病医院における事業承継

           

病医院における事業承継

  ■後継者問題

   1.後継者育成

    厚生労働省の調べによると、最近の開業医の平均年齢は60歳を超えており、
    世代交代の時期を迎えてきています。

    しかし、親の病医院を継いで資金繰りや人材難を抱えながら忙しく働くより、最
    新設備の中で研究しながら働く勤務医でいることを希望する医師も数多くいます。

    親の病医院を承継する医師は勤務医全体の20%程度にすぎません。

    そこでまず、若い医師が承継したいと感じるような魅力ある環境づくりを行なうこ
    とが電要です。

    開業医院の存在価値とは、

     ・地域密着型のケアができる

     ・診療時間などフレキシブルな対応ができ、患者さんと深くおつき合いできる

     ・「○○病院」というのではなく、「○○先生」という信頼関係のもと、指名を
      受けることができる

    などがあげられます。

    高齢化社会が進むなかで、今後はさらに医療ニーズが増加するとともに、地域
    医療の大切さが求められていることも考える必要があります。

   2.事業承継の時期と引き継ぎ

    (1)時期

      病医院を承継する時期は、後継者の管理能力や育成期日などを考えて決定
      することになります。

      後継者の見習い期間として、一般的には3〜5年は必要といわれています。

      また、事前に後継者と院内職員との間で意思の疎通を図っておくことが望ま
      れます。

    (2)引継ぎ

      承継の成功ポイントは院長についている患者を自然に後継者へと移行させ
      ることです。

      そのために、院長見習い期間は院長と後継者が一緒に診療を行なうようにします。

      後継者のために別の診察室を設けるのではなく、従来からある診察室を2つ
      に区切るなどの工夫をし、並行して診療することが大切です。

      診療時間帯や曜日が極端に異なることもないようにします。

      院長と後継者が一緒に診療することで、院長の診療の仕方や患者との上手
      なコミュニケーションの取り方、薬剤の投与(院長の処方)の仕方などを後継
      者が引き継ぐことが可能になります。

      このような方法で承継を進めれば、患者にとっても抵抗が少なく、自然な形
      で承継を行なうことができます。

      後継者へ事業を譲る時期が決定したら、後継者が中心となって病挺院経営
      の改善を行ないます。

      その際のポイントとして以下の4つが挙げられます。

       ・後継者をメインに病医院の事業の見直しを図る

       ・病医院の特性づくりと差別化対策を検討する

       ・病医院の管理体制の確立と組織の活性化を推進する

       ・上記の項目を実現するための経営計画を策定する

  □相続税対策

   1.相続税対策の必要性

    事業の承継にあたっては、高額な相続税を納税する義務が生じる可能性があります。

    さらに、留意しなければならないのは、2次相続が発生して、再度高い相続税を
    支払う可能性があるということです。

    納税は、原則として現金で行ないます。

    一般に不動産が遺産の70%程度を占めることが多く、納税資金をつくるために
    は不動産を売却しなければならないこともあります。

    ところが、不動産の売却については、譲渡益に税金がかかります。

    納税したら何も残らなかった、ということにもなりかねないのです。

    このため、事前の相続税対策が必要となってきます。

   2.相続税対策とは

    (1)相続税対策とは、次の2つのことを指します。

    (2)相続税の節税

      相続税は、事前に対策を打っておく必要があります。

    (3)納税資金の確保

      相続税は、原則現金で納めますので、金融資産がない場合は、不動産を
      売って相続税の納税資金にあてざるをえなくなります。

      不動産を売るとさらに譲渡所得税が課されます。

      したがって、その分も考慮して納税資金の確保をしなければなりません。

   3.相続税対策の方法

    (1)金銭贈与

      これは、非課税あるいは軽い税負担で相続人や相続人以外にも贈与してい
      くというものです。

    (2)生前贈与

      生前贈与を有効に行なうためのポイントをご紹介します。

       @より低い税率が適用されるよう贈与を行なう

         節税の基本は、税率の低い税法の適用を受けることです。

         生前贈与で節税を行なうためには、まず、相続財産の総額と法定
         相続人の数、あるいは配偶者の有無などから、具体的に納付
         すべき相続税を算定し、総遺産にかかる相続税の割合を算定し、
         この割合よりも低い税率が適用される範囲内で贈与を行なう必要が
         あります。

       A贈与税の基礎控除を十分に活用する

         贈与税の基礎控除となる金額(110万円)を十分に考慮し、
         できれば、数年かけて分割して贈与する形をとるほうが良策と
         なります。

       B現金で贈与せずに物で贈与する

         時価1千万円の建物を贈与しても一般的には、現金l千万円を贈与
         したときほどの贈与税はかかりません。

         なぜならば、固定資産については、相続税の評価額が時価よりも
         低くなる場合が多いからです。

       C価格の下がらない物を贈与する

         相続税対策として、生前贈与を行なう場合は、長期的にみて値上がり
         の可能性の高い物を贈与するのが得策です。

       D贈与税の配偶者控除を活用する

         婚姻期間が20年以上の配偶者に対する、居住用の不動産もしくは
         その購入資金は、一定の条件のもとで、特別控除(2千万円まで)が
         認められています。

       E贈与の証拠を残す

         贈与をした証拠を残すためには、基礎控除を超える贈与を行なって、
         贈与税の申告をし、贈与税を納めることが有効となります。

       F相続時精算課税制度を利用する

         平成15年1月1日以後、65歳以上の親から20歳以上の子に対する
         贈与については、相続時精算課税制度が選択できます。

         これを選択した場合、複数年にわたり通算2500万円までの贈引こ
         ついて、贈与税はゼロになります。

         よって、次世代への資産の移動が加速されることが期待されます。

         しかし、この相続時精算課税制度は相続時まで継続して適用され、
         一度選択をした場合変更することができませんので、細心の注意が
         必要です。

         この制度は、相続時に、生前に贈与した資産も相続財産に含め相続
         税額を計算し、すでに支払った贈与税額を控除することによって、
         生前の贈与税と没後の相続税を一体化させることになります。

         そもそも保有資産額が相続税計算の基礎控除額の範囲内である
         場合には、この制度を活用するべきです。

         なお、相続時には、贈与時の価額で相続財産に含めることになります。

         つまり、贈与対象財産が次のような場合には、相続時精算課税制度
         の利用を検討する余地があります。
 
          @将来価額の上昇が期待できる場合

          A収益を生み出す資産、たとえば、賃貸用マンションや配当が
            期待できる株式等である場合

   4.生命保険の利用

    生命保険を利用した相続税対策としては、「生命保険金を納税資金に充当す
    る」という方法が考えられます。

    これは、「相続財産が家と土地しかなく、相続税が払えない」というような事態に
    備えて、相続発生時の相続額を予想し、それ以上の保険金となる契約に加入し
    ておき、保険金を納税資金にする方法です。

 

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