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市場調査の基本 |
■企業のマーケティング活動と市場調査 市場調査は、企業が市場のニーズを把握するために実施するものですが、現状 市場調査は、企業がさまざまな意思決定を行うときに、重要な情報を与えてくれる ここでは、企業のマーケティング活動と市場調査との関係について考察していきます。 マーケティングとは、もっとも広い概念でとらえれば、「企業から市場への働き つまりマーケティングとは、 企業が消費者のニーズを充足させるために実施するあらゆる ということができます。 そして、このようなマーケティング活動を効果的に進めるうえで、市場調査は重 現在の消費者は、物理的にはかなりの水準まで満たされています。 必要なモノはいつでもどこでも、誰もが購入できるような環境が整備されています。 このような環境にあって、多くの企業は消費者のさまざまなニーズを探ること その理由は、 ・ありきたりの商品やサービスでは消費者が関心を示さず、 ・既存の顧客も他社のより魅力的な商品・サービスに流出して からです。 そのような事態を回避するために、十分な市場調査を実施し、自社経営の方 市場調査と一言でいっても、その方法は多種多様です。 もっとも広く行われている方法は、質問紙調査と面接調査です。 ここでは具体例により、企業のマーケティング活動において、市場調査の結果 たとえば、自動車メーカーが新製品モデルの開発を行うケースを考えてみま まず、社内・社外の情報を基にマクロ的な分析を行った結果、スポーツカー市 そこで、製品コンセプトを決めるために、市場調査を実施し、調査の結果から、 これを製品ポジショニングといいます。 図中のA〜Gまでは既存ブランドであり、消費者のニーズがZであったとします。 この場合、比較的コンパクトで馬力がある車を消費者が欲している、ということ これは単純化されたひとつの例ですが、 このように、 市場調査を行うことでマーケットの構造と消費者のニーズが明らかになり、 のです。 次に、市場調査のステップについてみていきます。 市場調査は、事実の発見、理由の明確化、企業の行動指針の提供、という3つの 市場調査の第一段階は、事実を発見することです。 市場調査のもっとも基本的な目的は、現状はどうであるのか、 先に取り上げたスポーツカー市場の現状分析では、既存のブランドをすべてコ 事実の発見は、マーケティング・リサーチの初期段階でありながらも、多くの情 市場調査の第二段階は、第一段階で判明した事実の理由を明確化するものです。 つまり、 消費者はなぜそのように行動するのか、 です。 すべての消費者の行動には何らかの理由があり、それを多面的に分析して明 この第二段階までは、過去の情報を基に分析している点で共通しています。 市場調査の第三段階は、企業の行動指針を明らかにするというものです。 この段階では、市場調査は現状分析にとどまらず、 企業は今後いかに行動すべきであるのか、 ことになります。 市場調査をより有益なものにするためには、この「今後どうすべきか」という視 新しい商品やサービスを提供するにあたり、現状を分析したり、あるいは消費 しかし、それだけで十分なマーケティングが可能となるものではありません。 消費者のニーズが多様化かつ高度化している現状にあっては、消費者のニー ウォンツとは、まだ顕在化していないニーズ、消費者自身が明確に認識してい このような消費者の欲求を把握し、また、ウォンツまでを市場調査の実施に 市場調査の3つの段階をあらためて図に示します。 ここでは、市場調査の計画を立てるときに留意すべき点について検討していきます。 市場調査を行うにあたりその出発点となるのは、 当然のように感じられるかもしれませんが、調査を実施すること自体が目的に そのような形式的な調査では、市場に関する有力な情報を入手するのは困難です。 したがって、「何のために調査を実施するのか」という点について十分に検討 自社がとるべき経営活動を多面的に分析していき、本当に調査が必要になっ 調査目的が明らかになれば、系統的な調査計画の立案を行います。 つまり、市場調査の実施においては、調査の目的を達成するために何をすべ 一般的な市場調査は、仮説検証型の調査と呼ばれることがあります。 仮説検証とは、 あらかじめ正しいと判断される仮説を立て、 ことです。 ところで、仮説検証型の調査では、最初に設定される仮説そのものが、きわめ そして、その常識的な仮説の正しさを立証するために、調査の結果を使用する このような仮説検証も重要です。 直感的に正しい仮説であると判断しても、その裏付けをとるのは意義のあるこ しかし、仮説の検証がすべてではありません。 市場調査によって、予想もしなかった真実を発見する場合もあるものです。 このような仮説に基づかない調査を「ゼロベース型調査」といいます。 ゼロベース型調査ではとりあえずの方向性を見いだすために、世の中の環境 そうするなかで新たな仮説めいたものが見えてきたら、改めて仮説検証型の 特に前述の消費者のウォンツを探るためには、さまざまな視点からのゼロ 調査計画に盛り込むべき主要な事項は、以下のとおりです。 ◎調査計画に盛り込むべき事項 ・調査目的 ・調査方法 ・調査対象 ・調査実施地域 ・調査対象者の選び方 ・調査対象者数 ・調査項目 ・分析計画 ・作業日程 ・調査費用 市場調査は比較的小規模のものであっても、かなりの時間・費用が必要となります。 その点を再確認したうえで、調査計画を作成します。 次項では調査方法について紹介します。 市場調査の方法は大きく、1.質問紙調査法、2.面接調査法、3.観察調査法、 以下に、それぞれの内容をみていきます。 調査の実施にあたっては、調査目的にもっとも合った形式を選びます。 