売りに弱い代理店は伸びない

            

売りに弱い代理店は伸びない


  ■営業活動のムダ

   小規模な組織が多数を占める代理店業店主が日夜、儲けのために努力をしてい
   るがその努力の割には余り儲かっていないのが現状である。

   その理由を具体的に考えれば、小さな組織は「売りに弱い」からだということができる。

   もっと細かくいえば、「営業開発」をやっていない。

   ほとんどの代理店が、保険会社から与えられた商品をそのまま市場に対して販
   売しているのが現状でしょう。

   代理店業が既存の保険商品に付加価値を付けた売り方「商品開発」や「営業開
   発」についてほとんどといっていいほど関心がないようだ。

   「売上げがアップしないのは、営業マンがいないから」とか「優秀な営業マンがい
   ない」などをなげく店主が多いことに驚かされる。

   実際は、そうでなくて、営業の労働生産性が悪いことの一言につきる。

   1人の営業マンが1日動けば、人件費と交通費その他を加えると、2万円の費用
   がかかる。

   その2万円を使った訪問件数は、せいぜい、平均6〜7件である。

   仮に7件訪問するとして、これを1件当たりの金額に算出すると、『2万円÷7』で約
   3,000円のコストがかかっていることになる。

   「こんにちは、ありがとうございます」と、何の情報を収集することもなく、顧客1件
   訪問するだけで3,000円かかる現実をみると、営業マンが多くいればいるほど儲
   からなくなるのではないか? と心配になってくる。

   まして、訪問した時間に相手先のキーマンが不在だったら、その3,000円はまっ
   たくのムダ金ということになってしまう。

   ただガソリンをばらまいて車を走らせているだけ。

   これでは、お客を乗せないタクシードライバーのようなもの。

   「顧客不在率」は、平均約30%程度も発生している現実がある。

   だから営業マンは、訪問先にアポも取らずに行ったら、顧客(相手)がいないのが
   当たり前であることを強く認識しなければならない。

   従来の営業マンを使った営業活動の仕方は、ただちに考え直したほうがいい。

  □FAX やDM で代替できないか

   「営業なくして経営なし」とよくいわれるが、この営業活動そのものが「金食い虫」
   では困ったものである。

   そうなると、トップ営業マンは店主しかいないことになる。

   なぜなら自店の創業時のことを思い出してみていただきたい。

   店主自らが「考動」して、売上げをつくったはずだ。

   しかし小規模とはいえ何年か経過した代理店の場合は、店主は体を使って動くの
   ではなく、頭をめいっばい使わなければならない。

   では、どんなふうに頭を使えばいいのか?

   営業マンが1件の訪問に3,000円かけて出かけて行く以外の、他の方法はない
   のだろうか?

   訪問は何のために行くのか?

   これらについて、よく考えてみよう。

   営業活動は次の2 つに大別できる。

    1.ご挨拶活動(インフォメーション)

    2.交渉する活動(コミュニケーション)、人間関係をつくる活動(ノミュニケーション)

   のこと。

   これら2 つの活動の比率を考えてみると、「ご挨拶活動」に全営業活動の80%〜 
   90%を費やしていることがわかる。

   つまり営業活動のほとんどは、単に新商品の案内をたり、価格を提示するイン
   フォメーション活動なのだ。

   こういう活動ならば、何も大の男が1 日2万円もかけて交通渋滞の中を行かなく
   ても、メール、FAX や郵便、電話などでできるはずなのだ。

   メール、FAX や宅急便、DM、パート社員の巡回PR 要員等々をうまく使えば、営
   業活動はずっと効率的に、低コストでできるはずなのである。

   もっとも電話やメール、FAXおよびDMによる情報提供は、思いついた時に実行し
   たのでは意味がない。

   定期的に情報を流していかなければ、本当の効果が出ないのである。

   だから、電話やDM 作戦などを展開しようとする場合には、的を絞ったお客様に
   継続的にアプローチすることが肝心になる。

   このことがわかれば、「請求書やお知らせなどの郵送物の中に情報を入れる」と
   いうアプ ローチが一番コストが低く、定期的に実行できる方法であるなどの知恵
   も、自然にわいて出てくるはずだ。

   代理店店主はそうした形で一生懸命に頭を使い、「営業開発」に取り組まなけれ
   ば、やっていけない。

   まず手始めに、現在、自店内でどんな「営業開発」をやっているか、他にどんなこ
   とがやれるかを、箇条書きにしてみてはどうだろうか?

