給与制度

            

給与制度


  ■「望ましい」という給与制度はない

   本来、給与制度は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、会社の規模などにより各社
   さまざまです。

   したがって、一概に「給与制度の一般的なものはこれです」とは言えません。

   ただし、業界特性や人数規模などで絞り込むと大枠はある程度類似しているかもしれません。

   給与制度や評価制度、資格制度などは、時代の流れで新しい考え方などが登場し、
   少しづつ変化していく傾向もあります。

   給与制度を含む人事制度全体を一つのマネジメントツールと考え、自社に合った制度、
   時代の流れに合った制度を構築していくことが望ましいと言えます。

   また、組織は常に変化していく「生き物」です。

   その「生き物」を成長させるマネジメントツールの一つである給与制度も常に改善し、
   固定化しないことが重要です。

  □総人件費管理の考え方

   人件費は抑制傾向にあるのが一般的ですが、当然経営者にとって総人件費をマネージメント
   することが必要です。

   特に、売上増が期待できない場合には、限られた給与原資のパイのなかで、いかに不満の
   ない分配を行うかが経営者に課せられた課題です。

   したがって、「支払い能力」があることを前提に給与を支給することが企業存続の視点から 
   重要であると言えます。

   支払い能力をチェックする指標として、労働分配率がありますが、業種や規模により
   異なるものです。

   小規模な組織のケースでは労働分配率は50〜60%程度を目安として考えるのが
   一般的です。

   給与を支払う際に経営者として留意すべき事項として、総額賃金管理(組織全体の賃金総額
   の管理)があります。

   この管理手法としては、労働分配率による方法を考えています。

   これは付加価値(事業活動の結果、新たに生み出された価値=粗利)に労働分配率
   (粗利の中から支払われた賃金、社会保険・福利厚生費などの割合をいう)を乗じ、
   適正賃金総額を算定するやり方です。

     賃金総額(含む役員報酬)ファンド=粗利総額×55%

   ここで算出された賃金総額には、経営者・役員に支払われる役員報酬・役員賞与も
   含まれるので、従業員だけに支払われる賃金総額は、役員分をマイナスする必要が
   あります。

  □給与を制度化するメリット

   給与制度を定めることのメリットは概ね以下のようなものです。

    (1)給与を支払う条件を明らかにして従業員に安心感を与える。

    (2)制度はシンプルにすれば従業員も生活設計がしやすい。

    (3)制度が分かりやすくなれば従業員の仕事に対する士気が上がる。

  □役割期待、業績目標について

   各人の役割期待や業績目標を明確にし、その達成度に応じて公平に給与に格差が
   表れるようにする思想が成果主義です。

  □ポイント

   給与制度とは、従業員に対して支給する給与の決定方法や支払時期などを定めた
   制度です。

   給与は、生活保障、企業への貢献度、労働市場価値の考え方を中心に、年齢給や
   家族手当、職能給あるいは職務給などを組み合わせて構成します。

   これらの決定における考え方は、経営理念や人材ビジョン、事業特性、規模などにより
   それぞれ異なります。

   支払時期や支払い方法についても個々の事情により異なります。

   また、どのような結果をどの給与要素に反映させるのかといった処遇の対象や、反映の
   際の方法論についてもさまざまなケースが見られます。

  給与制度策定における留意点

   給与だけでなく働きがいのある仕事・職場であることも大切です。

   給与は労働条件のなかで最も重要なポイントです。

   人は給与次第でやる気が出たり、無くなったりと、一番大きなモチベーターであると
   言えます。

   しかし、従業員が仕事を給与だけで決めるわけではないことも確かです。

   給与が多いことにこしたことはないのですが、その前に働きがい、やりがいのある仕事
   であるかどうか、やったことに対して納得できる評価がされているか、働きやすい職場
   環境であるか、といった自己実現の場や評価制度、職場環境がきちんと整備されている
   ことが大切です。

  □最低賃金法に注意する

   100%成果主義の給与制度、つまり100歩合給にすると業績が悪い月には最低賃金法
   に定められている最低賃金(下記掲載)を下回る可能性もでてきます。 

   したがって、固定給+成果給・歩合給などにするのが望ましいと言えます。

   平成30年度 地域別最低賃金改定(厚生労働省)

