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後継社長の心構えとやるべきこと |
■先代社長の経営理念を重視 就任直後の後継社長がもつべき心構えとして、第一にあげられるのは、 先代社長の経営理念を重視する 必要があるということです。 経営理念は経営の現場から生み出された英知であり、そこには経営におけるエッ けるきわめて重要な要素です。 したかって、後継社長は、先代社長が作り上げた経営理念を踏襲することを基本 し、成功をおさめています。 しかしその一方で、先代社長の経営理念をあまり考慮しない経営を行い、その結 まま実践する、というものではありません。 仮にその経営理念のみにとらわれた経営を進めていくのであれば、大きな成功に とくに、現在は企業を取り巻く環境変化のスピードが非常に速い時代です。 困難です。 そのようなことを考慮すると、 先代社長の経営理念を踏襲しながら、 必要があるといえます。 就任直後の後継経営者がもつべき心構えの第二に、 堅実な経営の実践が企業の確かな成長につながることを ことがあげられます。 な経営の実践は、その経営理念が形となって表れたものです。 ここでいう堅実な経営とは、 先代社長の考え方を守りながらも独自の戦略を打ち出し、 ことです。 です。 そのようなときに、新しい経営指針を社内および社外に示し、新規事業分野に 多くの企業倒産の事例を掘り下げてみていくと、その倒産要因のひとつに、堅実 このように、堅実経営の実践は大切です。 しかし、的確な事業拡大や多角化戦略は、会社の成長にとって必要不可欠なも る姿勢が重要となります。 それが有効な事業拡大、あるいは多角化戦略になることでしょう。 「とにかく実力以上のことはせずに、確実に経営をしていくことが肝要である。 これは、ある倒産企業の元社長の言葉ですが、堅実経営の重要性を再認識でき ます。 就任直後の後継経営者がもつべき心構えの第三に、 人脈の構築とその有効活用を心がける ということがあげられます。 そのためにはまず、先代社長が長年にわたって築き上げてきた人脈ネットワーク 積極的に新たな人脈を発掘し、より強固な人脈ネットワークを構築 社長が日々取り組むべき業務は、かなりの量になります。 さまざまな問題が発生し、すべてにひとりで対応できるものではありません。 すれば、的確な意思決定を行ったり、仕事を依頼したりすることも可能となります。 人脈を広げて有効に活用することは、自社の経営改善に大いに役立つでしょう。 その具休的な方策のひとつに、異業種交流会への参加があります。 東京大田区や墨田区ではいくつもの異業種交流会が組織されており、 また、中小企業白書でも、異業種交流会や共同受注の重要性を例年指摘してい 長期的な企業の成長を考える際に、人脈ネットワークの構築は必要不可欠な視 就任直後の後継経営者がもつべき心構えの第四に、 長期展望をもって企業経営を推進することの重要性を認識する ということがあげられます。 短期的な業績向上の検討も非常に重要ですが、社長は、より長期的な視点から く必要があります。 そこで、事業を引き継いだ段階で現状分析を進め、自社の強みと弱みを十分に把 この段階では自社の内部・外部両面の分析を行い、最適な方向に自社を導いて いくための長期的な経営戦略を立案します。 きな役割です。 しかし、就任直後では経験上の問題もあり、的確な判断を行うのが困難な場合も そのようなときには、先代社長のアドバイスを積極的に受けるのがよいでしょう。 まず最初に、後継社長が引き継ぐものは何か、という点を考えていきます。 社長の職務をまっとうするには、後継社長は、まず自分が何を継ごうとしてい 後継経営者が継ぐものとは、社長という絶対権限、すなわち、 にほかなりません。 その権限を活用して新たな事業に取り組むことも、従来の経営方針をさらに効 表面的に「事業=会社を継ぐ」というとらえ方をしていたのでは、前社長以上の 現在の事業分野や組織の機能にとらわれすぎると、成長のチャンスが訪れた ずに前社長のやり方を続けていく場合と、あらゆる可能性を検討したうえで前 企業の将来はトップが受け継いだ資産を有効にいかせるか否かで変わる ものですから、前社長の経営スタイルのみに固執することなく、さまざまな可能 前項の認識に基づき、社長としてまず何に取り組むべきかを考えてみましょう。 1.社長の仕事 社長の職務を端的にいえば、引き継いだ裁量権を存分にいかして、 中小企業においては、社長がさまざまな業務を担当しなければならない場合 であり、 なかでも、 正確な現状認識に基づく、的確な経営戦略の策定が最重要課題である といえます。 とで解決すべき課題を抽出し、その課題解決の方策を検討する必要があります。 就任直後は多忙のためにデスクワークの時間がなかなかとれない、ということ 就任後はそれをたたき台に、経営幹部全員が意思決定に関与する形で戦略 こうすると効率的であるばかりでなく、 ・各人の知恵と知識がいかされた、より効果的な戦略が立てられる ・幹部陣も、自ら策定に参加した戦略であるため、その正しさを認識しやすい ・自社の経営理念、経営方針や新社長の考え方を全長が明確に理解する などの効果を得ることができます。 将来への夢を描き、それを確実に達成できる戦略を打ち立てられれば、おの 戦略に基づいた施策を社員の一人ひとりに確実に遂行してもらうためには、社員 そして、こうしたものは、カリスマ性というよりは、以下にあげるように、日々の生 社長が自らのレベルアップをはかる第一歩は、自分の人生を「自分のため」と 社員に生きる場を提供することは、会社の重要な役割のひとつです。 社長の姿勢のなかに、社員を大切に思い、社員のことを考えた経営をしてい 社員にとって本当に魅力的な職場環境をつくり出すことができてはじめて、社 社長は、自分自身が研鑽を積むだけでなく、社員の成長にも力を貸せる存在 仕事を通して、あるいは社長とのコミュニケーションを通して、 ・よりレベルの高い考え方ができるようになる ・よりレベルの高い職務遂行能力を身につけることができる という実感を彼らに与えなければなりません。 そうすれば、社員は社長に尊敬と親しみを覚え、さらに向上したいという意欲 また、それが社員の周囲にいる人たち、家族や友人などにもよい影響を与え 企業は、顧客・株主・取引先・隣人といった社会の存在があってこそのものです。 したがって、従業員のためにという側面とは別に、社会全体のためにいかなる つね日頃から、こうしたことを追求していくことが事業のあり方に反映され、そ 会社は、社長の考え方や人格がレベルアップするにつれて、優秀な人材が集 社長はその地位をおりるまで、つねに自らの社会的役割を見つめ直し、また そのためには、強固な意志と健康な体が必要です。 そして、それらを維持していけるような健康的な生活を送っていくことが重要です。
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