   例えば、次のようなことを箇条書きにして、その方法論を真剣に検討してみるのだ。

   次の5 つのキーワードを考えて、「営業開発」にはどんな方法があるかを一生懸
   命に考えるのである。

    1.家元制度(顧客の会員化)

    2.定期的なDM 活用

    3.ユーザーの絞り込み

    4.パート社員による定期巡回PR


  □役に立たない営業日報

   「営業開発」にはいろいろなやり方があるが、とりあえず一番身近で、どこの会社
   も実施している営業報告、営業日報について考えてみよう。

   従来の日記式の日報で、営業活動の報告書を営業マンに提出させるやり方で
   は、実はほとんど意味がない。

   たいていは、今日できなかったことをくどくどと記述した日報が多いためか、上司
   もうんざりするような顔をして、読んだのか読まないのかわからずじまいとなる。

   結局、完全なフィードバックもせずに、放置されるケースが多い。

   営業日報の提出が、このようにマンネリ化した作業となっているのが、たいていの
   代理店の営業部門の実態ではないだろうか?

   これでは売上げが上がるはずがない。

   だからその場合は、思い切って営業日報の書き方を変えてしまう必要がある。

   そうすれば、営業員はスムーズに報告書が書けるし、長々とした記述もないので
   読むほうも結果をつかみやすくなる。

   営業活動には、「知らしめる活動」(インフォメーション)と「交渉する活動」(コミュニ
   ケーション)の2 つがあるということを前項で述べました。

   例えばコスト低減のために、全営業活動の80%〜90%を占めているインフォ 
   メーション活動をパートの社員にまかせたとしよう。

   「巡回PR」と称して女性を1 日平均6 社〜7 社の顧客に定期的に訪問させ、商
   品情報を提供させるようなシステムをつくれば、営業のコストはかなり低減できる
   ことになるはずです。

   そしてこの「巡回PR」システムを実行した場合でも、営業日報を「標準化」すれば、
   大きな効果が生まれてくるはずだ。

   大切なのは、営業活動を数値で管理することだけではなく、面談時のフィーリング
   を標準化することである。

   面談の印象を記述させようとすると、またしても長々とした文章を書くことになり、
   書くほうも読むほうもマンネリに陥ってしまう。

   ではどんなふうに標準化された日報をつくればいいのか、具体的に説明すること
   にします。

  □留守でも、「不在表」とハガキでフォローする

   具体的な営業日報のフォームについては、別紙を参照。

   ポイントとしては、次の2 項目を日報の中に記録させる。

    (1)顧客と何分話をしたか?分数を具休的に書くこと。
      これで面談時間がわかる。

    (2)話をした時のフィーリングを、次の4 つの記号で表示すること。

       @大変感じが良かった→◎印

       A普通の対応をした →○印

       B全く感じが悪かった→△印

       C不在だった →×印

      問題は、この標準化された営業日報を見た後の対応であるが、その点は次
      のように考えるといいでしょう。

       △印が2 回続いたら、訪問を再考する。

       ×印の不在の時は、「不在表」を置いてくる。

   さらに帰社したら、ハガキを不在者に宛てて、直接郵送するといいでしょう。

   1 件訪問するのに、3,000円もコストがかかる時代だからこそ、不在で面談がで
   きなかった場合には、プラス思考して「不在表」を置き、さらに帰社した後でハガキ
   を郵送することによって、面談した時以上のインパクトをつくりだすべきなのだ。

   問題は面倒くさがらずに、継続的な実行ができるかどうかである。

   もちろん、どんな情報を顧客から収集したか?

   次の訪問の時には何を持参したらよいか?

   などの記録は絶対必要である。

   いずれにしても、マイナス思考に傾いて「今日、面談できなかった理由」などを
   長々と記入した報告書を提出させることだけはさけるべきである。

  □トップと営業マンの信頼関係(店主の営業への取り組み)

   営業活動は、大変不効率でムダが多いものだが、しかし業種を問わず会社にとっ
   ては必要不可欠な活動である。

   営業マンは外出すれば会社の顔であり、トップの代行でもある。

   だからトップ、または上司との目に見えない信頼関係がないと、その営業員の売
   上目標は必達できにくくなり、ついには退職するハメとなるケースもしばしばみら
   れるので、大いに留意しよう。