  □ポイント

   給与制度を定める際には、「経営」、「時代の流れ」、「労働基準法」の3つの視点を考慮
   することが大切です。

   「経営」の視点から“総人件費管理”、“人件費の変動費化”、「時代の流れ」から
   “能力よりも職務の大きさ”、“プロセスよりも結果”、「労働基準法」の視点から“労使
   対等の原則”、“均等待遇”、“男女同一賃金の原則”、などが挙げられます。

   ただし、労働基準法に定められた事項を除けば、これらの留意点はあくまでも自社の
   経営理念や経営方針、事情といったものにより異なります。

   大切なことは、自社にあった給与制度を定めることです。

  □月例給与と賞与の配分の決め方

   1.月例給与

    月例給与と賞与のどちらをどのくらい業績によって変動させるか、または保障給与とするかは、
    それぞれ自由に決定できますが、月例給与は生活保障としての意味が強く、固定されやすい
    性格があり、賞与は組織業績や個人業績に応じて変動させやすい性格をもっています。

    月例給与と賞与の配分の決定の際は、社会保険料の扱いや管理の手間、業界水準や慣習
    などを考慮することが大事です。

    月例給与も歩合給や業績給といった形で一部変動させ、人件費の固定化を回避しながら、
    経営上のリスクを軽減することも考えられます。

    給与の基本給を決めるものとして、属人的要素(年齢・勤続年数・学歴)によるものと、
    仕事的要素(職務遂行能力)によるものと2つがあります。

    前者を年功給、後者を能力給と呼ぶことができますが、我が国の企業の給与システムは、
    従来の「年功制」から「能力主義」へと大きく転換しています。

    経済の高度成長時代を終え、右肩上がりの成長が約束されない状況となった今日、年功制
    における次のような問題点が顕著になってきたからです。

     @従業員の年齢上昇により賃金コストが大きくなる。
     A能力と賃金額に格差があると、特に若年層のやる気を喪失させる。
     B年功給で将来の生活保障があると、安易な仕事の遂行になる。

   2.賞与

    賞与には報償金的性格や、企業の利潤分配的な性格がありますが、業績変動リスクに対応し、
    賃金総額を調整する安全弁的な機能を与えることもできます。

    すなわち決算の結果、思うように粗利収入が伸びず(または減収となり)、当初予定していた
    賃金総額の支払いが難しい見通しの場合、その調整を賞与支払額で行うことが可能です。

    こうすることにより、貴社経営をより安定させることができますし、従業員にとっても生活給
    としての毎月の給与(月例給)は保証されることになります。

    ◎賞与金額の決め方例

     ・従業員給与ファンドの内、20%を賞与分とする。
     ・決算の結果、賃金総額の調整が必要であれば、賞与ファンドで調整する。

     従って賞与金額については、業績により支給金額を決定するということですが、全員が
     頑張り予定以上に業績(粗利総額)が増えれば、多く配分されますし、逆もあるということです。

     従業員個々の賞与金額決定方法は、年間の月例給合計額によって、賞与ファンドを按分
     配分する方法が簡便かつ納得感も得られやすいと思います。

     金額を賞与支給の都度、査定するという考え方もありますが、評価スキームが複雑に
     なりますので、避けた方が良いでしょう。

  □年俸制導入における留意点

   年俸制とは本来年単位で収入を決める制度のことですが最近では実力主義給与制度の総称
   として用いられる傾向があります。

   年俸制の特徴として、実力・実績評価、総年収管理、毎年ゼロベースで評価することなどが
   あげられます。

   ただし、毎年ゼロベースで評価するといっても年俸構成で保障給与的な固定部分が大きければ、
   ゼロベースの評価対象は残りの変動部分のみになってしまいます。

   公正で納得性の高い業績評価制度が定着していることが年俸制導入の前提です。

   また、給与体系の再構築や支給方法などをきちんと定め制度化すること、そして導入されたら
   従業員が期待に応えるように目標管理などできちんとマネジメントすることが大事です。

  □最低賃金法

   最低賃金法とは、賃金の最低額を保障することにより、労働者の生活を保障することを
   目的とした法律です。

   最低賃金は都道府県別に決定されています。

   対象となる賃金は、臨時の賃金、一ヶ月を超える期間を対象とする賃金(賞与など)、
   時間外・深夜割増賃金、休日割増賃金、通勤手当や家族手当などを除いた額です。

   パートやアルバイトを含む全ての労働者を対象としていますが、精神や身体の障害により
   労働能力が低い者や労働時間が短い人、試用期間中の人などは、適用外です。

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