代理店にとってのCSを見直す Ⅲ
 

  ■お客様の期待(価値)の具体例

   (1)保険商品そのものについての期待(価値)= 事故時の対応

     ①事故をしたら現場にすぐ来てくれる

     ②当面何をすべきかアドバイスしてくれる

     ③交渉経過は聞かなくても不安にならない頻度で報告してくれる

     ④交渉では自分の味方をしてくれる

     ⑤連絡等はいつも自分に都合の良い時間、方法でできる

     ⑥解決まで時間がかからない

   (2)商品に付随する事務、サービス等についての期待(価値)

     ①約束を守る

     ②電話等の応対は親切丁寧で気持ち良い

     ③質問には専門用語を使わずわかりやすく丁寧に説明する

     ④手続きは自分に都合の良い時間、方法でしてくれる

     ⑤各種案内や通知はわかりやすく、適当な時期に来る

     ⑥事務処理は遅延、間違いがなく確実にスムーズに完了する

     ⑦連絡がいつでもとれる

  □お客様に提供できる価値を正しく理解してもらう

   1.お客様の期待する価値は人によって大きく異なる

     保険は形のない商品であること、実際に事故を経験した人が多くないことなど
     から、お客様は保険加入によって得られる価値についてはそれまでに見聞き
     した情報やイメージを元に様々な価値を期待しています。

     そのため、お客様が期待している価値が適正に提供できる価値と大きくずれ、  
     過大な期待になっていることも珍しくありません。

   2.お客様に正しい期待価値を持ってもらうのは代理店の責任

     お客様が満足か不満足かは事前の期待価値と提供された価値との比較で判
     断されますので、例えあなたが最善の方法で適切に対処したとしても、お客様
     の期待価値がそれ以上であれば満足していただくことはできません。

     しかもお客様の期待が誤解によるものだったとしても、保険の素人であるお客
     様に正しく内容を理解させて保険を販売しなかったことに対して、あなたや保
     険会社が世間から批判を受けることは確実です。

     いくら「説明した」と言っても、お客様が理解していなければ何の意味もあり
     ません。

     ◎お互いに説明がなくてもわかっているはずだと思っても、あなたの思いとお
       客様の思いが違うことはよくあります。

       また、お客様が価値を過大に誤解していると保険を売りやすく、万一誤解し
       ていても事故にあう確率が低いためトラブルになる可能性が低いとも言え
       ます。

     ◎何かが起こってから「もともと保険ではここまでしかできないものです」と説 
       明しても、納得してもらうことは困難ですし、「騙して加入させた。詐欺だ。」
       と言われてしまうことも有り得ます。

       また、仮に渋々納得されたとしても、十分に説明しなかったことについてお 
       客様の信頼を失うことは確実です。

       ・最近は情報が豊富であるうえ、噂話や評判は大袈裟に伝わる傾向が
        あるため、お客様が価値を過大に期待していることも希ではありません。

       ・消費者意識の高まりを受け、あなたや保険会社に対する要求、期待が高
        まる傾向があります。

  □お客様の過大要求はお客様が悪いのか?

   「事故のトラブルの原因はお客様の過大な要求だからうちにには非はない。」という
   話を聞くことがありますが、果たして当社として本当に非がないのでしょうか?

   交渉場面だけを捉えれば、普通のお客様でも言葉使いの悪い人もいれば、人の
   話しを聞かない人、わからず屋、頑固な人もいるため、保険会社側からみれば無
   理難題を言っているように見えます。

   しかしながら保険の素人であるお客様に正しい価値を伝えられなかったためにお
   客様が誤解して契約し、その内容(事前の期待価値)通りに対応してもらえなけれ
   ば苦情を言うのは当たり前ですし、常識的には誤解させたまま商品を販売した代
   理店や保険会社に責任があります。

    ◎契約に際して十分に説明するとともに、お互いの理解にズレがないか確認し
      ます。

    ◎万一、お客様が更に大きな価値(サービス、対応など)を要求し、とても応えら
     れない場合には、「残念ですが当店ではお応えできませんので他代理店でご
     加入下さい」と辞退する姿勢が必要です。

    ◎お客様に誤解させたまま契約した場合には、消費者契約法、金融商品販売
     法等の法令に違反したりコンプライアンス上問題となるおそれがあります。

  □お客様本位とは

   1.「お客様本位」で考えるスタンス

     「お客様本位」とは「お客様」をあらゆる判断の軸にするということを意味します。

     具体的には次のスタンスが基本です。

     ①何をすべきか、どうすべきかを考える際には「何がお客様にとって
       いいのか」を判断の基準にする。

     ②何をすべきかが決まれば実現に向けて「どうやったらできるか」を考える。

   2.今していないことの「できない理由」はすぐ見つかる

     一般的に私たちは、今実際にしていないことは簡単にできないと判断してしま
     いがちです。

     「手間がかかる」「新たな費用が必要」「時間がない」など新しい事を始める時
     に発生する負担をできない理由にしてしまいます。

     しかし「お客様本位」の業務を行なうためには、既成概念を捨ててもう一度「本
     当にできないだろうか」「別の手段はないだろうか」と考えて、できる限りお客様
     に満足を提供しようとするスタンスが大切です。