質問紙調査法は、質問事項を用紙に取りまとめ、それを調査対象者に回答し これはさらに、(1)留め置き法(2)郵送法(3)訪問面接法(4)その他の方法 (1)留め置き法 留め置き法は、調査員が被調査者を訪ねて調査票の記入を依頼し、一定 留め置き法の長所は、調査の目的を直接口頭で説明できるため、被調査 さらに、回答者は調査書への記入を始める前に疑問点などを調査員に聞く 短所は、調査員を確保するためのコストが大きいことと、被調査者宅を訪 郵送法では、質問用紙を調査対象者に郵送し、回答後に返送してもらいます。 質問事項が少ない場合には、はがきを使用します。 郵送法の長所は、調査コストが比較的安く、広い地域を対象に一斉に調査 一方、短所は回収率が低いことです。 調査票を送付しても、それを見た人が必要事項を記入して返送してくれる また、回収に時間がかかる点も短所といえます。 この方法は従来よく行われていた方法で、調査員がすでに構成された調査 多くの場合、回答の選択肢が用意されています。 訪問面接法の長所は、被調査者に直接に調査依頼ができる点や、質問に しかし、多くの時間とコストがかかること、訪問されることを拒絶する人も多 インターネットによる調査も広く実施されています。 この方法の長所は、質問票を発送するための実質的なコストがほとんどか 回答者の負担も少なく、回収期間も非常に短くて済みます。 最近ではさまざまなインターネット専業の調査会杜がありますので、自社で 調査は原則として、調査会社にあらかじめ登録している人を対象に行われ このため、自社がターゲットとしている層と、登録している人の層が一致し また、調査会杜に登録している人はアンケートに答えることでポイントなど 実際に利用するにあたっては、これらの点について調査会社に事前に確 なお、インターネット調査会社は「アンケート結果の提供のみ」から「結果を 自社にアンケート結果を分析するノウハウが不足している場合は、分析も 面接調査法(インタビュー)は、調査員と被調査者との面談形式で行われ、調 多くは質問紙調査による訪問面接法のように、あらかじめしっかりと構成され むしろ自由な面談のなかで明らかになった新たなヒントを掘り下げていくことに 面接調査法の代表的なものは、(1)グループインタビュー、(2)デプスインタ (1)グループインタビュー グループインタビューは、数人の被調査者を集めて座談会形式で行われます。 司会役である調査員がいくつかの質問をし、それをもとにグループで自由 グループインタビューの長所は、各メンバーの反応を観察することができ、 しかし、グループの構成メンバーを慎重に検討しなければ、集団内の効果 価値観の異なる人を含めるなど議論が活発化するような工夫が必要です。 デプスインタビューとは、ごく少人数(面談者と1対1の場合もある)を対象 デプスインタビューの長所は、非常に踏み込んだ情報を被調査者から引き 短所は、調査コストが大きくなることに加え、調査員に高度な専門知識や、 観察調査法は、質問紙調査法や面接調査法とはやや異なる視点から実施さ この調査の目的は、現実の事象を観察して実態を正確に把握することです。 ここでは、(1)街頭観察調査と(2)店頭・店内観察調査を取り上げます。 街頭観察調査(タウンウオッチング)は、街に出て大勢の人たちを観察し、 たとえば、若者が身につけているものを調査したり、深夜の人間行動を観 街頭観察調査は、特別な費用を必要としないため手軽に行うことができま これが街頭親察調査の長所・短所です。 店頭・店内観察調査は、調査員が小売店の店頭に立って消費者の行動を たとえば、消費者が注目した商品・手に取った商品・実際に購入した商品と そして、この調査から得られた情報を店舗運営に役立てていくのです。 店頭・店内観察調査の長所は、消費者の行動をダイレクトに観察できるこ しかし、調査結果から得られた多様な情報を集約するのに手間がかかると この方法は、因果関係を明確にするために、条件を統制することによって調査 具体的には、複数のグループに対し異なる扱いをし、影響を与えうる変数をコ たとえば、Aグループには事前に商品の説明をしたうえで使ってもらい、Bグ 調査設計は複雑になりますが、新商品開発などにおいて有力な情報を手に入 最後に、調査結果の集計、分析と活用について記載します。 市場調査の実施後、集計の段階に入ります。 調査結果は、数字で把握できるデータとそれ以外のデータがあり、前者を定量 質問紙調査法においては、各質問事項に対して数字で回答する形式が多用 量的な取り扱いができるようにしておくと集計作業が簡単になるからです。 こうした集計は、パソコンの表計算ソフトなどを使って行うことができます。 面接調査の結果は定性データであるため、一定の分類基準にしたがって集計 手間がかかりますが、集計結果の有効活用のためにも慎重な作業が望まれ 集計が終わると、調査結果の分析段階に入ります。 定量データであれば、質問項目ごとに平均値を出したり、分布を確認したりします。 また、年齢や性別などの属性項目と、各質問事項との関連を明らかにすること さらに必要に応じて統計解析のソフトを使用し、専門的な分析をすることも可 定量・定性データの分析では、 調査の実施段階では予想もしなかったような事実を発見できる場合も 調査結果を正確に読みとり、実際の経営にいかしていくことは簡単ではありま その技量を高めることによって、中小企業が大企業よりもマーケティングで優 「中小企業こそマーケティングが大切である」という認識をもち、積極的に取り |
静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
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