   信頼関係ができるかどうかは、人間同士の「相性」にも関係しているので、社長が
   いくら努力してもうまくいかないケースもあるかもしれない。

   しかしトップは、営業マンの人数不足や営業マンの質の悪さを嘆いてばかりいず、
   新たな「営業開発」を考えて、自社の売上アップをはからなければならない。

   トップ自ら営業戦略をつくり、率先してそれを実施することを提案する。

   同時に、単にインフォメーションという営業活動にベテラン営業マンを使わずに、
   より低コストでできる方法を活用して、「売り」に強い会社にしていかなければなら
   ないのである。

   ポイントは、次の4 点。

    1.企業の営業活動は、ベテラン営業マンだけに頼らない

    2.今、やっている営業活動の中身を分析して「費用対効果」を考える

    3.顧客の困っていることを、箇条書きに一覧表に

    4.自社、または他社の成功事例を一覧表に

  □店主の半分は外回り

   代理店のトップは、営業を、営業マンだけに頼っていてはダメ。

   次のような事例を紹介してみる。

   営業が順調に進展していた時、信頼していたベテラン営業マンが「退職したい」と
   申し出てきたらどうしよう。

   彼は営業力があり、トータルの売上げの15%程度を売っていたので、優遇もし、
   信頼もしてきた。

   しかし彼が退職すると売上げはダウンし、その「穴埋め」をするのにかなりの時間
   と経費がかかったのである。

   それほどの痛手を被った原因は、何といってもトップが、彼を信頼しきっていたた
   め、彼の担当先の顧客を全く訪問していなかったことだった。

   当然、お客との人間関係もできていなかったから、彼がやめたあと初めてトップ自
   身が訪問して、売上回復のために時間とコスト(金)をかけざるをえなかったのである。

   もっとも、「その営業マンを信頼しきっていたから、トップがその顧客を訪問したこ
   とがなかったのだ」という言い訳はできる。

   だが、大きな授業料を払わされたことに違いない。

   そんなことになるなら、その営業マンがやめるかやめないかは別にして、彼が勤
   務している時に、彼とともに営業活動をすべきだったと、悔やまないようにしなくて
   はいけない。

   このことからも、代理店のトップは外回りをできるだけしなければならない、という
   事例である。

   第一考えてみれば、トップが外回りをすることで、少なくとも次の5 つのメリットを
   得ることができることに気づく筈だ。

    1.担当者の営業活動の評判がきける。

    2.自店社に対する苦情や注文がきける。

    3.同業・他店の情報がきける。

    4.商品開発のタネが情報収集できる。

    5.顧客との人間関係ができるため担当者が突然退社しても困らない。

   中でも、「担当者から突然の退社の申し出があっても困らない」という5 番目のメ
   リットの意味は大きい。

   トップの外回りは、リスク管理の面からも大変重要な活動なのです。

   「備えあれば憂いなし」なのです。

   代理店のトップは、時間をつくって、大いに外回りをしよう。

  □中小企業オーナーとの付き合いを大切にしよう

   代理店のトップは、死ぬまで現役というケースが多い。

   このことが重要なのです。

   大企業のように2〜3 年(長くても4〜5 年)でトップや担当者が交代するようなこ
   とはないのだ。

   代理店のトップが交代する時は、息子に後継した時、あるいは本人が死亡した時
   ぐらいのものだ。

   こういう現実があるからこそ、代理店のトップは、時間をかけてでも顧客のネット
   ワークづくりに、全力をつくすべきなのである。

   後々まで生き続ける販売のシステムづくりを、時間をかけてでもしたほうが代理店
   のトップにとっては得策であることを、よく理解してもらいたい。

   そしてもう1つ、代理店のトップにとって重要なのは、「良い人間関係づくり」。

   代理店のトップは、3〜4 年で人事異動のある大手企業の担当者と深く付き合う
   より、死ぬまで現役を続けられる中小企業のオーナー社長との付き合いを密接に
   して、良好な人間関係をつくったほうがいい。

   そのほうが、継続的に商売がうまくいく場合があるのである。

   かめばかむほどに味が出るオーナー社長との商売である。

   仮に、大手企業の担当者と非常に仲良くなって人間関係ができたとする。

   しかし、付き合いが深くなればなるほど、担当者が代わった時の落差は大きく、そ 
   の会社の売上げがダウンするケースも現実にはかなり多いのです。

   このように代理店のトップは、時間をかけて的をしぼった顧客の販売ネットをつく
   ると同時に、中小企業オーナーとの太い人間関係をつくらなければならない。

   それが、代理店の生き残りのコツなのである。

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