TQC導入の留意点

          

TQC活動


  ■TQC活動とは

   まずTQC(トータル・クォリティ・コントロール=全社的品質管理)活動とは、いったいどういう
   ものなのかといった点を整理します。

   1.TQCの理念

    QC(クォリティ・コントロール=品質管理)サークル活動についての認識は、コストダウンや
    生産性向上のための運動と捉えるのが一般的です。

    まず、TQCの理念を述べる前提として、QC活動の発展過程について振り返ってみます。

    初期段階のQC活動におけるテーマは、「不良品は(工場から)出さない」でした。

    したがって、QC活動の対象は品質検査過程であり、

     不良品の識別をいかに確実に効率的に行うかという点が重要視されました。

    やがて不良品を識別するための品質管理から

     不良品を作らないための品質管理へと進化し、

    さらに一歩前進して

     顧客に喜ばれる品質の商品作りのための品質管理へと発展しました。

    こうなると、もう製造部門のみの問題ではなくなります。

    まず、営業部門が「顧客に喜ばれる品質」とはなにかをキャッチし、それを設計・開発部門に
    伝え、そして「顧客ニーズに適した商品」を開発してこれを製造部門ができる限り忠実に
    製造品質として実現するという「全社的」な流れとなる訳です。

     こうした一連の品質管理活動がTQCであり、
     QC活動をただ全社的に広めたものではなく
      「QC活動の目的や理念をさらに進化させたもの」なのです。

    このように見ていくと、

     TQCの理念が顧客第一主義にあるということが明らかになると思います。

    したがって、

     コストダウンや生産性向上は「顧客に喜ばれる品質作り」の一手段にすぎない
     ということを記載する必要があります。

    このように発展してきたQC活動において、「よりよい品質」を生み出すために管 理すべき
    対象は、結局従業員の仕事の内容、すなわち「仕事の質」ということになります。

    そしてこの「仕事の質」を従業員一人ひとりが高めていくことが、商品やサービスの品質を
    高めることにつながるのです。

   2.TQCの効果

    QCサークル活動の場合、グループで共通の改善目標に向かって作業を分担し、従業員
    一人ひとりが自分の仕事の品質改善に取り組むという習慣づけがなされます。

    これはいいかえれば、従業員一人ひとりが自己の能力を高め続ける人生を歩むことに
    なるということです。

    しかもQCサークル活動のなかには、問題発見能力を高めるものの見方や、QC手法と
    呼ばれる平易な手法を用いた問題解決能力を強化する考え方が組み込まれています。

    こうした点から

     TQCは自己の能力を高め続ける生き方を教える最高の教育訓練制度
     といっても過言ではないでしょう。

    次に、企業の存続・発展という視点からTQCを考えてみます。

    TQC活動は半永久的に継続し得る活動で、定着すると一層高度な改善活動となって
    いきます。

    さらにTQCの目的が「顧客に喜ばれる品質」作りである以上、その結果は企業全体が
    顧客の要望に沿って革新し続ける体質ができあがるということです。

    こうした顧客の要望に沿った品質の商品・サービスを作り続けることができれば、
    それはつねに利益を獲得し続けられるということを意味し、

     TQCは企業の存続と発展を保証してくれる可能性をもっているといえるのです。

  □TQC活動の導入手順と推進組織

   1.導入手順とポイント

    STEP1:方針と体制作り

    (1)TQC推進委員会の設置

      社長・役員直轄で、QCの準備・推進について責任をもち、QCの推進母体となる
      TQC推進委員会を設置します。

      ◎委員会の役割

       ・QC活動方針・目標作成

       ・QC活動の全社的スケジュールの作成

       ・QC関係の会合の統括

       ・QCサークル発表会の企画・運営

       ・QC活動活発化への環境作り

    (2)QC推進方針の明示

      「何をめざし、何を目的として行うのか」を、社長・役員名またはTQC推進委員長名で
      明示します。

      ◎明示方法

       ・社内報

       ・ポスター

        ・QCテキスト

    (3)QC事務局の設置

      実際にQCを展開していくために、未経験の社員を強力にリードし、後押ししていくための
      事務局を設置します。

      ◎設置のポイント

       ・役割の明確化…QC推進へのPR広報活動、QC教育の企画・推進、
                  サークル・テーマの登録と受理、サークル活動の
                  援助・アドバイス、QC発表会の準備 など

