ダイレクトメール(DM)を作成
 

  ■ダイレクトメールの役割

   ダイレクトメールは、販売促進策のひとつとして、さまざまな企業が活用しています。

   ここでは最初にダイレクトメールの定義を確認し、その役割について考えていきます。

   1.ダイレクトメールの役割と送付対象者

     ダイレクトメールとは、

      広告主体である企業があらかじめ選び出した一人ひとりの消費者に
      向けて、直接的に(ダイレクトに)印刷物や手書きの広告を郵送し、
      企業の商品・サービスを宣伝するための方法である

     と定義することができます。

     ここで重要なキーワードは、「選び出した一人ひとりの消費者」と「直接的に」の
     ふたつです。

     これは基本的なことですが、ダイレクトメールのもつ役割を考える際に忘れて
     はならない視点です。

     ダイレクトメールの役割は、

      発信者である企業の商品やサービスのもつ特徴・強みを
      個々の消費者に正確に、そして鮮明に伝える

     ところにあります。

     その結果として、ダイレクトメールを受け取った消費者を自社の固定客として
     囲い込んだり、あるいは新規顧客として獲得したりすることが可能となります。

     したがって、このようなダイレクトメール本来の役割を十分に発揮させるために
     は、内容そのものに加えて、誰に送付するのかということがきわめて重要にな
     ります。 

     自社の商品・サービスに関心がない人たちに送っても、無駄になってしまう可
     能性もあるからです。

     この点については次項で詳しく取り上げます。

   2.消費者に注目されるダイレクトメールとは

     ダイレクトメールのもつ役割を明確に認識し、対象者を的確に選択してダイレ
     クトメールを送付していても、必ずしも受け手に読んでもらえるとは限りません。

     情報化が非常に高いレベルにまで進展した現代社会においては、消費者は
     企業その他の外部者から大量の情報を受け取っています。

     そして、

      ダイレクトメールもそのたくさんの情報のなかに埋もれてしまい、
      目立たなくなることが少なくありません。

     では、注目度の高いダイレクトメールとはどのようなものでしょうか。

     まず、外見上の特徴としては、優れたデザインを採用しており、つい手に取り
     たくなるということがあげられます。

     また、個性あふれる作りをしていたり、あるいは自筆のダイレクトメールも人の
     目を引くものです。

     一方、内容的には、受け手の知りたい情報が満載されている、商品割引サー
     ビスがついているなどの特徴があれば、多くの人に関心をもってもらえるでしょう。

     いずれにせよ、何らかの特徴を打ち出し、受け手にとってメリットのあるダイレ
     クトメールを作成することが大切になります。

     この点を踏まえたうえで、次項ではダイレクトメール作成上の留意点について
     検討していきます。

  □ダイレクトメール作成上のポイント

   ダイレクトメールは明確な目的意識をもって作成し、正しい方法で選び出した消費
   者に向けて情報発信しなければ、大きな効果を期待することは難しいものです。

   ここでは効果的なダイレクトメールを作成するためのポイントを紹介します。

   1.出発点は目的の設定

      ダイレクトメール作成の出発点は、
      その作成目的をはっきりとさせるところにあります。

     たとえば、「商品の売れ行きが思わしくないから」「予算が余っているから」など 
     の曖昧な理由でダイレクトメールを作成するのであれば、大きな効果を期待す
     ることはできません。

     ダイレクトメールは、ほかの販売促進策と相まってはじめてその効力が発揮さ
     れます。

     売上を伸ばすための種々の方策を検討していき、そのひとつとしてダイレクト
     メールという販売促進ツールを選択するのであれば、非常に効果的な方策と
     なります。

