医療機関のコストダウン

               

 

医療機関のコストダウン

  ■医療機関におけるコストダウン

   病医院を取り巻く経営環境が厳しくなるなかで、

    ・より多くの患者を集めるために資金を投入して院内環境の整備を行なうこと

    ・無駄な経費を減らして効率的な運営を行なうこと

   が病医院に求められています。

   患者サービス向上が重要視されている現在、病医院においては、コストダウンと
   同時に、集患のためにサービスの質を高めることが必要になります。

   病医院のコストのなかで大きな割合を占める項目には、

    ・人件費

    ・材料費

    ・委託費

    ・減価償却費

   があります。

   患者1人あたりの医療従事者数を増加させれば提供できるサービスの質を上げ
   ることはできますが、たんに人員や業務量を増やすのでは人件費の負担が重くな
   るばかりです。

   また、緊急の場合に備えてあらゆる備蓄品を整えておくようにすれば材料費がふ
   くらみ、過剰な在庫を抱えることになりかねません。

   近年では院内の一部業務を外部委託することで患者のアメニティーの充実と人
   員減を図っているところもみられますが、一方で委託費は増大することになります。

   このように、医療機関においてコストダウンの問題を考える場合には、

     その経費を使うことで、どの程度の収益増(患者獲得)につながるか
     という費用対効果のバランスを考えながら検討する必要があります。

  □業務改善によるコストダウン

   医療業は、収入に占める人件費の割合が高い労働集約型の産業です。

   したがって、残業手当やパートタイマーの給与の削減につながる業務の改善は、
   大きなコスト削減効果を期待できます。

   業務の改善を実現するためには、職員のミーティングの場で業務を見直し、次の
   ような視点から無駄を排除するための対策を検討していきます。

    ○不要業務の廃止・省略

     現在の業務の洗い出しを行ない、必要のない業務については、定例業務から
     はずす。 

     ただし、その業務が急に必要となったときは、いつでも要求に応じられるような
     体制だけは整えておく。

    ○簡素化

     定例業務をたえず見直し、短時間でできるよう、業務の簡素化を図る。

    ○OA化の推進

     各種業務にパソコンや一連の事務機器を活用しOA化を図る。

     また、そういった機器を使用して必要情報の共有化を図り連絡・打ち合わせの
     時間を短縮する。

    ○平準化

     1日、1カ月の業務計画を作成し、一時期に業務が集中しないよう、可能な限り
     平準化を行なう。

     どうしても業務が集中してしまう時期には相応の対策(パートの確保など)を検
     討する。

    ○統合化・集約化

     業務の重複がないよう、統合化・集約化を図る。

   ただ、注意しなければならないのは、

    あくまでも無駄な業務は排除するものの、
    患者へのサービスは向上させなければならないという点です。
    効率的に業務を行なうことで生じた時間を
    患者サービスのために振り分けることも大切です。

  ABC分析による在庫管理

   病医院において、人件費の次に医業費用に占める割合の高い項目が材料費、と
   くに医薬品費です。

   そこで、比較的容易に実施できる効果的な在庫管理手法として、ABC分析による
   在庫管理を紹介します。

   1.ABC分析の効果

    A B C分析による在庫管理は、

     ・比較的やりやすく、失敗することが少ない

     ・すでに導入している病医院も多く、効果が確認されている

     ・「小さな努力で大きな成果」を得ることが可能である

    と評価され、医薬品などの材料の在庫費用を圧縮することが可能になります。

    2.ABC分析の方法

     AB C分析の方法は、在庫品をA、B、Cの3つのグループに分け、それぞれに
     応じた管理を行なうことによって管理コストの低減を図るものです。

     具体的な導入の仕方を紹介します。

      (1)全医薬品について、「購入単価×購入数量」によって購入金額を算出する。

      (2)購入金額の多い順に、品目名と購入金額を並べた一覧表を作成する。

      (3)一覧表の上から順に購入金額を合算し、その額が総額の70%を超えた
        ところでやめて、そこまでの品目をAグループとする。

      (4)その次の品目から、上記と同様に合算し、その額が総額の20%になっ
        たところでやめ、そこまでをBグループとする。

      (5)残りの品目をCグループとする(A、B、C各グループの品目の割合は、通
        常、Aが10%、Bが20%、Cが70%程度になる)。

      (6)この分析が終わったら、ABC各グループごとの管理方式を定める。

         Aグループ…品目数は少量だが消費金額の高い医薬品のグループ。
                  Aグループの医薬品については、最低量にまで在庫を
                  圧縮すると同時に、在庫切れを起こさないよう、在庫
                  管理を徹底する。

         Bグループ…中程度の価格の常備医薬品がBグループに属する。
                 Bグループの医薬品については、適正な在庫量や
                 購入のタイミングなどを定めて管理を行なう。

         Cグループ…購入金額は低額だが属する品目数の多いグループ。
                 適正な在庫量の把握、期限切れ品の発生などには
                 留意する必要があるが、AグループやBグループに
                 比べ、 緩やかな管理を行なう。
                 大量購入による値引きを期待することができる。

     以上のことを実行すれば、無駄のない医薬品管理ができ、コストダウンにつな
     げることが可能になります。

  □その他のコストダウン策

   その他の日常業務におけるコストダウンの方法としては、次のようなものがあります。

    ○運搬・歩行のアクションロスをなくす

     ・運搬そのものをなくすよう検討する

     ・運搬業務を簡素化する

    ○パフォーマンスロスをなくす

     ・訓練・指導の徹底により職員の能力向上を図る

     ・誰にでもできる方法に変える

    ○単位別コストを把握する(1人1時間あたりの人件費・1平方メートルあたりの
     スペースコストなど)

    ○院内業務の外注化を検討する

     ・外部委託することで明らかに院内アメニティーが向上するものや人員
      削減につながる業務ほ外注化を検討する。
      その際には事前に費用対効果について十分に検討を行なう

     ・外部委託業者を選定する際には、ほかの病医院から情報を収集する、
      医療関連サービスマーク(*)取得業者を選ぶなど慎重な態度で臨む

      *医療関連サービスマーク

       在宅酸素供給装置(濃)保守点検サービス・滅菌消毒サービス・寝具類
       洗濯サー ビス・患者給食サービス・患者搬送サービス・院内清掃サー
       ビス・検体検査・医療用ガス供給設備保守点検サービスなどを営む
       業者のうち、ある一定の基準を満たしている事業者に対して医療関連
       サービス振興会が交付するマル適マーク

    ○医療機器などの使用状況を確認する

     ・現在、院内にある医療機器が有効に利用されているかどうかを再度確認
      して無駄な機器をなくすようにする。
      あるいは有益な活用法を考える

     ・新たな医療機器を購入する際には、投資額に見合うだけの効果を十分に
      検討してから行なう(リースにする際にも同様の検討が必要)

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