       ・設置の仕方 …事務局を専任体制にするか、兼任体制をとるか など

       ・担当者の適性…QCへの情熱と深い理解のあること、職場全体の事情
                  に精通していること、社員からの信頼が大きいこと、
                  計画力と説得力のあること など

       ・担当者の姿勢…QCサークル推進に当たって、指示・命令式の強制的
                  姿勢になってはならない

    (4)自社に合ったTQC推進体制作り

      QCサークル活動は原則として同じ職場の社員で組織された小集団で行われるため、
      現在の会社の組織が基礎になって、サークルが組織されます。

      1サークル3〜8名で編成し、TQC推進委員会、管理職のQC援助機能、QCサークルの
      リーダー会議などを組み込むことによって、社内の推進体制ができあがります。

    STEP2:動機付け

    (5)QC導入研修会の実施

      幹部、中間管理職およびリーダー候補者を対象とし、「QCの理解と導入への意思続一
      を図る」ため、QC導入研修会を開催します。

    (6)QCキックオフ会合の実施

      リーダー候補者への導入研修後、一般メンバーへの「QCサークル活動の導入提案と
      動機づけを行う」ことを目的として、キックオフ会合を実施します。

      ◎キックオフ会合実施のポイント

       ・抽象的説明は少なくして、できるだけ身近な例に結び付けて説明する

       ・「顧客サービスの向上」と同時に「自分達のやりがい作り」の活動である
        ことを納得させる

       ・各職場が力を合わせ、QCという統一手法で歩調を合わせると大きな
        成果が生まれることを説明する

       ・メンバーの年代層、職種が多様であるので、各々のグループを考慮しつ 
        つ動機づけをする

    STEP3:QCサークル活動の着手

    (7)特定部門からの導入

      QCサークル活動のはじめ方としては、全部門一斉にスタートするのが望ましいと思われ
      ますが、現実には各部門の体質の違い、バックアップ体制の未整備もあり、特定部門
      からスタートするのが適当です。

    (8)モデルサークル作り

      導入時には、特定部門から導入し、そのなかからモデルサークルを育成することが
      普及定着のポイントです。

      ◎モデルサークル作りのポイント

       ・QC活動方針・目標にしたがって行う

       ・メンバーに対し、1ステップずつ十分な教育をしつつ進める

       ・推進委員会、事務局等が重点的にバックアップする

      ◎モデルサークル作りの効果

       ・QCは「私たちの会社でも十分実行可能だ」という見本を、一般社員に
        提示できる

       ・QCは便利で役立つ手法であるということも一般社員に理解させる

       ・モデルサークルメンバーがQCの必要性をPRしてくれる

    STEP4:標準化

    QCサークル活動を進めて、改善のまとめまでに至ったモデルサークルの例などを基本にして、
    QC活動の進め方の標準化=マニュアル化(テキストの作成など)を行う必要があります。

      ◎マニュアル化に必要な資料

       ・テキスト…QCとは何か、私たちの会社のQC推進方針、QCサークル活動
               の進め方、問題点とは何か、QC改善の進め方 など

       ・帳票類 …QCサークル登録表、QC改善テーマ計画書、QC改善まとめ
               報告書 など

    STEP5:QC教育の推進

    (10)QC教育は計画的に推進

       QCサークル活動を進めていくに当たっては、QCサークル活動とは何かを考え、
       やる気を喚起することからはじめ、次に実践できる能力をつける訓練をし、自主的に
       活動できるよう育成していきますが、こうしたQC活動を進めていくには、最終目標
       として図のような総合教育プログラムが必要となってきます。

