副業・兼業

              

副業・兼業について

  副業をしている就業者数は270万人(就業者数全体に占める割合は4%)。

  一方で、収入補てんや新たなスキル・人脈獲得等の目的から副業を希望する就業者数は
  2,200万人程度と試算している。(出典:みずほ総研2018年)


  政府は2018年を「副業元年」と位置づけ、「働き方改革」の一環として副業・兼業を推進
  している。

  最大の狙いは経済の活性化である。

  2018年の独立行政法人労働政策研究・研修機構によると、

  「副業・兼業の許可する予定はない」が75.8%ともっとも割合が高く、「副業・兼業を許可
  している」は11.2%、「副業・兼業の許可を検討している」が8.4%である。

  副業・兼業を許可している理由(複数回答)は、「従業員の収入増加につながるため」が
  53.6%ともっとも多い。

  一方、「副業・兼業の許可する予定はない」とする企業の副業・兼業を許可しない理由(複数
  回答)は、「過重労働となり、本業に支障をきたすため」が82.7%ともっとも多く、次いで、
  「労働時間の管理・把握が困難になる」(45.3%)、「職場の他の従業員の業務負担が
  増大する懸念があるため」(35.2%)などとなっている。

    出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構

  ■副業を認める企業の増加

   多くの会社では、従業員が「副業をすること」を就業規則等で禁止し、これに違反した
   ときには懲戒等の罰則規定を設けています。

   独立行政法人労働政策研究・研修機構の「雇用者の副業に関する調査研究」によれば、
   「正社員の副業を禁止している」と回答した企業は全体の50.4%となっています。

   同調査で副業を禁止している会社があげた理由は、

    ・本業に専念してもらいたいから

    ・業務へ悪影響を及ぼすから

    ・企業秩序を乱すから

    ・業務上の秘密を保持したいから

   といったものです。

   副業・兼業を許可する理由

    ・従業員の収入増加につながるため

    ・従業員が活躍できる場を広げるため

    ・従業員のモチベーションの維持・向上につながるため

    ・従業員の視野の拡大や能力開発につながるため

    ・組織外の知識や技術を積極的に取り込むため

   従業員のなかには、住宅ローンやその他の借入金を抱えている者や、子どもの養育費が
   相当額必要な者もおり、給与減少が生活に影響を及ぼしかねない状況です。

   ような背景から、従業員の給料の減少を補填するという意味合いで、従来禁止していた
   「副業」を認める企業が増加しています。

   全国20〜59歳の民間企業で働く正社員1000人を対象(出典:マクロミル調査)

   副業を希望する理由は「生活費の足し」(62.7%)や「本業の給与が安い」 
   (56.3%)など収入目的の回答が目立つ。

   次項からは、会社が副業を認める場合には、どのような問題点があり、どのようなことに
   留意しなければならないか、どのような準備をすればよいのか、具体的に解説します。

  □副業を認めるときの問題点

   1.従業員の安全の問題

    従業員の副業を認めた場合に、本業と副業の労働時間を合計すると従来よりも労働時間
    が大幅に増加し、精神的にも肉体的にも疲労を蓄積してしまうことが考えられます。

    その結果、次のような身体上の問題に発展するリスクが考えられます。

     ・疲れから集中力や注意力が低下し、思わぬ事故によるケガの発生

     ・過重労働による脳疾患や心臓疾患の発症

     ・心理的な負担によるうつ病など精神疾患の発症

    1日の所定労働時間は8時間という会社が多いですが、その勤務の後、副業先で5時間
    働けば、同じ日に13時間という長時間勤務になります。

    たとえば、副業を土曜日や日曜日にも行い、本業と副業を通算した月間の所定外労働
    時間が、100時間以上に及んだ場合、かなりの肉体的・精神的負担を招く可能性が
    あります。  

    このような過重労働のなか、脳・心臓疾患や精神疾患を発症した場合に、過労死認定
    基準を上回る過重労働だとして、業務起因性が認められ、労災として認定される可能性
    が極めて高くなります。

