在庫費用削減のポイント

                

小売業の在庫費用削減

  ■こんなにある在庫費用

   多くの小売店経営者は売上の拡大には非常に熱心ですが、在庫管理というと後回しに
   してしまいがちです。

   品切れによる販売機会のロスを恐れて、ついつい過剰な在庫を抱えている小売店が多い
   ようです。

   ここでは、そうした小売店経営者に在庫費用削減のための視点をもっていただくため、
   在庫費用の種類をご紹介します。

   <在庫費用の種類>

    ・仕入代金

     いわゆる在庫投資と呼ばれるものです。
     売れないまま倉庫や店にある商品は、資金を固定化させ、資金繰りを
     悪化させてしまいます。

    ・保管費用

     倉庫などに保管する場合は、商品を置いておくスペースが必要になります。
     倉庫を建てるコスト、倉庫の減価償却費が保管コストの代表です。
     また、店舗での在庫スペースは売り場面積を奪っているともいえます。

    ・減耗費用

     商品を在庫としてもっている間には、破損や減耗が生じます。
     在庫が多くなれば多くなるほど減耗費用は増大する傾向があります。

    ・金利

     仕入代金や倉庫の建設費用のために借りた資金の金利も在庫費用の
     一種になります。

    ・保検料

     在庫商品そのものや倉庫にかける保険料も在庫費用です。

    ・運搬費用

     商品をトラックから降ろす、倉庫内で移動させるなど、人手が必要な運搬
     作業では、人件費という形で在庫費用が発生します。

    ・返品費用

     売れなかった商品を返品する場合には、人件費や運送費が発生します。

  □在庫コントロールの基本

   1.適正な在庫量を知る

    在庫を減らすためには、まず、

     商品ごとに適正な在庫量を知ることが必要

    です。

    在庫がないと顧客の注文に的確に応えることができませんが、在庫をもつと資金がそれだけ
    固定化されることは先に述べました。

    適正在庫とは、受注チャンスと在庫費用の均衡するポイントで決まります。

    年間を通じて維持すべき適正在庫量については、基本的に次の式で求められると
    いわれています。

     年限平均適正在庫=年間販売高予想÷年間予定商品回転率

    ここでの年間平均適正在庫は、あくまでも平均値であって、在庫管理上のひとつの目安
    となるものにすぎません。

    当然、商品ごとに季節や時間的な要因、安全在庫といった点を考慮して決定する必要が
    あります。

     ※安全在庫とは、出庫予測ミス・作業ミス・発注ミス・保管ミスなどにより
       在庫が過少になった時でも品切れを起こさないで済む在庫量のことです。
       一般的に、発注日から納品日までのリードタイム内で、出庫スピードが
       早くなった場合を想定して数量を決定します。

   2.在庫削減対象の商品を検討する

    各在庫対象品目ごとに適正在庫を決定したら、基準を超えている在庫対象商品を探し出し、
    在庫削減対象商品の候補とします。

    在庫削減対象を考える際には、

     ・適正在庫量の設定がきついと削減すべき在庫が増えすぎて処理が
      大変になる  

     ・適正在庫量の設定があまいと滞留在庫が増えて在庫削減の効果が
      薄れる

    ことを覚えておかなくてはなりません。

    なお、最終的に削減対象商品を決定する際には、次項でご紹介する商品全体のバランスを
    考えた過剰在庫検討の方法を併用することになります。

   3.入庫を調整して在庫を減らす

    在庫とは入庫と出庫の差です。

    在庫を削減するには、入庫のスピードと出庫のスピードをなるべく同じにすればよいことに
    なります。   

    出庫のスピードは、顧客の購買行動によって左右されるため、店舗側での調整は困難に
    なります。

    ですから、

     商品の仕入(入庫)のスピードを出庫のスピードに合わせることで、
     適正在庫を維持し在庫を減らす

    ことが必要になります。

    出庫スピードは、過去の販売データを分析して算出します。

   4.発注方式を工夫して在庫を減らす

    前節3で述べた仕入のスピードを調整するということは、発注を調整することにほか
    なりません。

    そこで、

     発注方法を対象商品ごとに検討することで在庫削減を実現する

    ことができます。

    次に3つの発注方式の内容と特徴を示します。

    <発注方式>

     ・定量発注方式

      この方式は決まった量だけ不定期に発注する方式です。
      たとえば、毎日在庫量をチェックし、ある在庫量(発注在庫量)を
      下回った時に定量発注をかけます。
      在庫チェックを頻繁に行なわなくてはならないことから、売れ筋商品
      などの出入りの激しい商品に向く方式です。

     ・定期発注方式

      この方式は定まらない量を定期的に発注するやり方です。
      たとえば、補充的に毎週月曜日あるいは毎月25日など、一定間隔で
      発注するところに特徴があります。
      在庫管理上あまり手間がかからないことから、在庫コストが小さかったり、
      量のあまり出ない買い回り商品に向いています。

     ・都度発注方式

      この方式は必要な都度、必要な量を発注するやり方です。
      売れ行きの読みにくい高額商品など、在庫をもちたくない商品に
      向いています。

   5.発注量を減らして在庫を削減する

    在庫を削減する方法として、発注量を少なくする方法があります。

    つまり、

     多頻度少量発注をすれば、在庫は当然少なくなる

    ということです。

    多頻度少量発注の基本的な考え方にJIT(Just In Time)の思想があります。

    これは必要な時に必要なものだけをつくるという生産管理の考え方で、在庫ゼロを
    理想としたものです。

    ただし、この方式は納入業者の納入コストアップにつながりますので、仕入代金に跳ね返って
    くることがあります。

    最初の項で紹介した在庫費用間のバランスを検討したうえで用いる必要があります。

  □過剰在庫商品の決定と対応

   1.過剰在庫の決定

    在庫コントロールの基本で検討した商品ごとの「適正在庫」という基準に加え、商品全体の
    バランスも検討したうえで過剰在庫かどうかを判断することが必要です。

    商品全体のバランスは売上高と在庫高の整合性を見たうえで判断します。

    ここでは、ABC分析を用いて考えます。

    ABC分析は、売上構成比の高いものから、商品をABCなどのランクに分けて分析する
    方法です。

    商品を適切にランク分けしたうえでランクの高い商品を重点的に管理することで、合理的な
    在庫管理を行なうことができます。

    まず、売上高と在庫高においでABCの各ランク付けを行ないます。

    そして、売上高のランクよりも在庫高のランクが高くなっている商品を過剰在庫商品の
    候補として考えます。

    『在庫コントロールの基本』の項の個別商品の分析で在庫高が適正在庫を上回っており、
    かつ、売上高と在庫高の関係からも過剰在庫の候補となった場合には、処分対象商品と
    考えることができます。

     ※ただし、今後の流行予測などから政策的に大量在庫としている場合は除きます。

   2.過剰在庫商品の処分

    過剰在庫品といっても、今後販売が見込めるものから、売れる見込みのないデッドストック化
    している商品まで、さまざまです。

    ここで処分すべき商品は、デッドストックや、それに近い不良在庫です。

    この不良在庫の判断基準としては、売上高がCランクでありながら在庫高がAランクや
    Bランクとなっている商品や、売上がないのに在庫が存在する商品ということになります。

    具体的には、

     ・季節はずれ商品

     ・旧タイプ商品

     ・競合商品に敗れた商品

    などがあげられます。

     不良在庫は早急にバーゲン品として処分していくことが必要

    です。

    バーゲン販売では粗利が取れなくても、

     ・集客の材料にできる

     ・固定化した資金を少しでも回収できる

     ・今後の在庫費用を削減できる

    からです。

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