命のステージごとに分類します。

     新商品を市場に投入してから売れなくなるまでの推移をプロダクトライフサイクルと呼び、
     一般に「研究開発   期」、「導入期」、「成長期」、「成熟期」、「衰退期」の順に推移します。

   @研究開発期

    商品発売前の企画・設計段階です。
    市場調査費用や開発費用などの先行投資が必要であり、
    利益はマイナスになります。

    【活性化のポイント】

     ・商品化時期の明確化・早期化
     ・開発に向けた進捗管理の緻密化
     ・ライフサイクルを通じた収益見込みの明確化
     ・やむを得ない場合には開発中止の早期・合理的な判断

   A導入期

    商品の販売を開始した直後の段階です。
    実際に商品を手に取ってもらうための販路開拓や販促活動が不可欠です。
    少数の先行顧客への販売であり売上の伸びは限定的です。
    また、販促費用などが大きくかかるため利益もあまり出ません。
    新規性の高い商品であれば、この段階ではライバル企業はほとんど存在
    しません。

    【活性化のポイント】

     ・認知度の向上に向けたPR
     ・適切な販路の開拓と管理
     ・初期クレームの撲滅
     ・利用者へのアンケートを踏まえた商品や販路の微調整
     ・成長期の販売予測数を踏まえた量産体制の明確化

   B成長期

    新商品の認知が進み販売体制も整うことで、売上が急速に伸びる時期です。
    利益も徐々に大きくなっていきます。
    ライバル企業が参入を始める時期であり、差別化を打ち出した販促活動が
    必要です。

    【活性化のポイント】

     ・大量商品の安定的供給体制(製造・流通)の確立
     ・シェア獲得に向けた集中的な販促活動
     ・競合商品の研究と差別化ポイントの打ち出し
     ・バラツキ防止など品質管理体制の強化

   C成熟期

    商品が市場に行き渡るため、売上の伸びが鈍化し、さらには減少に転じる
    段階です。
    また、ライバル企業数がさらに増加し、価格競争が激化するため利益も
    減少に転じます。
    商品の延命化を狙うのであれば、この段階から第二次の研究開発を開始
    します。

    【活性化のポイント】

     ・大量生産によるコストダウン効果の創出
     ・付加機能(パッケージや使い勝手など)追求による差別化
     ・アフターサービスの充実による差別化
     ・新規機能追加などのための第二次研究開発の開始

   D衰退期

    後発の新商品などに市場を奪われ当該商品の市場は縮小していきます。
    市場からの撤退もしくは縮小する市場で生き残ることを検討します。
    成熟期から第二次研究開発に取り組んでいれば、改良商品を投入し、
    再び成長することも可能です。

    【活性化のポイント】

     ・徹底したコストダウンによる収益の確保
     ・商品ラインナップの絞り込み
     ・撤退時期の検討・決定
     ・第二次研究開発を行った場合は改良商品の投入

  2.売上ランクとライフステージのバランスをみる

   ABC分析とプロダクトライフサイクル分析によって、それぞれの商品のランクとライフステージを
   確認します。

   たとえば、成長期にある商品の多くが、ABC分析のランクAに入っているようであれば、
   新商品開発は総じてうまくいっているといえます。

   逆にランクAに属する商品が成熟期や衰退期に入っている商品ばかりである場合は注意信号です。

   なぜなら、それらの商品は近い将来にライバル企業の類似商品などにおされて、急速に売上を
   落とす危険性が高いからです。

   前述のように成熟期や衰退期の商品についても活性化により延命を図ることは可能ですが、
   その効果はあくまで限定的です。

   次にあげる例でいえば、甲社はランクAに占める「導入期」、「成長期」の割合が40%であり、
   「衰退期」の商品構成は10%に過ぎません。

   また、将来に向けた研究開発期の商品が15%あります。

   ライフサイクルのバランスが上手に取れています。

   一方、乙社ではすでにピークを越えた「成熟期」、「衰退期」の商品が70%を占めており、
   研究開発期の商品もわずかの状況です。

   中長期的には非常に危険な状態といえます。

    ◎好ましい会社の商品構成比の例:甲社

    ◎注意を要する会社の商品構成比の例:乙社
      *数字はそれぞれのランク、ステージに属する商品数の構成比

   ここまでみてきたように自社の商品を「ABCランク」と「ライフステージ」ごとにチェックし、
   そのバランスを確認することで、自社の既存商品活性化の全体像をつかむことができます。

   成熟期や衰退期の商品への依存比率が過半数に達している場合は、新商品開発に向けて
   危機意識をもって取り組む必要があります。

  □新商品開発のフレーム

   ヒット商品を安定的に生み出していくためには、「自分たちが作れる物を売る」という発想から、
   「顧客が欲しが る物を売る」というマーケティングの発想に完全に頭を切り替える必要があります。

   1.マーケティングとは

    マーケティングとは顧客の要望をキャッチし、それに応えるべく会社のあり方を変えていく
    ことです。

    より詳しくいえば、マーケティングとは、顧客の要望を十分に把握し、それに応える商品を適切に
    提供するために仕入れ、設計、製造、物流、サービスなど会社のすべての機能を見直していく
    ことといえます。

