既存客への定期訪問作戦

              

既存客への定期訪問作戦

  ■新規客にばかり目を向けていると既存客を失う

   事務機用品の卸し会社社長の悩みは、主力商品の電子コピー機の売上が“横ば  
   い”で、歩合制で新規客開拓に努力しているものの、いま一つパッとしない。

   どうしたらコピー機の売上が上がるかと悩んでいた。

   最近一年間の売上台数を新規客と既存(買い替え)客に分けて調べてみると、お
   よそ半々でした。

   「新規5対買い替え5」ということは、売上台数は横ばいですから、買い替え客、す
   なわち 既存客の半分を逃がしているということですよ。

   新親5割を開拓したけど既存客の5割を失ったということは、新規客5割を他社か
   ら奪って、既存客5割を他社に奪われたということです。

   同業他社同士で新親客と既存客を交換しているだけ。

   販売促進という経費を使って、お互いに客を交換し合っている。それなら、新規開
   拓などせずに、既存客を維持していけばいい。

   その方が余分な促進費用がかかりませんし、客単価が上がります。

  □販売促進活動って売り込み?

   なぜ新規、新規と声高に叫び、「もっと売らねば」と尻を叩くのでしょうか。

   そして「新規の見込客」とか「訪問効率」といったことがまことしやかに会議で議題
   になったりしています。

   一種の強迫観念です。

   販売活動を見込客に対する「売り込み」というように誤解しているんじゃないでしょ
   うか。

   この考えだと、コピー機を買ってから1〜3年のお客さんは、買う見込なし、更新の
   見込なしということですから、売り込み訪問をかけないでしょう。

   まさに釣った魚に餌をやる必要はないというわけです。

   買ってもらう時は3日にあげずどころか、毎日のように売り込み。

   いったん買ってしまうと、パタリとこなくなって、餌を与えないまま4〜5年放置。

   そして、買い替え時期が来たと見るや、やおら見込客と思い込んで、モミ手をしな
   がら「え〜、そろそろコピー機の買い替え時期かと思いまして・・・」とのたまう。

   この態度と姿勢、あなたがお客さんだったらどう思います。

   「現金な会社だ」と思いませんか。

   「勝手ばかりいう調子のいい営業マンだ」と思うでしょう。

   新規、新規と営業マンを煽ると、どうしても既存客へのアプローチはお留守になります。

   それは営業マンが悪いのではなく、そういう方針を打ち出した社長自身が悪いのです。

   こんなことをやってるから、せっかく自社と接点のある既存客の半分も失ってしま
   うのです。

   自社にとって、既存客は何物にも換えがたい大事な財産であり、既存客との人間
   関係なしでは、本当の意味の販売(気づいていない新しいニーズの提案)はあり
   ません。