     なぜダイレクトメールを作成するのか、という点について最初に徹底的に検討
     しておく必要があります。

     <ダイレクトメールの作成目的例>

       ・新商品の発売そのものを広く告知する

       ・新商品の特徴を深く理解してもらう

       ・詳細資料請求やサンプル請求など顧客の具体的行動に結びつける

       ・紹介キャンペーンなどで既存顧客に新規顧客を紹介してもらう

       ・初回購入客に対して自社商品へのファン化を促進する

   2.ダイレクトメールの種類

     ダイレクトメール作成の目的を設定できたなら、次にどのような形で消費者に
     情報発信するのかを決定します。

     ダイレクトメールは、基本的に葉書タイプと封書タイプのふたつに分類されます。

     (1)葉書タイプのダイレクトメール

       葉書タイプのダイレクトメールは低コストで送ることができ、受け手が内容
       に目を通す確率が高いという長所があります。

       一方、その性質上スペースの制約が大きく、盛り込むべき内容を十分に吟
       味し、重要点のみに絞って消費者にアピールする必要があります。

     (2)封書タイプのダイレクトメール

       封書タイプのダイレクトメールの長所は、商品やサービスの詳細な内容を
       受け手に伝えることができることです。

       したがって、商品の購入を促す直接的なきっかけとなることもあります。

       一方、葉書タイプのダイレクトメールに比べるとコストがかかり、また、開封
       してもらえない可能性もあります。

   3.ダイレクトメールのタイプの決定と作成時のポイント

     葉書タイプ・封書タイプのどちらがよいか、ということは一概にはいえません。

     ふたつの方法を適宜選択し、あるときは封書タイプを使い、また別のときには
     葉書タイプにする、というのもひとつの方法です。

     たとえば、顧客が自発的に自社にアプローチしてきていないようなケースに、
     最初から立派なパンフレットなどを送付するのは効果的ではありません。

     そのようなときには、葉書タイプのダイレクトメールを最初に送っておき、受け
     手の反応をみながら封書タイプに切り替えるようにします。

     作成時のポイントとしては、

      伝えたい点を簡潔にまとめてはっきりと示し、
      受け手が目を通す際の負担を軽くすること

     です。

     どのような工夫をすれば読んでもらえるかをつねに念頭に置いて作成しなけ
     ればなりません。

     なお、商品・サービスの内容をより効果的に伝えるために、写真やイラストを使
     用するのもよいでしょう。

   4.ダイレクトメールの送付先決定と顧客名簿

     ダイレクトメールの送付先を決定するにあたっては、顧客名簿がきわめて重要
     になります。

     充実した顧客名簿をもっていれば、的確な送付先を選び出すことが可能とな
     り、その結果自社の売上拡大に貢献する可能性も大きくなります。

     (1)顧客名簿の作成

       顧客名簿は自社の顧客に関する情報を集約(データベース)したものであ
       り、ぜひとも自社で作成したいところです。

       たとえば小売店であれば、一度でも自店で購入した顧客については顧客情
       報をカードに記載してもらい、データベース化しておきます。

       この作業は手書きで行ってもよいのですが、パソコンを使って登録しておく
       と分類や検索がしやすいというメリットがあります。

       具体的には、来店したお客様に対して、「バーゲンを開催する際にはご連
       絡いたします」などの言葉をかけてカードに必要事項を記入してもらえば比 
       較的容易に必要とする各情報を集めることができるでしょう。

       顧客名簿に必要な情報は、顧客の名前・性別・年齢・生年月日・住所・電話
       番号・購入製品・趣味や関心事などです。

       このような顧客名簿を作成しておけば、

        必要なときに必要な顧客に対して、
        適切なダイレクトメールを発送することができます。

       顧客名簿においてもうひとつ重要なのは、作成後の管理に関する問題です。

       それは、

        一度作成した名簿は定期的に見直しを行い、
        内容を修正・追加していく必要がある

       ということです。

       顧客名簿のメンテナンスはとでも大切な作業です。

     (2)見込み客名簿の作成

       顧客名簿の作成と同時に見込み客名簿を作成するのも、ダイレクトメール
       の効果を大きくするために必要です。

       なぜなら、顧客名薄だけではダイレクトメールの送付先が限定される場合
       もあるからです。

       見込み客名簿とは、

        現在は自社の顧客ではないが、将来的には顧客になる
        可能性があると判断される人をリストアップしたもの

       です。

       そのような名簿を作成して、ダイレクトメールを送付すれば、新規顧客の獲
       得が期待できます。

       見込み客名簿を作成するにあたっては、懸賞などのキャンペーンに応募し
       てもらったり、割引券送付を約束して顧客に住所と名前を教えてもらうと
       いった方法が考えられます。