    たとえ新商品がどんなに顧客の要望を満たしていても、販売店が限られていれば顧客は
    それを手に取ることはできません。

    また、製造方法に無駄があり、顧客の要望以下の価格を提示できなければ顧客は買って
    くれません。

    すべてにおいて「まずは顧客ありき」から進める必要があるのです。

   2.マーケティングプロセスに沿った商品開発

    新商品開発は基本的には次のようなマーケティングプロセスに沿って進めていきます。

    まずは既存商品のマーケティングプロセスを確認したうえで、新商品ではどの部分をどのように
    「変えて進化させるか」を検討するとわかりやすいでしょう。

    (1)環境分析(外部環境・内部環境)

      経済、文化、トレンド、ライフスタイルなどの外部環境分析と、「ヒト」、「モノ」、「カネ」、「情報」などの
      内部環境分析から、自社の強みがいかせて、かつ成長性が高いと思われる市場を抽出します。

      既存の主力商品が属する以外の新市場も検討します。

      また、国内市場が飽和状態であれば、新興国などへの海外市場進出も視野に入れます。

    (2)セグメンテーション(顧客分類)
      上記で選択した市場を顧客ごとに分類します。

      一般消費者を対象とする場合と法人を対象とする場合に分けると次のような分類が
      考えられます。

      【一般消費者を対象とする場合の分類例】

       ・統計的な分類(性別、年齢、住所、所得、職業、家族構成など)
       ・特性上の分類(趣味、消費性向、ライフスタイル、流行への敏感度など)

      【法人を対象とする場合の分類例】

       ・統計的な分類(業種、業態、資本金、売上高、所在地、従業員数、創業年数など)
       ・特性上の分類(経営理念、成長意欲、コスト意識、環境への配慮、投資余力、得意分野など)

    (3)ターゲティング(顧客絞り込み)

      上記で行った分類のなかで、特に市場の将来性が高く、かつ自社の強み(現時点だけ
      ではなく今後強化が見込める部分も含む)がいかせると思われる顧客を絞り込みます。

      たとえば、一般消費者を対象とする場合は「60歳代以上の有職者で、健康とファッション
      に関心が高い顧客層」、法人を対象とする場合は「成長市場に属しており本業に経営
      資源を集中したいと考えている中堅企業」といったターゲティング例が考えられます。

    (4)ポジショニング(差別化要因の明確化)
      ターゲットに自社商品の価値や競合他社に比べた優位性を理解してもらい、自社商品を
      選んでもらうための動機づけを行います。つまり自社の新商品の一番の「ウリ」を明確化
      するのです。

      これがポジショニングです。

      万人受けするような広く浅い「ウリ」ではなく、ターゲット層のニーズに深く切り込んだ「ウリ」を
      設定することが必要です。

      新商品によって顧客ニーズにどのように応えるのか、新商品は顧客にどのようなメリットを
      与えるのかを具体化します。

    (5)マーケティングミックス(4P)

      ポジショニングで明らかにした「ウリ」を顧客に効果的・効率的に届けるのがマーケティング
      ミックスです。   

      通常は、次の4つの視点からアプローチしていきます。

      これらは頭文字のPから「マーケティングの4P」と呼ばれています。

      @「製品」(Product)

        商品そのものの仕様を明確化します。つまり「ウリ」を商品としてどのよう
        に具現化するかということです。
        「機能」、「品質」、「ネーミング」、「素材」、「デザイン」、「パッケージ」などを
        決定します。

      A「価格」(Price)

        商品に見合った価格を設定します。
        通常は次の3つの方法を組み合わせて検討します。
         ・商品の製造コストに会社として確保したい利益を乗せた価格設定
         ・競合企業との競争を踏まえた価格設定
         ・「これくらいなら払ってもよい」という顧客の値頃感からの価格設定
 
        また、発売当初の価格だけではなく、新商品がライフサイクルの成長期に
        入ったら、量産効果によってどの程度の価格引き下げが可能かといった
        目安ももっておく必要があります。

      B「流通経路」(Place)

        流通経路とは商品供給者から顧客までの商品の流れのことです。
        たとえば自社が消費者向け商品のメーカーである場合、おもな流通経路
        としては、

         自社(メーカー) ⇒ 卸売業 ⇒ 小売業 ⇒ 消費者

        といった流れが考えられます。
        また、最近ではインターネット通販を利用する消費者が急速に増えています。
        欲しいと思った人がその商品を迅速かつ確実に買えるように流通経路を
        整備することが大切です。

      C「販売促進」(Promotion)

        販売促進とは、ターゲットとする顧客に対して、商品の存在、特徴、価格
        などの情報を提供したり、販売員や営業マンを使って購入を促す活動を
        指します。
        具体的な手法としては、マスメディアなどを使った「広告宣伝」、最終顧客
        や中間業者にインセンティブを提供する「セールス・プロモーション(SP)
        活動」、個々の顧客に直接に働きかける「人的販売」に大別できます。
        大まかにいえば広告宣伝は「認知させて関心を引くこと」、SP活動は「売
        るための仕掛けをつくること」 、人的販売は「実際に購入してもらうこと」
        が目的となります。
        これらの手法を新商品の特性に応じてうまく組み合わせて使うことが大切です。

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