株式会社設立の手続き

                  

株式会社設立の手続き

  おさらいの意味も含め、起業家の方にも法人設立の際の参考にしてください。

  ■有限会社が廃止され、合同会社が登場

   平成18年に施行された会社法によって、会社についての規定が商法から分離す
   るとともに、それまでの会社類型が大きく変わりました。

   もっとも大きく変わったのは、有限会社法が廃止され、有限会社という概念がなく
   なり、株式会社に一本化されたことです。

   これにより会社法施行後は、有限会社の新規設立はできなくなりました。

   会社法施行前に存在していた有限会社のうち、組織変更を行わなかった会社
   は、「特例有限会社」として存続し、従前のとおり有限会社の商号を用いています  
   (会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律3条)。

   特例有限会社は「有限会社」という名前はついていますが、会社法の下では正式
   には株式会社の一形態という扱いになっています。

   したがって会社法施行を境に「施行前の定義での有限会社」は消滅しました。

   代わって登場したのが、合同会社という形態です。

   合同会社とは、これまでも認められていた合名会社や合資会社とともに、会社法
   で新たに設立が認められた持分会社の一形態です。

   米国で普及しているLLC(Limited Liability Company)の日本版ともいわれて
   います。

   日本でも会社法施行後、すでに数多くの合同会社が登場しています。

   従来からの持分会社では、合名会社は全員が無限責任社員、合資会社が無限
   責任社員と有限責任社員で構成されているのに対して、合同会社では持分会社
   ならではの自由な内部自治を確保しながら全員が有限責任社員である点が最大
   の特徴です。

   この結果、会社法施行後に設立できる会社法上の法人は、以下のとおりとなりま
   した。

   ◎会社法に基づき設立可能な法人形態

    ・株式会社

    ・合名会社

    ・合資会社

    ・合同会社

   ここでは、代表例である株式会社について、設立のために必要な手続きについて
   解説します。

  □会社法による株式会社設立の要件緩和

   まずは会社法の施行によって、株式会社の設立要件がどのように変わったのか
   を整理しておきましょう。

   さまざまな規制が従来の有限会社なみに、場合によってはそれ以下に緩和され
   ています。

  □株式会社設立の手順

   株式会社の設立は以下の流れで行います。

   なお、この流れは株式の全部を発起人が現金で引き受ける「現金出資による発
   起設立」を想定しています。

   このほかにも発起人以外にも出資を募る「募集設立」や「金銭以外の現物出資も
   含む設立」もありますが、この場合は下記よりも若干複雑な流れとなります。

   株式会社設立の流れ

        @発起人の決定 → A基本事項の決定 → B定款の作成 → C定款の認証
       → D出資金の払い込み → E取締役・監査役の調査 → F代表取締役の選定
       → G設立登記申請 → H諸官庁への届出

   以下、この流れに沿って説明します。

   1.発起人の決定

    発起人は、会社設立までのさまざまな手続きを進めていく中心的人物です。

    人数は1名以上いればよく、上限はありません。

    定款に署名し、1株以上の出資が必要となります。

    基本的には、代表取締役就任予定者が務めるのが普通でしょう。

   2.基本事項の決定

    会社の目的、社名、事業内容、本店所在地、資本金の額、役員構成、決算期な
    どの会社の基本的な事項を決定します。

    ここで決定されたことが次に作成する定款の土台となります。

   3.定款の作成

    定款とは、会社の憲法とも呼べるもので、会社の活動はすべてこの定款に基づ
    いて行われます。

    定款には、必ず記載しなければならない「絶対的記載事項」と会社で任意に定
    める「相対的記載事項」、「任意的記載事項」があります。

    絶対的記載事項の項目がひとつでも抜けていたり、違法であれば、定款そのも
    のが無効となります。

    絶対的記載事項は以下のとおりです。

    (1)目的

      何の事業を行うのかという会社の目的をまず定める必要があります。

      なお、目的の書き方(表現の仕方)には一定のルールがあります。

      たとえば「情報サービス」といった抽象的な表現は認められません。

      必ず「コンピューターのソフトウェア開発」といった具合に業種を限定すること
      が必要です。

      また、会社は定款で定めた事業以外を行うことができません。

      そこで前述の例のような場合、下記のような記述にして業務の範囲を広げて
      おくのが一般的です。

       例:コンピューターのソフトウェア開発

         前号に付帯する一切の業務

    (2)商号

      商号のつけ方にも、抹式会社という文字を社名の前か後に入れることといっ
      た一定のルールがあります。

      前掲の「目的」の表現の仕方とあわせて、登記所の担当者と事前に相談して
      おいたほうがよいでしょう。

    (3)本店の所在地

      本店所在地としては、最小行政区画(市区町村)までの記載で構いません    
      (たとえば「東京都新宿区」など)。

    (4)設立に際して出資される財産の価額またはその最低額

      会社法施行前は「会社の設立に際して発行する株式の総数」という絶対的
      記載事項がありましたが、これが「設立に際して出資される価額またはその
      最低額」に変更されました。