   2.推進組織図

    ここではTQC推進組織の標準的な例を示しています。

    推進委員が担当するサークルの数は7〜8個以下で、推進委員は3名以上いるほうが
    よいと思われます。

  □TQC活動導入に当たっての留意点

   1.トップ自身が積極的な推進役となる

    QCサークル活動は、

    導入期である1〜2年は社長自身が情熱的な推進役となり、
    強力なトップダウン方式でQCの思想・手法を従業員に理解きせるとよいでしょう。

    ただし、できる限り自主的な活動になるような指導を行うべきです。

   2.強力な推進組織を作る

    推進組織のメンバー選定に際しては充分な配慮が必要です。

     ●推進委員長 … 社長またはそれに代わりえる人

     ●推進委員 … 職制にかかわりなくQC活動の趣旨をもっともよく理解
               している人で、強いリーダーシップを発揮できる人

     ●サークルリーダー … 職場の信望の厚い人で、メンバーをまとめられる人

     ●事務局メンバー … 半ば専業でQC活動推進の世話役となるので、QCの
                   社内専門家としての見識を備えている人

    QCサークル活動の初期には、従業員は仕方なく参加しているというケースが多いと
    考えられます。

    そんなときに使命感をもった推進委員やサークルリーダーが献身的に努力することによって、
    従業員をサークル活動に向かわせることができます。

   3.徹底したQC教育を行う

    まずトップを含む経営陣がTQC活動について学び、見識をもち、次にTQC推進委員に
    対してしっかりとした教育を行います。

    その後はQCサークルを結成し、サークルリーダーに対して推進委員が徹底した教育を
    行うことによって「全社的なTQC思想の浸透」を図ります。

    教育はスタート時に集中して行われますが、引き続き定期的に勉強会などを実行する
    ことが重要です。

    すなわち、

     TQC活動がうまくいくかどうかは、メンバーに対する教育にかかっている

    といえるでしょう。

    それでは、TQC教育とはどんなものかを以下にまとめます。

    (1)使命感を与え、自己変革を決意させる教育

      第一段階 … TQCが定着している職場の実態を知らせることによって、自分
               達にもできることを認識させる。

      第二段階 … TQCの導入・定着のために献身的な仕事ぶりをしている管理
               者を紹介し、自分達の仕事ぶりと比較させる。

      第三段階 … 自分達の仕事・生き方のどこに問題があり、問題解決の努力を    
               どのようにしていくかについて明らかにさせる。

      第四段階…TQC活動が職場をどのように変化させるか、夢と希望をもたせる。

    (2)QCの考え方と手法をマスターさせる教育

      ◎QCの考え方とは

        ・問題意識をもつ

        ・問題の実態を調べ、データをとる(クレーム発生などが最大のチャンス)

        ・データを解析して、重点課題を明らかにする

        ・重点課題を解決するためにはどうすればいいかを考え、改善案を
         立案する

        ・改善案を実施し、その効果を調べ、データをとる

        ・改善の効果がデータに表れていれば、その改善案が今後とも確実に
         実行されるような施策を打つ

      ◎QC手法とは(7つ道具)

        ・層別       ・ヒストグラム(度数表)

        ・パレート図    ・散布図

        ・特性要因図   ・管理図

        ・チェッタシート

    (3)QCサークル活動を指導するノウハウの教育

      これには、QC活動を運営する主体、すなわち事務局の教育と各サークルの教育の
      2つが重要ポイントとなります。

      特に事務局の人材については教育のみならず、人選も重要となってきます。

    (4)活動テーマの選定

      QC活動は決して目先の利益を追うものではありませんが、

       活動の初期段階では、比較的簡単なテーマ設定を行い、
       早期に効果が上がるようにしたほうがよいと思われます。

      なぜならば、行動がすぐに効果に結びつくので、すぐに達成感を味わうことができ、
      活動が定着しやすいからです。

      具体的には、他の部門との協調をあまり必要としない、自分達の努力だけで成果の
      出るようなテーマ選定がより適しているでしょう。

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