メンタル面の不調による休業者の職場復帰支援

             

メンタル面の不調による休業者の職場復帰支援


  ■企業に求められる「心の健康対策」

   変化の激しい現代はストレス社会とも呼ばれています。

   厚生労働省の「平成29年 労働者健康状況調査」によると、職業生活などにおいて強い不安や
   ストレスなどを感じている労働者は、全体の58.3%に上っています。

   また、過去1年間にメンタル面の不調により連続1カ月以上休業または退職した従業員が
   いる事業所は全体の7.6%となっています。

   同調査によると、なんらかの心の健康対策に取り組んでいる事業所の割合は、全体では
   58.4%で、その取り組みのひとつに、職場復帰支援があります。

   ストレス社会において、メンタル面の不調は誰もがなる可能性があり、一定期間休業した
   としても、円滑に職場復帰してもらうことが大切です。

   そのため、会社は積極的に従業員の心の健康対策に取り組むことが求められています。

   このようななかで、「メンタル面の不調で休業していた従業員からの職場復帰の申し出を
   認めたところ、再び不調になり、再休業してしまった」といった例も多くみられます。

   会社は従業員に対して安全配慮義務を負っており、このような事態は避けなければなりません。

   そこで、職場復帰支援のルールを整備し、会社が責任をもって職場復帰できるかを見極める
   ことが必要になります。

   次項からは、メンタル面の不調による休業者の職場復帰支援について解説します。

   ここでは、中小業企業で専属の産業保健スタッフがいないケースを想定しています。

  □織場復帰支援の流れ

   メンタル面の不調により休業している従業員が円滑に職場復帰できるよう、職場復帰支援の
   手順や規定を整備し、復帰までの流れをあらかじめ定めておきましょう。

   1.職場復帰支援の流れ

    メンタル面の不調により休業している従業員の職場復帰支援の流れの例は図のとおり
    です。

   2.主治医による判断

    休業中の従業員に職場復帰の意思がある場合には、職場復帰希望日より一定期間前
    (1カ月前など)に申し出てもらうようにします。

    その場合に、会社は従業員に「職場復帰が可能である」旨が記載された主治医の診断書を
    提出するように求めます。

    ここで留意すべき点は、主治医による診断は、日常生活における病状の回復程度によって
    職場復帰の可能性を判断していることが多く、必ずしも職場で求められる業務遂行能力
    の回復程度を判断しているとは限らないということです。

    また、従業員が職場復帰を急ぐあまり、本人の希望が反映されている場合もあります。

    そこで、あらかじめ主治医に対して「必要とされる業務遂行能力」や「社内勤務制度」などの
    情報を提供し、従業員が就業可能な回復程度にまで達しているかどうかを、主治医の意見
    として提出してもらうようにするとよいでしょう。

    この場合には、事前に「情報提供依頼書」などの書式を作成し、従業員の同意を得たうえで、
    本人から主治医に渡してもらうようにします。

    また、主治医だけではなく、産業医など会社に関与する医師にも主治医の診断書について
    意見をもらうことが大切です。

    そのうえで、従業員の状況を確認するために、本人との面談を実施します。

   3.職場復帰の可否の判断

    主治医の診断書、情報提依頼供書の内容、産業医の意見、本人との面談結果など、
    収集した情報を勘案したうえで、職場復帰の可否を判断します。

    職場復帰できるかどうかについては、次のような観点から総合的に判断します。

     ・従業員の職場復帰に対する意思の確認

     ・治療状況および病状の回復状況

     ・業務遂行能力

     ・今後の就業に関する従業員の考え

     ・家族からの情報

     ・職場環境

   4.職場復帰支援プランの作成

    次に、下記の項目について検討し、職場復帰を支援するための具体的プランを作成します。

     ・職場復帰予定日

     ・職場の上司による就業上の配慮
      ……業務サポートの内容や方法、業務内容や業務量の変更、段階的な
         就業上の配慮、治療上必要な配慮など

     ・人事労務管理上の対応など
      ……配置転換や異動の必要性、勤務制度変更の可否および必要性

     ・産業医などによる医学的見地からの意見
      ……安全配慮義務に関する助言、職場復帰支援に関する意見

     ・支援体制
      ……上司や同僚などによる支援の方法、就業制限などの見直しを行う
         タイミング、すべての就業上の配慮や医学的観察が不要となる時期
         についての見通し

     ・その他
      ……従業員が自ら責任をもって行うべき事項、試し出勤制度(職場環境に
         慣れることを優先した出勤制度)の利用、事業場外資源(職場復帰
         支援サービス)の利用

   5.職場復帰の決定

    ここまでの流れを踏まえ、会社は従業員の状態の最終確認をしたうえで、最終的な職場
    復帰の決定を行います。

    その際に、可能であれば産業医に「職場復帰に関する意見書」を作成してもらい、それに
    基づいて確認しながら進めるとよいでしょう。

    決定の内容は、就業上の配慮の内容と併せて従業員に通知します。

    なお、復帰後の具体的な就業上の配慮の例は次のとおりです。

     ・短時間勤務

     ・軽作業や定型業務への従事

     ・残業や深夜業務の禁止

     ・出張制限

     ・交代勤務の制限

     ・危険作業、運転業務、高所作業、窓口業務、苦情処理業務などの制限

     ・変形労働時間制度の制限または適用

     ・異動や転勤についての配慮

   6.職場復帰後の支援

    職場復帰後は、上司が状況を観察しながら支援を行い、下記の事項を定期的に確認し、
    必要であれば職場復帰支援プランの見直しを行います。

    復帰後は元の職場に戻すことが原則ですが、従業員の負荷を考慮し、段階的に元の
    職場に戻すなどの配慮が必要です。

     ・疾患の再発、新しい問題の発生などの有無の確認

     ・勤務状況および業務遂行能力の評価
      ……本人および上司の意見などを聞く

     ・職場復帰支援プランの実施状況の確認

     ・治療状況の確認
      ……通院状況、病状や今後の見通し等

     ・職場復帰支援プランの評価と見直し

     ・職場環境の改善など
      ……作業環境・方法や、労働時間・人事労務管理など、職場環境などの
         評価と改善

     ・上司・同僚などの負担への配慮

  職場復帰規定例

  □職場復帰支援のための面談記録票例

   休業している従業員が職場復帰できるかどうかの情報収集、評価・判断するための資料
   として、次の「職場復帰支援のための面談記録票」のような書式があると便利です。

                                        お問合せ・ご質問こちら 


                                        メルマガ登録(無料)はこちらから