    万が一、死亡や自殺などにつながれば、損害賠償責任も生じてくるおそれがあります。

   2.組織の活力の問題

    業績不振を原因とした休業やワークシェアリングによる勤務時間短縮は、給与減少に
    つながり、従業員が本業だけでは生活を維持できなくなります。

    従業員としては、「会社には頼れない」という意識をもつことで、会社に対するロイヤルティ
    が薄れることも考えられます。

    そのようななか、副業が認められれば、慣れている本業は効率良く終わらせて、副業を
    行う時間をより多く捻出しようとするかもしれません。

    そして、二重就業によって、精神的にも肉体的にも疲労が蓄積し、本業での遅刻や
    欠勤、居眠り、ミスの発生といったことも起こりがちです。

    本業に対する情熱や、やる気が失われたり、コミュニケーション不足を引き起こしたり
    した結果、組織の活力が低下するリスクがあります。

   3.企業の信用の問題

    従業員の副業先が、風俗や公序良俗に反するものであったり、会社のイメージと
    相容れない先であったりした場合に、取引先からの評判を落とすなど、会社の信用
    問題にまで影響を及ぼすことが考えられます。

    また、副業先が同業他社である場合には、本業で知り得た情報を副業先で漏らして
    しまうなど、営業秘密保持の観点からも問題があります。

    副業をしたことがきっかけとなって競合する会社に転職してしまう可能性もあります。

   4.その他の問題

    労働基準法では、1日に2カ所上の事業所に勤務する場合に両方の労働時間を通算
    することになっています。

    法定労働時間は、1日8時間、週40時間なので、それを超えた場合は、残業時間と
    みなされます。

    また、従業員が、給与を2カ所以上から受け、年末調整をされなかった給与の収入金額と、
    給与以外の所得金額との合計額が20万円を超える場合は、従業員自身が確定申告
    をする必要があります。

  □副業を認めるときの留意点

   1.副業を認める方法

    企業が禁止していた副業を認める場合には、次の方法が考えられます。

     @就業規則の副業禁止規定を削除し、副業を自由に認める

     A副業をするときは内容を届け出ることにする

     B副業は会社の許可を受けた場合に限り認める

    @は、就業規則に定めていた副業禁止規定を、全面的に削除し、自由に認めるものです。

    これに対し、Aは一定のルールを設け、副業を会社に届け出ることとするものです。

    BはA同様に一定のルールを設けたうえで、会社が許可した場合に限り認めるという
    ものです。

    @の場合、副業の内容などは社員の判断に委ねられることになり、会社としては従業員
    の副業の実態を把握できないことになります。

    前述したように副業を認める場合には、さまざまなリスクが考えられますので、届出制や
    許可制にし、会社として従業員の副業の実態を把握しておくのがよいでしょう。

    また、原則禁止であるが、不況で業績が低迷している時期に限定して認めるなど、
    期限を区切って副業を認めることも考えられます。

   2.副業の実態を把握する

    会社としては、従業員が副業をする場合に、その実態を把握しておきたいところです。

    そして、本業に著しい影響をもたらすことのないように、ある程度基準を設け、その内容
    を限定しておくことはリスク防止策として有効です。

    具体的には、副業を行う際の手続、地域・期間・職種などの基準を定め、就業規則や
    社内書式を整備しておくことよいでしょう。

     (1)副業を届出制とする場合の就業規則の規定例

     (2)副業を許可制とする場合の就業規則の規定例

     (3)期間限定で副業を認める場合の就業規則の規定例

     (4)「副業の許可願」の社内組織の例

   3.従業員の理解を求める

    会社としてはリスク防止の観点から、秘密保持の誓約書や競業禁止義務の誓約書など
    を書いてもらうことも、副業の内容によっては必要となります。

    そのためには、副業を認めるにあたって、従業員の理解と協力が欠かせません。

    会社の対応を決めたうえで、会社が副業を認める主旨や、副業をするときの留意点など
    について、事前に説明会を開いたり、研修を行ったりすることで、きちんと説明し、
    従業員の正しい理解と前向きな協力を引き出すことが何より重要となります。

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