     (3)情報の取り扱いには万全の注意を払う

       収集した顧客名簿、見込み客名簿の取り扱いには万全の注意を払う必要
       があります。

       昨今、多くの会社で顧客情報の流出が頻発しており、社会問題となってい
       ます。

       こちらにはまったく悪意はなくても、名簿を盗まれたり、あるいはパソコンに
       保管していた顧客情報がウィルスによってインターネット上に勝手にばらま
       かれたりすることも考えられます。

       そういった事態を防ぐために名簿は金庫にしまう、顧客情報が入ったパソコ
       ンはインターネットにつながないといった配慮が求められます。

       また個人情報保護法が施行され、顧客情報の取り扱いには、一層の慎重
       さが求められています。

        改正個人情報保護法:平成29年5月30日から、個人情報を取り扱う
        すべての事業者に個人情報保護法が適用されました。

                                 個人情報保護委員会

        すでに多くの顧客情報をもっている、あるいはこれから積極的に顧客情
        報を集めていこうとしている会社は同法について必ず理解しておく必要が
        あります。

  □ユニークなダイレクトメール事例

   最後に、ダイレクトメールを作成する際のもっとも基本的かつ重要であると思われ
   る事項について、事例を用いて考えます。

   1.ある営業マンのダイレクトメール

     ここで紹介するのは、ある自動車ディーラーで営業を担当しており、全国でも  
     トップ営業マンとして知られるM氏の事例です。

     自動車ディーラーからのダイレクトメールといえば、新車が発売になったときに
     ミニカタログ風の郵便物が郵送されてくる、というのが一般的なものでしょう。

     M氏はそのような商品カタログ的なダイレクトメールではなく、独自にさまざま
     な工夫を取り入れたダイレクトメールを個人で作成しているのです。

     M氏からのダイレクトメールは年4回ほど送られてきますが、M氏から今までに
     車を購入したことのある人すべてに送っているとのことです。

     ダイレクトメールの内容物には、「○○新聞」とタイトルがつけられ、「M氏とお客
     さんを結びつけるハートフルコミュニケーション紙」というキャッチコピーが書か
     れています。

     その「新聞」はすべて手書きであり、ところどころにイラストも入っています。

     パソコンで作成されたダイレクトメールを見る機会が多い私たちにとっては、手
     作りというだけでも印象深いものになります。

     内容は同社の車情報やディーラーのサービス情報などを盛り込みながら、車
     を購入してくれた多くのお客様への感謝の言葉、M氏最愛の娘さんの成長記、
     そのほか社会事象など多方面にわたっています。

     このダイレクトメールが、お客様との良好な関係を築き上げるのに大きく貢献し
     ていることは間違いないでしょう。

     その文面には、お客様を大切にする心がはっきりと表われています。

     これは理想的なダイレクトメールの一形態であるといえるでしょう。

   2.ダイレクトメールによる販売促進の本質

     ダイレクトメールによる販売促進を成功させるポイントは、目的を明確にし、適
     切な顧客名簿を作り、優れた内容のものを的確なタイミングで発送するところ
     にあります。

     しかし、それ以上に重要な点は、

      一人ひとりの顧客を大切に思う心がその根底にあるかどうか

     ということではないでしょうか。

     それさえあれば、どのようなダイレクトメールを作成すべきかという点について
     も、自然と明らかになってくるでしょう。

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