      これは、設立時に出資される額と設立に際して発行する株式総数は実際に
      は関連性がないので、設立時の発行株式数を定めるより設立時の出資額を
      直接定めたほうがわかりやすいという理由によるものです。

    (5)発起人の氏名または名称および住所

      発起人の氏名または名称と住所を記載します。

      前述のように、代表取締役に就任予定の者が発起人になるのが普通です。

      なお、会社法施行前に絶対的記載事項であった、「会社が発行する株式の
      総数(授権株式数)」、「公告の方法」は絶対的記載事項から外れています。

      「会社が発行する株式の総数」については、会社法では、定款作成後に発起
      人全員の同意によって株式の割当方法を定めることを認めていることから、
      授権株式数についても、当初の定款に記載せずに、株式引受後設立前に発
      起人全員の同意(発起設立の場合)、または創立総会の決議(募集設立の
      場合)により、定めることもできるとされています。

      「公告の方法」については任意的記載事項になったので、定款に記載するか
      どうかは自由ですが、その定めがない場合は官報による公告となります。

   4.定款の認証

    定款の記載事項に間違いはないか、法令の強行規定や公序良俗、会社の基本
    原則に違反しないかなどをチェックし、間違いのない定款であることを公証して
    もらう必要があります。

    これが公証人による定款の認証です。

    公証人とは、法務大臣に任命された公証人役場に所属する公務員です。

    公証人は法律事務の専門家であり、定款の認証は彼らの役目のひとつです。

    公証人役場は、設立登記を受ける法務局や地方法務局の管内に数箇所あり、
    その管内であればよいことになっています。

    なお、定款の認証にあたっては、全発起人の印鑑証明書が必要です。

    また収入印紙代4万円と、公証人手数料5万円が必要になります。

    なお、電子定款を利用した場合は、このうち収入印紙代4万円はかかりません。

    ただし、そのためには高額な専用のソフトが必要になります。

    自分でそのソフトを購入するのは現実的ではありませんので、弁護士・行政書
    士等に電子定款作成を依頼するのがよいでしょう。

    通常は収入印紙代よりも安い手数料で作成してもらえます。

   5.出資金の払い込み

    発起人は引き受けた株数に相当する金額を、銀行などの金融機関に払い込み
    ます。

    入金を確認した金融機関は、抹式払込金保管証明書を発行してくれます。

    募集設立の場合は、登記申請の際にはこの証明書が必要になりますが、発起
     設立の場合には証明書は不要であり、残高証明書で払い込みの証
    明ができます。

    出資金を払い込む際には、次の書類を払込取扱金融機関へ提出することが必
    要です。

     ・認証済みの定款のコピー

     ・印鑑証明書(発起人の印鑑証明書)

     ・株式払込事務取扱委託書(金融機関にある)

     ・株式引受人名簿

     ・発起人規約(発起人会議事録または発起人決定書)

    申請にあたっては株式払込事務取扱委託手数料(手数料は各金融機関で異な
    るが出資金の0.25%程度)が必要になります。

   6.取締役、監査役の調査

    出資金の払い込みが実際にあったか否かを取締役、監査役が調査します。

    なお、調査報告書は登記申請の際に必要になります。

   7.代表取締役の選定

    設立しようとする株式会社が取締役会設置会社である場合には設立時取締役
    の過半数によって代表取締役の選定を行わなければなりません。

    また、定款に「本店所在地の詳細住所」がなければ、これも決めなければいけません。

     ・代表取締役の選出

     ・本店の所在地の町名・地番の決定(定款で最小行政区画の場合)

    なお、取締役会開催後、速やかに決定事項を記載した議事録を作成します。

   8.設立登記申請

    設立登記は取締役会で選出された代表取締役が、本店所在地を管轄する登記
    所に申請します。

    申請は、原則として取締役・監査役の調査から2週間以内に行います。

    設立登記に必要になるのは、以下の書類です。

     ・設立登記申請書

     ・定款(謄本)

     ・登録免許税納付台紙

     ・払込金の残高証明書(募集設立の場合は株式払込金保管証明書)

     ・取締役・監査役の選任決議書

     ・取締役・監査役の就任承諾書

     ・取締役・監査役の調査報告書

     ・取締役会議事録

     ・取締役の印鑑証明書

     ・会社を代表する取締役の印鑑届書

     ・OCR用申請用紙または登記用紙と同一の用紙
      (最近ではOCR用申請用紙を使うほうが一般的です)

   9.諸官庁への届出

    登記の完了をもって会社の設立となりますが、その後直ちに税務署などへ提出
    すべき書類があります。

    そこで、提出が必要なおもな書類を表にまとめました。

    なお、すべての必要書類を明記することはできません。

    業種などによっても必要な書類は異なる場合がありますので詳細に関しては、
    直接、各官庁へお問い合わせください。

   詳しくは税理士、司法書士、行政書士にご相談ください。

   なお会社設立の登記手続きを代行できるのは司法書士で、税理士・行政書士は
   定款などの書類作成です。

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