     「お客様にとって良いこと」の実現を目指すといっても、当然コンプライアンス
     違反することはできませんし、検討の結果として経費効率や物理的な問題な
     どの面で対応できないことも多々あります。

     ただこのような場合でも、お客様のニーズに応えるために何ができるか、でき
     ない場合は他の代替手段がないのか、場合によってはどのようにすればお客
     様の要望に近づけるか等できる限り親身になって考えることが大切であると言
     うことができます。

  □お客様本位は知識ではなく意識(心)が大切

   1.お客様に満足を提供するには心が不可欠

     お客様満足については多くの人が「こうしたら良い」という答を持っており、そし
     てそのほとんどが正解です。

     それにもかかわらず、お客様に満足していもらえる業務ができているとは言え
     ません。

     コンプライアンスも同じですが、「こうしてはダメ」「こうした方が良い」と知識で
     は分かっていても忙しかったり、面倒だと「まあいいや」「これ位ならいいだろ
     う」という気持ちになって実行しなかったり、そもそも「こうしてあげれば喜んで
     もらえる」という気持ちにすらならなかったりするためです。

   2.マニュアル通りだけでは本当のCSはできない

     CS向上を目的として「電話応対」や「接客マナー」等のマニュアルを見かける
     ことがあります。

     確かにマニュアルも最低限のことを理解したり身に付けるためには重要です
     が、そのまま実行しているだけでは本当のCS向上にはつながりません。

     マニュアル通りの最低限の対応ができた上で、更に「お客様にとってどうする
     ことが良いのか」を考えられるかどうかが重要です。

     お客様満足ではNo1との言えるディズニーランドでは「マニュアルは70%が
     丁度良い」と言われています。

     ◎マニュアル通りのCS対応の例

      ○某ハンバーガーチェーンで、ある人が残業している人達から頼まれて
       カウンターに行き、ハンバーガー10数個の注文をしました。

       店員はにこやかに「こちらでお召し上がりですか。お持ち帰りですか?」
       と聞きました。

      ○某ファミリーレストランで食事をしていた家族が、脇を通りかかった
       ウェイターに「すみません。」と声をかけました。

       するとウェイターは「恐れ入りますがテーブルの上のボタン(「ご用の
       時は押して下さい」)を押して下さい。」と丁寧に回答しました。

      ○JRの某地方の路線である人がコートを列車の中に置き忘れてしまい
       ました。

       あわてて駅員に「次の駅に連絡して回収してください。」とお願いすると
       駅員は明るく丁寧に「そういうことはしないことになっております。」と
       答えました。

                         お問合せ・ご質問はこちら

                         メルマガ登録(無料)はこちらから


 

お問合せ・ご相談はこちら

お電話でのお問合せ・ご相談はこちら
054-270-5009

静岡県静岡市のビジネス・ソリューション㈱です。
静岡・愛知県内、東京周辺を中心に中小規模企業の問題解決支援としてマーケティング・業務改善・リスクマネジメント
企業運営に欠かせない3つの仕組みづくりを支援いたします。
経営者にとって重要課題は会社をつぶさないことです。
しかし、毎年1万件以上の中小企業が倒産に見舞われています。
「知っていれば」「対策を講じていれば」倒産せずに済んだはずの企業が数
多くあったことを、私どもは見聞きしております。
少しでも多くの企業が、このような危機に見舞われず、最悪の事態を招く
ことのないよう、私ども専門家集団は事業運営に欠かすことのできない
マーケティング、業務改善、リスクマネジメントについて全力投球で支援
してまいります。

対応エリア
静岡・愛知県内、東京周辺

お気軽に
お問合せください

お電話でのお問合せ・相談予約

054-270-5009

 (コンサルティング部門 直通<柴田>)

新着情報

2024年4月25日
記事:「メルマガ709号更新しました。
2024年4月25日
記事:「社内体制の強化なしに会社の存続なし」 更新しました。
2024年4月24日
記事:コストダウンの最終目標」更新しました。 
2024年4月23日
記事:保険代理店業の環境整備 Ⅱ」更新しました。
2024年4月22日
記事:「オンリーワンを目指す」 更新しました。
  • 詳細はこちらへ

ビジネス
ソリューション
仕組み構築

住所

〒422-8067
静岡県静岡市駿河区南町
2-26-501