   それを確保するのが販売活動であり、訪問活動の目的なのです。
 
  □訪問の目的は既存客確保であり売り込みではない

   それは訪問というよりは「巡回」といったほうが正確かもしれません。

   つまり、既存客のパトロールです。

   警官のパトロールの目的は泥棒を捕まえることではなく、犯罪の防止にあにあります。

   同様に既存客の巡回は、モノの売り込みではなく、既存客を他社に奪われないよ 
   うに確保することなのです。

  □売上ノルマではなく定期訪問をノルマづける

   その巡回は絶対に「定期訪問」。 

   毎月1回なら1回と決めて、その方針を着実に継続実行するのです。

   売上をノルマづけてはダメ。

   定期訪問をノルマづけるのです。

   売上、売上と焦らず、既存客訪問、既存客訪問と煩ってみて下さい。

   不定期訪問の方針はやめましょう。

   訪問するにはするが、できる時、できる日を選んでやればいいという曖昧なのは、
   結局は「既存客を巡回しなくてもよい」という指示を出したに等しいのです。

   この考え方を、誰よりもまず社長自身が持たなくてはなりません。

   社長が表敬訪問で率先垂範。

   そして、営業マンはもとより、幹部に対しても既存客訪問と巡回を厳しく指導しな
   ければなりません。

   社長の表敬訪問は効果があります。これは効きます。

   それ自体が販売活動の差別化要因です。

   訪問を受けた側では「社長がわざわざ来て下さった」と感激、強烈な印象を持つこ
   と疑いなし。

   これは裏を返せば、それだけ世間の社長はお客のところへ行っていないという証
   明でもあります。

   だからこそ、相手を感激させるのです。

   歩合制は廃止するべきです。

   歩合制を採用していると、既存客の定期訪問は笛吹けど踊らず、不可能になって
   しまいます。

   歩合制が、自分の収入だけに関心が集中して、またぞろ新規、新規ということに
   なって元の木阿弥です。

   釣った魚には絶対に餌をやらなくなります。

  □提案(有益情報)を土産に持つ

   定期訪問をするのに、手ブラでは芸がありません。

   「こんちわ〜、何かお困りのことはごさいませんでしょうか」は御用聞きの類。

   「何しにきた」でオシマイ。

   「コピー機を新しく更新しませんか」ではモノの売り込みになって下の下。

   「とにかく社命ですので、いわれた通り来ました」では会話になりません。

   ここで提案するんです、快適で能率的なオフィス・ライフを。

   モノを売らずにコトを売るのです。

   新型のコピー機や事務用品の新商品を紹介するのではなく、自分なりに考えたオ
   フィス空間の仮説を提案書にまとめて、それを検証してもらうのです。

   新規客と違って既存客なら、オフィスとか事務所での生活ぶりがある程度わかる
   でしょう。

   そのお客にふさわしいオフィスシーン、生活シーンをデザインするのは、それほど
   むずかしくないはずです。

  □提案⇒検証⇒提案⇒検証

   この繰り返しが定期訪問です。

   お客はその提案を見て、ここが気にいった、ここは不満だ、こっちはこうしたい、
   あっちはこうするというように意見をいいます。

   その意見や不満を持ち帰って修正し、再び訪問して再提案する。

   これを繰り返せば、そこに会話のキャッチボールが成立して、良好な人間関係が
   生まれるじゃないですか。

   そうなると、定期訪問される側もする側も、提案を煮詰めていくことが楽しみになります。

   そして、オフィスシーンの提案が納得するまで煮詰まった時、お客はそのシーンに
   ふさわしいオフィス用品を買うのです。

   これはモノの売り込みではありません。

   お客と会社が一緒になって、一つのニーズを突き詰めていく協同作業です。

   この協同作業が自社の信頼を生むのです。

   ○○社は立派だ。

   モノを売り込まない−−と。
 
  □定期訪問の効果予測

   <確率論>

    仮に、5年間毎月1回訪問し、6年目の最初の月にコピー機か事務機器を受注
    できたとすれば、延べ訪問回数は60回です。

    1日6社なら、10日で60回になって1台受注できる勘定になります。

    これは個々の訪問活動についていっているのではなく、訪問活動全体として
    の“確率”の問題。

    1日に6社で10日に1台の受注ですから、1日に10社訪問したら6日目に1台受
    注ということになります。

    間違わないでいただきたいのは、60回訪問というのは6年先の話をしているの
    ではなくて、上記の例でいえば、10日ごと、あるいは6日ごとに1台受注の可能
    性があるということを意味しているのです。

    今すぐに定期訪問を始めたら、10日後、あるいは6日後に必ず受注ができると
    いう話ではありません。

    定期訪問の効果として、上記の確率で受注が発生するようになるのは18ヶ月
    後、つまり1年半後と思って下さい。

    この1年半というのは、多くの会社での平均実績値です。

    1年半後には楽しみな成果が待っているのです。

    それまでは歯を食いしばって、定期訪問を繰り返す必要があります。

    1年半後だからといって、これを怠ったり手を抜いたりすると、いつまでたっても
    成果は上がりません。

  □1年半後に花開く

   上記事例の事務機用品の卸し会社社長は、会社が立ち直るウマイ手なんかはな
   いと観念し、とにかく1年半、死に物狂いの努力をしてみようと覚悟を決めたのです。

   もっとも、一口に1年半といっても、とてつもなく長い月日に感じることでしょう。

   でも、救いはあるのです。

   1年半金然受注がないわけではありません。

   先に述べた確率では発生しないというだけで、定期訪問をやればやるほど、今よ
   りはずっと多い受注がとれるのです。

   これは保証できます。

   そして、1年半がたちました。

   それまでは緩やかな上昇カーブだったものが、予想通り急速に受注が増え始め、
   アッという間に前年比3倍のペースになったのです。

   奇跡ではありません。

   地道な定期訪問がもたらした現実的な効果なんです。

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